大東亜架空戦記

ソータ

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連合国軍参戦

ガスコーニュ湾大海戦

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地上ではドイツ軍と連合軍の大攻防戦が繰り広げられている。その裏、海上では日本海軍とドイツ海軍が真っ向から打ち合いを始めようとしていた。

「空母部隊に離脱せよと伝えてくれ」
「かしこまりました」
第一艦隊司令長官である清水光美中将が発した言葉は直ぐに第一航空戦隊赤城へ送られた。
「返信、了解、全艦取舵250度」
「250度宜候」
空母部隊が艦隊より完全に離脱する。
140隻いた艦隊は約70隻程度に縮小された。
ドイツ海軍も空母を切り離したが護衛は駆逐艦がたったの15隻のみであった。
そして残った戦力は42隻である。

「約40隻か....どう見る」
「やはり脅威はヤマトクラス、報告によれば新型戦艦は18インチではなく20インチなのではないかと」
「バカを言え....そんな巨砲積めるわけが...」
「もし仮に本当だとして、我らにそれを防ぐすべは無い....ましてや日本海軍は連戦錬磨、我らは日米と比べ地中海での小競り合いを続けた程度...」
「質でも量でも負けておりますな。」
「やる前から弱音ばかり...負けるとわかっていたこの戦いで今更何に怯える」
「しかし...」
「負けるとわかっているのならば、それなりの意地を見せようじゃないか」
「ならば、せめて1隻、ヤマトクラスを沈めましょう」
「1隻?3隻でも持っていこうじゃないか、ははは」

「電探に感あり!方位二一二!距離八十海里!」
「まだ少し遠いか...」
「長官、進路を敵艦隊に向けましょう」
「ん、よろしい、面舵、進路二一二」
「おもーかーじ、進路二一二宜候」
3時間ほど経つと彼我の距離はそろそろ大和型の射程に入りそうな程に縮まっていた。
「観測機を発艦させよ」
零式水上観測機がカタパルトより合計六機が発艦する。
「電探員!距離は!」
「およそ30海里!」
「20海里にて戦端を切る」
「はっ」
「貞石砲術長、現時刻をもって艦隊の戦闘指揮権を君に委ねる」
「はっ!引き継ぎます!最大戦速、基準は武蔵!」
「思い切りが良いな」
「先手を取りたいので、少し急ぎます」
「ん、任せるよ」
「反航戦、右砲戦用意、主砲旋回!」
艦隊全体に緊張感が走る。
「距離20!」
「全艦主砲!撃ち方始め!」
武蔵の46cm砲の砲声に続いて日本艦隊から次々に鉄の弾が撃ち放たれる。
『弾着!今!命中弾なし!夾叉!至近弾多数確認!』

「ぐっ....至近弾でこれか...!」
「初弾で夾叉されるとは...」
「敵との距離は!」
「約22マイル!」
「22マイルだと!?」
「そんなに離れていてこの精度か....」
「マインシュタイン君、砲術戦は君に任せる。」
「ヤー」
「次弾来ます!」

『弾着今!駆逐艦らしき小型艦艇に主砲弾命中確認!』
「目標は戦艦!偏差知らせよ!」
『弾着は戦艦より1000手前!』
「当たったのは外郭の駆逐艦だろうな」
「ええ」
「彼我の距離は」
「およそ15海里程かと」
「そろそろ敵の射程に入るな」
「敵の射程はどれほどなのだ」
「ビスマルク級が12.5海里、シャルンホルスト級が10海里、新型戦艦はおそらく15海里ほどかと」
「新型の射程にはもう入るではないか...」
「我々は撃ち合いに来たのだ、好都合ではないか、それに我々の装甲をあちらの戦艦では抜ききれん、近くなれば近くなるほど我らに有利」
「その通りです」
「戦艦は良いかもしれませんが、巡洋艦以下はどうするのです」
「敵の戦艦はビスマルク級で38cm47口径、シャルンホルスト級で28cm54口径、戦艦としては我が軍の旧式戦艦よりも劣ります。それに我が軍の重巡は最大で25cm50口径、従来の重巡でも20cm50口径です。敵の練度を鑑みれば巡洋艦のみでも勝機はあります。」
「奢っているのでは無いか?」
「そうだ、この大和級でも如何に格下相手とはいえやられないとも限らん」
「38cm砲では武蔵は万に一つあるかもしれませんが他の4隻ではありえません」
「距離27000!そろそろ敵が見えます!」
「見張り員!敵は見えるか!?」
「....あ!今光りました!おそらくは敵艦!発砲してきました!」
「敵弾!来ます!」

「弾着今!」
「どうだ!」
「爆発は確認できず!おそらくは良くて至近弾!」
「やはり一発ではいかんか...」
「全艦速力このまま面舵10度」
「敵艦発砲!」
「衝撃に備えよ!今度は当たるぞ!」

