5 / 373
03 気を抜いたら何をしでかすのか分からない
しおりを挟む
寮室が改造され、外観以上の広さに改築されてしまったことに、ツッコミを放棄した翌日。
寮の食堂にて、朝食をとってから学園へ向かい、いよいよ召喚士として本格的に学ぼうと意気込んでいたのだが…‥‥
「‥‥‥なぁ、ノイン」
「何でしょうか、ご主人様」
「お前、俺が起床するまで何していた?」
「メイドとして、起床時の衣服の用意や、予定の確認、あと食堂の調理場に潜り込ませてもらい、ご主人様の朝食を用意しただけデス。ああ、先に言っておきますが、材料はきちんと周囲の方々の朝食と同じ量、同じ材料デス」
うん、まぁ、それはまだ良い。
でもね、同じ材料で、同じ量と言っていたけど…‥‥
「ディー‥‥お前の朝食だけ、なんか輝いてないか?」
「気のせいだと思いたいぞバルン。俺だって、予想外なんだからな」
目の前の席にて、昨日の適正で職業『武闘家』となって喜んでいたバルンが、俺の朝食を見て半目になりながらそう問いかけてきた。
本日の朝食メニュー‥‥‥パンとスープ、付け合わせにサラダという軽めのメニューであり、他の寮生たちと変わらないメニューであったはずが‥‥‥なんか、キラキラとしたものが付いていた。
「食堂のおばちゃんと言われる方々から許可を戴き、私が用意した鍋で別個に作りましたが、何か問題でもありましたカ?」
「いや、キラキラしている以外は問題‥‥ないよね?」
何だろう、コノキラキラメニューは。
取りあえず、他の奴らとメニューはそう変わってないはずなのに、個性的に違っている。
「‥‥‥よし、バルン頼む。ちょっと食べ比べて見てくれ」
「ああ、やってみよう」
その個性的過ぎる違いに不安を俺は抱き、バルンに食べ比べを頼んだ。
友人を毒見に出しているようだが、流石にノインが毒を盛る事は無いと思いたい。
「えっと、こっちが普通のパンで‥‥‥もぐ、これはまぁ想定内だな」
まずは何の変哲もない、寮生共通のパンをバルンが一口食し、そう述べる。
「で、こっちがディーの召喚獣ノインさんのやつで‥‥‥いただきます」
ぷちっと小さくちぎり、先ほどのパンを飲み込んだ後、そのキラキラ光るパンを口にし、数回ほど噛んだところで…‥‥バルンの目が見開いた。
「もぐぉぅ!?なんだこれ何だこれ!?何がどうなっているんだこれは!?」
「どうしたバルン!!何か不味かったのか?」
「ぜんぜん逆だ!!むしろ何をどうしたら見た目は同じなのに、こんなに味が変わるんだ!?天と地ほどの差というか、舌がこれで肥えてしまってはうけつけなく‥‥‥いや、とにもかくにもうますぎるぞ!?」
マジか、と思いつつ、俺も恐る恐る食してみると‥‥‥
「‥‥‥うまっ!?何このもっちりふわふわかつ、パンのうまみを引き出しているのは!?」
「普通に作っただけですケド?食堂のおばちゃん方が、朝食時のパンを作るやり方を教えてくれたので、私なりにきちんと再現したはずなのですガ」
「再現できてないよ!!いや、再現と言う言葉への挑戦をしたつもりかお前はぁぁぁぁぁ!!」
‥‥‥同じようなパンの再現というが、全然できていない。
いや、不味いんじゃなくて、うますぎる。
「ちょっと待てディー!!今のノインさんの言葉を聞くと、このほかの料理も同じなんじゃ!?」
「ハイ?まぁ、大体合っていマス。ご主人様用に作らせていただきましたが、製法は変わらないはずデス」
「このパンの時点で、なんかもう予想できるけど…‥‥バルン、ちょっとそのスープと食べ比べてみるか」
「ああ、そうしたほうがいいかもしれねぇ」
周囲の寮生たちが何か興味をもった目を向けてきたが、今は気にしている暇はない。
このメイドがやらかしたというか、その所業を味わうのが先だと俺たちは判断したのであった‥‥‥‥
‥‥‥結論から言おう。スープもパン同様に、劇的変化を起こし、うまみが広がった。
ああ、語彙が無いのが非常に悔やまれるが、それでもうまいものはうまいのだ。
その上、普通にちぎっておかれただけの、簡単なはずのサラダまでもが、もはや別物という位の味になっていたのであった。
「‥‥‥ノイン、お前、今度から食堂で調理するのは、俺が欲しい時だけにしてくれ」
「毎日でもできますガ?」
「確かに、毎日食べたいぐらいのうまさに感激して、そこでバルンがうまさのあまり昇天してくたばったが‥‥‥今さら気が付いた、この周囲の目が痛いからな」
考えればわかる事だったかもしれない。
全員、ほぼ同い年ぐらいの男子ばかりのこの寮で、メイドといる俺が騒げばどうなるのか。
人ではなく、メイドゴーレムらしいが、ノインの見た目は美しい女性であり、嫉妬の目が来るのも当たり前だっただろう。
その上、この朝食までもが別物レベルでのうまさであることが知れ渡り、俺の召喚獣だけが作れる事実を‥‥‥別の視点の男子からしたら、許せるのかどうかという話になる。
寮に入って早々、既に呪いもかけられ始めてきているような気がしなくもない、強い危機感を俺は抱き始めるのであった…‥‥いや、もう遅いかもしれない。
寮の食堂にて、朝食をとってから学園へ向かい、いよいよ召喚士として本格的に学ぼうと意気込んでいたのだが…‥‥
「‥‥‥なぁ、ノイン」
「何でしょうか、ご主人様」
「お前、俺が起床するまで何していた?」
「メイドとして、起床時の衣服の用意や、予定の確認、あと食堂の調理場に潜り込ませてもらい、ご主人様の朝食を用意しただけデス。ああ、先に言っておきますが、材料はきちんと周囲の方々の朝食と同じ量、同じ材料デス」
うん、まぁ、それはまだ良い。
でもね、同じ材料で、同じ量と言っていたけど…‥‥
「ディー‥‥お前の朝食だけ、なんか輝いてないか?」
「気のせいだと思いたいぞバルン。俺だって、予想外なんだからな」
目の前の席にて、昨日の適正で職業『武闘家』となって喜んでいたバルンが、俺の朝食を見て半目になりながらそう問いかけてきた。
本日の朝食メニュー‥‥‥パンとスープ、付け合わせにサラダという軽めのメニューであり、他の寮生たちと変わらないメニューであったはずが‥‥‥なんか、キラキラとしたものが付いていた。
「食堂のおばちゃんと言われる方々から許可を戴き、私が用意した鍋で別個に作りましたが、何か問題でもありましたカ?」
「いや、キラキラしている以外は問題‥‥ないよね?」
何だろう、コノキラキラメニューは。
取りあえず、他の奴らとメニューはそう変わってないはずなのに、個性的に違っている。
「‥‥‥よし、バルン頼む。ちょっと食べ比べて見てくれ」
「ああ、やってみよう」
その個性的過ぎる違いに不安を俺は抱き、バルンに食べ比べを頼んだ。
友人を毒見に出しているようだが、流石にノインが毒を盛る事は無いと思いたい。
「えっと、こっちが普通のパンで‥‥‥もぐ、これはまぁ想定内だな」
まずは何の変哲もない、寮生共通のパンをバルンが一口食し、そう述べる。
「で、こっちがディーの召喚獣ノインさんのやつで‥‥‥いただきます」
ぷちっと小さくちぎり、先ほどのパンを飲み込んだ後、そのキラキラ光るパンを口にし、数回ほど噛んだところで…‥‥バルンの目が見開いた。
「もぐぉぅ!?なんだこれ何だこれ!?何がどうなっているんだこれは!?」
「どうしたバルン!!何か不味かったのか?」
「ぜんぜん逆だ!!むしろ何をどうしたら見た目は同じなのに、こんなに味が変わるんだ!?天と地ほどの差というか、舌がこれで肥えてしまってはうけつけなく‥‥‥いや、とにもかくにもうますぎるぞ!?」
マジか、と思いつつ、俺も恐る恐る食してみると‥‥‥
「‥‥‥うまっ!?何このもっちりふわふわかつ、パンのうまみを引き出しているのは!?」
「普通に作っただけですケド?食堂のおばちゃん方が、朝食時のパンを作るやり方を教えてくれたので、私なりにきちんと再現したはずなのですガ」
「再現できてないよ!!いや、再現と言う言葉への挑戦をしたつもりかお前はぁぁぁぁぁ!!」
‥‥‥同じようなパンの再現というが、全然できていない。
いや、不味いんじゃなくて、うますぎる。
「ちょっと待てディー!!今のノインさんの言葉を聞くと、このほかの料理も同じなんじゃ!?」
「ハイ?まぁ、大体合っていマス。ご主人様用に作らせていただきましたが、製法は変わらないはずデス」
「このパンの時点で、なんかもう予想できるけど…‥‥バルン、ちょっとそのスープと食べ比べてみるか」
「ああ、そうしたほうがいいかもしれねぇ」
周囲の寮生たちが何か興味をもった目を向けてきたが、今は気にしている暇はない。
このメイドがやらかしたというか、その所業を味わうのが先だと俺たちは判断したのであった‥‥‥‥
‥‥‥結論から言おう。スープもパン同様に、劇的変化を起こし、うまみが広がった。
ああ、語彙が無いのが非常に悔やまれるが、それでもうまいものはうまいのだ。
その上、普通にちぎっておかれただけの、簡単なはずのサラダまでもが、もはや別物という位の味になっていたのであった。
「‥‥‥ノイン、お前、今度から食堂で調理するのは、俺が欲しい時だけにしてくれ」
「毎日でもできますガ?」
「確かに、毎日食べたいぐらいのうまさに感激して、そこでバルンがうまさのあまり昇天してくたばったが‥‥‥今さら気が付いた、この周囲の目が痛いからな」
考えればわかる事だったかもしれない。
全員、ほぼ同い年ぐらいの男子ばかりのこの寮で、メイドといる俺が騒げばどうなるのか。
人ではなく、メイドゴーレムらしいが、ノインの見た目は美しい女性であり、嫉妬の目が来るのも当たり前だっただろう。
その上、この朝食までもが別物レベルでのうまさであることが知れ渡り、俺の召喚獣だけが作れる事実を‥‥‥別の視点の男子からしたら、許せるのかどうかという話になる。
寮に入って早々、既に呪いもかけられ始めてきているような気がしなくもない、強い危機感を俺は抱き始めるのであった…‥‥いや、もう遅いかもしれない。
8
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ
O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。
それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。
ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。
彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。
剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。
そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる