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王族とは何なのか
#114 ありといえばありかもデス
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SIDEシアン
「ふぅ…‥‥昼間の温泉巡りも良かったけれども…‥‥」
昼間に巡った、都市オルセデスの各温泉を思い出しながら、僕は今、泊っている旅館の温泉に浸かっていた。
散々温泉を巡っておきながら、夜になっても温泉へ浸かってしまうこの快適さ。
そこまでお風呂が好きと言う訳でもなかったはずだが、この都市で過ごしている間に、色々と染まったのかもしれない。
とくにあのひよこまみれ空間……あのフワフワ、また行きたい。
そう考えながらゆっくりしていると、隣の女湯の声が聞こえてきた。
【うわぁ!!ここ凄い広いですよ!!】
「お金をかけていると言ってもおかしくないわね。いえ、高級旅館でしたし、間違ってもないのかしらね?」
モンスターであるハクロの場合、使い魔用のほうへ案内される可能性があったのだが、この声が聞こえる事を考えると、無事に女湯に入れたようだ。
とは言え、女湯との仕切りもあるが‥‥‥この壁一枚隔てているのかと考えると、何となく気恥しいような気もしてきたのであった。
取りあえず、黙っておくか…‥‥
――――――――――――――――――
SIDE女湯
ちゃぷんと温泉に浸かり、それぞれほぅっと息を吐く。
温泉のじんわりとした温かさに、体の芯から温まってくる感覚を彼女達は味わっていた。
「ふぅ‥‥ただのお風呂とは違う感じが、またいいですわね」
【全身浸かり切れないですが、それでもゆったりできますよ】
ミスティアの言葉に対して、ハクロはそう答える。
ハクロはアラクネであり、下半身が蜘蛛だ。
その頭に腰かけているような体の構造ゆえに、まともに入るとあまり浸かる事ができない。
そこで、背から持たれかけるようにしつつ、蜘蛛の部分をひっくり返してようやく腰より少し上の位置まで浸かれるのである。
……半身浴に近い感じと言えばわかりやすいが、蜘蛛の部分は全身浸かっているのでただし言い方なのか微妙に判断つけにくい。
なお、普段のシアン家の風呂ではハクロ用にかなり深く掘った風呂も用意してあったりする。
何にしてもそれぞれ風呂に浸かる中、ふとミスティアはそれぞれの身体を見た。
ミスティア自身、そこまで大きいわけでもないが、それなりにある事はある。
ミニワゼシスターズを見れば、それぞれワゼの簡略化とも言うべき姿なので、ちょっと人形がぷかぷかと浮いているように見える。
一部、ちょっとふざけているのか泳いでいたり、水死体の真似をしているが‥‥ちょっと子供らしいと考えた方が良いのだろう。
ワゼを見ると、彼女は耳の部分で人ではないことが分かっていたが、こうして裸になって浸かると各関節部に継ぎ目が見えたりして、本当にゴーレムなのだと実感できた。
「‥‥‥ワゼさん、お風呂に浸かって、その関節部分から浸水しないのかしら?」
「そのあたりは対策済みですので、大丈夫デス。とは言え、メイド服を脱ぐと‥‥‥こう、落ち着きませんネ」
メイドゴーレムだけどリラックスしているらしいが、それでもメイド服がデフォルトと言うようになっているのか、少しだけ落ち着きがない。
安心はできるが、それでも落ち着かない…‥‥どっちつかずの状態に近いのであろう。
あと、ハクロの方を見てけっとすねたような表情に見えたのは気のせいだと思いたい。
何しろ、ワゼの場合ある事はあるが、流石に圧倒的に負け‥‥‥いや、これ以上ミスティアも考えるのを辞めた。
それでもちょっとつんと触れてみる。
「えい」
ぷにゅぅん
【ひゃっ!?な、何をするんですかミスティアさん!!】
「ちょっとばかり、目に入って気になった物でして・・・・・でも、なんですのこの感触は?」
ハクロの場合、見た目は絶世の美女で、そのスタイルも抜群である。
完成された美とも言えるが、まだ成長もしているようで、上り詰めているわけではなさそうだ。
それでも、今の感触は同性であるミスティアもうらやむレベル。
肌の張りもあり、みずみずしく、それでいて柔らかい・・・・・
思わずミスティアはつんつんと触り続ける。
「なんですのなんですのこの感触は‥‥‥いつまでも触りたくなるような、魔性のものですわ
【ひゃぅ!!ちょ、そろそろやめてほしいんですが!?】
「‥‥‥持てる者ゆえに、まだ余裕ある感じが不服デス」
【今のどこに余裕を感じるのでしょうかワゼさん!?って、何で貴女も参加してくるのですぁぁぁあ!!】
―――――――――――――
SIDEシアン
「‥‥何をやっているんだろうか」
先ほどから急に、ハクロの叫び声が聞こえてきた。
【ひゃぁぁぁぁ!!ちょっと皆さんやめてくださいってばぁぁぁぁ!!】
「駄肉撲滅、消し飛ばすのデス」
「ツ!」
「ファー!!」
「シーッシッッシ!!」
【軽く暴走していませんか!?】
……なんとなく、女湯での騒ぎがどういう状態なのか、察しが付く。
口に出して言えば多分ワゼ辺りからぶっとばされそうな気がするので言わないが、それでもある意味悲惨な戦場と化したのであろう。
と言うか、ここ一応高級旅館なんだよな。
「ハクロー、ワゼたちー!あまり騒ぐと色々と迷惑で」
「セー!!」
【あ、それはダメですってば!?】
ドッガァァァァァン!!
