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王族とは何なのか
#97 平穏は速攻で逃げるのデス
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SIDEボラーン王国:王城内
現在、国王陛下には王子5名、王女2名がいる。
第2王女ミスティアが良く目立っているように思えるが、その他の王子、王女たちが何もしていないわけではない。
第1、2王子たちは市井へ出向き、民たちの動向を探る。
第3、4王子たちは、辺境へ出向いて、国境視察や税金の着服が無いか確認する。
第5王子と第1王女は、国内の政治だけではなく文化の発展、孤児院や医療施設などをめぐり、飢えた子供たちがいないように働き、職の確保を行う。
……と、これだけを聞けばまともな王子、王女たちに聞こえるであろう。
だがしかし、それだけではなかった。
「国王陛下!!王子王女様方がまた抜け出しましたぁぁぁ!!」
「またか!!」
その報告を聞き、国王はそうツッコミを入れた。
そう、ちょっとばかり勉学が嫌いなようで、頭は悪くはなく、まともにやりさえすればかなり良いのだが……時たま城からいつの間にか勝手に抜け出してしまうのだ。
執務から逃げるために、たまに抜け出す国王陛下の子であると確実に全員が確信するほどである。
それでも一応王族としての自覚があるのか、あくどい事は行わず、権力を振りかざすような真似もせず、皆民からそれなりに人望はあるのだ。
まぁ、問題が起きなかったわけでもないが。
第1、2王子たちはそれなりに顔がよく、平民のふりをしていてもモテすぎて、どういうわけかヤンデレと呼ばれる包丁を振り回して追ってくる熱狂的なファンが付いた。
第3、4王子たちは、辺境での視察をしている時に他国の間者たちを発見し、捕縛したまではいいがどういう訳か仲良くなって、がっつりと他国の知られてはいけないような各国の秘密を得た。
第5王子と第1王女は、第5王子の方は歌が好きだけど下手すぎて気絶する人が出たり、第1王女の方は孤児院で調理をしようとして、謎の物体Xと命名された物質を作り上げてしまった。
……表があれば裏があるとはよく言ったもので、良い事をしているようで、やらかしまくってもいるのだ。
第2王女が割とまともに見えてきたが、それでも国を揺るがすような相手を見つけている時点で、同じようなものである。
とにもかくにも、今日もその脱走報告を国王は聞き、頭を抱えたくなった。
「で、今回は何だ?出向いた先は分かったのか?」
「目撃証言などから、どこへ向かったのかはすぐに分かりましたが‥‥その、非常に厄介な…‥」
もごもごと言いよどむような報告に、国王は嫌な予感を覚える。
「まさか……」
「その、あの第2王女様が交渉役として任じられている人物が良くいる場所……都市アルバスへ、皆さま行かれました」
「…‥‥はぁああああああああああああああああああああああああああああ!?」
……その日、国王の心の底からの驚愕の叫びは、国境付近まで聞こえたらしい。
そしてその後、すぐに国王が慌てふためいたのは言うまでもなかった。
―――――――――――――――――
SIDEシアン
……海の騒動から2週間ほどが経過し、僕らはいつもの生活に戻っていた。
あの巨大イカの怪物は現在も調査中のようで、正式名称も色々と定まらないそうだ。
「まだあの町では、ポチが神格化され、ゆえに討伐されたイカに関しても名前をすごくしなければ釣り合わないという抗議があるらしいデス」
「……どうなんだろうかそれは」
ポチの真の姿を知る僕らとしては、物凄く複雑な気持ちである。
まぁ、世の中には知らないほうが良い事もあるから、教えないほうが良いだろう。
とにもかくにも、本日の依頼は、都市のある建物の洗浄である。
水魔法で高圧洗浄機のように汚れを落としたり、ハクロの糸を使って上から吊るしてもらい、ごしごしと洗うなど、色々とやりがいはあった。
ただ、加減を間違えると壊れるからなぁ……ついうっかりで貫いたらシャレにならない。
そこで、ミニワゼシスターズやワゼたちにも手伝ってもらったところ……
「……どうしよう、コレ」
「ツ……」
やり過ぎたせいで、建物が真っ白になった。
塗装が剥げたというよりも、磨き過ぎたようである。
・・・一応、依頼としては合っているし、これはこれでおもしろいと依頼主が心や優しく許してくれたので、依頼失敗とはならなかった。
なんとなく、背後の方の濡れたハクロを見て、鼻の下を伸ばしていたような気もしたが…‥‥黒いペンキでも上から垂らして、醤油をかけた冷ややっこのような建物にしようかと一瞬考えてしまった。
とりあえず、これで依頼も完了し、魔法ギルドに戻って報酬を受け取る。。
「では、こちらが依頼報酬です」
「わかりました、確かに受け取りました」
報酬を受け取り、ワゼに渡して彼女のポケットの中に収納してもらう。
「それじゃ、今日はもう帰るか」
【色々とやらかしましたけれどね……】
魔法ギルドから出て、停留所で待っているポチ馬車の元へ向かおうとしていた……その時であった。
「ぎゃああああああ!!」
「ぬわんじゃぁこりゃぁぁぁぁ!!」
「「【!】」」
何か悲鳴が聞こえ、僕らは思わず振り返った。
見れば、何かがずぶずぶと湧き出しているような……なんだあれは?
