190 / 459
寒さ到来面倒事も到来するな
#177 後悔しても遅しなのデス
しおりを挟む
SIDEとある国境近くの秘密研究所
……その研究所は、国境付近にあった。
「‥‥‥結果としては、まずまずの出来か」
国境付近に設置されてはいるが、そう簡単に外部のものが気が付きにくいように隠蔽された研究所。
そこに努める研究員はそうつぶやき、今回の実験の結果についてそうつぶやいた。
「やはり、まだ早すぎたのだろうか?完成度が低いせいで、予定されていた殺傷能力が低すぎる」
「だが、広範囲の感染を確認できたし、増殖速度などは合格点であろう」
実験結果について、他の研究者たちも交え、今後の改善点をどうすべきか話し合い始める。
……彼らが行っていたのは、とある極小モンスターを利用した、散布実験。
依頼された内容としては、これを利用してある程度の人を減らしつつ、自分たちよりも下の者たちを圧倒的な格差で従えさせる予定があるらしいと聞いていたが…‥‥結果としては、感染力は合格点なものの、肝心の殺傷能力については低いものが出来てしまった。
そのうえ、増殖時に周囲の熱を奪うせいで急激な冷え込みが発生し、研究所内も薄ら寒くなっていたりしたのである。
「まぁ、ワクチンは作れているし、我々がかかる危険性はないか」
「ああ、どうせ誰が亡くなろうが関係はない。依頼主の出資してきた金で、指定された研究を行わされるとはいえ、面白いものでもあるしな」
あはははっと笑いつつ、被害の大きさについて彼らは気にも留めていない。
研究費も一部こっそり流用し、各々が好きな研究をできるのであればそれでいい。
どのような被害が出ようとも、自分たちに害をなさないようにしつつ、金づるをそれなりに納得させて、さらなる資金提供を受けられるようにできれば満足なのだ。
「にしても、モンスターとかにも広がっているな…‥‥人間のみを標的としたはずだが、どこで間違えた?」
「いや、これはこれで有りだとは思うぞ。除草剤ならぬ除モンスター剤として利用価値はあるだろう」
「だが、モンスターから採れる素材も研究に必要ゆえに、これは少々扱いがな‥‥‥」
研究結果の各データを見ながら各自は好き勝手に議論しつつ、今回の問題で発覚した問題点を改良しようと動き出す。
のんびりと、だらだら引き延ばして金づるから研究資金をせびるのもあるが、やり過ぎると離れられてしまうだろうし、ある程度の加減が必要な事を理解しているのだ。
「さてと、改良作業へうつ‥‥ん?」
ひとまずは議論を終え、各自の作業へ戻り、今回のデータを活かそうとしていた…‥‥その時であった。
とある職員は、ふとあることに気が付いた。
窓の外から見える景色は、いつもであれば隠蔽された研究所に誰もが気が付かぬまま素通りしていく景色があるはずだった。
だがしかし、本日は何か様子が違う。
人っ子一人見当たらず、それならまだしも、何やら雲行きが怪しいのだ。
「‥‥‥気のせいか?何か嫌な予感がするのだが」
「ん?‥‥‥ふむ、そう言えば、何か寒気が…‥‥」
その職員の言葉に対して、他の職員たちも何やら空気の異常に気が付き、自然と身が震えはじめる。
研究していた物が出てしまったのかと思ったが、見る限りそうではない。
何かこう、本当に言いようの無い恐怖というものが、襲ってきたような気配が周囲に満ち始める。
「何だろうか、すごい足腰ががくがくと震えはじめてきたのだが」
「悪寒が不味いな…‥‥この嫌な気配、どう考えてもろくでもない予感しかしないぞ」
「いや、科学的に考えても予感という物は‥‥‥‥」
研究に身を捧げ、生きてきた職員たち。
その言いようの無い恐怖を感じ取ってもなお、図太い神経はその恐怖が何なの気になり、議論し始める。
だが、その議論は‥‥‥‥すぐに終わってしまった。
いや、終わらされたのである。
‥‥‥ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
放物線を描き、何かが空から飛来してくる音が近づいてくる。
何事かと思い、職員たちは窓の外に目を向けようとして、そこで動きを止めた。
カッ!!
