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01 それは綺麗な青空で
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「では、これより適性検査を行う!!」
雲一つない、綺麗な青空の下、その学園の運動場にて教師たちの声が響き渡った。
「わぁ、ドキドキするなぁ」
「絶対に騎士に騎士に騎士に騎士に‥‥‥」
「魔法が扱える職業であれば、何でも良い!」
「タンクマンになれますようにタンクマンになれますように」
集まっている人たちの声は、それぞれが望む職業の名称。
そんな中で、俺、ディー・ゼロスも他の人々たちと変わらず、願っていた。
(‥‥‥絶対に、召喚士になってやる!)
ここは、ヴィステルダム王国の首都にある、適性学園。
今、この学園の運動場では、入学を希望する生徒たちが集まっており、各々が望む職業になれるかどうか、心の底から願っていた。
「よー!ディー!お前も来ていたのか!」
「お、バルン!お前もやっぱりか!!」
声が聞こえたので振り返って見れば、そこにいたのは同郷の悪友というべきバルンがいた。
「あったりめぇだろディー!何しろ、この適性検査で将来が決まる言っても過言ではないからな!!」
「まぁ、それもそうか」
過言ではないというのも、間違いではないだろう。
この世界、人々にはある職業が眠っており、14歳以降に適性検査というものを受け、初めてその職業を開花させることができるのである。
ありとあらゆる剣技を鍛え、国のかなめにもなる『騎士』。
魔法に精通し、条件が整えば天候すらも操れるという『魔法使い』。
皆を確実に守り抜き、鉄壁かつドMな人がなりやすいとされる『タンクマン』。
隠密、罠解除、情報収集なんでもござれの『シーフ』。
その他色々、様々な職業はあるのだが、その職業が発現すればその職業に見合った能力を獲得できるのである。
とはいえ、基本的にどの職業になれるのかはその本人の適正次第であり、狙った職業になれない事もあるので注意が必要だが…‥‥それでもやっぱり、俺が狙うのは‥‥‥‥
「で、ディーはやっぱりあれか?『召喚士』一点狙いか?」
「ああ、そうだ!」
その問いかけに対して、俺は昔から変わらぬ憧れの職業を狙っていることを伝えた。
『召喚士』、それは召喚獣と呼ばれる様々なモノたちをこの世界に呼び寄せ、使役することができる職業。
数多くある職業の中でも、召喚士は色々と異例なものが多い。
何故ならば、その呼びだせる召喚獣の種類を数え上げれば切りが無く、適性検査で発現する職業に適応した能力を持つ者たちも召喚獣として従えることができたりして、万能職とも言えるのだ。
まぁ、今まで出て来た召喚士も、生涯にせいぜい1体程度しか使役できず、その他の職業に被って目立たないことが多いそうだが…‥‥それでも、やっぱり憧れるものである。
それに、1体だけという決まりよりも、この世界の者でも契約を取って召喚獣になってもらう事もあるらしいからね。そっちに希望を持つのも良いだろう。
「ドラゴンとか、キングタイガーとか、ビックケサランパサランとか、色々あるからね!人にはない個性が楽しみでもあるんだよ!」
「いやお前、前半2つは良いけど後半のそいつはただの毛玉召喚獣だよな?」
まぁ、カッコイイ系が召喚できればいい。その次にモフモフ系が良い。強さも癒しも兼ね備えたものはちょっと贅沢かもしれないが、それでも未知の召喚獣を呼びだせたらそれはそれで面白い。
「それはそうとして、バルンの方はどんな職業を狙うんだ?」
「ん?ああ、騎士とか武闘家とか、とにもかくにも暴れられそうなものが良いな!」
何にしても、そうこうしているうちに、いよいよ俺の番になった。
「では、次!!ディー・ゼロス!」
「はい!」
試験官に呼ばれ、意気揚々と俺は歩む。
その試験場に置かれているのは、たった一つの大きな水晶玉である。
「それでは、『適正判別水晶』に手をかざし、数十秒ほど待て!そうすれば、適正である職業が文字となって、浮かび上がってくる!!」
「わかりました!!」
そう指示を聞き、俺は水晶に手をかざした。
‥‥‥この水晶、ただの透明な玉ではなく、何でも人の適性を確実に調べることができる特殊な鉱石で出来ているらしい。
手をかざし、その人の情報を読み込み、どの様な適性があるのか提示してくれる。
場合によっては複数の職業が提示されることも有るらしいが、選んだ職業だけを発現させられるらしい。
どうなることかと思いながら待つこと数十秒。
すると、水晶がほんのりと輝き、文字が浮かび上がって来た。
そこに書かれているであろう、俺の適正した職業。
どの様なものが描かれているのかドキドキしながらも、しっかり見ようと目を見開いて内容を確認する。
「適正職業‥‥‥『召喚士』…‥‥よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
思わず叫んでしまったが、今までの人達も望んでいた職業を見て叫ぶ人が多いので、別に奇行にとられることはない。
いや、そんな事よりも、望んでいた職業への適正に感動ものである!!
