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第71話:死んでたスライムも倒したことにすればいいんじゃないすか、インチキはダメだぞ
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俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
毎日、スライム相手に剣を振る。
全然、冒険してない。
人生おもろーないぞ。
すっかりやる気を無くしている俺。
しかし、宿屋のベッドで寝てばかりだと餓死してしまう。
しょうがないので、今日もつまらんスライム退治にいそしんでいる。
場所も村の近くの林。
木がまばらに生えてるだけ。
つまらん。
バシッ!
一匹のスライムを簡単に倒す。
そして、辺りを見回すが他には全然見当たらない。
スライムどころか猪や野ウサギすらいないな。
「やる気が起きないぞ。これが鬱蒼とした薄暗い森とかだったら、どこからか狂暴なモンスターが出現しそうで、一応冒険しているって感じもするが、なんだこのしょぼい林は。すかすかだ。遠くまで見渡せるぞ。平和そのものだ。スライムもほとんど見当たらないじゃないか」
「だから俺っちらに依頼したんじゃないすかね、冒険者ギルドは。ハゲデブブサイクで腰痛リュウマチ持ちのおっさんにはこの程度の仕事しかまかせられんと」
「うるさいぞ。ハゲデブブサイクは関係ない。おっとまた一匹……いや、このスライムはすでに死んでるな」
さて、うろうろと木がまばらに生えている林の中を相棒と探索するが、全くスライムの気配が無い。
「おい、これじゃあ、さっきの一匹分しか報酬が出ないぞ」
「また宿屋の食堂でパンの端切れを恵んでもらうことになるんすかね」
「やれやれ。情けないことだな」
「あの死んでたスライムも俺っちらが倒したことにすればいいんじゃないすか」
「インチキはダメだぞ」
「ハゲデブブサイクの割には真面目っすね、リーダーは」
「ハゲデブブサイクは関係ないって」
さらに探索するが、何もいない。
時間だけが経っていく。
ホントにおもろーないぞ。
「ウォ!」
歩き回っていたら、突然、俺の右足の親指の付け根に激痛が走った。
例のリュウマチだ。
「イテテ。リュウマチだ。悪いがちょっと俺は少し休むぞ……って、おい、聞いてんのか!」
少し離れた場所で突っ立ったままの相棒に声をかける。
ハッとして起きる相棒。
「何だよ、また立ったまま寝てたのかよ! サボるなよ」
「サボってないすよ。いろいろと将来について考え事してたんすよ」
「噓つけ、寝てたくせに」
ヘラヘラしながら答える相棒。
「いやいや、本当に将来について考えてたんすよ。このままでいいのかと」
「普段、いい加減なお前も将来について考えるようになったのか」
「いや、リーダーの将来ですよ。肩こり、肘の痺れ、腰痛、膝痛、リュウマチ、夜間頻尿、おまけにハゲデブブサイクのおっさん。もう、冒険者としてはお先真っ暗じゃないすか」
「うるさいぞ。後、何度も言うがハゲデブブサイクは関係ないんじゃないか」
とは言うものの、このリュウマチなんとかならんかな。
俺は地面にへたり込む。
「悪いが少し休ませてくれ」
俺は一本の木に背をもたれさせる。
そして、ぼんやりと今までの人生を振り返る。
毎度の事だが、何ともしょぼい人生だったなあと考えてしまう。
一発逆転したいが、何もいいアイデアも浮かばない。
「ああ、おもろーないぞ!!!」
またまた俺が思わずデカい声を出すと、相棒に文句を言われる。
「ちょっとデカい声を出さないでくださいよ。スライムが逃げちゃいますよ」
「それもそうかって……つーか、スライムなんてもう全然いないじゃないか。ああ、このまま貧乏人で俺は終わるのか」
「暗いことばかり考えてると、ますます悪い方向に行くっすよ。そう言えば、リーダーが今までにした一番大きい仕事ってなんすか」
大きい仕事かあ。
正直に言って、ろくな仕事をしてないんだよなあ。
おっと思い出した。
「三人組パーティーの仕事でグリフォンを倒したことがあるなあ」
