拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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火種はどこにでも落ちていた

#284 ある意味増えたのデス

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SIDEシアン

‥‥‥人というものは、不思議なものである。

 過去に何かがあったからこそ、今に生かすように学習し、結果として乗り越えることができる。

 だがしかし、中にはその学習があったとしても…‥‥


「‥‥‥いや、そもそもケンタウロスな時点で、人じゃないか?」
【何を言っているのかはわからないが‥‥‥少なくとも、甘く見ていた‥‥‥ことだけは‥言えた】
【る、ルル姉さーん!?】

 ばったりと倒れ込み、息絶える(気絶)ルルさんを見て、ハクロはそう叫んだ。

【ふみゅ?ふみゅ~!】
「みー!みー!みー!」

「あー‥‥‥ヒルド、オルトリンデ。ルルさん、疲れたからちょっと無理なようだ。だからちょっと回復するまで待ってあげて」
【ふみゅぅ?】
「み?」

 僕の言葉に対して、娘たちはコテンと首を傾げつつ、理解したのか体をゆするなどの要求はやめた。


 ハクロの義理の姉でもあり、騎士王国の女騎士団長でもあるルルさんが来て2日目。

 目的の王子様とやらはまだ現れず、それまでの暇つぶしも兼ねて、過去に小さいハクロを見ていた経験のあるルルさんが、ヒルドたちの面倒を快く引き受けて、見てくれたのだが…‥‥結果として、昼前にぶっ倒れてしまった。

 何しろ、我が娘たちは好奇心旺盛な赤子たち。いや、もう赤子の域を越えているような気がしなくもないが、それでも育ちざかりの活発さはなりを潜めることなく堂々と現れ、さらに叔母とも言えるルルさんに対して好奇心を抱き、色々とやらかした。

‥‥‥まぁ、人間やアラクネ、メイドぐらいしかいないようなところに、また違った容姿のケンタウロスが来たら興味を持つのも無理はないかもしれないが‥‥‥‥

「我が娘たちでありながら、恐るべしだなぁ…‥‥」
【ルル姉さん、綺麗な笑顔をしているでしょう?これで、気絶しているのですよ…‥‥】

 なんというか、子どもの行動力・好奇心旺盛な部分は無敵だというのだろうか。

 過去のハクロの経験があったルルさんとは言え、それが2人に増えたうえに、どうも過去以上だったようで、こうして気絶する状態になってしまったのであった。

【むしろ、よく私たちが持ってますよね。ルル姉さんの体力は、私たち以上だと思うのですが‥‥‥】
「まぁ、確かに騎士団長の地位にまで上り詰めるぐらいだしなぁ‥‥‥体力だけを見れば上かもしれないけど‥‥‥」

 考えて見れば、僕等の場合ハクロの糸での立体起動や、僕の魔力の衣での移動など、縦横無尽に対応できるのだが、ルルさんの場合はそういう立体起動とかもないがゆえに、対処しきれなかったのであろう。

 まぁ、娘たち空中もある程度自由に動けるからなぁ‥‥‥糸に翼で活動範囲が広いしね。


【ふみゅ~♪ふみゅ~♪】
「みーみーみー♪」
【ふふふ、癒しの歌のつもりなのでしょうか?】
「元気になってもらうために、音楽で元気づけるか‥‥‥うん、いい線はいっているかもね」

‥‥‥あれ?元気になったらなったで、また同じことの繰り返しなのではないだろうか?

 ふと、その事にシアンは気が付いたが、解決策もないのでそっと胸にしまうのであった。


――――――――――――――――――――――――
SIDEワゼ

‥‥‥一方で、ワゼたちの方では今、ある重大なことが起きていた。

「‥‥‥ワーオ」

 思わずそう口にするしかできないというか、何と言うか。

 普段何事にも対応可能であり、冷静な彼女でも思わず出てしまう言葉。


「セキュリティシステム異常無シ。警備、巡回監視、保管場所の異常もないのに…‥‥いつの間にやられたのでしょうカ?」

 そうつぶやくワゼの前にあるのは、先日発掘し、保管されていた・・・聖剣の台座。

 魔王特攻というあぶなかっしい代物ゆえに、厳重に警備を敷きつつ、どう利用したものかと考えていたのだが…‥‥どうもどこからか情報が漏れたようで、妙な動きがあった。

 そこでさらに保管場所を移し、ハルディアの森の奥深く、湖の下に作った地下室の更に深層の区域に移送し、誰もが手を出せない場所に保管できていたと思っていたのだが…‥‥


「‥記録映像、破壊デスカ。手口も不明ですが…‥‥これはこれは、非常に厄介そうですネ」

 そうつぶやくワゼであり、その言葉は何処か苦々しい感情を出していた。


 厳重に保管し、確実に誰もがたどり着けないだろうと考えていたが…‥‥どうも甘かったようだ。

 目の前にあるのは台座だけであり…‥‥聖剣そのものが姿を消していたのである。

 剣自体が動いたという形跡もなく…‥‥とは言え、消失したその瞬間に何者かの手が入ったことは確実であろう。

「‥‥‥ご主人様への害を確実になせる剣。その盗難となると…‥‥最大級の対応を致しましょウ」


 どこかで慢心し、油断していたのだろう。

 それ故に、保管していたものを盗難されてしまったことはワゼにとって、いや情報を共有し、確認しあっていたワゼたちにとっては非常に屈辱的であり、最大限の対応を取らなければならない事態。

 ぐっと、どこか悔しそうにこぶしを握り締めたワゼは、そうつぶやき、すぐに行動に移し始めるのであった…‥‥



―――――――――――――――――――――
SIDEレパーク王子

‥‥‥海を経て、火山を経て、ようやくたどり着いたのは、人気溢れる場所。

 ああ、ようやく魔王がいるという首都にたどり着いたのかと彼は思ったのだが…‥‥残念ながら、そこは違っていた。


「‥‥‥モンスターも湯気も溢れる場所…‥‥って、人が大勢いるけど、全然見当違いの場所じゃねぇぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 そう叫ぶも、彼にツッコミを入れてくれるものは誰もいない。

 何をどう道を間違えたのかはわからないが、少なくともまだまだ時間がかかりそうなことぐらいは、理解させられるのであった。


【‥なーんか、叫ぶ奴がいるであーるな】
「温泉都市、ツイ叫ブ奴イテモオカシクハナイ」

 そして、その叫び声が聞こえても、その叫んでいる人物が求めている相手の関係者であろうとも、そんな事情は知った事でもないので、ゆっくりと温泉に浸かりながらそうつぶやく者たちもいたのであった…‥‥
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