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第150話:ゴキブリ、蚊に翻弄され、ついにはシラミにも勝てない冒険者、こりゃ、もう誰もリーダーの人生に興味を持ちませんよ、うるさいぞ
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。
朝。
「うーん、うーん」
「どうしたんすか、リーダー」
「全身が痛い。この前、坂道で転んでゴロゴロと転げ落ちただろ。痛くてしょうがないぞ」
「年寄りは、数日経ってから痛みが出ますからねえ。でも、惜しかったすねえ。もう少しで崖から落ちるとこだったんすよね。残念っすね。楽に死ねたじゃないすか」
「嫌なこと言うなよ。そんなわけで、今日は休む。寒さは体に良くない」
「今日は晴れていて、温かいっすよ」
「いや、とにかく、お前一人で行ってきてくれ」
「しょうがないすねえ。昔は雨が降ろうが槍が降ろうが冒険者は行動するのだとか言ってたのに。もう、リーダーは冒険者としては終わってますね」
「うるさいぞ。まだ俺は終わっていない。それにこのコタツ砦を守る必要もある」
「何が砦なんすかね。単なる浮浪者ハウスじゃないすか」
「とにかく、今日は小休止だ」
「小休止じゃなくて、完全停止じゃないすかね。このまま、人生終了じゃないすかね」
「うるさいぞ」
呆れ顔の相棒が屋根裏部屋から出ていく。
しかし、すっかり体が弱くなってしまった。
やれやれ。
コタツの中で丸くなる俺。
ヒマだ。
猫と遊ぶかと思ったら、ありゃ、外に出て行った。
もう、猫も相手にしてくれないのか。
さびしいなあ。
でも、あんまり寝ているばかりの生活はよくないか。
外も晴れている。
体の痛みも和らいできたぞ。
毛布を日干しするかな。
俺はコタツ砦の毛布を何枚か窓から干す。
ふう、しかし、毛布が無いと寒い。
この前、福引で当てたどてらを着る。
うむ、なかなか、温かい。
今日は温かいので、窓際に火鉢を移動させて、その前に座って、漫然とする。
ああ、また眠くなってきた。
うつらうつらとする。
気分はいいのだが。
人生回想モードに入っている。
いろんな連中の顔が浮かんでくるなあ。
いい奴からろくでもない奴までいろんなのがいたなあ。
しかし、顔は覚えているのだが、名前が出てこない。
不思議なものだ。
でも、これでは相棒に言われたとおり、引退した老人のようだ。
この屋根裏部屋はけっこう広いのだな。
少しは剣の練習でもするか。
俺は剣を振ってみる。
「ウォ!」
イテテ。
肘に痛みが。
ああ、やめた。
全く、どうしようもないな。
しかし、これが現実か。
ふう、少し寒くなってきた。
火鉢にまたあたろうとすると、おや、床にシラミを一匹発見。
叩き潰そうと、腕を振り上げた時、また、肘に痛みが。
「ウォ!」
思わずよろけた俺はうっかり火鉢を倒してしまう。
「ゲホゲホ!」
火鉢の灰が舞って、それを吸い込んでしまった。
そんなところに相棒が帰って来た。
「どうしたんすかね、今度は喘息すか」
「いや、シラミを叩き潰そうとしたら、火鉢を倒してしまったのだ」
「そのシラミはどうなったんすか」
「どっかいっちまったよ」
「以前、ゴキブリ、蚊に翻弄され、ついにはシラミにも勝てない冒険者。こりゃ、もう誰もリーダーの人生に興味を持ちませんよ。人生終わりっすね」
「うるさいぞ。俺はまだ終わっていない」
「どてらを着て火鉢に当たっている爺さんなんすから無理しない方がいいんじゃないすかね」
「今、いろいろと考えているんだ、将来について」
「将来なんてとっくの昔に終わっているんじゃないすかね。終活した方がいいすよ。辞世の句でも作っておいたほうがいいんじゃないすかね。これで最終回すね」
「うるさいぞ」
しかし、実際のところ、まったく先の事も考えなくなってきたなあ。
いいのか、これで。