「グリフォン! 獅子の体に鷲の頭や翼を持っているモンスターっすよね。すごい大物じゃないすか」
「いや、あくまでもパーティーでの仕事だな」
「どういう意味すか」
俺はぼんやりとしながら若い頃を思い出す。
「凶悪なモンスターが出現すると思われる洞窟の奥の地点まで近づいたんだ。それで俺は念のため、事前に用を足しに行ってたんだよ。その間にグリフォンが現れてなあ」
「何すか、それ。どうもリーダーの人生は冴えないっすね」
「うるさいぞ」
「でも報酬はよかったんでしょ」
「それがなあ、俺が駆けつけたら、すでに仲間の弓使いと魔法使いの二人が攻撃した後でグリフォンを倒してたんだよ。グリフォンの死体が地面に転がっていた。そんなわけで俺は報酬ゼロ。報酬は三等分って約束だったのになあ。二人で山分けしやがった」
「契約違反じゃないすか」
「俺は何にもしなかったら、まあ、しょうがないと納得したよ」
その時は不満に思ったが俺はグリフォン退治に全く役に立たなかったから、報酬無しでも仕方がないかと思ってたんだけどなあ。
「まあ、そんなわけで冒険者ギルドで報酬を俺以外は貰ったんだけど、そしたらその二人が逮捕されちゃってなあ」
「どういうことっすか」
「そのグリフォンを倒したのは、先に洞窟に入った他の冒険者で、何とか倒したんだけどグリフォンからの攻撃のケガで気絶しちゃってたんだよ。で、俺の仲間の二人はその倒れていた冒険者を介抱するどころか洞窟の縦穴に放り込んで自分たちの手柄にしちゃったんだ。その冒険者はなんとか縦穴から這い上がってギルドに訴えたらしい」
「なんすか、それ。手柄を横取りしたうえに、殺人未遂じゃないすか。ひどい話っすね」
「そうだよなあ。まあ、連中は刑務所行き、ギルドから永久追放になったな。俺は関与してなかったから、お咎めなしだったがなあ」
「用を足しに行ってよかったすね。頻尿も役に立つ時があるんすね」
「うるさいぞ。だいたいその頃は若くて、頻尿じゃなかった。それに俺はグリフォンを倒した冒険者を殺して手柄を横取りするなんて絶対に思わないぞ」
「まあ、確かにハゲデブブサイクにしては真面目っすもんね、リーダーは」
「だからハゲデブブサイクは関係ねーよ」
しかし、真面目に仕事をしてきたつもりだったが、いつの間にかスライム退治専門になっていた。つまらんなあ。
「冒険者なんてこすかっらい連中ばかりなんだから、人殺しはしないまでも、俺も少しはズルをして生きればよかったかなあ」
「じゃあ、あの死んでたスライムも俺っちらが倒したことにしますか」
うーん。
いや、やっぱりズルはよくない。
「やめておこう。俺は正々堂々真正面からドラゴンを倒したいんだ。死んでたスライムを倒したなんてウソの報告をするようじゃ、ドラゴンに勝てるわけがない」
「そもそも、ズルをしようがしまいがドラゴンなんて倒せませんよ、ハゲデブブサイクのリーダーには」
「何度も何度も言うがハゲデブブサイクは関係ないって。とにかく俺はまだ生きている。いつの日かドラゴンを倒すぞ。よし! 今日から頑張るぞ」
「無能が頑張るとろくなことにならないみたいなこと、この前、言ってなかったすか」
「有能で勤勉な冒険者になるんだよ」
俺はさっと立ち上がる。
「ウォ!」
腰に激痛が走った。
「どうしたんすか」
「うーん、今度はぎっくり腰だ」
「しょうがないっすねえ」
結局、相棒に抱えられて宿屋に帰る俺。
情けない。
報酬もスライム一匹分。
今日も食事はパンの端切れになってしまった。
やれやれ。
情けない。
いや、俺はまだ生きているぞ。
何とかしてやる。
って、何度思ったかわからないな。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
毎日、スライム相手に剣を振る。
全然、冒険してない。
人生おもろーないぞ。
すっかりやる気を無くしている俺。
しかし、宿屋のベッドで寝てばかりだと餓死してしまう。
しょうがないので、今日もつまらんスライム退治にいそしんでいる。
場所も村の近くの林。
木がまばらに生えてるだけ。
つまらん。
バシッ!
