子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 180

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…そして一月後。


ガウ領に派遣した兵達を急いで呼び戻し、北方騎士団達の働きもあってかウィロー伯爵はなんとかライツの軍勢を退けたようだ。


…その代償としてガウ領は治安の悪化や収益の大幅な減収など大変な事になっているみたいだが。


「いやー、ウィロー伯爵も大変だ…」

「また何かあったんですか?」

「国境の防衛で褒められたけど領地の件で怒られたっぽいよ。はい」


俺が報告書を読みながら同情するように呟くとお姉さんは本から目を離して尋ねてくるので、俺は内容を軽く話して報告書を渡す。


「…ガウ領の収益が半分以下…?コレ、坊ちゃんの時の約二割の数字じゃないですか?」

「まあまだ確定じゃなくて推定だけど、良くて三割ぐらいだから…マジでヤバいと思う」


お姉さんの驚きながらの確認に俺は一応不確定情報である事を告げながら笑って返す。


「…税率は他の領内と比べても約1.25倍高い…前の時の約2.5倍なのに税収が約二割から三割って…ありえない…!」

「俺らみたいな外の人間が予想で簡単に計算してコレだから伯爵とか、居るとしたら代行?とかは頭が痛い…なんてもんじゃ済まなさそう」

「これじゃ国に納める分も確保出来るかどうか怪しいですね…本当に大変そう…」


報告書の内容に更に驚くお姉さんに俺が推定での計算結果である事を念押ししながら流石に同情するように言うとお姉さんも同情するかのように呟く。


「しかもライツも北の国境付近に軍を滞在させてるみたいだから安易にガウ領に兵を派遣出来ない…ってのも痛いだろうね」

「…坊ちゃんの予想通り、領地の立て直しに失敗してガタガタのボロボロじゃないですか…毒の効果が強すぎません?」


俺がウィロー伯爵の頭痛の種の一つを説明するとお姉さんはちょっとヒいたように返してくる。


「そりゃどんな貴族でもヤれるレベルの毒なんだから猛毒じゃないと。直ぐに解毒されたら嫌がらせ程度にしかならないし」

「…でも流石にここまでとなると坊ちゃんの下に戻っても毒のまんまでは?立て直しがかなり厳しくなると思いますが…」


俺の返答にお姉さんは先の事を想定して心配したように確認してきた。


「それが大丈夫なんだなー、コレが。税率を前の時と同じぐらいに下げて今はローズナーに退避させてる人達を戻せばアラ不思議。今まで通り元通りになる…ってわけ」

「元通り…になりますかね?治安の悪化や土地とか壊された建物とか施設とか、問題はいっぱいありますけど…」

「領地運営と領民達の生活は元通りになるんだから、生活に余裕が出来れば心にも余裕が生まれるじゃん?そうなったら他の所にまで手を回せるようになるし、復興とかは意外と早くなると思うよ」

「…それもそうですね」


俺が笑いながら解毒の計画を話すとお姉さんは心配そうな顔のまま疑うような感じで言うが…


俺の説明を聞くと少し考えて納得したかのように笑う。


その翌日。


珍しくドードルの将軍から手紙が届いた。


「…げ。マジか…」


手紙の内容には『アンヘレナ公爵の差し金で無理やり領地替えをさせられて西の領地に飛ばされた』的な感じのが書かれていて俺は驚きながら呟く。


「…コレは…マズイかもしれん…」


もしかしたら一刻を争うかも知れないので俺は変化魔法を使って分身し、西の国境を守る辺境伯の下へと報せに行く事に。




ーーーーー





…分身の俺がドラゴンに変身して城塞都市に移動し、城に行って辺境伯へと面会を求めると…


「おお!そちらから来るとは珍しい。歓迎するぞ、ゼルハイト卿」

「ありがとうございます」


辺境伯である青年が嬉しそうに自ら出迎えてくれ、分身の俺は軽く頭を下げて礼を言う。


「国境の視察に来たのか?」

「はい。それと早急に報告すべき事態が発生したようなので…」

「…何かあったのか?」


青年は部屋に案内するように歩きながら尋ねるので、分身の俺が一応肯定しながらついでのように本題を告げると足を止めて真剣な顔で確認してくる。


「実はドードルの将軍様から自分に手紙が届きまして…どうやら領地替えに遭われたようです」

「『領地替え』だと?そんな事が…?あの将軍がこの国境付近から離れるとは考えづらいが…」


分身の俺の報告を聞いて青年が不思議そうに聞き返した後に考えるように呟く。


「どうやら敵対している相手の公爵が将軍に好条件を提示し、周りからの圧力もあって本人の承諾も無しに強行された…と、書かれてました」

「…なるほど…そのような報告は一切入って来なかったが…ドードルでそんな事が起こっていたとはな…」


分身の俺が手紙の内容を一部話すと青年は不思議そうにしながらも納得したように呟いた。


「おそらくあの公爵ならば直ぐに兵を集めて攻め込んで来ると思います。でなければ自分が損をしてまで将軍との領地替えを強行しようとはしないハズなので…」

「うむ。…このタイミング…国内の派閥争いが激化し、ライツまで動いた今ならば…自分ならば勝てると自惚れたか」


分身の俺の予想に青年も肯定しながら予想するように返し、不快そうな顔をして歩き出す。


「…我々の領土を奪えるという前提で目算を立て、行動に移したのであれば甘いと言わざるを得ないですね」

「ゼルハイト卿。貴重な情報、感謝いたす。直ぐにでも防衛の準備に取り掛かろう」

「では、自分はこれで」


分身の俺が公爵を馬鹿にするように言うと青年は行き先を変えて対策にあたるようなので、分身の俺は邪魔にならないよう帰る事に。


「…済まんな、次はゆっくり話し合えるといいが…」

「もし何かあればお呼び下さい。なるべくなら手遅れになる前に…」

「ああ!期待しているぞ!」


すると青年は申し訳なさそうな顔で謝り、分身の俺が好感度を上げるためにそう告げたら青年は嬉しそうに笑って応える。
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