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いざ、魔法屋へ……
#24 とりあえず帰宅なのデス
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SIDEシアン
ひとまず、魔法屋として登録は終えたので、僕らは帰宅することにした。
と言うのも、そろそろ馬車の偽装機能の時間切れが近くなっているようだし、これ以上の滞在は今のところメリットが無いのだ。
また後日依頼を受けることにして、僕らは馬車に戻って来たのだが……
【スヤァ……スピィ……】
「短い間に、馬車の中で爆睡しているな……」
待ちくたびれたのか、ハクロが自身の糸で作り出した掛布団を装備し、爆睡していた。
綺麗な寝顔だけどさ、鼻提灯出しているせいですごい残念感を漂わせていた。
「とりあえず、馬車を発車いたしマス」
爆睡しているハクロを放置し、ワゼは外で同じように熟睡していたフェンリル(夫)を叩き起こした。
ばっしぃぃぃん!!
【いっでぇぇぇぇぇ!!】
……物凄く痛そうな音が聞こえたが、鞭でやったのだろうか?
とにもかくにも、馬車が動き出し、森にある家へ向けて進み始めるのであった。
だが、その様子を見ていた者がいたことに、シアン達は気が付かなかったのであった……
――――――――――――――――――――――
SIDE都市アルバス:ギルド
「…‥‥さてと、そろそろ元に戻すかなぁ」
シアンたちが馬車に乗って都市を去った光景を見た後、隠れていたベルモートは踵を返し、ギルドの裏口へ回った。
そしてそこから中へ入り、階段を上ってその先にある執務室に入った後、扉の鍵を閉めて、自身の変装を解き始める。
モヒカンを外し、それ以外の部分は剥げているように見せかけていたカツラを取ると、押しつけられていたアフロが出て来て、あっという間にブロッコリーのような頭になった。
色も緑なので、遠目で見ればまさにそうであろう。
チンピラのような顔も、魔法で水を作り、洗い流せばそこにあるのはどこにでもいそうな普通の顔となり、その特徴的なアフロがなければただの一般人としか認識されないだろう。
そして衣服を脱ぎ棄て、きちんとしたスーツに着替えると、そこにはもう、あの見た目詐欺のベルモートのような姿ではなく、圧倒的アフロを持ったおっさんとなっていたのであった。
「やれやれっと、新人が来るような予感がしたからわざわざ変装したが、中々見どころと言うか、将来有望そうであったな」
そう言いながら、ベルモートは…‥‥実はこの魔法ギルドのギルド長であったベルモートは椅子に腰をかけつぶやく。
……表向きは、見た目詐欺の新人に対するアドバイザー。
だが、その裏の実態は、この魔法ギルドのトップであり、その腕前もかなり高い魔法屋ベルモート。
それが、彼の真の姿であった。
なお、なぜそのような事をしているのかと言えば、単純に新人教育のためである。
いかにもやばそうな見た目に新人が怯えず、話しかけた言葉に耳を向けるのかを観察し、その能力や性格をしっかりと見定め、どの程度のものであるのかを確かめるには、ギルド長としての姿よりも、あの見た目詐欺の方が都合がよかったのだ。
この事を知っているのは、このギルド職員でも数人ほどであり、一般的な魔法屋たちには知られていないのである。
「にしてもだ……帰るところを観察したが、あの馬車に何やら色々な偽装がかかっていたな。完全にその手のところで改造されたものではないがゆえに不完全であったが、それでも面白そうなものだったな」
魔法ギルド長ではあるが、ただの肩書ではなく、その実力もあってベルモートはシアンたちが乗っていた馬車の詳細について、ある程度予測がついていた。
それでもまだ良く分からないところもあるし、彼らがただものではないという事だけしか、分からない。
