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第149話:あんたもデュラハンみたいに首がなければ腰痛もなくなるんじゃないのか、ふざけんな、首がないと死ぬだろが
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。
朝。
今日はかなり寒いなあと思ったら、首がまた痛い。
「ウォ!」
「どうしたんすか、リーダー」
「今、また首がグキッと音がした。破滅の音だ。激痛だ」
「何が破滅の音なんすかね。また、寝違えたんすか。それに、リーダーの人生はもうとっくの昔に破滅してるからいいじゃないすかね」
「うるさいぞ。ふう、しかし、今日は寒いな」
「どてらを着ていても寒いっすかね。次はマフラーでも首に巻いて寝たらどうすか。ところで、また寒さを理由にさぼるんじゃないすかね、爺さんリーダーは」
「いや、ちゃんと仕事には行くぞ」
そんなわけで、手押し車を押しながら冒険者ギルドに向かう。
「うむ、体を動かすと多少は温かくなってきたぞ」
「もうリーダーの人生は終わっているんだから、ずっと動かないでそのまま凍死するってのもいいんじゃないすかね」
「おいおい、勝手に殺すなよ」
さて、下らない会話をしながら、冒険者ギルドに到着。
すると、緊張した顔で、顔見知りのある優秀なパーティーがギルドから出て行く。
俺はリーダーに聞いてみた。
「何かあったのか」
「デュラハンが現れたらしい。その討伐を頼まれた」
おお、デュラハンと言えば「首無し騎士」ではないか。
なかなか強いモンスターだぞ。
俺はギルドの主人に頼み込む。
「おい、デュラハン退治に俺も参加させろよ」
「あんたには無理だな」
いつも通り冷たい返事のギルドの主人。
「そんな手押し車で体を支えている冒険者にデュラハンを倒せるわけないだろ」
「うるさいぞ。俺はまだ現役冒険者だ、ウォ!」
イテテ、ああ、腰が痛い、おまけに首も痛い。
「大丈夫すか、リーダー」
「くそ、この腰痛、首痛なんとかならんか」
「この前、坂道をゴロゴロと転げましたからねえ」
やれやれ。
もう、すっかり体がダメになりつつあるなあ。
「だいたい、人間は頭が重すぎて、おまけに二足歩行をしているから腰痛やらが多いって話があるっすねえ」
相棒の話を聞いて、笑うギルドの主人。
「あんたもデュラハンみたいに首がなければ腰痛もなくなるんじゃないのか」
「ふざけんな、首がないと死ぬだろが」
ったく、バカにしやがって。
そして、頼まれたのは、またスライム退治だ。
やれやれ。
さて、いつも通りのつまらぬスライム退治に向かう。
場所は村から少し離れた草原。
「まったく、おもろーないぞ」
「でも、今日はスライムが多いっすね」
確かに大量にいるなあ。
けっこう退治に時間がかかる。
「ああ、腰が痛いぞ。首も痛い。少し休む」
「しょうがないすねえ。歯抜けのリーダーは」
俺は木陰で焚火。
そこで手押し車に乗せて持ってきたやかんを焚いて、お茶を飲む。
ああ、体が温まるぞ。
「何、くつろいでんすか、歯抜けのおっさんリーダーはどうしようもないすね。今日は珍しくスライムが大量発生していて忙しいのに」
「仕方がない。腰や首の痛みが治まるのを待っているのだ。『忙中閑あり』だな」
「何すか、それ」
「どんなに忙しい時でも、一息つく時間を見つけて楽しむことや、心の余裕を忘れないことが大切ってことだ」
「何を言ってんすかね。一息つくどころか、リーダーの人生は、もう、窒息死寸前てな感じなのに」
「うるさいぞ。さて、もう少し働くか」
俺はのそのそとスライム退治を再開。
結局、夕方近くまでかかってしまった。
「さて、これくらいでいいだろう、帰るか」
「うぃっす」
また、手押し車を押しながら、のそのそと村道を歩く。
すると股間に違和感が。
「おっと、ちょっと用を足してくる」
「例の慢性前立腺炎すかね」
「そうだ。ちょっと林の中に入るから、お前はここで待っていてくれ」
やれやれ。
年を取るとそこら中、故障だらけだ。
さて、村道から少し離れて、用を足していると馬のいななきが聞こえてきた。
村人が馬でも走らせてきたのかと思うと、おお、銀色の甲冑を被った人物が相棒を槍で襲おうとしている。
しかも、首が無いぞ。
デュラハンが声を上げる。
「死にたくなかったら金を出せ!」
「ふざけんな!」
首無し騎士とナイフで応戦する相棒。
いったん、騎士がまた馬を走らせて離れる。
俺は慌てて、相棒の元に近寄った。