お、そんなところに猫がやってきた。
「おーよしよし」
「猫と遊ぶしかすることがない爺さんすね。いっそのこと冒険者はやめて猫カフェでも開店したらどうすかね」
「客に猫をさわらせて楽しませながら、飲食する店だろ。そんな開店資金はないぞ」
「今日、冒険者ギルドに行ったら、引退した冒険者が新規に事業をする場合は融資の相談をするって掲示がありましたよ。基本は農業みたいすけど、猫カフェ開店の相談でもしてきたらどうすかね」
「何だよ、ギルドも最近は年金やったり、そんな融資とかしたりといろんなことをしているんだなあ」
「世代交代を狙っているみたいっすね。爺さん冒険者にはさっさと引退してもらって、若い連中にチャンスをやると」
「何だよ、俺が若い冒険者の邪魔してんのかよ」
「まあ、スライム退治なんて初心者がやるもんすよ。それをおっさんでハゲデブブサイクのリーダーが独占状態なんだから、ギルドも邪魔って思ってるんじゃないすかね」
「うるさいぞ。ハゲデブブサイクは関係ないだろ」
でも、猫カフェと言うのも面白そうだ。
毎日、猫とたわむれることが出来る。
「でも、あの性格の悪いギルドの主人に笑われるのが嫌だな」
「性格は悪くないっすよ」
「顔は極悪人だぞ」
「リーダーよりはましっすよって、何度か言いましたね」
「うるさいぞ」
「でも、冒険者をやめて、猫カフェの主人になる歯抜けの爺さんの話なんて、誰も興味を持たないっすね。やはり最終回すか」
「うるさいぞ。猫カフェもいいが、やはり一発当ててからだ」
「この前、福引でどてらを当てたじゃないすか。それで、リーダーの人生は運が尽きたんだから、もうやめにしたらどうすかね」
「うるさいぞ」
しかし、どうも体調不良だ。
こりゃ、猫カフェの開店もままならぬなあ。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
そして、今は宿屋の屋根裏に猫と住んでいる。
朝。
「うーん、うーん」
「どうしたんすか、リーダー」
「全身が痛い。この前、坂道で転んでゴロゴロと転げ落ちただろ。痛くてしょうがないぞ」
「年寄りは、数日経ってから痛みが出ますからねえ。でも、惜しかったすねえ。もう少しで崖から落ちるとこだったんすよね。残念っすね。楽に死ねたじゃないすか」
「嫌なこと言うなよ。そんなわけで、今日は休む。寒さは体に良くない」
「今日は晴れていて、温かいっすよ」
「いや、とにかく、お前一人で行ってきてくれ」
「しょうがないすねえ。昔は雨が降ろうが槍が降ろうが冒険者は行動するのだとか言ってたのに。もう、リーダーは冒険者としては終わってますね」
「うるさいぞ。まだ俺は終わっていない。それにこのコタツ砦を守る必要もある」
「何が砦なんすかね。単なる浮浪者ハウスじゃないすか」
「とにかく、今日は小休止だ」
「小休止じゃなくて、完全停止じゃないすかね。このまま、人生終了じゃないすかね」
「うるさいぞ」
呆れ顔の相棒が屋根裏部屋から出ていく。
しかし、すっかり体が弱くなってしまった。
やれやれ。
コタツの中で丸くなる俺。
ヒマだ。
猫と遊ぶかと思ったら、ありゃ、外に出て行った。
もう、猫も相手にしてくれないのか。
さびしいなあ。
でも、あんまり寝ているばかりの生活はよくないか。
外も晴れている。
体の痛みも和らいできたぞ。
毛布を日干しするかな。
俺はコタツ砦の毛布を何枚か窓から干す。
ふう、しかし、毛布が無いと寒い。
この前、福引で当てたどてらを着る。
うむ、なかなか、温かい。
今日は温かいので、窓際に火鉢を移動させて、その前に座って、漫然とする。
ああ、また眠くなってきた。
うつらうつらとする。
気分はいいのだが。
人生回想モードに入っている。
いろんな連中の顔が浮かんでくるなあ。
いい奴からろくでもない奴までいろんなのがいたなあ。
しかし、顔は覚えているのだが、名前が出てこない。
