拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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春間近、でも頭春は来ないで欲しい

#254 敵は身内にあるのデス

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SIDEシアン

‥‥‥孵化から一週間ほど経過したころ、気温も温かくなり、春に突入してきた。


【ふみゅ~♪】
「み~♪」
【ふふふ、心地良いですね】
「ああ、そうだね。こういう日って…‥‥」
「木蔭での昼寝が、気持ちいいですものね」
「ぽかぽかしてちょうどいいにょ」

 本日は温かいお昼寝日和なので、僕らは木蔭でそろって寝ころんでいた。

 汚れ防止のために敷物を普通敷くのだが、ココはワゼが作った城の中庭という事だけあり、その必要性もないほどフワフワな芝生で敷きつめられ、天然の絨毯、いや、布団のような心地である。


 孵化数日ほどは元気いっぱいであった娘たちも、まだまだ赤子というべきか、この心地よさには抗えず、寝転がる事に至福を見出しているようである。


【そのあたりは、シアンからの遺伝じゃないでしょうかね?】
「多分、そうかもね」
【ふみゅ?】
「み?」

 ハクロの言葉に肯定すると、ヒルドとオルトリンデはそろって首をかしげる。

 そのしぐさが可愛くて、その場の雰囲気が微笑ましいものになっている。


「ツ~」
「フ~」
「セ~」

 シスターズも各々ちょうどいいサイズなのかβモードになって寝ころび、ワゼも今日は穏やかに寝ころんで…‥‥


ガッシャァァァン!!
「アアーーーーー!!」

「‥‥‥また、やらかされましたカ」
「なんか苦労しているなぁ…‥‥」

 ゼロツーが何かやらかしたであろう音に、額に手を当てて渋い顔をするワゼ。

 考えてみれば、彼女もある意味子育てのようなことをしているよな‥‥‥いや、ワゼにとっての姉が相手だから姉育てか?

「ゼロツー‥‥‥あのドジ機能だけ、どうにもならないのかな?一応料理とか、家事とかはできているようだけど‥‥‥」
「被害軽減が限度デス。流石にあれは、私でもどうにもなりまセン」

 問いかけると、もはや呆れたようにそうワゼは返答してくれた。

 ワゼにもどうにもならなないとは…‥‥ある意味ゼロツーは恐ろしいな。

「まぁ、データ上私の入力されているものよりも、試作型というだけあってかなり豊富なものがあり、現在のお子様方の子育てにも役立つ内容があったので、一概にも不便な相手ではないのですが…‥‥はぁ‥‥‥」

 試作型のゼロツーは、どうやらワゼ以上に様々なものが内包されていたようで、現在も解読中なのだとか。

 まぁ、そのせいで処理が重くなり、データはあれどもスペック的にワゼに負けるのだとか…‥‥一概に詰め込めばいいだけでもないものだとよくわかる例だろう。

【すぅ‥‥‥】
「スヤァ‥‥‥」

 っと、そうこうしているうちに、この心地よさに負けて娘たちが寝息を立てはじめる。

 元気いっぱいさも良いが、やっぱりこうやって落ち着いてくれるのも良い。

「‥‥‥ワゼ、ふと疑問に思ったんだけど、娘たちってどのぐらいの成長速度かな?」


 寝顔に微笑ましく思う中、ふと僕はその事を考えた。

 我が娘たち、人間ではないゆえにその成長速度とかも異なるはず。

 そう考えると、どのぐらいなのか気になったのだ。


 ワゼはその問いかけに少し考えこむようなそぶりを見せ、返答した。

「データ不明。正確な予測不可能デス。一応、まだ当分はこのままだとは思われますが‥‥‥成長速度はやや緩やかな方であると考えられマス」
「そうか」

 答えにならないような気もするが、ワゼいわく流石に成長予測までは難しいらしい。

 というのもこの世界、人間だけじゃなくて普通の獣とかモンスターとかもおり、その成長過程も様々なのだとか。


「人間であれば大人まで十数年ですが、モンスターなどでは数年もかかれば数百年、場合によっては数秒など多種多様デス」
「数年は分かるけど、数秒って何?」

 そう言う成長するモンスターって‥‥‥いや、それ成長というの?もうすでに大人として生まれているのではなかろうか?

「そうは言われても、私でも流石にすべて把握できるわけではありまセン。所詮、私はメイドゴーレム。家事と戦闘を専門にしますからネ」
【普通のメイドは戦闘を専門にしないような…‥‥】
「むしろ、メイドの定義を間違えているとツッコむべきですの?」

 聞いていたらしいハクロたちがぼそぼそというが、同意である。

 このメイドのメイドの定義、本当にどこにあるのだろうか…‥‥これはこれで非常に大きな謎だな。

「まぁ、そういう訳でご主人様からの問いかけにも完璧に答えられまセン。申し訳ございまセン」
「いや、それならそれで良いよ。別に謝る必要もないからね」

 流石にこの超人メイドでもできないことがあるのは良い。

 できれば娘たちの成長速度を予想したかったが‥‥‥やっぱり、今の成長を見続けていく方がいいのだろう。


【ふみゅ‥‥‥すぴぃ】
「みー‥‥‥くぴぃ」
「あううううう!?ちょっ、お姉ちゃんの体さけるにょーーーー!」
「あ、ロールいつの間に。というかやばいな」

 気が付けば、ヒルドとオルトリンデの間に、姉としてくっ付いて寝かしつけようと思ったらしいロールが潜り込んで、寝ぼけた二人に左右から引っぱられていた。

 穏やかな日差しの中、なんとかロールの救出に僕らは動くのであった…‥‥

「ほら、二人ともその手足…‥‥いや、ヒルドは糸、オルトリンデは口から離しなさい!」
【ダメですね、超熟睡してますよこれ】
「あだだだだだ!?結構いたいにょぉぉぉぉぉ!!」