「おい、大丈夫か」
「あいつ、デュラハンすか。でも、冒険者ギルドで聞いた出現場所とは、ここは全然違うんすけど」
「うーん」
どうも変だな。
「デュラハンってのは、首を片手に持っているものだがなあ。あいつは持ってないぞ。それに妙に胴が長くないかなあ。後、モンスターの気配がしないんだな」
「爺さん冒険者の勘って奴すかね」
「そうだな。だいたい、デュラハンが金を要求するってのも変だ。おい、ちょっと、囮になって走ってくれよ」
相棒にわざと逃げるように言う。
村道を逃げる振りして走る相棒。
首無し騎士がそれを追って走ってくる。
俺は道の端っこに隠れている。
首無し騎士が乗っている馬に向かって、手押し車をぶつけた。
馬が立ち上がって、首無し騎士が落馬。
「イテテ」
何でデュラハンがイテテとか言うんだよ。
俺は落馬した首無し騎士の背中を思いっきり、剣の鞘でぶっ叩く。
うめき声を上げて動かなくなる首無し騎士。
デュラハンってのは、甲冑の中は空っぽのはずなんだがなあ。
俺は甲冑を引きはがす。
すると、人間が頭をすくめて両腕を突き出していやがった。
……………………………………………………
「おい、デュラハンを倒したのに報酬が低いじゃないかよ」
「あれはデュラハンじゃなくて、金に困った、ただの強盗だろ」
冒険者ギルドの主人と口論になるが、相棒に諭される。
「まあまあ、リーダー、落ち着いてくださいよ。ただの強盗なんすから、しょうがないすよ」
確かに、デュラハンではなかったがなあ。
「まあ、あんたらのおかげでデュラハン騒動もおさまったんで、今日のスライム退治の分は割り増しにしてやろう」
ギルドの主人からそう申し出があった。
まあ、ここら辺で妥協するか。
帰り道。
「しかし、人間、年を取るのも悪くはないぞ」
「何でそう思うすかね」
「腰痛、首痛で休んでいたから、帰るのが遅くなったので、あのデュラハンに偽装した強盗に遭遇したのだ。それに、用を足すために俺は少し離れて見ていたので、あのデュラハンがおかしいと気づいたのだ。そのおかげで落ち着いて行動が出来て、あっさりと倒せたのだ。いきなり襲われていたら焦って気づかなかったかもしれん」
「だからと言って歯抜けで頻尿、腰痛、首痛、リュウマチ持ちの爺さんにはなりたくないすよ」
「うるさいぞ」
まあ、はっきり言って、負け惜しみだな。
やはり若い頃が懐かしいよ。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。
朝。
今日はかなり寒いなあと思ったら、首がまた痛い。
「ウォ!」
「どうしたんすか、リーダー」
「今、また首がグキッと音がした。破滅の音だ。激痛だ」
「何が破滅の音なんすかね。また、寝違えたんすか。それに、リーダーの人生はもうとっくの昔に破滅してるからいいじゃないすかね」
「うるさいぞ。ふう、しかし、今日は寒いな」
「どてらを着ていても寒いっすかね。次はマフラーでも首に巻いて寝たらどうすか。ところで、また寒さを理由にさぼるんじゃないすかね、爺さんリーダーは」
「いや、ちゃんと仕事には行くぞ」
そんなわけで、手押し車を押しながら冒険者ギルドに向かう。
「うむ、体を動かすと多少は温かくなってきたぞ」
「もうリーダーの人生は終わっているんだから、ずっと動かないでそのまま凍死するってのもいいんじゃないすかね」
「おいおい、勝手に殺すなよ」
さて、下らない会話をしながら、冒険者ギルドに到着。
すると、緊張した顔で、顔見知りのある優秀なパーティーがギルドから出て行く。
俺はリーダーに聞いてみた。
「何かあったのか」
「デュラハンが現れたらしい。その討伐を頼まれた」
おお、デュラハンと言えば「首無し騎士」ではないか。
なかなか強いモンスターだぞ。
俺はギルドの主人に頼み込む。
「おい、デュラハン退治に俺も参加させろよ」
「あんたには無理だな」
いつも通り冷たい返事のギルドの主人。
「そんな手押し車で体を支えている冒険者にデュラハンを倒せるわけないだろ」
「うるさいぞ。俺はまだ現役冒険者だ、ウォ!」
イテテ、ああ、腰が痛い、おまけに首も痛い。
「大丈夫すか、リーダー」
「くそ、この腰痛、首痛なんとかならんか」
「この前、坂道をゴロゴロと転げましたからねえ」
やれやれ。
もう、すっかり体がダメになりつつあるなあ。
「だいたい、人間は頭が重すぎて、おまけに二足歩行をしているから腰痛やらが多いって話があるっすねえ」
相棒の話を聞いて、笑うギルドの主人。