「やべぇぇ!!何か湧き出ているぞ!!」
「スライムなのか!?」
「ぜんぜんちがーう!!」
「なんだなんだ?」
「何かがあふれ出しているようデス。……目視できる距離になったようデス」
騒ぎの方向を見れば、何か液状のものがドロドロと迫って来てた。
「……何、アレ?」
「解析不可能。未知の物質デス」
【って、言っている場合じゃないですよ!!】
鉄砲水のように迫ってくる謎の液状物質。
その事に素早くハクロが動き、僕を背中にさっと乗せ、走りだした。
ワゼの方も素早く動き、その背後から液状物質が迫りくる。
「急げとりあえず逃げるぞ!!」
【わかってますよ!!】
「解析不能な物からは逃げるに限りマス」
都市アルバスで発生した謎の液状物質。
ひとまず、僕らは全力で逃走を開始したのであった‥‥‥‥
現在、国王陛下には王子5名、王女2名がいる。
第2王女ミスティアが良く目立っているように思えるが、その他の王子、王女たちが何もしていないわけではない。
第1、2王子たちは市井へ出向き、民たちの動向を探る。
第3、4王子たちは、辺境へ出向いて、国境視察や税金の着服が無いか確認する。
第5王子と第1王女は、国内の政治だけではなく文化の発展、孤児院や医療施設などをめぐり、飢えた子供たちがいないように働き、職の確保を行う。
……と、これだけを聞けばまともな王子、王女たちに聞こえるであろう。
だがしかし、それだけではなかった。
「国王陛下!!王子王女様方がまた抜け出しましたぁぁぁ!!」
「またか!!」
その報告を聞き、国王はそうツッコミを入れた。
そう、ちょっとばかり勉学が嫌いなようで、頭は悪くはなく、まともにやりさえすればかなり良いのだが……時たま城からいつの間にか勝手に抜け出してしまうのだ。
執務から逃げるために、たまに抜け出す国王陛下の子であると確実に全員が確信するほどである。
それでも一応王族としての自覚があるのか、あくどい事は行わず、権力を振りかざすような真似もせず、皆民からそれなりに人望はあるのだ。
まぁ、問題が起きなかったわけでもないが。
第1、2王子たちはそれなりに顔がよく、平民のふりをしていてもモテすぎて、どういうわけかヤンデレと呼ばれる包丁を振り回して追ってくる熱狂的なファンが付いた。
第3、4王子たちは、辺境での視察をしている時に他国の間者たちを発見し、捕縛したまではいいがどういう訳か仲良くなって、がっつりと他国の知られてはいけないような各国の秘密を得た。
第5王子と第1王女は、第5王子の方は歌が好きだけど下手すぎて気絶する人が出たり、第1王女の方は孤児院で調理をしようとして、謎の物体Xと命名された物質を作り上げてしまった。
……表があれば裏があるとはよく言ったもので、良い事をしているようで、やらかしまくってもいるのだ。
第2王女が割とまともに見えてきたが、それでも国を揺るがすような相手を見つけている時点で、同じようなものである。
とにもかくにも、今日もその脱走報告を国王は聞き、頭を抱えたくなった。
「で、今回は何だ?出向いた先は分かったのか?」
「目撃証言などから、どこへ向かったのかはすぐに分かりましたが‥‥その、非常に厄介な…‥」
もごもごと言いよどむような報告に、国王は嫌な予感を覚える。
「まさか……」
「その、あの第2王女様が交渉役として任じられている人物が良くいる場所……都市アルバスへ、皆さま行かれました」