――――――――――――――――――――――
SIDEボラーン王国:王城内

「ふむ、本日は何処か心地よい天候だな」

 ボラーン王国の王城、その執務室にて、窓から差し込む日差しの心地よさに国王はそうつぶやいていた。

 いらぬ者たちに大掃除も済み、先日の怪物騒動も無事に落ち着き、忙しかった日々ではあったが、今日は珍しく仕事が少ない。

 ゆえに、書類を着々と穏やかな気持ちで片付けつつ、春の訪れに喜んでいた。


「にしても、掃除が済んだ分書類仕事も結構減ったな…‥‥やはり馬鹿者共が滞納していた分もあったのだろうか」

 いらぬものを搾りだし、城内の仕事システムなどを改善した結果、以前に比べると10分の一ほどにはなっている。

 やはりというか、定期的にこういう仕事の仕方の見直しをしたほうがより良い効率化を図れるのではないかと思えるほどだ。

「何にしても、こちらの報告も‥‥‥めでたい話しと言えば、めでたいのだがな」

 

 そんな中で、とある報告書に目を通しつつ、国王は何とも言えない表情となった。



…‥‥国王の娘である第2王女ミスティアを嫁がせた魔王。

 その魔王の正妃というべきか、あるアラクネが子を成し遂げ、先日無事に生まれてきたらしい。

 まだミスティアの方に子ができないのはもどかしいが、これはこれで良い話しなのかもしれない。

 ミスティアももう一人の母親として接せているわけだし、不仲でもなく関係上は良い状態。

 今年中はまだ無理かもしれないが、それでも将来的には孫娘を先に見れそうな予感はあった。


 
 が、それはそれで良いとして、問題はその子供の方。

 報告では、そのアラクネの子は種族が両親ともにやや違うようで、色々と面倒なものであった。

「‥‥‥いやまぁ、流石に魔王の子という時点である程度の心構えはできていたつもりではあったが…‥‥絶滅したものに、幻とされるものか…‥‥流石に予想外だったな」

 一応、良い子に育つのなら良いのだが‥‥‥この場合、ミスティアとの時が不安になる。

 孫ができればいいのだが、その孫が人間ではない可能性が大きく、その場合どう接するべきかちょっと迷うのだ。

 いや、可愛い孫ができるのなら喜ばしいが…‥‥それはそれで面倒な事にもなりかねない。

「何にしても、孫ができて欲しいのは王妃も側室たちも同じだからな‥‥‥それに、親がミスティアじゃないとはいえ、その子供たちの方もある意味こちらにとっては孫娘たちのような者だし、できれば早く見たいものだ」

 ついでに、国王としての仕事もだいぶ疲れているので、隠居したい。

 というのも、魔王とか怪物騒動とか、色々あり過ぎた。

「この際、さっさと王位を譲って隠居生活をしたほうが楽そうだなぁ」

 そうすれば、魔王関連だろうと何だろうと、新しい王の方へその面倒ごと歯向かうだろうし、自分はちょっと手助けをする程度で済むはず。

 だがしかし、それには大きな問題があった。

「とはいえ、誰に渡すべきか…‥‥」



 現状、ミスティアが魔王の元へ嫁いだことで、王位継承権は彼女にはない。

 でも、残っている王位継承権は第1~5王子及び第1王女になり、誰を次代の王にすべきか迷うのである。


 他国を見習うのであれば、第1王子からの方がいいのかもしれないが、残る王子王女も選びたい。

「そもそもこう迷っているからこそ、甘い汁目当ての腐った輩が多かったわけだしな‥‥‥この際、何かではっきりさせたほうがいいかもしれぬ」

 王に必要なものは何かと考え、できればその資質にあった者を王にしてあげたい。


 そう考え、首をひねり、唸り、知恵を絞った結果…‥‥ある妙案を国王は思いついた。

「そうだ、いっその事国民にも認知されるように、大規模な催しでやって見るのが良いのかもしれぬ」

 怪物騒動程度ではへこたれない国民性でも、やはり何かこう、明るい催しものとかが欲しくなるであろう。

 であれば、それを含めて大規模な催しを行い、その中で王位継承を決める行事をしてしまえば良いのではなかろうか?

 うまく諸外国を呼び込めれば、次代の王の資質を各国は見極められるだろうし、場合によっては王位継承争いがある国でもそれを参考に流れる血を減らせるかもしれない。

「とはいえ、我が子たちは押し付け合う事が多いからな‥‥‥場合によってはわざと落ちようとするかもしれぬし、阻止するために色々とやらねばいけぬか」

 何にしても、実行してみるまでは分からないだろうし、盛大なものにして見ようと考えつつ、素早くその計画を国王は家臣も集めて議論しつつ、練り始めるのであった‥‥‥‥

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