子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 308

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「…ただいまー」

「おう、帰ったか」

「…えっ!?ゼルハイト様が…二人!?」


女の子を王都に送った後に帰宅すると夕飯を一緒に食べていた少女が自室に入って来た分身の俺を見た後に俺を見て驚く。


「あー…」

「ああ、俺の影武者ってやつ。俺が不在の時に代わりを務めてる」

「…かげ…むしゃ…?」


分身の俺が気まずそうに頭を掻くので俺が適当な感じで説明すると少女は不思議そうな顔をした。


「とりあえずほらよ」

「おう。サンキュー」

「じゃあな」


分身の俺はポーチを投げて渡すので俺が受け取って礼を言うと部屋から出て行って直ぐに分身を解く。


「どこかに行ってたんですか?」

「ダンジョンに。帝国の友達が一緒に行きたいって言ってたから」

「あー…そう言えば帝国のハンターが来てた、って言ってたね。あんたの友達だったんだ」


お姉さんの問いに俺が簡単に説明すると女性が思い出すような感じで意外そうに言う。


「どうやら今日はアルケニーがダンジョンに大量発生してたらしい。結構いっぱい倒したはずだけど糸はアッチにほとんど持ってかれたみたいだ」


俺は飯を食いながら空間魔法の施されたポーチから魔物素材を取り出して告げる。


「まあアルケニーの糸って貴重ですからね…贈り物としても欲しくなる気持ちは分かります」

「でもその量でもなんとか一着分は作れるんじゃないかい?」

「貰う?要らなかったらリーゼにあげるけど」

「私は既に二着持ってますし、普段使いするような物ではないのでこれ以上は必要無いかと…」

「あたしもアーシェに同じ」

「…あの…私に売って貰えないでしょうか?」


お姉さんが納得したように返すと女性は予想を言い、俺が確認するも二人が断ると少女が恐る恐るといった様子で聞いてきた。


「ああ、いいよ。どうせウチの母親も妹も服はいっぱい持ってるし」

「!ありがとうございます!今の体型に合わせた式典用の服を探していたところなんです!アルケニーの糸は全然見つからなくて…!」

「…まあ坊ちゃん以外だと手に入れるのは難しいでしょうね」

「そもそもアルケニーって滅多に見れない珍しい魔物だからね」


俺の了承に少女は喜びながら欲しがる理由を話し、お姉さんが賛同するように言うと女性も同意するように返す。


「ゼルハイト様の影むしゃ?という方もかなりの強者なのですね」

「まあ俺の分身とも言えるから…」

「…それが比喩表現ではなく事実なのが恐ろしい…」

「…全くだ」


少女が意外そうに褒め、俺が微妙な感じで肯定するとお姉さんはボソッと呟いて女性も同意するように呟く。


「…残念ながら秘匿事項上魔石はほとんど取れなかったみたいだ。5個しか無い」

「それでも5個は取れたんですね」


俺は空間魔法の施されたポーチから魔石を取り出して言うとお姉さんは意外そうに言う。


「いつもの癖ってヤツで。人前だと気をつけてはいるけど気を抜くとついやっちまうからなぁ…」

「なるほど」

「…あたしはまだ実際には見た事無いけど…本来なら『魔石抜き』ってそう簡単に出来る技術じゃないんだろう?魔法協会の秘匿事項の中でも最重要の枠に入ってるとか聞くし」

「あー、まあ。…今言った通り、慣れからくるいつもの癖ってヤツだから俺にとっては難易度とか関係ないんだ」


俺が反省するように呟くとお姉さんは納得して女性が疑問を尋ねてくるので俺はどう説明したものか…と考えながら答える。


「指導の時は『魔石抜き』ではなく『心臓潰し』をするようにしてるらしいですが…過程が一緒だとついいつも通りやってしまってもしょうがないと思いますよ?」

「…そもそも貫手を突っ込まない方が良いんじゃないかい?そしたら怪しまれずに済むと思うんだけど…」


お姉さんのフォローに女性は微妙な顔をしながらツッコミを入れるように対策を告げた。


「魔石は興味無いから諦めがつくけど流石に肉を捨てるのはもったいなくてね」

「…なるほど」

「…普通逆だと思いますが…」

「ですよね」


俺が貫手で魔物の核を狙う理由を話すと女性は納得するように言い、少女がツッコむように指摘するとお姉さんも同意する。


「魔石で腹は膨れないし。あと魔物ならどれからでも取れるからあんまり貴重って感じもしなくない?」

「『今は』『現状から言えば』そう捉えられても仕方ないですが…正直ダチョーやグリーズベアーの肉の方が魔石に比べたら遥かに入手し易いですからね。世界的に見れば魔石と違って極少数でも流通はしてますし」

「あー…確かに」


俺の魔石より魔物の肉を重要視しながらの問いにお姉さんが呆れたように反論し、俺は論破されて納得した。


「それに魔物によって質が全然違いますよ?初級の…ゴブリンやスケルトンの魔石でさえ、魔法協会に納品された数は過去最高で累計5個ですし」

「中級の魔物の魔石に至っては魔法協会に納品したのはゼルハイト様が初めてです」

「そういや俺の前までで発見された中で一番強い魔物…と言うか質が一番高かった魔石ってなに?納品されてないだけで発見の報告はあったはずでしょ?」


お姉さんは更に話を続けて少女が補足するように言うので俺はたった今思いついたふとした疑問を尋ねる。


「ゼルハイト様以前であれば73年ほど前のオークの魔石…でしょうか。中級の魔物の魔石が初めて発見された…との報告を受けた時の衝撃は今でも鮮明に覚えております」

「へー」

「まあその後の坊ちゃんのダチョーからグリーズベアーときてのミノタウロスの魔石ですからね…しかも初ダンジョンのデビュー日に」

「…ゼルハイト様の報告は過去に例が無いほど人智を超えたものばかりでしたので…忘れようと思っても一生忘れられないかもしれません」


少女の報告に俺が意外に思いながら相槌を打つと何故かお姉さんが俺の事を持ち出して呆れたように話し始め、少女も困ったような感じで笑いながら返した。
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