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283 迅速にするべきことは
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‥‥‥馬車の旅は思いのほか快適であり、ちょっと気が緩みかけていた今日この頃。
けれども到着早々、妹が駆け寄って来て、話をしてきて‥‥‥その内容に速攻で気のゆるみを吹き飛ばし、全員に素早く動いてもらった。
どこの馬の骨とも知らぬ輩ならともかく、妹の頼みだからな。
それに、状態を見る限り急いだほうが良かったのだが‥‥‥
「というか、見かけない蝶の治療か…‥‥ゼネ、一応大丈夫か?」
「虫関係は分からぬこともあるのじゃが‥‥‥まぁ、大丈夫じゃろ。というかコレ、普通の虫ではないのぅ。まぁ、応急処置がされているようじゃし、これはこれで手際が良いのじゃ」
「そうなのー?」
妹が首を傾げつつも、不安そうな目で見ているのは、現在治療を施されている一匹の蝶。
なにやら数日前にセラが拾ってきており、何となく見捨てておけないからこそここで出来る限り命をつながせて、俺たちの帰りを待っていたらしい。
一応、治療技術に関しては、この面子はけっこうそろっているからな…‥‥たかが虫一匹ぐらいならば大丈夫かと思っていたが、どうやらただの虫ですらなかった。
「これ、モンスターの一種ですネ。とは言えかなり最小サイズのようデス」
「モンスターなのか」
「ハイ。図書室にあった『世界巨大昆虫モンスター:ミレニアム』によると‥‥‥本来は、体長10メートルサイズの巨大な蝶のモンスターと特徴が酷似していマス。とは言え、どうもこの特徴よりもかなり小さいようですが‥‥‥」
カタカタっと変形させた腕のケーブルを聴診器のようにして確認しながら、ノインがそう分析した。
本来は巨大な蝶のモンスターの一種「ウルバリー」らしい。
―――――――――――――――
「ウルバリー」
巨大な蝶のモンスターの一種であり、平均10メートルほどのサイズを誇る。
特徴的な綺麗な翅をもつのだが、生きている時にしか現れず、死亡した後はすぐに腐り落ちてしまう。
そのため、その美しさを始めて見て装飾品にしようと考えた者たちを泣かせ、別名「商人生殺し」とも呼ばれている。
また、幼虫時は人を喰らうほどの肉食ぶりを発揮するが、成虫となった後は草食に変わる。
――――――――――――――――
「確かに綺麗だけど、小さい奴なのか?」
「ハイ。解析したところ、どうも幼虫時に餌が不十分過ぎたようデス。本来、この蝶の場合、親はたっぷりの肉が確保できるような場所に卵を‥‥‥主にダンジョン内に産み付けるのものなのですが、どうやらその肉を幼虫時に確保できなかったのでしょウ。普通でしたらそのまま死亡したはずですが、生きる貪欲さを秘めていたのか、このまま成虫になれた珍しい個体のようデス」
一応、治療を施した後に襲う可能性などが無いかと思ったが、草食なので特に問題はないらしい。
「というか、わたくしの方に被害がありそうなのですが‥‥‥」
「残念ながら、狙うのは純粋な植物らしいデス。植物モンスターならば、狙うかと思ったのですが‥‥‥」
「さらっと喧嘩売ってません?」
ちょっとぎすぎすした喧嘩が起こりそうなのをなだめつつ、きちんと治療を施していく。
怪我の具合を見ると何かに襲われたのは間違いないだろうが、とにもかくにも今は治すことだけを考えたほうが良い。
そう思いつつ治療光景を見るが…‥ちょっと気になる事もある。
「蝶っぽいけどモンスターか‥‥‥栄養不足で小さいとしても、何によって傷つけられたんだ?」
「不明デス。鋭い爪のような跡があるのですが…‥‥この村の周辺に、その攻撃手段を持つ動植物はいなかったはずデス」
じゅわじゅわと傷が癒えていくのだが、その傷が何によって付けられたのかが不明。
かぎづめのようなものによって、思いっきりガリっとやられたような跡なのだが…‥‥
「また変な化け物でも迷い込んでいるのか‥‥?」
思い返してみれば、この村の周囲には何かしらの生き物が迷い込んでくることはある。
巨大な虎とかサメとか…‥‥そう言えば怪鳥だとか、もっと先にはもっと別の奴がいたとか、周辺を捜せばそれなりにまだ隠れた何かがいてもおかしくはない。
というか、帰ってくるたびにそんな輩がいて欲しくないのだが‥‥‥何故、こうも出てくるタイミングが帰郷にあわされるのかが疑問である。
組織の仕業かと疑いたいのだが…‥‥関わっている割合は半々ぐらいだったし、今回もその可能性が無きにしも非ず。
「とりあえず今は、治療を優先するか‥‥‥」
面倒事を後回しにするのはダメかもしれないが、久しぶりの帰郷だし出来ればそんな面倒なことは考えたくもない。
なので、目の前の命を救う事だけを考えることにするのであった‥‥‥‥
‥‥‥何気に村の周囲は物騒な無法地帯に年々なってきているのではないかと、少しだけディーが疑いたくなっていた丁度その頃。
その予測は外れてはいたのだが‥‥‥そもそもの話、蝶もといウルバリーはどこからここに来たのかという部分が問題であったが、その回答は密かに用意されていた。
いや、用意していたというのは違うだろう。自然発生するものなのだから。
やや村から離れた位置にあり、普段人が入りこまないような場所ゆえに、誰も気が付かなかった。
それ故に、静かな地鳴りが周囲に伝わり始めるも誰も気が付かず…‥‥その災害は起きてしまう。
そして、その災害の矛先は、ディーたちがいる村へ向かって進み始めたのであった…‥‥‥