「‥‥へ?」
……仕切りが爆発し、湯気や土煙が立ち込める。
そしてすぐに、風に流されて、あちらの惨状が見えてしまった。
飛んできたらしい隠すためのタオルをもってあぜんとしているミスティア。
ミニワゼたちに指示を出していたのか、手を前に出したままのワゼ。
ミニワゼシスターズは全員「やっちゃった☆」と言うような表情を。
【…‥‥】
「…‥‥」
……そして、壁の方にいたのか、そして今ミスティアが持っているタオルが彼女の物だったのか、予想外の事実で固まったのか、ハクロが呆然と立っていた。
その姿は温泉で濡れてくっ付いた髪に、滴り落ちるしずく。
何も隠す者がなく、すべてをさらけ出した状態。
……数秒後、先に我に返ったのかハクロが一瞬で茹で蟹のように、白い肌が真っ赤になり、糸を素早く放出して、簡素な服を創り出して着こむ。
残った糸は束ねられ、鉄球のような形状になり、そのまま目の前に迫って来て‥‥‥
「ふぅ…‥‥昼間の温泉巡りも良かったけれども…‥‥」
昼間に巡った、都市オルセデスの各温泉を思い出しながら、僕は今、泊っている旅館の温泉に浸かっていた。
散々温泉を巡っておきながら、夜になっても温泉へ浸かってしまうこの快適さ。
そこまでお風呂が好きと言う訳でもなかったはずだが、この都市で過ごしている間に、色々と染まったのかもしれない。
とくにあのひよこまみれ空間……あのフワフワ、また行きたい。
そう考えながらゆっくりしていると、隣の女湯の声が聞こえてきた。
【うわぁ!!ここ凄い広いですよ!!】
「お金をかけていると言ってもおかしくないわね。いえ、高級旅館でしたし、間違ってもないのかしらね?」
モンスターであるハクロの場合、使い魔用のほうへ案内される可能性があったのだが、この声が聞こえる事を考えると、無事に女湯に入れたようだ。
とは言え、女湯との仕切りもあるが‥‥‥この壁一枚隔てているのかと考えると、何となく気恥しいような気もしてきたのであった。
取りあえず、黙っておくか…‥‥
――――――――――――――――――
SIDE女湯
ちゃぷんと温泉に浸かり、それぞれほぅっと息を吐く。
温泉のじんわりとした温かさに、体の芯から温まってくる感覚を彼女達は味わっていた。
「ふぅ‥‥ただのお風呂とは違う感じが、またいいですわね」
【全身浸かり切れないですが、それでもゆったりできますよ】
ミスティアの言葉に対して、ハクロはそう答える。
ハクロはアラクネであり、下半身が蜘蛛だ。
その頭に腰かけているような体の構造ゆえに、まともに入るとあまり浸かる事ができない。
そこで、背から持たれかけるようにしつつ、蜘蛛の部分をひっくり返してようやく腰より少し上の位置まで浸かれるのである。
……半身浴に近い感じと言えばわかりやすいが、蜘蛛の部分は全身浸かっているのでただし言い方なのか微妙に判断つけにくい。
なお、普段のシアン家の風呂ではハクロ用にかなり深く掘った風呂も用意してあったりする。
何にしてもそれぞれ風呂に浸かる中、ふとミスティアはそれぞれの身体を見た。
ミスティア自身、そこまで大きいわけでもないが、それなりにある事はある。
ミニワゼシスターズを見れば、それぞれワゼの簡略化とも言うべき姿なので、ちょっと人形がぷかぷかと浮いているように見える。
一部、ちょっとふざけているのか泳いでいたり、水死体の真似をしているが‥‥ちょっと子供らしいと考えた方が良いのだろう。
ワゼを見ると、彼女は耳の部分で人ではないことが分かっていたが、こうして裸になって浸かると各関節部に継ぎ目が見えたりして、本当にゴーレムなのだと実感できた。