不思議なものだ。
でも、これでは相棒に言われたとおり、引退した老人のようだ。
この屋根裏部屋はけっこう広いのだな。
少しは剣の練習でもするか。
俺は剣を振ってみる。
「ウォ!」
イテテ。
肘に痛みが。
ああ、やめた。
全く、どうしようもないな。
しかし、これが現実か。
ふう、少し寒くなってきた。
火鉢にまたあたろうとすると、おや、床にシラミを一匹発見。
叩き潰そうと、腕を振り上げた時、また、肘に痛みが。
「ウォ!」
思わずよろけた俺はうっかり火鉢を倒してしまう。
「ゲホゲホ!」
火鉢の灰が舞って、それを吸い込んでしまった。
そんなところに相棒が帰って来た。
「どうしたんすかね、今度は喘息すか」
「いや、シラミを叩き潰そうとしたら、火鉢を倒してしまったのだ」
「そのシラミはどうなったんすか」
「どっかいっちまったよ」
「以前、ゴキブリ、蚊に翻弄され、ついにはシラミにも勝てない冒険者。こりゃ、もう誰もリーダーの人生に興味を持ちませんよ。人生終わりっすね」
「うるさいぞ。俺はまだ終わっていない」
「どてらを着て火鉢に当たっている爺さんなんすから無理しない方がいいんじゃないすかね」
「今、いろいろと考えているんだ、将来について」
「将来なんてとっくの昔に終わっているんじゃないすかね。終活した方がいいすよ。辞世の句でも作っておいたほうがいいんじゃないすかね。これで最終回すね」
「うるさいぞ」
しかし、実際のところ、まったく先の事も考えなくなってきたなあ。
いいのか、これで。
お、そんなところに猫がやってきた。
「おーよしよし」
「猫と遊ぶしかすることがない爺さんすね。いっそのこと冒険者はやめて猫カフェでも開店したらどうすかね」
「客に猫をさわらせて楽しませながら、飲食する店だろ。そんな開店資金はないぞ」
「今日、冒険者ギルドに行ったら、引退した冒険者が新規に事業をする場合は融資の相談をするって掲示がありましたよ。基本は農業みたいすけど、猫カフェ開店の相談でもしてきたらどうすかね」
「何だよ、ギルドも最近は年金やったり、そんな融資とかしたりといろんなことをしているんだなあ」
「世代交代を狙っているみたいっすね。爺さん冒険者にはさっさと引退してもらって、若い連中にチャンスをやると」
「何だよ、俺が若い冒険者の邪魔してんのかよ」
「まあ、スライム退治なんて初心者がやるもんすよ。それをおっさんでハゲデブブサイクのリーダーが独占状態なんだから、ギルドも邪魔って思ってるんじゃないすかね」
「うるさいぞ。ハゲデブブサイクは関係ないだろ」
でも、猫カフェと言うのも面白そうだ。
毎日、猫とたわむれることが出来る。
「でも、あの性格の悪いギルドの主人に笑われるのが嫌だな」
「性格は悪くないっすよ」
「顔は極悪人だぞ」
「リーダーよりはましっすよって、何度か言いましたね」
「うるさいぞ」
「でも、冒険者をやめて、猫カフェの主人になる歯抜けの爺さんの話なんて、誰も興味を持たないっすね。やはり最終回すか」
「うるさいぞ。猫カフェもいいが、やはり一発当ててからだ」
「この前、福引でどてらを当てたじゃないすか。それで、リーダーの人生は運が尽きたんだから、もうやめにしたらどうすかね」
「うるさいぞ」
しかし、どうも体調不良だ。
こりゃ、猫カフェの開店もままならぬなあ。
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イラスト: 市丸きすけ 先生
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【作者より、感謝を込めて】
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
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