拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
256 / 459
春間近、でも頭春は来ないで欲しい

#240 こういうのならば歓迎なのデス

しおりを挟む
‥‥‥生物の繁殖方法には色々ある。

 この世界のものだと、分裂したりタマゴだったり腹の中で育ったり等々があり、その上モンスターなども含めるとさらに変わった方法が多くなる。

 そんな中には、それぞれのいいとこどりをした繁殖方法を持つものなどもあって‥‥‥

―――――――――――――――――――――
SIDEシアン

「…‥‥そういうこと?」
「ええ、そういう事デス」

 ハクロの検査が終わり、未だに気絶状態のハクロをベッドに寝かしつつ、僕らはワゼからその説明を受けた。

「アラクネという種族の場合は、卵胎生という‥‥‥卵生と胎生の両方を取りマス」

 ハクロは亜種のようなものだが、元々を考えるとアラクネ。

 アラクネは一か所にずっととどまり続ける事が余り無く、また人間部分とそうではない蜘蛛の部分があるゆえに、普通の胎生のままだとお腹の中を傷つけやすい。

 そこで、その種族がとった繁殖方法が…‥‥卵胎生。

 お腹の中で卵を作ってその中に子をいれ、ある程度の栄養を母体から与えつつ、適当なところで卵を産みだし、後はそのまま外で温めるらしい。

 殻で包むことによってお腹の中を守り、ある程度の栄養を渡せたところでタマゴのまま生み出し、移動しやすくするようだ。

 そして、そのような話が出てくるという事は‥‥‥‥

「ご主人様、おめでとうございマス。ハクロさんの‥‥‥いえ、この場合はもう奥様というべきでしょうカ。奥様のお腹の中に、新たな生命反応を確認いたしまシタ」
「…‥‥やったぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 その言葉を聞き、僕は思わずそう喜びの声を上げた。

 やや時間もかかり、養女も得ているけどようやく子を授かった。

 なんというか、この世界へ来て本当に心の底からの嬉しい気持ちが沸き上がる。

「本当なにょ!?妹か弟どっちなにょ!?」
「現時点では不明デス。ですが、これでロールも姉という座に就くことになりマス」
「やったにょぉぉぉぉぉぉ!!」

 ロールもワゼからの回答を得て、同じく喜びに震える。

「あのー、一つ良いかしら?」

 っと、ここでミスティアが手を上げてワゼに向いた。

「ハクロさんってアラクネでしたわよね?アラクネの場合、その子供もアラクネという事にならないのかしら?それでしたらロールは妹を得るという回答で良いはずですわよね?」
「ええ、普通ならそうデス」

 ミスティアの問いかけに対し、ワゼはそう答える。

 言われてみれば、ハクロってアラクネだし、その子供もアラクネになるとは思ったが…‥‥「普通なら」というのはどういう事なのだろうか?

「何かダメな事でもあるのか?」
「いえ、母子ともに現在大丈夫なのは確認していマス。ここ最近の食欲増加も、栄養を子供へと渡すために本能的に動いていただけに違いありまセン。ですが、その生まれる種族という部分で、不明な部分があるのデス」

 ワゼいわく、普通の場合アラクネからはアラクネが産まれるというよりも‥‥‥その一段階前の「アルケニー」と呼ばれるような子蜘蛛の下半身を持つ子供が生まれるらしい。

 まぁ、直ぐに成長してアラクネになると言うが、今回の焦点はそこではない。

 
「奥様の場合、種族はアラクネで間違いないはずですが…‥‥区別的に言うのであれば亜種。通常の者とは異なりマス。また、ご主人様は人間というくくりに入りそうですが、全体的に見れば枠組み外れマス。まぁ、魔王という部分で考えれば魔王種族と言うので分けられマス」
「軽く人外宣言されたんだけど」
「まぁ、間違ってないですわね」
「おとうしゃん、そこは潔くあきらめるにょ」

 なんか憐れまれる視線をミスティアとロールに向けられた。

…‥‥まぁ、それはちょっと物悲しくなるから置いておいて、今はそこではない。

 種族的にはハクロは亜種であるという事と、僕自身が魔王という部分が、そのわからない部分に影響を与えるようだ。

「亜種から通常の種族が産まれる可能性はありますが、大抵の場合は子をなさない場合がありマス。亜種はモンスターの中でもそれなりに珍しいがゆえに、群れから追放されて天敵に襲われたり、物珍しい収集家などに狙われ、子をなす前に命を落とすことが多いのデス」