「弾着!今!」
「どうか!」
『敵小型艦艇に命中3!、中型に命中4!戦艦に3!』
「よし!」

「右舷後部に被弾!戦闘に支障なし!」
「ヒットラー被弾!」
「アドミラル・ヒッパー、グラーフ・シュペー被弾!グラーフ・シュペー炎上!」
「なんだと!?」
「グラーフ・シュペーより無電が」
「代われ!こちらシャルンホルスト!」
『こちらグラーフ・シュペー!機関部に浸水!機関停止!航行不能です!』
「直ぐに退艦したまえ!」
「敵が見えました!」
「敵艦さらに発砲!」
「衝撃に備えろぉ!」

「弾着!敵戦艦に命中弾2!」
「...敵艦炎上確認!」
「どう出る...ドイツ海軍...」
「敵艦発砲!」
「ヤツらにも根性というものがあるのだな」
「弾着!」
「伊勢、岩木、夕張、夏雲被弾!」
「長門に続き伊勢か...」
「大和型以降竣工した戦艦に対しては砲撃されていないように感じます」
「うーん」
「しかしここで伊勢を切り離したところで護衛艦艇に割く艦艇が勿体なく感じます。」
「伊勢を切り離すつもりは無いよ、伊勢乗組には申し訳ないがね。あくまで小林君の判断だが...」
伊勢艦橋は少し騒然としていた。
「伊勢より入電、機関損傷速力低下!」
「全艦に通達、一層奮励努力セヨ」
「了解」

「離脱は許さんということか…」
「逆に離脱を要請することも出来る。どうする作戦参謀」
「速力が落ちたとはいえ継戦能力は有していますし、この状態で離脱すれば伊勢の名が地に落ちます。
それに私は元々鉄砲屋ですよ、離脱するのを良しとするはずがないでしょう」
「君らしいな、では、総員死二方用意」
「伊勢に花をたむけてやりましょう」
直後伊勢全体が揺れる
「第3砲塔に直撃!艦後部との連絡遮断!」
「機関部の浸水拡大!」
「武蔵、甲斐被弾!」
「ははは!大海戦だな!」
「主砲徹甲弾装填!」
さらに後部から轟音が聞こえる
「第4主砲発砲!」
「1番2番も砲撃始め!」

「伊勢が砲撃を再開!」
「やはり彼も強情だな」
「武蔵さらに被弾!右舷に火災確認!」
「何!?」

「右舷副砲郡壊滅!」
「連絡は取れるか?」
「もう一度やってみます」
艦橋に沈黙が流れる
「...応答無し!」
「艦長」
「主砲は右戦闘のまま継続、大塚くん、見てきてくれないか」
「了解」

甲板におりた大塚大佐が見た景色はまさに地獄そのものである。
四肢が引き裂かれた将兵が爆発の衝撃などで壁にたたきつけられた後や、ひっくり返った銃座の下敷きになっていたりと、炎で明るいにも関わらず生存者など確認できないほどに悲惨な状況と化していた。
敵弾はさらに炎によって明かりがともされた武蔵に降り注ぐ。
「別れは必ずする。今は許せ。」

「どうだった。」
「生存者確認できず...復旧も不可能。」
「そうか...」
「機関に浸水が始まった」
同じ階級である寺石副参謀が現状を伝えてくる
「大和型の防隔が抜かれたのか!?」
「原因はまだ分からん。」
「まだ焦るほどの浸水じゃない。応急処置を急いでる」
「そうですか。」
この時武蔵に照準を合わせていたのはドイツ海軍最新鋭戦艦であるヒットラー級戦艦1番艦、ヒットラーであった。
ヒットラー級の主砲は50口径41cm3連装砲4基であり、長門型と大差ないものであった。
むしろ長門型は41cm連装砲であるため、門数ではヒットラー級の方が有利とも言える。
あくまでこの時日本軍の想定ではドイツ軍戦艦は最大でもビスマルク級の38cm砲であると思っていたのである。

「報告!敵小型艦多数こちらに接近!」
「敵の水雷戦隊か」
「巡洋艦を前に!」
直後日本艦隊を光が包み込む。
「敵艦探照灯照射開始!」
「目潰しか...」
「電探では捉えているでしょうが...」
「敵艦の速力もなかなかに早く目が慣れるのを待つ時間はおそらくありません。」
「わかってる。」
「全艦敵艦隊方向に副砲にて威嚇射撃開始主砲は先程までの偏差記録を元に諸元を打ち込み砲撃続行」
砲術長である高見康隆大佐は落ち着いた表情で言葉を発した。
「何している早く全艦に伝えないか」
「りょ、了解!」
ガスコーニュ湾大海戦は激戦へと捻れこんでいく。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

ypaaaaaaa
2024.12.09 ypaaaaaaa

やはり飛行機乗りの物語は華やかでもありどこか寂しげですね…これからも頑張ってください!

2024.12.09 ソータ

ゆっくりですが頑張ります!
コメントありがとうございます!

解除
あさのりんご

この時代を物語にしたドラマが大好きです。戦前とは違い様々な視点があるかと…今後の展開が楽しみです。 夢野凛

2022.06.08 ソータ

ありがとうございます!
でも正直もうネタ切れですw

解除

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