「あんたもデュラハンみたいに首がなければ腰痛もなくなるんじゃないのか」
「ふざけんな、首がないと死ぬだろが」
ったく、バカにしやがって。
そして、頼まれたのは、またスライム退治だ。
やれやれ。
さて、いつも通りのつまらぬスライム退治に向かう。
場所は村から少し離れた草原。
「まったく、おもろーないぞ」
「でも、今日はスライムが多いっすね」
確かに大量にいるなあ。
けっこう退治に時間がかかる。
「ああ、腰が痛いぞ。首も痛い。少し休む」
「しょうがないすねえ。歯抜けのリーダーは」
俺は木陰で焚火。
そこで手押し車に乗せて持ってきたやかんを焚いて、お茶を飲む。
ああ、体が温まるぞ。
「何、くつろいでんすか、歯抜けのおっさんリーダーはどうしようもないすね。今日は珍しくスライムが大量発生していて忙しいのに」
「仕方がない。腰や首の痛みが治まるのを待っているのだ。『忙中閑あり』だな」
「何すか、それ」
「どんなに忙しい時でも、一息つく時間を見つけて楽しむことや、心の余裕を忘れないことが大切ってことだ」
「何を言ってんすかね。一息つくどころか、リーダーの人生は、もう、窒息死寸前てな感じなのに」
「うるさいぞ。さて、もう少し働くか」
俺はのそのそとスライム退治を再開。
結局、夕方近くまでかかってしまった。
「さて、これくらいでいいだろう、帰るか」
「うぃっす」
また、手押し車を押しながら、のそのそと村道を歩く。
すると股間に違和感が。
「おっと、ちょっと用を足してくる」
「例の慢性前立腺炎すかね」
「そうだ。ちょっと林の中に入るから、お前はここで待っていてくれ」
やれやれ。
年を取るとそこら中、故障だらけだ。
さて、村道から少し離れて、用を足していると馬のいななきが聞こえてきた。
村人が馬でも走らせてきたのかと思うと、おお、銀色の甲冑を被った人物が相棒を槍で襲おうとしている。
しかも、首が無いぞ。
デュラハンが声を上げる。
「死にたくなかったら金を出せ!」
「ふざけんな!」
首無し騎士とナイフで応戦する相棒。
いったん、騎士がまた馬を走らせて離れる。
俺は慌てて、相棒の元に近寄った。
「おい、大丈夫か」
「あいつ、デュラハンすか。でも、冒険者ギルドで聞いた出現場所とは、ここは全然違うんすけど」
「うーん」
どうも変だな。
「デュラハンってのは、首を片手に持っているものだがなあ。あいつは持ってないぞ。それに妙に胴が長くないかなあ。後、モンスターの気配がしないんだな」
「爺さん冒険者の勘って奴すかね」
「そうだな。だいたい、デュラハンが金を要求するってのも変だ。おい、ちょっと、囮になって走ってくれよ」
相棒にわざと逃げるように言う。
村道を逃げる振りして走る相棒。
首無し騎士がそれを追って走ってくる。
俺は道の端っこに隠れている。
首無し騎士が乗っている馬に向かって、手押し車をぶつけた。
馬が立ち上がって、首無し騎士が落馬。
「イテテ」
何でデュラハンがイテテとか言うんだよ。
俺は落馬した首無し騎士の背中を思いっきり、剣の鞘でぶっ叩く。
うめき声を上げて動かなくなる首無し騎士。
デュラハンってのは、甲冑の中は空っぽのはずなんだがなあ。
俺は甲冑を引きはがす。
すると、人間が頭をすくめて両腕を突き出していやがった。
……………………………………………………
「おい、デュラハンを倒したのに報酬が低いじゃないかよ」
「あれはデュラハンじゃなくて、金に困った、ただの強盗だろ」
冒険者ギルドの主人と口論になるが、相棒に諭される。
「まあまあ、リーダー、落ち着いてくださいよ。ただの強盗なんすから、しょうがないすよ」
確かに、デュラハンではなかったがなあ。
「まあ、あんたらのおかげでデュラハン騒動もおさまったんで、今日のスライム退治の分は割り増しにしてやろう」
ギルドの主人からそう申し出があった。
まあ、ここら辺で妥協するか。
帰り道。
「しかし、人間、年を取るのも悪くはないぞ」
「何でそう思うすかね」
「腰痛、首痛で休んでいたから、帰るのが遅くなったので、あのデュラハンに偽装した強盗に遭遇したのだ。それに、用を足すために俺は少し離れて見ていたので、あのデュラハンがおかしいと気づいたのだ。そのおかげで落ち着いて行動が出来て、あっさりと倒せたのだ。いきなり襲われていたら焦って気づかなかったかもしれん」
「だからと言って歯抜けで頻尿、腰痛、首痛、リュウマチ持ちの爺さんにはなりたくないすよ」
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