「ふむふむ、職業適性は召喚士か‥‥‥ん?」
っと、試験官がのぞき込み、記録する中でふと疑問のような声を洩らした。
「…‥‥これ、召喚士だが‥‥‥なんか文字が他にあるぞ」
「え?」
言われてもう一度見返せば、確かに文字は『召喚士』としっかりと書かれている。
だが、よーく目を凝らしてみれば…‥‥何やら小さな文字が、その前の部分に浮かび上がっていた。
「…‥‥『異界の召喚士』‥‥?え?でもおかしいものとか‥‥‥じゃないですよね?」
召喚士が呼びだすのは、召喚獣。
その召喚獣は、どれもこれも別世界から呼び出されるものが多く、そう考えると異界から来たと言っても間違いではない。
だが、こんな風にわざわざ『異界の』と強調したのは聞いたことがない。
「ふむ、何か召喚士とは一線を越えるというか、別物の可能性もあるな…‥‥どうも久し振りに新職業として出たのか‥少し待ってくれ」
そう言うと、試験官の人は他にあった水晶前で検査を行ってきた他の試験管たちを呼んで、なにやら話し合う。
その状況に、周囲からの目線が飛んできて、ちょっと落ち着かなくなりそうな中、数分ほどでその話し合いは終わったようだ。
「ああ、待たせて済まない。他の試験管たちにも聞いてみたが、『召喚士』にわざわざ強調するような文が付くのはないようでな。おそらく何か違う職業の可能性がある。そこでだ、確かめるために、ひとつ召喚を行ってくれないか?」
「はぁ‥‥あ、これって召喚する技能とかもう発現してますよね?」
「間違いないだろう。どのように召喚を行うかは、自然とわかるらしいが…‥‥」
「‥‥‥とりあえず、やってみます」
念のために、試験会場からちょっと離れ、空いたところへ移動させられ、そこで召喚を行うことにした。
本来であれば、適性検査で判明した職業があれば、その職業に関する学科へ振り分けられ、実際に行うまで少し学び直してより確認をしっかり行う作業があるのだが‥‥‥今回の場合、俺の『異界の召喚士』は『召喚士』と違うのかどうか今一つわからないために、少し確認を取る必要があるらしい。
「なんとなく自然に‥‥‥か」
ちょっと周囲のチラチラ見るような視線を感じながらも、僕は集中する。
召喚士の召喚獣は基本的に一体だけ。
それ以降も別物を呼びだせたり、場合によってはまた違う場所での召喚契約とか、そういう類の可能性が無きにしも非ずだが、とりあずこれが初めての召喚。
果たしてどのような召喚獣が出るのか…‥‥できればカッコイイ系統でドラゴンとかを望みつつ、召喚を始める。
「‥‥‥『来たれ、我がモノ、異界の者よ』」
自然と頭の中に浮かび上がり、口から出るのは召喚に使用される詠唱。
発言したばかりでもすぐに言えるようになっているようで、聞いてはいたが驚きつつも、今は召喚に集中していく。
「『汝は常に、我が元へ、命じるままでもあり、自由を求める者でもある』」
唱えていくうちに、召喚時に出るとされる魔法陣が光と共に地面に浮かび上がり始め、複雑怪奇な模様を描いていく。
「『我が命を受け、浮かび上がれ、さすれば汝に名を与えん』」
召喚獣は基本的に、召喚されたその時には名前を持っていない。
名前をこの詠唱時に与えることで縁を結び、どこでも召喚することが可能であり、呼び合う仲という事で絆を深めるという事もあるらしい。
そして、その名前を当たる側としては、その詠唱過程で思い浮かぶ名前を告げれば良いようだ。
「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はノイン!!我が元へ来たまえ!!』」
そう声を上げて言うと同時に、魔法陣の模様がすべて完成し、強く輝く。
シュウウウ‥‥‥‥ドォォォォォォォォン!!