 それでもなお、生き延びて群れをつくったりして子をなす例もある。

「そういう場合、生まれるのは亜種同様亜種という事もありますが…‥‥場合によっては、どちらかの種族に偏る事もありマス。また、混ざってハーフになる事もあるのデス」

 わかりやすい例を言うと、花を上げるらしい。

 赤い花畑の中に、亜種で白い花があったとしよう。

 赤い花同士であれば赤い花ができるが、赤い花と白い花ではそのどちらかが産まれる事もあるし、赤と白の半々という事で縞模様か混ざってピンクの花が産まれるらしい。

…‥‥面倒な事で言えばメンデルの法則などがあるので、そう簡単に言えるわけではないのだが‥‥‥ややこしいことになるのでそこは省く。

「で、今度は魔王の方になるのですが…‥こちらの場合、過去のデータを見る限り子を得た記録はありマス」

 魔王の場合は、その伴侶を得て子も得るのだが、その子供が次代の魔王という事は無い。

 魔王という存在は記録はあれどもややこしい者も多くあり、ちょっとそのあたりのデータに関しては不足しているようだ。

「一応、子どもの種族自体はその魔王に沿った者か、伴侶の方という者もあるようですが…‥‥面倒なことに、まったく別の種族だったなどもありマス」
「要は生まれてみないと分からないのか」
「ハイ」

 申し訳なさそうにワゼは答えたが、別にどうでもいいか。

「生まれてくる子がどの様な種族になるかは不明だけど、自分の子供であればそれでいいかな。よっぽどの馬鹿とかにならないように、大切に育てよう」
「そうだにょ。弟か妹か分からなくてもロールは立派なお姉ちゃんとして頑張るにょ!」
「そうですわよね。わたくしの場合は嫁いできた身ですし、どの様な子であったとしても共に大事に育てますわ。…‥‥あ、でもその場合、わたくしの時もややこしいことになるような‥‥‥」

 ちょっとばかりミスティアが不安げな声を出したが、家族全員大丈夫そうだ。

「あとはハクロにきちんと言いたいけど‥‥‥‥気絶から目が覚めるまで、後どのぐらい?」
「サァ?今までのケースから言えば、あと2,30分ぐらいですかネ?」

 こういういいニュースの時に限って、気絶中だけど‥‥‥起きたら彼女も喜びそうだな。

「ところでご主人様、一つ相談して良いでしょうカ?」
「ん?」

 今からワクワクする誕生の事を考えていると、ふとワゼが問いかけてきた。

「実は、ミスティア様の分の部屋の確保なども考え、将来的にどうなるかを計算した結果、再びこの家の立て直しを決定したいのですが、大丈夫でしょうカ?」
「‥‥‥ハクロの身とかを考えると、そう長く外には出れないと思うけど」
「大丈夫デス。シスターズも総動員でやれば、1時間ほどで完了いたしマス」
「なら、ハクロが起きて、伝えて、その後にその話をしようか」
「了解デス」

‥‥‥家の立て直しかぁ。前にもあったけど今度は時間が短いな。シスターズのバージョンアップが関係あるのだろうけれども…‥‥ちょっと不安になるのは気のせいだろうか。

 何にしても、春間近な中での嬉しいニュース。

 正確な予定日などの計算にはまだ時間がかかるそうだが、それでもここ最近の騒動に比べれば非常に喜ばしい事なのであった。

 

しおりを挟む
感想 1,076

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

エルティモエルフォ ―最後のエルフ―

ポリ 外丸
ファンタジー
 普通の高校生、松田啓18歳が、夏休みに海で溺れていた少年を救って命を落としてしまう。  海の底に沈んで死んだはずの啓が、次に意識を取り戻した時には小さな少年に転生していた。  その少年の記憶を呼び起こすと、どうやらここは異世界のようだ。  もう一度もらった命。  啓は生き抜くことを第一に考え、今いる地で1人生活を始めた。  前世の知識を持った生き残りエルフの気まぐれ人生物語り。 ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバ、ツギクルにも載せています

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

処理中です...