一匹のスライムを簡単に倒す。
そして、辺りを見回すが他には全然見当たらない。
スライムどころか猪や野ウサギすらいないな。
「やる気が起きないぞ。これが鬱蒼とした薄暗い森とかだったら、どこからか狂暴なモンスターが出現しそうで、一応冒険しているって感じもするが、なんだこのしょぼい林は。すかすかだ。遠くまで見渡せるぞ。平和そのものだ。スライムもほとんど見当たらないじゃないか」
「だから俺っちらに依頼したんじゃないすかね、冒険者ギルドは。ハゲデブブサイクで腰痛リュウマチ持ちのおっさんにはこの程度の仕事しかまかせられんと」
「うるさいぞ。ハゲデブブサイクは関係ない。おっとまた一匹……いや、このスライムはすでに死んでるな」
さて、うろうろと木がまばらに生えている林の中を相棒と探索するが、全くスライムの気配が無い。
「おい、これじゃあ、さっきの一匹分しか報酬が出ないぞ」
「また宿屋の食堂でパンの端切れを恵んでもらうことになるんすかね」
「やれやれ。情けないことだな」
「あの死んでたスライムも俺っちらが倒したことにすればいいんじゃないすか」
「インチキはダメだぞ」
「ハゲデブブサイクの割には真面目っすね、リーダーは」
「ハゲデブブサイクは関係ないって」
さらに探索するが、何もいない。
時間だけが経っていく。
ホントにおもろーないぞ。
「ウォ!」
歩き回っていたら、突然、俺の右足の親指の付け根に激痛が走った。
例のリュウマチだ。
「イテテ。リュウマチだ。悪いがちょっと俺は少し休むぞ……って、おい、聞いてんのか!」
少し離れた場所で突っ立ったままの相棒に声をかける。
ハッとして起きる相棒。
「何だよ、また立ったまま寝てたのかよ! サボるなよ」
「サボってないすよ。いろいろと将来について考え事してたんすよ」
「噓つけ、寝てたくせに」
ヘラヘラしながら答える相棒。
「いやいや、本当に将来について考えてたんすよ。このままでいいのかと」
「普段、いい加減なお前も将来について考えるようになったのか」
「いや、リーダーの将来ですよ。肩こり、肘の痺れ、腰痛、膝痛、リュウマチ、夜間頻尿、おまけにハゲデブブサイクのおっさん。もう、冒険者としてはお先真っ暗じゃないすか」
「うるさいぞ。後、何度も言うがハゲデブブサイクは関係ないんじゃないか」
とは言うものの、このリュウマチなんとかならんかな。
俺は地面にへたり込む。
「悪いが少し休ませてくれ」
俺は一本の木に背をもたれさせる。
そして、ぼんやりと今までの人生を振り返る。
毎度の事だが、何ともしょぼい人生だったなあと考えてしまう。
一発逆転したいが、何もいいアイデアも浮かばない。
「ああ、おもろーないぞ!!!」
またまた俺が思わずデカい声を出すと、相棒に文句を言われる。
「ちょっとデカい声を出さないでくださいよ。スライムが逃げちゃいますよ」
「それもそうかって……つーか、スライムなんてもう全然いないじゃないか。ああ、このまま貧乏人で俺は終わるのか」
「暗いことばかり考えてると、ますます悪い方向に行くっすよ。そう言えば、リーダーが今までにした一番大きい仕事ってなんすか」
大きい仕事かあ。
正直に言って、ろくな仕事をしてないんだよなあ。
おっと思い出した。
「三人組パーティーの仕事でグリフォンを倒したことがあるなあ」
「グリフォン! 獅子の体に鷲の頭や翼を持っているモンスターっすよね。すごい大物じゃないすか」
