拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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春間近、でも頭春は来ないで欲しい

#263 まだ早いデス

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SIDEシアン

…‥‥時刻はお昼頃、ちょうど昼食時なので、僕らは適当な飲食店にでも入ろうとしていた。

 いつもならワゼの料理を食べるが、こういう時は外食の気分。

 ワゼの料理もおいしいのだが、たまには違う味付けとかこだわりの料理とか、食べてみたくなるのだ。

 それにここは首都、国の中心ともなる場所であり、人が多く行き交う分、飲食店の種類も豊富である。


「まぁ、その分選ぶのが難しいけれどね‥‥‥‥色々あるなぁ」
【揚げ物、焼き物、燻製、生け作り、茹で物…‥‥】
「どれもこれもおいしそうですけれども、その分迷いやすいのが課題とされてますわね」
「んー、甘いものとかがあるといいにょ!」
【ふみゅ~♪】
「みー♪」

 ロールの意見に対して、ヒルドとオルトリンデが同意するようにうなずく。

 甘いものに対しては、意見は同じなのだろう。

‥‥‥いやまぁ、まだ赤子だよねこの二人?ハクロの乳を飲んでいたりはするが‥‥‥最近だと花の蜜とか、果物をミキサーにかけたものとかを食べるけど‥‥‥うん、人間じゃないからそのあたりのツッコミを考えるのは放棄したほうが良いだろう。

 何にしても、娘たちの意見にある甘い物も考えるのであれば、そこから少しは絞り込めるはずだ。

 パンケーキやクレープみたいのもあるが、これも一応甘いやつと、砂糖を無しにして普通に昼食のような物にできるのもあったはずであろう。

 そう考えると、色々と絞り込めてきて、とある飲食店で昼食をとることに決定したのであった。



―――――――――――――――――
SIDEトパーズ&セバスジャン

「…‥‥なぁ、爺や、聞いて良いか?」
「なんでございましょうか、坊ちゃま」

 とある飲食店の片隅にて、ひそひそと彼らはある者たちを見ながら話していた。

「さっきのあの小さい方の娘を捜し、こうして何とか家族らしき者たちを見つけたのはいのだが‥‥‥あの者の隣の方にいる女性、あれって確か‥‥」
「ええ、どうもこの国の、降嫁されたはずの第2王女ミスティア様のようでございますな」
「その嫁いだ先って確か‥‥‥」
「魔王、とされていますな」
「ということは…‥‥あの集団の男が‥‥‥」
「‥‥‥おそらく、今代の魔王でございましょう」

 和気あいあいとしながら、昼食を食べているシアンたちを見て、彼らは隠れながら唖然とした表情を浮かべる。

「で、あの隣にはさっきのアラクネの母子…‥‥様子を見る限り、使い魔というよりも普通に奥方とその子供という感じのようだが」
「正妃側室なども関係なく、分け隔て無い様でございますなぁ。まぁ、となると先ほどのあの娘は‥‥‥魔王の娘という事になりましょう」
「魔王の‥‥‥‥おうっふ」

 その言葉の衝撃に、軽いボディーブローを喰らった錯覚に陥るトパーズ。


 街中で見かけた、自身の嫁にしたいような、下半身が蜘蛛みたいな、小さい方の娘。

 その親というような人物を見つけたのは良いが‥‥‥まさかの、魔王であった。

「しかし不思議でございますなぁ。アラクネと言えば冷徹冷酷残虐などとされるモンスターと噂されるはずでございますのに、あの親子はどう見てもそれとは全く別物でございます。しかも親の方は白く、坊ちゃまが懸想されたばかりの娘の方は青みがありますなぁ‥‥‥亜種というべきなのでございましょうか」
「意外にも詳しいな爺や」
「ほっほっほっ、これでも坊ちゃまに使える前は、冒険者をやっていたでございますからな。大抵のモンスターの知識を蓄えるぐらい、朝飯前でございます。まぁ、そんな一般常識も満たせぬような者どももたまにはいますが‥‥‥それはそれ、これはこれで、自己責任でございました」

 トパーズの言葉に、老獪に答えるセバスジャン。

「むしろわたしめといたしましては、あの者たち‥‥‥魔王一家というべき者たちの側におります、あのメイドの方が気になりますな」
「ん?どういうことだ?」
「見た感じ、人ならざる者…‥‥いえ、あそこの第2王女様除くほとんどがそうですが、あのメイドの方は、おそらく相当な手練れでもございましょう。となると、坊ちゃまがあの娘の方に求婚へ向かったとしても‥‥‥うん、そこでお別れになってしまいますなぁ」
「何が想像できたんだ!?」

 ほろりと涙を流し、ハンカチでふくセバスジャンに、思わずトパーズはそう叫ぶ。

「何にしても、あれはあれで難攻不落の絶対鉄壁要塞。おそらくは坊ちゃまはそう簡単にあの娘を手に入れらぬでございましょうし、そもそもどうやって接すべきでしょうかね」
「うっぐぅ…‥‥」

