憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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254 軽くも重くも人次第

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…‥‥朝になり、朝食後に馬車は出発した。

 ここから数時間ほど時間を掛け、昼頃には全生徒が浜辺に並べているはずである。

 そしてその時から半日は遊び、数日間は学び、最終日には遊びという臨海合宿があるのだが…‥‥



「‥‥‥本当に、皆ゴメン」
「いや、いいでありんすよ」
「そうそう、主殿に謝ってもらう必要はないでござるよ。元凶はゼネの妹たちでござるしさ」

 馬車内にて、ディーは召喚獣たちに謝罪していた。

 というのも昨晩、催眠術によって見事に操られ、全員に襲い掛かって拘束していたという状況を聞いたのである。

 一応、催眠術も解かれ、ゼネが何やら細工を施して今後の憂いを失くしつつ、ノインが治療ついでにこちらも何か施して対策ができたそうだが…‥‥それでも、彼女達を襲ったのは事実。

 まぁ、性的な意味合いではなく物理攻撃だったのだからまだ良いのか‥‥‥いや、良くはないだろう。

 罪悪感もあって全員に謝ったが、皆気にしないという返答をした。

「ルナティアやアリスにも謝ったけど…‥‥彼女達も許してくれたのは良かったけど、自分が情けなくなるなぁ‥‥‥見事にかかるなんて、馬鹿かよと言いたいよ」
「無理もありませんご主人様。私達が対策をし忘れていたのが原因でもありますしネ」
「そうじゃよ、御前様が気にする必要はないのじゃ」
「そうか‥‥‥‥ところでノイン、ゼネ。何で樽詰めにされているんだ?」
「「‥‥‥まぁ、起床前にちょこっと話し合いした結果こうなった感じデス(じゃ)」」

 目を横にそらしながら、樽詰めになって頭だけしか出てない彼女達の回答に俺は首をかしげる。

 何やら俺が起きる前に全員での話し合いをやったようで、その際に樽詰めに処されたのだとか。

「何しろ、御前様に催眠術をかけることができたという事実や」
「その後のやらかしなども白状させられましたからネ。ええ、一応ご主人様の貞操などは無事ですが、それでも全員にボッコボコにされまシタ」
「顔は傷ついてないけど‥‥‥本当に何があった?」

 とにもかくにもその詳細は省きつつ、現状樽詰めの刑で済んだようだが、何をやらかしたのか聞きたいような聞きたくないような、複雑な気分である。

 いや、気にしない方が良いという感じだし…‥‥そんな気分は振り払って、今は前を向こうか。

「何にしても、もう数時間ほどで海だし、そっちの方に気分を切り替えるか‥‥‥ゼネ、一応今後襲撃の可能性はないと言って良いよな?」
「そのはずじゃな。妹たちには特別製の呪いなどを施し済みじゃし、今後は昨晩のような真似はないじゃろう。まぁ、組織の手があったら流石にそっちまでは無理じゃが‥‥‥」
「んー、海にまで狩りに出ていたりするようだし、可能性はないとは言えないんじゃないか?現に、それにかかって一時期囚われていた時期があった自分がいるんだぜ?」
「出来るだけ考えたくないなぁ…‥‥」


 ハイガドロンだった時に、組織の研究所へ連れてこられたティアのような例を考えると、海にまで組織の手が及んでいる可能性が無いとは言い切れない。

 とはいえ、向かうためには神聖国を通過する必要があるが、あの国では組織を徹底的に排除しているし、そうやすやすと向かえるはずもないだろう。

 しいて言うのであれば、去年のゲイザーのような突然の自然のモンスターの襲撃などが怖い所ではあるが‥‥‥流石に連続してくることはないと思いたい。

「グゲェグゲェ」
「まぁ、気軽に考えて、今は海を楽しむ事だけを考えればいいか」

 臨海合宿なのでメインは学びとは言え、初日と最終日に思いっきり遊べる機会がある。

 なので、そっちの方だけを考えていたほうが気が楽である。

「というか、できればその間に某の方も鎧を新しく欲しいのだが…‥‥可能か?」
「現状樽詰めにされてますガ、最終日までには新しいのが出来ますので、ご心配なく」

 馬車を牽引しつつ、レイアがふとそう尋ねてきたが、ノインが返答した。

 あの拘束の騒ぎで鎧を失くすという損害があったそうだが…‥‥

「あー、レイアも鎧を無くすことになって済まないな。もっとどうにかできていればそのあたりは何もなかったとは思うのだが…‥‥」
「別に良いよ、マイロード。新しい鎧などを用意してくれればそれだけで安心だからな。まぁ、今はその代わりに鎧代わりになる特殊スーツとか言うのを着ているが…‥んー、でもやっぱりちょっと不安になるな」

 普段鎧を着こなしているレイアにとっては、今の鎧無し状態はちょっと不安になるらしい。

 なので、新しい鎧ができるまでの代わりとして、鎧以上の防御力を誇るというノイン御手製のスーツを着ているらしいが‥‥‥何と言うか、普段隠れているものがでるせいで、ちょっと居心地が悪いらしい。

「視線を感じるような気がするというか、なんというか‥‥‥鎧を着ていたほうがそう言う類も避けられるのだがな」
「そうなのかなぁ‥‥‥?」

 視線の出所は、周囲で並走している馬車からの視線だと思うけどな。主に男の。

 一応凶悪な物があるんだし、一部ではへこんでいる音が聞こえるような気がするが…‥‥気にしないでおこう。

 何にしても、あの長い一夜を潜り抜け、もう間もなく海へと俺たちは到達するのであった‥‥‥

「あ、そうだマイロード。本当に済まないと思っているならちょっとやってくれないかな?」
「何をだ?」
「…‥‥全員へのキス。ゼネだけ奪っているんだし、全員の主なら公平にな?」
「…‥‥はい?」

‥‥‥なんか今、爆弾発言をされた気がするのだが。

 そして同時に、召喚獣たちが一斉にキランというよりもギランというように目を光らせた気がする。あと他の馬車からもちょっとしたような…‥‥

「…‥‥えっと、今は移動中だし、まだ昼間だし‥‥‥」
「なら夜なら良いでありんすかね?」
「それとも/ムード/必要?」
「何にしても、拒否し切ってないし、奪うの良いの?」
「グゲグゲェグゲェ?」

…‥‥何だろう。この肉食獣の檻に放り込まれた草食獣の気分は。

 とにもかくにも、ひとまずはごまかしておいて乗り切ることにしたのであった‥‥‥‥
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