「いや、あくまでもパーティーでの仕事だな」
「どういう意味すか」
俺はぼんやりとしながら若い頃を思い出す。
「凶悪なモンスターが出現すると思われる洞窟の奥の地点まで近づいたんだ。それで俺は念のため、事前に用を足しに行ってたんだよ。その間にグリフォンが現れてなあ」
「何すか、それ。どうもリーダーの人生は冴えないっすね」
「うるさいぞ」
「でも報酬はよかったんでしょ」
「それがなあ、俺が駆けつけたら、すでに仲間の弓使いと魔法使いの二人が攻撃した後でグリフォンを倒してたんだよ。グリフォンの死体が地面に転がっていた。そんなわけで俺は報酬ゼロ。報酬は三等分って約束だったのになあ。二人で山分けしやがった」
「契約違反じゃないすか」
「俺は何にもしなかったら、まあ、しょうがないと納得したよ」
その時は不満に思ったが俺はグリフォン退治に全く役に立たなかったから、報酬無しでも仕方がないかと思ってたんだけどなあ。
「まあ、そんなわけで冒険者ギルドで報酬を俺以外は貰ったんだけど、そしたらその二人が逮捕されちゃってなあ」
「どういうことっすか」
「そのグリフォンを倒したのは、先に洞窟に入った他の冒険者で、何とか倒したんだけどグリフォンからの攻撃のケガで気絶しちゃってたんだよ。で、俺の仲間の二人はその倒れていた冒険者を介抱するどころか洞窟の縦穴に放り込んで自分たちの手柄にしちゃったんだ。その冒険者はなんとか縦穴から這い上がってギルドに訴えたらしい」
「なんすか、それ。手柄を横取りしたうえに、殺人未遂じゃないすか。ひどい話っすね」
「そうだよなあ。まあ、連中は刑務所行き、ギルドから永久追放になったな。俺は関与してなかったから、お咎めなしだったがなあ」
「用を足しに行ってよかったすね。頻尿も役に立つ時があるんすね」
「うるさいぞ。だいたいその頃は若くて、頻尿じゃなかった。それに俺はグリフォンを倒した冒険者を殺して手柄を横取りするなんて絶対に思わないぞ」
「まあ、確かにハゲデブブサイクにしては真面目っすもんね、リーダーは」
「だからハゲデブブサイクは関係ねーよ」
しかし、真面目に仕事をしてきたつもりだったが、いつの間にかスライム退治専門になっていた。つまらんなあ。
「冒険者なんてこすかっらい連中ばかりなんだから、人殺しはしないまでも、俺も少しはズルをして生きればよかったかなあ」
「じゃあ、あの死んでたスライムも俺っちらが倒したことにしますか」
うーん。
いや、やっぱりズルはよくない。
「やめておこう。俺は正々堂々真正面からドラゴンを倒したいんだ。死んでたスライムを倒したなんてウソの報告をするようじゃ、ドラゴンに勝てるわけがない」
「そもそも、ズルをしようがしまいがドラゴンなんて倒せませんよ、ハゲデブブサイクのリーダーには」
「何度も何度も言うがハゲデブブサイクは関係ないって。とにかく俺はまだ生きている。いつの日かドラゴンを倒すぞ。よし! 今日から頑張るぞ」
「無能が頑張るとろくなことにならないみたいなこと、この前、言ってなかったすか」
「有能で勤勉な冒険者になるんだよ」
俺はさっと立ち上がる。
「ウォ!」
腰に激痛が走った。
「どうしたんすか」
「うーん、今度はぎっくり腰だ」
「しょうがないっすねえ」
結局、相棒に抱えられて宿屋に帰る俺。
情けない。
報酬もスライム一匹分。
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