それと同時に煙を吹き出し、次の瞬間爆発音が鳴り響く。
「っ…‥‥!!」
少しばかり爆発の衝撃があるも、なんとか耐え抜く。
見れば、魔法陣は既に消え失せ、そこには煙が湧き出ていた。
少し待てば、煙が晴れていき…‥‥その呼び出した者が姿を現す。
「‥‥‥さぁて、名前はノインってなったが、出て来たのは…‥‥」
ドキドキしながら待っているうちに、その容貌が明らかになり…‥‥ちょっと予想外なものが現れた。
召喚獣と言えば、ドラゴンとか大きな獣とか、一般的に人ではないようなものが多いはず。
だがしかし、そこに現れたのは人のようなものでありつつ‥‥‥何処か、異なる存在。
身長はやや高く、華奢な手足をしており、全体的にちょっと細い。
でも、一部が同年代の女子たちと比べると明らかに大きく、その来ている衣服は何やら本とかで見るような、侍女の衣服のような物でありつつも、なんとなくその材質が普通の布らしくない。
顔立ちは整っており、目の色と髪の色は同様の金色でありつつ、頭のてっぺんに主張するようにくるくる回る毛があり、耳の方はややとがっている。
「‥‥‥再起動完了。空間同調及び再設定終了。個体名『ノイン』修得‥‥‥‥」
そうつぶやくと、一歩俺の前に歩み出て、じっと見てきた。
「‥‥‥認識完了。どうぞ、よろしくお願いいたします、ご主人様」
綺麗な姿勢でお辞儀し、彼女はそうにっこりとしながら、言うのであった。
…‥‥希望とだいぶ違うんですが?いやまぁ、フワフワな類とかもちょっと望んでいたが、人そのものが来るとは聞いていない。
というか、人かコレ?なんか違うような…‥‥
雲一つない、綺麗な青空の下、その学園の運動場にて教師たちの声が響き渡った。
「わぁ、ドキドキするなぁ」
「絶対に騎士に騎士に騎士に騎士に‥‥‥」
「魔法が扱える職業であれば、何でも良い!」
「タンクマンになれますようにタンクマンになれますように」
集まっている人たちの声は、それぞれが望む職業の名称。
そんな中で、俺、ディー・ゼロスも他の人々たちと変わらず、願っていた。
(‥‥‥絶対に、召喚士になってやる!)
ここは、ヴィステルダム王国の首都にある、適性学園。
今、この学園の運動場では、入学を希望する生徒たちが集まっており、各々が望む職業になれるかどうか、心の底から願っていた。
「よー!ディー!お前も来ていたのか!」
「お、バルン!お前もやっぱりか!!」
声が聞こえたので振り返って見れば、そこにいたのは同郷の悪友というべきバルンがいた。
「あったりめぇだろディー!何しろ、この適性検査で将来が決まる言っても過言ではないからな!!」
「まぁ、それもそうか」
過言ではないというのも、間違いではないだろう。
この世界、人々にはある職業が眠っており、14歳以降に適性検査というものを受け、初めてその職業を開花させることができるのである。
ありとあらゆる剣技を鍛え、国のかなめにもなる『騎士』。
魔法に精通し、条件が整えば天候すらも操れるという『魔法使い』。
皆を確実に守り抜き、鉄壁かつドMな人がなりやすいとされる『タンクマン』。
隠密、罠解除、情報収集なんでもござれの『シーフ』。
その他色々、様々な職業はあるのだが、その職業が発現すればその職業に見合った能力を獲得できるのである。
とはいえ、基本的にどの職業になれるのかはその本人の適正次第であり、狙った職業になれない事もあるので注意が必要だが…‥‥それでもやっぱり、俺が狙うのは‥‥‥‥
「で、ディーはやっぱりあれか?『召喚士』一点狙いか?」
「ああ、そうだ!」
その問いかけに対して、俺は昔から変わらぬ憧れの職業を狙っていることを伝えた。
『召喚士』、それは召喚獣と呼ばれる様々なモノたちをこの世界に呼び寄せ、使役することができる職業。
数多くある職業の中でも、召喚士は色々と異例なものが多い。
何故ならば、その呼びだせる召喚獣の種類を数え上げれば切りが無く、適性検査で発現する職業に適応した能力を持つ者たちも召喚獣として従えることができたりして、万能職とも言えるのだ。
まぁ、今まで出て来た召喚士も、生涯にせいぜい1体程度しか使役できず、その他の職業に被って目立たないことが多いそうだが…‥‥それでも、やっぱり憧れるものである。
それに、1体だけという決まりよりも、この世界の者でも契約を取って召喚獣になってもらう事もあるらしいからね。そっちに希望を持つのも良いだろう。
「ドラゴンとか、キングタイガーとか、ビックケサランパサランとか、色々あるからね!人にはない個性が楽しみでもあるんだよ!」
「いやお前、前半2つは良いけど後半のそいつはただの毛玉召喚獣だよな?」
まぁ、カッコイイ系が召喚できればいい。その次にモフモフ系が良い。強さも癒しも兼ね備えたものはちょっと贅沢かもしれないが、それでも未知の召喚獣を呼びだせたらそれはそれで面白い。
「それはそうとして、バルンの方はどんな職業を狙うんだ?」
「ん?ああ、騎士とか武闘家とか、とにもかくにも暴れられそうなものが良いな!」
何にしても、そうこうしているうちに、いよいよ俺の番になった。
「では、次!!ディー・ゼロス!」
「はい!」
試験官に呼ばれ、意気揚々と俺は歩む。
その試験場に置かれているのは、たった一つの大きな水晶玉である。
「それでは、『適正判別水晶』に手をかざし、数十秒ほど待て!そうすれば、適正である職業が文字となって、浮かび上がってくる!!」
「わかりました!!」
そう指示を聞き、俺は水晶に手をかざした。
‥‥‥この水晶、ただの透明な玉ではなく、何でも人の適性を確実に調べることができる特殊な鉱石で出来ているらしい。
手をかざし、その人の情報を読み込み、どの様な適性があるのか提示してくれる。
場合によっては複数の職業が提示されることも有るらしいが、選んだ職業だけを発現させられるらしい。
どうなることかと思いながら待つこと数十秒。
すると、水晶がほんのりと輝き、文字が浮かび上がって来た。
そこに書かれているであろう、俺の適正した職業。
どの様なものが描かれているのかドキドキしながらも、しっかり見ようと目を見開いて内容を確認する。
「適正職業‥‥‥『召喚士』…‥‥よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
思わず叫んでしまったが、今までの人達も望んでいた職業を見て叫ぶ人が多いので、別に奇行にとられることはない。
いや、そんな事よりも、望んでいた職業への適正に感動ものである!!
「ふむふむ、職業適性は召喚士か‥‥‥ん?」
っと、試験官がのぞき込み、記録する中でふと疑問のような声を洩らした。
「…‥‥これ、召喚士だが‥‥‥なんか文字が他にあるぞ」
「え?」
言われてもう一度見返せば、確かに文字は『召喚士』としっかりと書かれている。
だが、よーく目を凝らしてみれば…‥‥何やら小さな文字が、その前の部分に浮かび上がっていた。
「…‥‥『異界の召喚士』‥‥?え?でもおかしいものとか‥‥‥じゃないですよね?」
召喚士が呼びだすのは、召喚獣。
その召喚獣は、どれもこれも別世界から呼び出されるものが多く、そう考えると異界から来たと言っても間違いではない。
だが、こんな風にわざわざ『異界の』と強調したのは聞いたことがない。
「ふむ、何か召喚士とは一線を越えるというか、別物の可能性もあるな…‥‥どうも久し振りに新職業として出たのか‥少し待ってくれ」
そう言うと、試験官の人は他にあった水晶前で検査を行ってきた他の試験管たちを呼んで、なにやら話し合う。
その状況に、周囲からの目線が飛んできて、ちょっと落ち着かなくなりそうな中、数分ほどでその話し合いは終わったようだ。
「ああ、待たせて済まない。他の試験管たちにも聞いてみたが、『召喚士』にわざわざ強調するような文が付くのはないようでな。おそらく何か違う職業の可能性がある。そこでだ、確かめるために、ひとつ召喚を行ってくれないか?」
「はぁ‥‥あ、これって召喚する技能とかもう発現してますよね?」