「「「ぎゃあああああああああああああああああああああ!?」」」
突然、強烈な閃光が発生し、職員たちの目をくらまされる。
目への強烈な刺激に手で押さえて悶え苦しみ、ある者は倒れて転がり、またある者では机の角などに強打してその痛みに涙を流す。
何が起きたのか、すぐには理解できない彼ら。
だが、これだけは言える。
研究馬鹿たちに対する、周囲を考えずに取り組み過ぎた、その罰が下ったのだと‥‥‥‥。
そしてすぐ後に、急激に研究所内が凍え始める。
吐く息が白くなり、手がかじかみ、呼吸するたびに冷気で体が冷たくなっていく。
暖房を入れようにも動かず、次第にあたりが凍り付き始める。
「ひ、ひぃ!?」
「何だこの冷却現象は!?」
「魔法によるものか!?しかし、これは限定的過ぎるし、この速度は異常だ!!」
目が回復したが、この現状が入ってくるにつれ混乱が広まっていく。
逃げようにも扉が凍り付いて開かず、次第に足が動かなくなっていく。
「ぎゃあああああああああ!!誰か助けてくれぇぇぇ!!」
「何が、何が起きたんだぁぁぁぁあ!!」
「我々はただ、研究をしていただけだというのにぃぃぃぃ!!」
「‥‥‥その研究が、どうなるのか考えていたことはあるのか?」
‥‥‥一人が叫んだ言葉へ向けて、何者かがそう尋ねる言葉が響き渡る。
「どうなるかだと!?」
「それは‥‥‥‥」
その問いかけに対して、答えようとしたところで彼らは答えに詰まった。
自分たちは受けた研究をこなしつつ、それをどう使うかは任せ、後はやりたいことだけをやっていく。
その自分たちの研究がどうなるかなんてことは‥‥‥‥特に考えてもなかったのだ。
「まぁ、その答えは聞かずとも良い。今はただ、今回の件についての制裁を下しに来ただけだ」
ふと気が付けば、彼らの前に何者かが出現していた。
黒いコートで覆いつつ、白い仮面をつけた謎の人物。
その手からは凍り付くような冷気が出されており、魔法によるものだと理解できてもその濃密さに研究者たちは驚愕する。
そして、ろくな返答もできないまま‥‥‥‥彼らはそれぞれ、華麗なる氷像へと変貌を遂げたのであった。
「‥‥‥さてと、ここはこれで良いとして、書類などから‥‥‥」
ぼそぼそと、何かが聞こえたような気もするが‥‥‥‥誰一人として、その後の事を知らない。
……数カ月後、どういうわけか自然と解凍され、彼らは命を失っていないことを喜んだ。
だがしかし、それと同時に顧客たちとの連絡が途絶え、新しい研究に移ろうにもできない事態となり、結局は解散し、ぼそぼそとした極貧生活を送る羽目になったのであった。
生涯悔いる事になるが、偶然とはいえ、手を出してはいけないような相手へ出してしまったがゆえに起きた悲劇でもあった‥‥‥。
……その研究所は、国境付近にあった。
「‥‥‥結果としては、まずまずの出来か」
国境付近に設置されてはいるが、そう簡単に外部のものが気が付きにくいように隠蔽された研究所。
そこに努める研究員はそうつぶやき、今回の実験の結果についてそうつぶやいた。
「やはり、まだ早すぎたのだろうか?完成度が低いせいで、予定されていた殺傷能力が低すぎる」
「だが、広範囲の感染を確認できたし、増殖速度などは合格点であろう」
実験結果について、他の研究者たちも交え、今後の改善点をどうすべきか話し合い始める。
……彼らが行っていたのは、とある極小モンスターを利用した、散布実験。
依頼された内容としては、これを利用してある程度の人を減らしつつ、自分たちよりも下の者たちを圧倒的な格差で従えさせる予定があるらしいと聞いていたが…‥‥結果としては、感染力は合格点なものの、肝心の殺傷能力については低いものが出来てしまった。
そのうえ、増殖時に周囲の熱を奪うせいで急激な冷え込みが発生し、研究所内も薄ら寒くなっていたりしたのである。
「まぁ、ワクチンは作れているし、我々がかかる危険性はないか」
「ああ、どうせ誰が亡くなろうが関係はない。依頼主の出資してきた金で、指定された研究を行わされるとはいえ、面白いものでもあるしな」
あはははっと笑いつつ、被害の大きさについて彼らは気にも留めていない。
研究費も一部こっそり流用し、各々が好きな研究をできるのであればそれでいい。
どのような被害が出ようとも、自分たちに害をなさないようにしつつ、金づるをそれなりに納得させて、さらなる資金提供を受けられるようにできれば満足なのだ。
「にしても、モンスターとかにも広がっているな…‥‥人間のみを標的としたはずだが、どこで間違えた?」
「いや、これはこれで有りだとは思うぞ。除草剤ならぬ除モンスター剤として利用価値はあるだろう」
「だが、モンスターから採れる素材も研究に必要ゆえに、これは少々扱いがな‥‥‥」
研究結果の各データを見ながら各自は好き勝手に議論しつつ、今回の問題で発覚した問題点を改良しようと動き出す。
のんびりと、だらだら引き延ばして金づるから研究資金をせびるのもあるが、やり過ぎると離れられてしまうだろうし、ある程度の加減が必要な事を理解しているのだ。
「さてと、改良作業へうつ‥‥ん?」
ひとまずは議論を終え、各自の作業へ戻り、今回のデータを活かそうとしていた…‥‥その時であった。
とある職員は、ふとあることに気が付いた。
窓の外から見える景色は、いつもであれば隠蔽された研究所に誰もが気が付かぬまま素通りしていく景色があるはずだった。
だがしかし、本日は何か様子が違う。
人っ子一人見当たらず、それならまだしも、何やら雲行きが怪しいのだ。
「‥‥‥気のせいか?何か嫌な予感がするのだが」
「ん?‥‥‥ふむ、そう言えば、何か寒気が…‥‥」
その職員の言葉に対して、他の職員たちも何やら空気の異常に気が付き、自然と身が震えはじめる。
研究していた物が出てしまったのかと思ったが、見る限りそうではない。
何かこう、本当に言いようの無い恐怖というものが、襲ってきたような気配が周囲に満ち始める。
「何だろうか、すごい足腰ががくがくと震えはじめてきたのだが」
「悪寒が不味いな…‥‥この嫌な気配、どう考えてもろくでもない予感しかしないぞ」
「いや、科学的に考えても予感という物は‥‥‥‥」
研究に身を捧げ、生きてきた職員たち。
その言いようの無い恐怖を感じ取ってもなお、図太い神経はその恐怖が何なの気になり、議論し始める。
だが、その議論は‥‥‥‥すぐに終わってしまった。
いや、終わらされたのである。
‥‥‥ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
放物線を描き、何かが空から飛来してくる音が近づいてくる。
何事かと思い、職員たちは窓の外に目を向けようとして、そこで動きを止めた。
カッ!!