「……まぁ、あの魔法を扱う様子などから見て、まだ素人だが実力は伸びに伸び捲る可能性を秘めているな。彼に付き従っていたメイドは明らかに人間ではないようだが、こちらも底が知れない。となれば、今はまだ様子見をしておいたほうがいいだろうな……」
そうつぶやき、ベルモートは自身が変装していた間にたまっていた仕事を処理し始めるのであった。
シアンたちが何者であるかはともかく、とりあえず有望そうな新人が入った事だけは、嬉しく思いながら……
――――――――――――――――――――――――――
SIDEボラーン王国:王城内
「…‥‥なるほど、神獣殿のその話しからして、魔王がいる可能性はあるのか」
「はっ、ですが悪意あるような悪しき魔王という訳でもなさそうでございます」
「ですが、それでもどうなるのかは今のところ不明ではあるが、友好関係を築くのであればそうした方が良いと言うアドバイスを我々は頂きました」
ボラーン王国の王城にて、互に息切れしながらも、なんとか王城に撞着で辿り着いた騎士団長と魔導士長は、国王にそう報告していた。
本当であれば、相手をできるだけ貶めておきたかったのだが…‥‥同着だったがゆえに、諦めて普通に報告をすることにしたというのは、彼らの秘密である。
とにもかくにも、山吹き飛ばし事件の犯人と限らないとはいえ、これはこれでかなりの有用な情報を国王に報告することができていたのであった。
「ううむ…‥‥その報告の通りだとするならば、その魔王かもしれない存在自体はまだ良い方なのか」
「そうらしいですね。その配下の方がより恐ろしいという口ぶりでしたし、おそらくは既に、何かあったのではないかと推測されます」
「また、敵対することだけは絶対にやめておいた方が良いと言うからも推測できることですが、おそらくは友好的であればその刃は向けられることはないかと思われます」
「なるほどなるほど…‥‥」
魔導士長たちの話を聞き、国王はしばし考えこむ。
ここでの采配によって、どうなるのか考えなければ、後々後悔する可能性が高いと理解しているからだ。
そして、時間をかけて考えたのは……
「そのような者であるのならば、現状のまま放置しておいた方が良いだろう」
「となると、どういう事でしょうか?」
「今のまま、迂闊に動いてはならぬという事だ。余計な争いを産む可能性があり、接触を考えるのであれば、向こう側が何か行動を起こした時にすればいい。幸いと言うか、神獣様のその口ぶりからして、そちらでは悪い関係もないような点からして、いざという時に貢物などを運び、頼ればいいだろう」
友好関係を築いた方が良いと言うが、その魔王らしき存在についての情報は不明な点が多く、迂闊な接触によって機会が奪われるのは避けたい。
ならば、自分たちが確定を持って言える状況まで静観していたほうが良いと、国王は判断を下したのである。
この判断が吉と出るか凶と出るかはまだ分からないが、今はその手段が一番最適であるように感じ取れるのであった……
ひとまず、魔法屋として登録は終えたので、僕らは帰宅することにした。
と言うのも、そろそろ馬車の偽装機能の時間切れが近くなっているようだし、これ以上の滞在は今のところメリットが無いのだ。
また後日依頼を受けることにして、僕らは馬車に戻って来たのだが……
【スヤァ……スピィ……】
「短い間に、馬車の中で爆睡しているな……」
待ちくたびれたのか、ハクロが自身の糸で作り出した掛布団を装備し、爆睡していた。
綺麗な寝顔だけどさ、鼻提灯出しているせいですごい残念感を漂わせていた。
「とりあえず、馬車を発車いたしマス」
爆睡しているハクロを放置し、ワゼは外で同じように熟睡していたフェンリル(夫)を叩き起こした。
ばっしぃぃぃん!!
【いっでぇぇぇぇぇ!!】
……物凄く痛そうな音が聞こえたが、鞭でやったのだろうか?
とにもかくにも、馬車が動き出し、森にある家へ向けて進み始めるのであった。
だが、その様子を見ていた者がいたことに、シアン達は気が付かなかったのであった……
――――――――――――――――――――――
SIDE都市アルバス:ギルド
「…‥‥さてと、そろそろ元に戻すかなぁ」
シアンたちが馬車に乗って都市を去った光景を見た後、隠れていたベルモートは踵を返し、ギルドの裏口へ回った。
そしてそこから中へ入り、階段を上ってその先にある執務室に入った後、扉の鍵を閉めて、自身の変装を解き始める。
モヒカンを外し、それ以外の部分は剥げているように見せかけていたカツラを取ると、押しつけられていたアフロが出て来て、あっという間にブロッコリーのような頭になった。
色も緑なので、遠目で見ればまさにそうであろう。
チンピラのような顔も、魔法で水を作り、洗い流せばそこにあるのはどこにでもいそうな普通の顔となり、その特徴的なアフロがなければただの一般人としか認識されないだろう。
そして衣服を脱ぎ棄て、きちんとしたスーツに着替えると、そこにはもう、あの見た目詐欺のベルモートのような姿ではなく、圧倒的アフロを持ったおっさんとなっていたのであった。
「やれやれっと、新人が来るような予感がしたからわざわざ変装したが、中々見どころと言うか、将来有望そうであったな」
そう言いながら、ベルモートは…‥‥実はこの魔法ギルドのギルド長であったベルモートは椅子に腰をかけつぶやく。
……表向きは、見た目詐欺の新人に対するアドバイザー。
だが、その裏の実態は、この魔法ギルドのトップであり、その腕前もかなり高い魔法屋ベルモート。
それが、彼の真の姿であった。
なお、なぜそのような事をしているのかと言えば、単純に新人教育のためである。
いかにもやばそうな見た目に新人が怯えず、話しかけた言葉に耳を向けるのかを観察し、その能力や性格をしっかりと見定め、どの程度のものであるのかを確かめるには、ギルド長としての姿よりも、あの見た目詐欺の方が都合がよかったのだ。
この事を知っているのは、このギルド職員でも数人ほどであり、一般的な魔法屋たちには知られていないのである。
「にしてもだ……帰るところを観察したが、あの馬車に何やら色々な偽装がかかっていたな。完全にその手のところで改造されたものではないがゆえに不完全であったが、それでも面白そうなものだったな」
魔法ギルド長ではあるが、ただの肩書ではなく、その実力もあってベルモートはシアンたちが乗っていた馬車の詳細について、ある程度予測がついていた。
それでもまだ良く分からないところもあるし、彼らがただものではないという事だけしか、分からない。
「……まぁ、あの魔法を扱う様子などから見て、まだ素人だが実力は伸びに伸び捲る可能性を秘めているな。彼に付き従っていたメイドは明らかに人間ではないようだが、こちらも底が知れない。となれば、今はまだ様子見をしておいたほうがいいだろうな……」
そうつぶやき、ベルモートは自身が変装していた間にたまっていた仕事を処理し始めるのであった。
シアンたちが何者であるかはともかく、とりあえず有望そうな新人が入った事だけは、嬉しく思いながら……
――――――――――――――――――――――――――
SIDEボラーン王国:王城内
「…‥‥なるほど、神獣殿のその話しからして、魔王がいる可能性はあるのか」
「はっ、ですが悪意あるような悪しき魔王という訳でもなさそうでございます」
「ですが、それでもどうなるのかは今のところ不明ではあるが、友好関係を築くのであればそうした方が良いと言うアドバイスを我々は頂きました」
ボラーン王国の王城にて、互に息切れしながらも、なんとか王城に撞着で辿り着いた騎士団長と魔導士長は、国王にそう報告していた。
本当であれば、相手をできるだけ貶めておきたかったのだが…‥‥同着だったがゆえに、諦めて普通に報告をすることにしたというのは、彼らの秘密である。
とにもかくにも、山吹き飛ばし事件の犯人と限らないとはいえ、これはこれでかなりの有用な情報を国王に報告することができていたのであった。
「ううむ…‥‥その報告の通りだとするならば、その魔王かもしれない存在自体はまだ良い方なのか」
「そうらしいですね。その配下の方がより恐ろしいという口ぶりでしたし、おそらくは既に、何かあったのではないかと推測されます」
「また、敵対することだけは絶対にやめておいた方が良いと言うからも推測できることですが、おそらくは友好的であればその刃は向けられることはないかと思われます」
「なるほどなるほど…‥‥」
魔導士長たちの話を聞き、国王はしばし考えこむ。
ここでの采配によって、どうなるのか考えなければ、後々後悔する可能性が高いと理解しているからだ。
そして、時間をかけて考えたのは……
「そのような者であるのならば、現状のまま放置しておいた方が良いだろう」
「となると、どういう事でしょうか?」
「今のまま、迂闊に動いてはならぬという事だ。余計な争いを産む可能性があり、接触を考えるのであれば、向こう側が何か行動を起こした時にすればいい。幸いと言うか、神獣様のその口ぶりからして、そちらでは悪い関係もないような点からして、いざという時に貢物などを運び、頼ればいいだろう」
友好関係を築いた方が良いと言うが、その魔王らしき存在についての情報は不明な点が多く、迂闊な接触によって機会が奪われるのは避けたい。
ならば、自分たちが確定を持って言える状況まで静観していたほうが良いと、国王は判断を下したのである。
この判断が吉と出るか凶と出るかはまだ分からないが、今はその手段が一番最適であるように感じ取れるのであった……
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