「間違いないだろう。どのように召喚を行うかは、自然とわかるらしいが…‥‥」
「‥‥‥とりあえず、やってみます」
念のために、試験会場からちょっと離れ、空いたところへ移動させられ、そこで召喚を行うことにした。
本来であれば、適性検査で判明した職業があれば、その職業に関する学科へ振り分けられ、実際に行うまで少し学び直してより確認をしっかり行う作業があるのだが‥‥‥今回の場合、俺の『異界の召喚士』は『召喚士』と違うのかどうか今一つわからないために、少し確認を取る必要があるらしい。
「なんとなく自然に‥‥‥か」
ちょっと周囲のチラチラ見るような視線を感じながらも、僕は集中する。
召喚士の召喚獣は基本的に一体だけ。
それ以降も別物を呼びだせたり、場合によってはまた違う場所での召喚契約とか、そういう類の可能性が無きにしも非ずだが、とりあずこれが初めての召喚。
果たしてどのような召喚獣が出るのか…‥‥できればカッコイイ系統でドラゴンとかを望みつつ、召喚を始める。
「‥‥‥『来たれ、我がモノ、異界の者よ』」
自然と頭の中に浮かび上がり、口から出るのは召喚に使用される詠唱。
発言したばかりでもすぐに言えるようになっているようで、聞いてはいたが驚きつつも、今は召喚に集中していく。
「『汝は常に、我が元へ、命じるままでもあり、自由を求める者でもある』」
唱えていくうちに、召喚時に出るとされる魔法陣が光と共に地面に浮かび上がり始め、複雑怪奇な模様を描いていく。
「『我が命を受け、浮かび上がれ、さすれば汝に名を与えん』」
召喚獣は基本的に、召喚されたその時には名前を持っていない。
名前をこの詠唱時に与えることで縁を結び、どこでも召喚することが可能であり、呼び合う仲という事で絆を深めるという事もあるらしい。
そして、その名前を当たる側としては、その詠唱過程で思い浮かぶ名前を告げれば良いようだ。
「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はノイン!!我が元へ来たまえ!!』」
そう声を上げて言うと同時に、魔法陣の模様がすべて完成し、強く輝く。
シュウウウ‥‥‥‥ドォォォォォォォォン!!
それと同時に煙を吹き出し、次の瞬間爆発音が鳴り響く。
「っ…‥‥!!」
少しばかり爆発の衝撃があるも、なんとか耐え抜く。
見れば、魔法陣は既に消え失せ、そこには煙が湧き出ていた。
少し待てば、煙が晴れていき…‥‥その呼び出した者が姿を現す。
「‥‥‥さぁて、名前はノインってなったが、出て来たのは…‥‥」
ドキドキしながら待っているうちに、その容貌が明らかになり…‥‥ちょっと予想外なものが現れた。
召喚獣と言えば、ドラゴンとか大きな獣とか、一般的に人ではないようなものが多いはず。
だがしかし、そこに現れたのは人のようなものでありつつ‥‥‥何処か、異なる存在。
身長はやや高く、華奢な手足をしており、全体的にちょっと細い。
でも、一部が同年代の女子たちと比べると明らかに大きく、その来ている衣服は何やら本とかで見るような、侍女の衣服のような物でありつつも、なんとなくその材質が普通の布らしくない。
顔立ちは整っており、目の色と髪の色は同様の金色でありつつ、頭のてっぺんに主張するようにくるくる回る毛があり、耳の方はややとがっている。
「‥‥‥再起動完了。空間同調及び再設定終了。個体名『ノイン』修得‥‥‥‥」
そうつぶやくと、一歩俺の前に歩み出て、じっと見てきた。
「‥‥‥認識完了。どうぞ、よろしくお願いいたします、ご主人様」
綺麗な姿勢でお辞儀し、彼女はそうにっこりとしながら、言うのであった。
…‥‥希望とだいぶ違うんですが?いやまぁ、フワフワな類とかもちょっと望んでいたが、人そのものが来るとは聞いていない。
というか、人かコレ?なんか違うような…‥‥
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