子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
371 / 480

青年期 307

しおりを挟む
ーーーーー




「…うわっ、もうこんな時間…」


ダンジョンの外に出る頃にはもう夕方近くになっていて、女の子が時計を見ながら意外そうに呟く。


「まあ今日は楽しかったよ。ソッチの戦い方は一切参考にならなかったけど」

「そりゃそうだ」

「でも色々と収穫はあったし…やっぱマスタークラスって凄いね。めちゃくちゃためになった」

「良かったな」


女の子の感想に分身の俺が同意すると女の子が今回ので得られるものがあったらしい事を言い、分身の俺は適当に返す。


「じゃあ私は王都に戻るから、送ってって?」

「その前に戦利品の分配があんぞ。要らないんなら全部俺が貰うが」


女の子が甘えるようにお願いしてくるが分身の俺はダンジョン内で取った魔物素材を魔石を除いて広げていきながらそう告げる。


「え、いいの?」

「おう」

「でも指導や教導でダンジョン入った場合って戦利品の権利は全部指導する立場の冒険者にいくでしょ?」

「別にその権利を行使するか否かは個人の自由で判断次第だろ。俺は一度も行使した事無いが」


女の子の確認に肯定するともう一度確認するので分身の俺は適当な感じで返して自分の例を話す。


「…まあソッチは簡単に取れるから欲なんて無いだろうし…まあいいや。貰えるってんならありがたく、何があるかなー…」


女の子は微妙な顔をしながら呟くと気持ちを切り替えたように嬉しそうに地面に広げた魔物素材を確認し始めた。


「グリーズベアーとダチョウの肉は絶対に外せないから…半分貰ってもいいんだよね?」

「おう。意外と謙虚だな」

「え。もしかして全部貰っていいの!?」

「欲しければ貰えば良いじゃねーか」


女の子が真っ先に魔物の肉を確保して量について確認し、分身の俺が肯定して弄るように言うと女の子は驚きながら聞くので分身の俺は適当な感じで肯定する。


「…やめとく。やっぱ半分あれば十分だし」

「ほう」

「ほら、私って謙虚な女じゃん?『良い女』ってのは『謙虚』でなくちゃね」

「…反応に困る。そしてツッコミにも困るんだが…」


少し迷って手を引っ込めた女の子に分身の俺が意外に思いながら呟くと女の子が否定も肯定も難しい反応に困る事を言い出し、分身の俺は微妙な顔でソレをそのまま伝えた。


「…あ!コレって…!この糸ってもしかして!?」

「アルケニーの糸だな」

「マジ!?落としてたの!?ってかこの量だったらソッチが倒した魔物全部じゃない…?」


女の子が魔物素材を見ていきながら糸を見て驚き、分身の俺が肯定すると驚愕した後にちょっと冷静になって予想する。


「核だけピンポイントで壊して倒すと魔物素材が全部落ちるぞ。知らなかったのか?」

「え!なにそれ、初耳なんだけど」


分身の俺の確認に女の子はまたしても驚いた後に否定するように返した。


「あれ?説明した気もするが…まあいいや」

「…この糸も貰っていいの?」

「んー…じゃあダメ」

「えー!ちょうだい!マジでお願い!アルケニーの糸って最高級の布になるからめちゃくちゃ生地の良い服が作れるし!」


分身の俺が切り替えるように言うと女の子がわざわざ確認してくるので意地悪するように却下すると、女の子は手を合わせて必死に頼み込んでくる。


「そんなに欲しいなら貰えば良いじゃねーか。わざわざ何度も確認すんなよ、面倒くせぇ」

「やったー!流石に全部貰うのはアレだけど、必要量として2/3ぐらいは貰うね。やったー」


分身の俺のため息を吐いて面倒くさがりながらの許可に女の子は両手を上げて喜び、言い訳するような感じでゴッソリと糸を取った。


「…じゃあもう他は要らないかな。肉と糸があれば十分過ぎる」

「そう?じゃあもう片付けるぞ?」

「うん。ありがと」


女の子はこれ以上受け取らないような事を言うので一応確認すると肯定し、分身の俺は魔物素材を片付ける事に。


「しっかしアルケニーの糸まで取れるって凄くない?彼女とかにあげなくていいの?」

「母親とか妹とかみんな服を何着か持ってるからな…まああげたらあると嬉しいぐらいには思うんじゃね?」

「…うわー…めっちゃ贅沢。ほとんど手に入らない最高級の布地を『あると嬉しい』程度って…」


女の子の笑いながら弄るような問いに分身の俺がお姉さんや女性を含めての返答をすると女の子は羨ましそうな感じで呟く。


「そりゃ魔物さえ発見出来れば簡単に調達出来るし。まあ普段はほとんど見ない上に見ても一匹二匹で、今回みたいな大量発生も半年に一回遭遇出来るか否か…なんだが」

「マジ?じゃあ今回のってガチで運が良いヤツだったんだ…バイソン出ないから外れだと思ってたのに」


分身の俺は片付けながら理由を話して補足すると女の子が驚いたように返す。


「…よし。じゃあ帰るか」

「ん。お願い」

「王都で良いんだっけ?」

「うん。一旦部下と合流しないといけないから。報告も聞かないといけないし、そのまま勝手にソッチの所に泊まると無駄な心配とかかけちゃいそうだし」


分身の俺が片付けを終えて変化魔法を使ってダチョウに変身して伏せると女の子が背中に乗り、行き先を確認すると肯定して理由を告げる。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

処理中です...