けれども到着早々、妹が駆け寄って来て、話をしてきて‥‥‥その内容に速攻で気のゆるみを吹き飛ばし、全員に素早く動いてもらった。
どこの馬の骨とも知らぬ輩ならともかく、妹の頼みだからな。
それに、状態を見る限り急いだほうが良かったのだが‥‥‥
「というか、見かけない蝶の治療か…‥‥ゼネ、一応大丈夫か?」
「虫関係は分からぬこともあるのじゃが‥‥‥まぁ、大丈夫じゃろ。というかコレ、普通の虫ではないのぅ。まぁ、応急処置がされているようじゃし、これはこれで手際が良いのじゃ」
「そうなのー?」
妹が首を傾げつつも、不安そうな目で見ているのは、現在治療を施されている一匹の蝶。
なにやら数日前にセラが拾ってきており、何となく見捨てておけないからこそここで出来る限り命をつながせて、俺たちの帰りを待っていたらしい。
一応、治療技術に関しては、この面子はけっこうそろっているからな…‥‥たかが虫一匹ぐらいならば大丈夫かと思っていたが、どうやらただの虫ですらなかった。
「これ、モンスターの一種ですネ。とは言えかなり最小サイズのようデス」
「モンスターなのか」
「ハイ。図書室にあった『世界巨大昆虫モンスター:ミレニアム』によると‥‥‥本来は、体長10メートルサイズの巨大な蝶のモンスターと特徴が酷似していマス。とは言え、どうもこの特徴よりもかなり小さいようですが‥‥‥」
カタカタっと変形させた腕のケーブルを聴診器のようにして確認しながら、ノインがそう分析した。
本来は巨大な蝶のモンスターの一種「ウルバリー」らしい。
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「ウルバリー」
巨大な蝶のモンスターの一種であり、平均10メートルほどのサイズを誇る。
特徴的な綺麗な翅をもつのだが、生きている時にしか現れず、死亡した後はすぐに腐り落ちてしまう。
そのため、その美しさを始めて見て装飾品にしようと考えた者たちを泣かせ、別名「商人生殺し」とも呼ばれている。
また、幼虫時は人を喰らうほどの肉食ぶりを発揮するが、成虫となった後は草食に変わる。
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「確かに綺麗だけど、小さい奴なのか?」
「ハイ。解析したところ、どうも幼虫時に餌が不十分過ぎたようデス。本来、この蝶の場合、親はたっぷりの肉が確保できるような場所に卵を‥‥‥主にダンジョン内に産み付けるのものなのですが、どうやらその肉を幼虫時に確保できなかったのでしょウ。普通でしたらそのまま死亡したはずですが、生きる貪欲さを秘めていたのか、このまま成虫になれた珍しい個体のようデス」
一応、治療を施した後に襲う可能性などが無いかと思ったが、草食なので特に問題はないらしい。
「というか、わたくしの方に被害がありそうなのですが‥‥‥」
「残念ながら、狙うのは純粋な植物らしいデス。植物モンスターならば、狙うかと思ったのですが‥‥‥」
「さらっと喧嘩売ってません?」
ちょっとぎすぎすした喧嘩が起こりそうなのをなだめつつ、きちんと治療を施していく。
怪我の具合を見ると何かに襲われたのは間違いないだろうが、とにもかくにも今は治すことだけを考えたほうが良い。
そう思いつつ治療光景を見るが…‥ちょっと気になる事もある。
「蝶っぽいけどモンスターか‥‥‥栄養不足で小さいとしても、何によって傷つけられたんだ?」
「不明デス。鋭い爪のような跡があるのですが…‥‥この村の周辺に、その攻撃手段を持つ動植物はいなかったはずデス」
じゅわじゅわと傷が癒えていくのだが、その傷が何によって付けられたのかが不明。
かぎづめのようなものによって、思いっきりガリっとやられたような跡なのだが…‥‥
「また変な化け物でも迷い込んでいるのか‥‥?」
思い返してみれば、この村の周囲には何かしらの生き物が迷い込んでくることはある。
巨大な虎とかサメとか…‥‥そう言えば怪鳥だとか、もっと先にはもっと別の奴がいたとか、周辺を捜せばそれなりにまだ隠れた何かがいてもおかしくはない。
というか、帰ってくるたびにそんな輩がいて欲しくないのだが‥‥‥何故、こうも出てくるタイミングが帰郷にあわされるのかが疑問である。
組織の仕業かと疑いたいのだが…‥‥関わっている割合は半々ぐらいだったし、今回もその可能性が無きにしも非ず。
「とりあえず今は、治療を優先するか‥‥‥」
面倒事を後回しにするのはダメかもしれないが、久しぶりの帰郷だし出来ればそんな面倒なことは考えたくもない。
なので、目の前の命を救う事だけを考えることにするのであった‥‥‥‥
‥‥‥何気に村の周囲は物騒な無法地帯に年々なってきているのではないかと、少しだけディーが疑いたくなっていた丁度その頃。
その予測は外れてはいたのだが‥‥‥そもそもの話、蝶もといウルバリーはどこからここに来たのかという部分が問題であったが、その回答は密かに用意されていた。
いや、用意していたというのは違うだろう。自然発生するものなのだから。
やや村から離れた位置にあり、普段人が入りこまないような場所ゆえに、誰も気が付かなかった。
それ故に、静かな地鳴りが周囲に伝わり始めるも誰も気が付かず…‥‥その災害は起きてしまう。
そして、その災害の矛先は、ディーたちがいる村へ向かって進み始めたのであった…‥‥‥
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