「…‥‥はぁああああああああああああああああああああああああああああ!?」
……その日、国王の心の底からの驚愕の叫びは、国境付近まで聞こえたらしい。
そしてその後、すぐに国王が慌てふためいたのは言うまでもなかった。
―――――――――――――――――
SIDEシアン
……海の騒動から2週間ほどが経過し、僕らはいつもの生活に戻っていた。
あの巨大イカの怪物は現在も調査中のようで、正式名称も色々と定まらないそうだ。
「まだあの町では、ポチが神格化され、ゆえに討伐されたイカに関しても名前をすごくしなければ釣り合わないという抗議があるらしいデス」
「……どうなんだろうかそれは」
ポチの真の姿を知る僕らとしては、物凄く複雑な気持ちである。
まぁ、世の中には知らないほうが良い事もあるから、教えないほうが良いだろう。
とにもかくにも、本日の依頼は、都市のある建物の洗浄である。
水魔法で高圧洗浄機のように汚れを落としたり、ハクロの糸を使って上から吊るしてもらい、ごしごしと洗うなど、色々とやりがいはあった。
ただ、加減を間違えると壊れるからなぁ……ついうっかりで貫いたらシャレにならない。
そこで、ミニワゼシスターズやワゼたちにも手伝ってもらったところ……
「……どうしよう、コレ」
「ツ……」
やり過ぎたせいで、建物が真っ白になった。
塗装が剥げたというよりも、磨き過ぎたようである。
・・・一応、依頼としては合っているし、これはこれでおもしろいと依頼主が心や優しく許してくれたので、依頼失敗とはならなかった。
なんとなく、背後の方の濡れたハクロを見て、鼻の下を伸ばしていたような気もしたが…‥‥黒いペンキでも上から垂らして、醤油をかけた冷ややっこのような建物にしようかと一瞬考えてしまった。
とりあえず、これで依頼も完了し、魔法ギルドに戻って報酬を受け取る。。
「では、こちらが依頼報酬です」
「わかりました、確かに受け取りました」
報酬を受け取り、ワゼに渡して彼女のポケットの中に収納してもらう。
「それじゃ、今日はもう帰るか」
【色々とやらかしましたけれどね……】
魔法ギルドから出て、停留所で待っているポチ馬車の元へ向かおうとしていた……その時であった。
「ぎゃああああああ!!」
「ぬわんじゃぁこりゃぁぁぁぁ!!」
「「【!】」」
何か悲鳴が聞こえ、僕らは思わず振り返った。
見れば、何かがずぶずぶと湧き出しているような……なんだあれは?
「やべぇぇ!!何か湧き出ているぞ!!」
「スライムなのか!?」
「ぜんぜんちがーう!!」
「なんだなんだ?」
「何かがあふれ出しているようデス。……目視できる距離になったようデス」
騒ぎの方向を見れば、何か液状のものがドロドロと迫って来てた。
「……何、アレ?」
「解析不可能。未知の物質デス」
【って、言っている場合じゃないですよ!!】
鉄砲水のように迫ってくる謎の液状物質。
その事に素早くハクロが動き、僕を背中にさっと乗せ、走りだした。
ワゼの方も素早く動き、その背後から液状物質が迫りくる。
「急げとりあえず逃げるぞ!!」
【わかってますよ!!】
「解析不能な物からは逃げるに限りマス」
都市アルバスで発生した謎の液状物質。
ひとまず、僕らは全力で逃走を開始したのであった‥‥‥‥
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