 言われてみればその通りである。

 何処の世界に、真正面から見知らぬ相手が求婚してきて、それを受け取れるようなものがいるだろうか。

 少々恋に浮かれ、やや暴走しかけていたトパーズはそこで冷静になった。

「‥‥‥では、どうしろと?」
「ふむ、きっかけ待ちするしかございませんな。まぁ、あの様子ですとこの度の王位継承権選挙戦に対して、思うところがあったがゆえに、ココへ訪れたのでございましょう」

 トパーズの問いかけに対して、セバスジャンはある程度考え、口にしていく。

「となれば、王城の方に寝泊まりをするか‥‥‥いえ、あの様子でございますと、魔王一家ですので王城へはむしろ泊まらずに、何処かの宿屋で宿泊しつつ、滞在していますな」
「何故だ?王女を嫁に迎えているのであれば、普通に王城の方に寝泊まりしてもおかしくはないだろう?」
「お忘れですかな、坊ちゃま。この国の王家は、ある意味珍しい傾向にあるという事を」
「‥‥‥ああ、そうか。王位継承権押し付け争いか」
「そうでございます。現在は継承権消失ですが、どうも内容によれば各王子・王女たちが達成できた暁には、あの王女も王位継承権が復活し、王位を押しつけられる可能性が大きい。しかも、優秀さなどを考えるに、それを望む者たちがおり、その分仕事が‥‥‥」
「城の方にたまって、迂闊に寝泊まりをすればそれをやらされかねない、という事があるのか」

 セバスジャンの説明に、トパーズは納得する。

 彼もまた第3王子であり、商国内でもそれなりに仕事はする。

 商人たち中心の国とは言え、一応国王を立てている建前上、仕事も多い。

 だがしかし、彼の兄である第1,2王子たちは王位継承争いをしているくせに不出来で、その分の仕事が押しつけられることがあり、その嫌気の指し具合を理解してしまうのだ。

「であれば、むしろ選挙後‥‥‥王位が決定した時に、チャンスはありましょう。新国王樹立の際には、あの魔王殿もおそらく確認のために出るでございましょうし、うまくいけばその際に‥‥‥」
「関わりを持てるかもしれない、か…‥‥確率的に低くないか、それ?」
「まぁ、例えるのであれば我が国の第1,2王子屑殿下たちが、賢王となるような確率でございますからなぁ。ほぼ不可能というべきか、それでもまだ辛うじて希望がある程度か…‥‥いずれにせよ、今は待つしかございませぬ」
「ぐぅ……その前に、性欲魔人のような父上もとい国王に手を出されなければいいのだが‥‥下手すると国ごと印象最悪となり、婚約などを求めるどころか、最悪の場合国滅ぶぞ」
「それは大丈夫でございましょう。あの愚王でも一応それなりにわきまえつつ、後継者などもある程度商人の立場で見極める事が出来ておりますからな。通商相手に出来そうな方の機嫌を損ねる真似は、おそらく避けるはずでございましょう」

…‥‥少しづつというか、セバスジャンの本音が漏れているような気がする。

 だがしかし、それはそれであっているので、何も言えないトパーズ。

「一つ、最悪の可能性も考えらる事はありますけれどね」

 っと、ここでふとセバスジャンがそうつぶやいた。

「最悪の可能性?」
「あの愚王は置いておくとして、坊ちゃまの兄である第1,2王子方が、何処かで関わってくる場合でございます。現在やらかしたことで国へ置いていかれてますが…‥‥この度の、ボラーン王国の新国王への交代の話を聞けば、自身の王位継承に関して優位に立つための関係づくりと称して、来そうな予感がするのでございます」
「‥‥‥‥」

 その言葉にトパーズは少々考え、その通りだと納得した。

 万が一にでも、そのような最悪な可能性が出てしまったら‥‥‥‥それこそ、自分の恋は目の前で潰されてしまう可能性が高い。

 だがしかし、来る者をどう拒めるのかという手段を持っておらず、いつもであれば来たところでやらかす愚策をみて笑えるはずなのだが、今回は都合が悪すぎる。

「‥‥‥爺や、なんとかできぬだろうか?」
「ふーむ‥‥‥‥やろうと思えば、もしかすると‥‥‥いえ、少々難しいですが、無いとこはないでしょう」
「本当か!?」

 セバスジャンの言葉に、希望を見つけるトパーズ。

「とはいえ、少々こちらもやらかしつつ、最悪の場合坊ちゃまの首が飛びかねません。その覚悟がありましたら‥‥‥」
「覚悟はある!!わが父、兄たちのせいで恋を失う位であれば、この命は惜しくない!!」
「‥‥‥なるほど。坊ちゃまの熱意は受け取りました。では、どうにかする手段をやってみますので、できれば夕暮頃までお待ちを」

 そう言い、セバスジャンはその場を去った。

 何をするのかはわからないが、見えてきたかもしれない希望。

 自分の初恋を成就させるためにも、今はそれに賭けるしかないトパーズであった‥‥‥


「あ、そう言えばこの店の代金…‥‥しまった!?爺や、速攻で戻って来てくれぇぇぇ!!金はお前が持っていただろうがぁぁぁぁあ!!」

…‥‥数分後、店のオーナの手によって、数時間ほど代金代わりのアルバイト代わりとしての作業をさせられたのは、言うまでもない。



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