「「「ぎゃあああああああああああああああああああああ!?」」」
突然、強烈な閃光が発生し、職員たちの目をくらまされる。
目への強烈な刺激に手で押さえて悶え苦しみ、ある者は倒れて転がり、またある者では机の角などに強打してその痛みに涙を流す。
何が起きたのか、すぐには理解できない彼ら。
だが、これだけは言える。
研究馬鹿たちに対する、周囲を考えずに取り組み過ぎた、その罰が下ったのだと‥‥‥‥。
そしてすぐ後に、急激に研究所内が凍え始める。
吐く息が白くなり、手がかじかみ、呼吸するたびに冷気で体が冷たくなっていく。
暖房を入れようにも動かず、次第にあたりが凍り付き始める。
「ひ、ひぃ!?」
「何だこの冷却現象は!?」
「魔法によるものか!?しかし、これは限定的過ぎるし、この速度は異常だ!!」
目が回復したが、この現状が入ってくるにつれ混乱が広まっていく。
逃げようにも扉が凍り付いて開かず、次第に足が動かなくなっていく。
「ぎゃあああああああああ!!誰か助けてくれぇぇぇ!!」
「何が、何が起きたんだぁぁぁぁあ!!」
「我々はただ、研究をしていただけだというのにぃぃぃぃ!!」
「‥‥‥その研究が、どうなるのか考えていたことはあるのか?」
‥‥‥一人が叫んだ言葉へ向けて、何者かがそう尋ねる言葉が響き渡る。
「どうなるかだと!?」
「それは‥‥‥‥」
その問いかけに対して、答えようとしたところで彼らは答えに詰まった。
自分たちは受けた研究をこなしつつ、それをどう使うかは任せ、後はやりたいことだけをやっていく。
その自分たちの研究がどうなるかなんてことは‥‥‥‥特に考えてもなかったのだ。
「まぁ、その答えは聞かずとも良い。今はただ、今回の件についての制裁を下しに来ただけだ」
ふと気が付けば、彼らの前に何者かが出現していた。
黒いコートで覆いつつ、白い仮面をつけた謎の人物。
その手からは凍り付くような冷気が出されており、魔法によるものだと理解できてもその濃密さに研究者たちは驚愕する。
そして、ろくな返答もできないまま‥‥‥‥彼らはそれぞれ、華麗なる氷像へと変貌を遂げたのであった。
「‥‥‥さてと、ここはこれで良いとして、書類などから‥‥‥」
ぼそぼそと、何かが聞こえたような気もするが‥‥‥‥誰一人として、その後の事を知らない。
……数カ月後、どういうわけか自然と解凍され、彼らは命を失っていないことを喜んだ。
だがしかし、それと同時に顧客たちとの連絡が途絶え、新しい研究に移ろうにもできない事態となり、結局は解散し、ぼそぼそとした極貧生活を送る羽目になったのであった。
生涯悔いる事になるが、偶然とはいえ、手を出してはいけないような相手へ出してしまったがゆえに起きた悲劇でもあった‥‥‥。
31
あなたにおすすめの小説
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
エルティモエルフォ ―最後のエルフ―
ポリ 外丸
ファンタジー
普通の高校生、松田啓18歳が、夏休みに海で溺れていた少年を救って命を落としてしまう。
海の底に沈んで死んだはずの啓が、次に意識を取り戻した時には小さな少年に転生していた。
その少年の記憶を呼び起こすと、どうやらここは異世界のようだ。
もう一度もらった命。
啓は生き抜くことを第一に考え、今いる地で1人生活を始めた。
前世の知識を持った生き残りエルフの気まぐれ人生物語り。
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバ、ツギクルにも載せています
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?
八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ
『壽命 懸(じゅみょう かける)』
しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。
だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。
異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる