憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
4 / 373

02 早々にして、自分に足りないものを自覚させられる

しおりを挟む
‥‥‥召喚成功したのは良い。

 でも、出て来たのが‥‥‥何故に人。

「いや、そもそも人じゃないというか…‥‥えっと、尋ねても大丈夫か?」
「ええ、大丈夫デス」

 ディーの問いかけに対して、たった今召喚できた召喚獣…‥‥と言っていいのかどうかわからない、人のような見た目をした彼女、ノインはそう答えた。

「俺が召喚した、召喚獣でいいんだよな?」
「ハイ。召喚詠唱にて、ノインと名付けられた者でございマス」

 丁寧にそう返されたが‥‥‥何と言うか、こちらとしては予想外。

 小さい時に見た召喚士のような、こう、なんかすごいモンスターなどを夢見てはいたし、現実はそう甘くはない事もそれなりにわかっていたつもりであったが…‥‥


「‥‥‥ディー・ゼロス。それがお前の召喚獣である事の確認はとれたのか?」
「多分、そうです」

 試験官の問いかけに対して、非常に自信ない感じにしか答えられないのであった。

 うん、100歩譲って弱そうなスライムとか、そういう類ならまだよかった。

 でも、出て来たのが‥‥何故、貴族とかに仕えていそうな侍女服なのか、そもそも人間なのか、全然この事態の解決の糸口が見えない。

「ふむ‥‥‥変わった召喚獣を呼んだようだが‥‥‥人型か。今までの召喚獣の中にも、それなりに人に似た四肢を持つ者がいたが‥‥」

 試験官いわく、そういう例があっても、今回のようなのは初めてらしい。

「リザードマン、マッスルゴリィラァ、オークキング、スライムマンなどの例はあったが、どれもこれも人ではない。そして、今回の君の召喚獣も人みたいな容姿をしているが‥‥‥人ではないな?」
「その通りデス。あえて、人に似せるように作られた存在‥‥‥私の正式な種族名称は、『万能家事戦闘人型ゴーレム09』。他にも姉や妹と呼べるようなものがいましたが、今は独り身デス」
「メイドゴーレム?その種族名から察するに、ゴーレムの類なのか?」
「ハイ」

――――――――――――――
『ゴーレム』
人工的に作られたタイプと、自然発生するタイプに分かれるモンスター。
様々な材料で作られており、一般的なものは土や岩、場合によっては金属などで出来ており、基本的にはごつごつとした見かけで、共通して不器用ながらも心優しいものが多い。
召喚士によって召喚されるゴーレムもその類が多く、適正学園卒業後には建築現場や武装して国の守りに就くなどの進路で役立っている。
また、召喚した場合後々自分の好きなように改造することもできる。
―――――――――――――――

「私の場合は、メイド業を主にという事で、このように作られたのデス。ご主人様のために忠誠を誓い、尽くし、できる限りのサポートを行う‥‥‥そういう風に作られまシタ」

 丁寧に説明しながら、こちらに笑みを見せるノイン。

 侍女服を着ているなと思っていたら、まさにその侍女の職業‥‥‥メイドを主に務めるようだ。


 しかしながら、今までの自己紹介の部分で、ちょっと気になる点があった。

「えっとノイン‥‥‥正式名称で、メイドだから『家事』が付くのは分かるけど、『戦闘』は何?」

 メイド業を行うのであれば、戦闘をするようなことは無いとは思うが…‥‥

「メイドゆえに、嗜む事デス。ご主人様の身の安全のために、多少の護身術の修得ぐらいは必要なのデス」
「多少の?」
「ハイ」

‥‥‥メイドって、そういうものだっけ?

 何にしても、その部分が気になるとは言え、今はまだ他の人達の適性検査中。

 ひとまずは、召喚士という事で、召喚士用の学科に入る事は決定し、この場を離れることになった。









 職業顕現も終え、学科も振り分けられた後は、明日の初授業に備えるのみ。

 適正学園はしっかりと生徒たち用の寮を用意しており、寮室を与えられ、そこでこれからを過ごすのだが…‥‥


「‥‥‥劇的過ぎるというか、さっそく何をやらかした、ノイン?」
「ええ、何もありまセン。掃除を行っただけデス」

 与えられた寮室に入ろうとしたところで、ノインに止められた。

 いわく、まずはここで自分の腕前を見せたくなり、部屋を綺麗にするという事のようだ。

 そこで、数分ほど掃除で待たされたが…‥‥終わって入って見れば、そこは劇的に変化していた。

「外と中のバランスが全然取れてないんだけど。明らかに広くなっているよね?」
「空間自体を少々ゆがめ、広く認識できるようにしただけデス」

「ベッドがふかふかなのは良いけど、こんな装飾あったかな?」
「綺麗に整備し直し、ちょっと細工しただけデス」

「こっちに知らない扉ができているんだけど、隣室へ繋がるの?」
「いいえ、そこは私の工房を設置させていただきまシタ。ご主人様の快適サポートのために、道具などを色々作りたいですからネ」

「‥‥‥‥本当にメイド?」
「メイドデス」

…‥‥うん、ツッコミ入れるのはあきらめよう。

 たかが数分、されど数分。

 なにやらギコギコとノコギリの音や、聞いたことがない機械音などがしていたが、任せただけで、寮室が変貌しすぎていた。

 ああ、初日早々に何だこのメイド‥‥‥おかしすぎるんだけど。

 召喚して出て来たメイドは、この時点で相当有能過ぎるというか、ツッコミどころが豊富にあるのに、俺のツッコミ処理が追い付かないほどであった。

 憧れていた職業だったのに、出て来たメイドが予想外過ぎるのは、嬉しく思うべきか、それとも精神的に疲れるせいで悲しく思うべきか‥‥‥‥神がいるならば、答えて欲しい‥‥‥

しおりを挟む
感想 771

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。 それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。 ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。 彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。 剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。 そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...