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春間近、でも頭春は来ないで欲しい
#239 鬼ごっこデス
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SIDEハクロ
【ワゼさんによる検査なんて、絶対色々とやばいですよぉぉぉ!!】
ハクロは今、全速力で森の中を駆け抜けていた。
ここ最近の食欲増加に関して、シアンが気にし始め、ワゼにそう相談し、その話を聞いてしまったからである。
普段、色々な失言などでワゼにお仕置きされる分、検査に関しても同様の可能性が考えられ、なりふり構わず逃げ出したのだ。
幸いというべきか彼女はアラクネであり、森の中での逃走は慣れたもの。
糸を飛ばして飛び移り、へばりつき、立体機動能力を活かして素早く逃げていく。
流石にこの動きであれば、いくらワゼでも追いつけは‥‥‥
「と思うのは甘いデス」
【ひやあああああああああ!?】
シュンっと何かがかすめ、危く空中で体をそらしてハクロはかわす。
見ればそれは飛んで来たワゼの手であり、その後方からは彼女が追ってきていた。
「フフフフ、流石というか、普段見せないような身体能力は高いようデス。しかしながら、私だってある程度の機動能力は確保していマス」
【なんでメイドなのにそんな動きを!?】
おそらく他の面々も同様に思っている言葉でハクロはツッコミを入れる。
ワゼの方を見ると、木々の枝や幹を蹴って追ってきており、ハクロ並みの立体軌道で追跡している。
しかも恐るべきことに、メイド服などが一切乱れることなく、平然と息を切らした様子もなく追いかけてくるその様子は森の悪魔と言っても差し支えないだろう。
‥‥‥いや、メイドゴーレムだから息がどうこうというのはおかしいかもしれないが。
何にしても、得意の場所での得意な逃走のはずなのに、見事に平然と追いかけてくるワゼが怖い。
そう思いつつ、彼女は振り返った先の絶望を見ないように前を向き、逃走経路を素早く割り出す。
【えっとえっと、こっち行ってそっち行ってとりあえず逃げるしかないですよ!!】
糸を飛ばし、手繰り寄せて飛び、また別の場所に飛び移る。
時たま糸でトラップを作って足止めを企むも、色々と切れたりする音が聞こえ、全部意味を成していないようだ。
【ひぃぃぃぃ!!】
捕まったら終わりそうな気がして、自然と恐怖の涙を漏らすハクロ。
根性で逃げ惑い、次の枝に飛び移ろうとした…‥‥その時であった。
【えっと、次】
「チェックメイトデス」
【!?】
音からしても後方から追いかけてきているはずのワゼの声が、頭上から聞こえた。
まさかと思い、上を向けば…‥‥そこにはワゼの生首と手が浮かんでいた。
【きゃぁあああああああああああああああああああああああああああああ!?】
どうやら頭と手を体よりも先に飛ばしてきたようだが、その見た目のインパクトにハクロは一瞬唖然として、動きが止まる。
そしてそれは大きな隙であり‥‥‥‥がっしりと飛んできた手にハクロの体が掴まれた。
「とりあえず、眠ってくだサイ。というか、暴れないようにこれデス」
【あ、ちょっと、それは流石にダメなものだと、ひやあああああ、ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!二重の味がぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!】
――――――――――――――――――――
SIDEシアン
‥‥‥ハクロ逃亡から1時間後。ワゼが戻って来た。
シスターズもいつの間にか動員されており、彼女を運んでいるのだが…‥‥
「なんかいつも以上にハクロが白いような、気絶しているような‥‥‥悲鳴聞こえたけど、何やった?」
「少々大人しくさせるために色々やっただけデス。ええ、味見程度デス」
味見とは、何を食べさせたのか。
そう聞こうかと思ったが、何となく悟ったのでやめておいた。
一応、ワゼいわくまだ試作段階であり、殺傷能力とかも極限まで低いそうだが…‥‥いやちょっとまって、殺傷能力が低いとかって何?
何にしても、気絶しているのを良いことに、今のうちに検査するようだ。
本当は意識があるうちにしたほうがいいのもあるけど、気絶しておかないとちょっとできないこともあるらしい。
「まぁ、ひとまず検査してみて、悪い所とか無いか確認すればいいな」
「ええ、悪い所はおそらくないでしょうが、一応全検査をやっておきマス。食欲増加の理由も判明するでしょうが…‥‥場合によっては、おそらくご主人様達が喜ぶものもありますので、お待ちしてくだサイ」
そう言って、ワゼはハクロを連れて、家の奥の方に即席で作ったらしい検査室とやらへ運んでいった。
運ばれている時もまだ気絶していたハクロだが…‥‥あの様子だと、怖い目に合ったようでもある。
なんか悪い事をしたかなと思いつつ、お詫びの品とかも考えるのであった。
「というか、森の方から絶叫が聞こえましたが‥‥‥‥ワゼさんは一体何をしたのかしら?」
「あの人、色々と無茶苦茶やるのが怖い所でもあるにょ」
こたつに入りながらミスティアとロールがそうつぶやくが…‥‥まぁ、同意しておこう。
【ワゼさんによる検査なんて、絶対色々とやばいですよぉぉぉ!!】
ハクロは今、全速力で森の中を駆け抜けていた。
ここ最近の食欲増加に関して、シアンが気にし始め、ワゼにそう相談し、その話を聞いてしまったからである。
普段、色々な失言などでワゼにお仕置きされる分、検査に関しても同様の可能性が考えられ、なりふり構わず逃げ出したのだ。
幸いというべきか彼女はアラクネであり、森の中での逃走は慣れたもの。
糸を飛ばして飛び移り、へばりつき、立体機動能力を活かして素早く逃げていく。
流石にこの動きであれば、いくらワゼでも追いつけは‥‥‥
「と思うのは甘いデス」
【ひやあああああああああ!?】
シュンっと何かがかすめ、危く空中で体をそらしてハクロはかわす。
見ればそれは飛んで来たワゼの手であり、その後方からは彼女が追ってきていた。
「フフフフ、流石というか、普段見せないような身体能力は高いようデス。しかしながら、私だってある程度の機動能力は確保していマス」
【なんでメイドなのにそんな動きを!?】
おそらく他の面々も同様に思っている言葉でハクロはツッコミを入れる。
ワゼの方を見ると、木々の枝や幹を蹴って追ってきており、ハクロ並みの立体軌道で追跡している。
しかも恐るべきことに、メイド服などが一切乱れることなく、平然と息を切らした様子もなく追いかけてくるその様子は森の悪魔と言っても差し支えないだろう。
‥‥‥いや、メイドゴーレムだから息がどうこうというのはおかしいかもしれないが。
何にしても、得意の場所での得意な逃走のはずなのに、見事に平然と追いかけてくるワゼが怖い。
そう思いつつ、彼女は振り返った先の絶望を見ないように前を向き、逃走経路を素早く割り出す。
【えっとえっと、こっち行ってそっち行ってとりあえず逃げるしかないですよ!!】
糸を飛ばし、手繰り寄せて飛び、また別の場所に飛び移る。
時たま糸でトラップを作って足止めを企むも、色々と切れたりする音が聞こえ、全部意味を成していないようだ。
【ひぃぃぃぃ!!】
捕まったら終わりそうな気がして、自然と恐怖の涙を漏らすハクロ。
根性で逃げ惑い、次の枝に飛び移ろうとした…‥‥その時であった。
【えっと、次】
「チェックメイトデス」
【!?】
音からしても後方から追いかけてきているはずのワゼの声が、頭上から聞こえた。
まさかと思い、上を向けば…‥‥そこにはワゼの生首と手が浮かんでいた。
【きゃぁあああああああああああああああああああああああああああああ!?】
どうやら頭と手を体よりも先に飛ばしてきたようだが、その見た目のインパクトにハクロは一瞬唖然として、動きが止まる。
そしてそれは大きな隙であり‥‥‥‥がっしりと飛んできた手にハクロの体が掴まれた。
「とりあえず、眠ってくだサイ。というか、暴れないようにこれデス」
【あ、ちょっと、それは流石にダメなものだと、ひやあああああ、ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!二重の味がぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!】
――――――――――――――――――――
SIDEシアン
‥‥‥ハクロ逃亡から1時間後。ワゼが戻って来た。
シスターズもいつの間にか動員されており、彼女を運んでいるのだが…‥‥
「なんかいつも以上にハクロが白いような、気絶しているような‥‥‥悲鳴聞こえたけど、何やった?」
「少々大人しくさせるために色々やっただけデス。ええ、味見程度デス」
味見とは、何を食べさせたのか。
そう聞こうかと思ったが、何となく悟ったのでやめておいた。
一応、ワゼいわくまだ試作段階であり、殺傷能力とかも極限まで低いそうだが…‥‥いやちょっとまって、殺傷能力が低いとかって何?
何にしても、気絶しているのを良いことに、今のうちに検査するようだ。
本当は意識があるうちにしたほうがいいのもあるけど、気絶しておかないとちょっとできないこともあるらしい。
「まぁ、ひとまず検査してみて、悪い所とか無いか確認すればいいな」
「ええ、悪い所はおそらくないでしょうが、一応全検査をやっておきマス。食欲増加の理由も判明するでしょうが…‥‥場合によっては、おそらくご主人様達が喜ぶものもありますので、お待ちしてくだサイ」
そう言って、ワゼはハクロを連れて、家の奥の方に即席で作ったらしい検査室とやらへ運んでいった。
運ばれている時もまだ気絶していたハクロだが…‥‥あの様子だと、怖い目に合ったようでもある。
なんか悪い事をしたかなと思いつつ、お詫びの品とかも考えるのであった。
「というか、森の方から絶叫が聞こえましたが‥‥‥‥ワゼさんは一体何をしたのかしら?」
「あの人、色々と無茶苦茶やるのが怖い所でもあるにょ」
こたつに入りながらミスティアとロールがそうつぶやくが…‥‥まぁ、同意しておこう。
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