拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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その素質の片鱗

閑話 ゆっくり、着実にデス

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SIDEシアン 

……巨大イカのモンスターの襲撃騒動も終え、シアンたちは自宅に帰還していた。

 馬車の大破もあって、ワゼが強化改造を施すらしく、3日間ほどは時間が欲しいらしい。


 ゆえに、その間は動けないので、遊び疲れと騒動疲れの両方を癒すために、僕らは休息を取ることにしたのであった。




――――――――――――――――――――――
SIDEポチ

【ほ~ら、海のお土産だぞぉ】
【がうっ!!】
【がううがうう!!】

 フェンリル一家の巣へ戻ったポチは、海で得たお土産を子供たちに分け与えていた。

 シアンによってイカ退治の功績を押しつけられたとはいえ、あの町で感謝をされまくり、大量の海産物を得る事が出来たのである。

 鮮度の面に関して言えば、瞬間冷凍され、ある程度保管可能にしていたので落ちてはおらず、美味しい状態のままである。

 美味しい海の幸に、フェンリルの子供たちはピラニアのごとく群がり、むしゃむしゃと食い尽くしていった。


【ふぅ、それにしても今回は色々あったとはいえ、子どもたちが喜んでいるのならば、嬉しいなぁ】
【あら、そんなに大変だったのかしら】

 ポチの言葉に対して、子どもたちを微笑ましく見ていたポチの妻、ロイヤルはそう問いかけた。

【ああ、そりゃもうすさまじくな。巨大なイカに飲み込まれた時は、正直言ってダメかと思ったぞ……】
【貴方はいつも、色々とダメなのに、それほど大変な事があったのね】
【その通りで、いやちょっと待て、今さらっとひどいことを言わなかったか?】
【さぁ?】


 ロイヤルの言葉にはぐらかされつつも、とりあえずポチは海であった出来事を語りだす。

 
【……と言う訳で、結局はあの地獄極悪非道メイドの主によって、功績を譲られ、祭り上げられたが、それでもこれだけの土産を得られたことに関して言えば、文句はなかったな】
【そう……聞いているだけでもかなり色々あったようね】

 ポチの話を聞き終え、ロイヤルは同情し、子どもたちはその巨大イカの方へ興味を示す。

【ガウッ!】
【がううう!!】
【そうかそうか、お前たちはあの巨大なイカと戦って見たいか。でもやめておいたほうが良いぞ】
【がうっ!!がううっ!!】

 ポチの言葉に、子フェンリルたちはやる気を漲らせ、ぶんぶんと尻尾を振る。

【結構やる気になっているわねぇ……そうだわ、せっかくのやる気だし、ここは一つ子供たちと交えてみないかしら?】
【ほぉ?それはそれでいいな…‥‥良し、子どもたちよ!!この父と戦ってみせよ!!】
【【【がうがうがーーーーーーう!!】】】



……父親らしく、子どもたちとたわむれに戦い、父としての威厳を出そうとするポチ。

 だがしかし、一つ大きな計算違いがあった。


 以前、ポチを貸し出してもらう際に、ワゼはロイヤルと話し合いをしている際に、時々食事の提供をすることを約束していた。

 今もなお継続しており、関係性は良好なのだが、ここ最近はワゼ自身ではなくミニワゼシスターズたちが出向くことがあり、時々遊び相手になってあげていることがある。

 とは言え、ミニワゼたちはワゼの劣化みたいなものとはいえ、それでも性能は高く、彼女達が遊び相手になってもその遊びは高度な疑似戦闘訓練に近いものになったりもした。

 ゆえに、子フェンリルたちもメキメキとその実力を伸ばしていき‥‥‥‥いや、これ以上語る事もあるまい。

 今、言える事とすれば、その日一頭のフェンリルが根性で威厳を守り抜きつつも、非常に危い立場である事を認識させられることぐらいであった…‥‥



――――――――――――――――――――――
SIDEハクロ

【ふ~ん♪ふふん♪】

 ハクロは今、鼻歌を歌いながら編み物をしていた。

 馬車の改造もあって、しばらくは休日となったが、やる事としては趣味に没頭する程度である。


 そこで、彼女は趣味の編み物をして、楽しんでいたのである。

【よし!完成です!】

 今作ったのは、この間のイカ騒動で思いついた、イカのぬいぐるみである。

 とは言え、非常に可愛らしくデフォルメして、もはや原形をとどめていなかった。


【ここに飾りましてっと、次は何にしましょうかね?】

 ぬいぐるみを棚の上に並べつつ、次の制作に取り掛かろうとするハクロ。

 アイディア的には、まだ色々とあるのだがちょっとまとまらない。

【うーん…‥‥そうですね、気分転換でもして、考え直しましょう】




 とりあえず、何にしようか迷い、一旦彼女は自室を出た。

【ん?】

 そこでふと、外を見ると庭の様子が見え、その場にシアンがいた。


 どうやら魔法の鍛錬をしているようで、いくつもの炎や水の球を形成してはぶつけ合い、コントロールなどを高めているようだ。

【……ちょっと面白そうです】

 ふと、あるいたずら心が沸き上がり、彼女は外に出た。




「『ファイヤボール』……から『アイスボール』、『ライトボール』!!」

 どんぱちしながらも、次々と魔法で出来た球体が生み出され、ぶつかり合い、花火のように散っていく。


 綺麗なその様子に面白く思いつつ、彼女はそっとシアンの背後を取った。

【それ!!】
「うわっ!?」

 一応、安全を考えて、ある程度の魔法が消えて大丈夫そうなことを確認して、彼女はシアンの目を後ろから隠した。

……昔、アラクネの群れにいた頃に、他のアラクネたちが時々このような遊びをしていたことを、彼女は覚えていた。

 冷淡、冷徹、冷酷などと言う本来の性質を持つアラクネたちでも、時たま遊びたくなるようで、子のような事をしていたのである。

 まぁ、その時の対象はアラクネだけではなく、性的な捕食対象もおり、間違えたら色々と悲惨な目に合わせたようだが、流石にハクロはそこまで見ていない。

 精々、目を隠して誰なのか当てるだけの、単純なゲームとしか思っていなかった。


「ハクロだよね!」
【回答が早いんですけれど!?】
「だって、声で既に分かるじゃん!!」
【あ】

 その言葉に、彼女は気が付いた。

 こういう遊びをするのであれば、声を誰かのものに真似ればよかったということに。

【あはは……うっかりしていましたよ】
「まったくもう…‥‥タイミングを見てやったようだけど、それでも危ないからやめてね」

 魔法を扱っていたこともあり、タイミングを見ていたとはいえ、間違えば危なかったことで、ハクロは説教された。


 とは言え、いたずら心がなぜ急に出たのかはちょっとわからない。

 でも、ちょっと面白かったので、また機会があればやってみようかなと、ハクロは思うのであった。



……なお、実はシアン、声だけでハクロだと確定したわけではない。

 この家の住人の手などを考えれば、感触などで合うのはハクロしかいないというのもあるが、何よりも一つ、大きなものでわかってしまったのである。

 身長差があったせいか、背後からぎゅっと手で隠されると同時に密着されたせいか…‥‥ハクロが編み物のために戻ったあと、シアンは柔らかかった感触に顔を赤らめつつ、忘れるように再び鍛錬に励むのであった。
 

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