「‥‥‥ワゼさん、お風呂に浸かって、その関節部分から浸水しないのかしら?」
「そのあたりは対策済みですので、大丈夫デス。とは言え、メイド服を脱ぐと‥‥‥こう、落ち着きませんネ」
メイドゴーレムだけどリラックスしているらしいが、それでもメイド服がデフォルトと言うようになっているのか、少しだけ落ち着きがない。
安心はできるが、それでも落ち着かない…‥‥どっちつかずの状態に近いのであろう。
あと、ハクロの方を見てけっとすねたような表情に見えたのは気のせいだと思いたい。
何しろ、ワゼの場合ある事はあるが、流石に圧倒的に負け‥‥‥いや、これ以上ミスティアも考えるのを辞めた。
それでもちょっとつんと触れてみる。
「えい」
ぷにゅぅん
【ひゃっ!?な、何をするんですかミスティアさん!!】
「ちょっとばかり、目に入って気になった物でして・・・・・でも、なんですのこの感触は?」
ハクロの場合、見た目は絶世の美女で、そのスタイルも抜群である。
完成された美とも言えるが、まだ成長もしているようで、上り詰めているわけではなさそうだ。
それでも、今の感触は同性であるミスティアもうらやむレベル。
肌の張りもあり、みずみずしく、それでいて柔らかい・・・・・
思わずミスティアはつんつんと触り続ける。
「なんですのなんですのこの感触は‥‥‥いつまでも触りたくなるような、魔性のものですわ
【ひゃぅ!!ちょ、そろそろやめてほしいんですが!?】
「‥‥‥持てる者ゆえに、まだ余裕ある感じが不服デス」
【今のどこに余裕を感じるのでしょうかワゼさん!?って、何で貴女も参加してくるのですぁぁぁあ!!】
―――――――――――――
SIDEシアン
「‥‥何をやっているんだろうか」
先ほどから急に、ハクロの叫び声が聞こえてきた。
【ひゃぁぁぁぁ!!ちょっと皆さんやめてくださいってばぁぁぁぁ!!】
「駄肉撲滅、消し飛ばすのデス」
「ツ!」
「ファー!!」
「シーッシッッシ!!」
【軽く暴走していませんか!?】
……なんとなく、女湯での騒ぎがどういう状態なのか、察しが付く。
口に出して言えば多分ワゼ辺りからぶっとばされそうな気がするので言わないが、それでもある意味悲惨な戦場と化したのであろう。
と言うか、ここ一応高級旅館なんだよな。
「ハクロー、ワゼたちー!あまり騒ぐと色々と迷惑で」
「セー!!」
【あ、それはダメですってば!?】
ドッガァァァァァン!!
「‥‥へ?」
……仕切りが爆発し、湯気や土煙が立ち込める。
そしてすぐに、風に流されて、あちらの惨状が見えてしまった。
飛んできたらしい隠すためのタオルをもってあぜんとしているミスティア。
ミニワゼたちに指示を出していたのか、手を前に出したままのワゼ。
ミニワゼシスターズは全員「やっちゃった☆」と言うような表情を。
【…‥‥】
「…‥‥」
……そして、壁の方にいたのか、そして今ミスティアが持っているタオルが彼女の物だったのか、予想外の事実で固まったのか、ハクロが呆然と立っていた。
その姿は温泉で濡れてくっ付いた髪に、滴り落ちるしずく。
何も隠す者がなく、すべてをさらけ出した状態。
……数秒後、先に我に返ったのかハクロが一瞬で茹で蟹のように、白い肌が真っ赤になり、糸を素早く放出して、簡素な服を創り出して着こむ。
残った糸は束ねられ、鉄球のような形状になり、そのまま目の前に迫って来て‥‥‥
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