男の娘と暮らす

守 秀斗

文字の大きさ
15 / 21

第15話:一乗寺君に抱き着かれてあそこが疼く

しおりを挟む
 ある日のこと。
 一乗寺君に大変なことが起きてしまった。

 母親が施設で首吊りを自殺してしまったとのこと。
 元気が良くなってきたと思われていたのは、もう本人が死ぬと決めていたからみたいだ。

 自殺する人って、そう決めた途端に明るくなることは珍しくないようだな。
 もう、現実の生活の苦しみから逃れられるって考えるからだろうか。

 コンビニを休んで対応に追われる一乗寺君。
 俺としても、どう慰めてやっていいのかわからない。

 それに、一乗寺君から頼まれた。

「……山本さん、お願いがあるのですが」
「なんだい。俺に出来ることなら、何でも言ってくれ」

「大変申し訳ありませんが、葬儀代が必要なので、お金を貸してくれませんか。絶対にお返ししますので」
「葬儀代、いくらなの」

「二十万くらいです」
「え、そんなに安いの」

「……格安でするしかないと思って」
「まあ、それくらいなら貸してもいいぞ」
「ありがとうございます」

 どうやら、お母さんの葬儀には一乗寺君と遠い親類が一人しか来なかったようだ。
 寂しい葬式だなあ。

 なんだか、ますます一乗寺君がかわいそうになってきたが、俺にはどうすることも出来ない。
 お金を立て替えてやるくらいだなあ。
 お墓はもう父と兄のがあるので、そこに入れればいいようだけど。

 すっかり意気消沈している一乗寺君だがなあ。
 でも、俺もこのまま一人で孤独死の可能性があるなあ。

 誰か葬儀してくれるのかね。
 まあ、俺には兄妹やら親類やらがいっぱいいるけど。

……………………………………………………

 その夜。

 いつものように一乗寺君が俺の腕に抱き着いているのだけど。

 一乗寺君用に簡易ベッドを買おうかと思ってたのだが、そのままになった。
 部屋が狭くなるからなあ。

 それに本当に気にならなくなった。
 慣れてしまったのかな。

 それに、すっかり落ち込んでいる一乗寺君を励ましたくなってきた。

「あの、あゆむ、起きてる」
「あ、はい」

「えーと、俺には何にも出来ないけど、君はまだ生きてるんで、何て言うか、その、元気出せよ……って、元気でないよなあ」
「……いえ、ありがとうございます、でも……」
「でも、なに」

 すると、一乗寺君が急に泣き始める。

「僕、本当にひとりぼっちになってしまったんです。母が生きて元気になってくれればって、また一緒に住もうって思ってたんですけど。それを希望にしてたんです。でも、もう……」

 これは困ったなあ。
 親類縁者もほとんどいないようだし。

 でも、男の娘好きのいい人がいるのではないかと俺は思った。
 例の空手家の清水さんとよりを戻せないのかなあとも思ったりした。

 とにかく、探せばいい人いるんではないかなあ。
 一乗寺君、かわいいし、性格もいいしなあ。

 なんてことを考えていたら、一乗寺君が俺に乗っかってきて、俺の胸に抱き着いてきた。

「ちょ、ちょっとどうしたの、一乗寺君、じゃなくて、あゆむ」
「あの、不安なんです。このまま抱き着いていいですか。もう僕は一人なんですよ、怖いんです」

 涙目で俺の顔を見る一乗寺君、ううむ、かわいそうではあるんだよなあ。少し重たいが、まあ、しょうがない。

「うん、いいよ」
「ありがとうございます……」

 俺の胸に顔を擦りつける一乗寺君。

 しかし、こんなしょぼくれたおっさんじゃあ、ますます不安になるんじゃないのかと俺は思った。
 それにEDだしな。おっと、お前、しつこいぞって言われそう。

 あれ、今、俺のアレが少し動いたぞ。
 一乗寺君っていい匂いがするんだよなあ。

 後、男だけど胸が柔らかいし、それを押し付けてくるし、おお、俺のアレが何か大きくなっていくぞ、俺、マジにこっちの世界に行ってしまうんだろうか。
 え、いいのかよ、俺の息子よ。

 確かにすごくかわいい男の娘なんだけどなあ。
 一乗寺君がさらにぎゅうっと俺に抱き着いてくる。

「……あの、山本さん。お願いです、僕を抱いてくれませんか」
「い、いや、俺、EDなんだけど」

 EDって言ったけど、なんかあそこがムズムズしてきたぞ。

「いえ、ただ抱きしめてくれればいいんです……お願いします、お願い……」
「うん、わかったよ」

 そんなわけで、一乗寺君を抱きしめてあげる。

「山本さん、ありがとうございます……気持ちいいです、不安が消えていくようです……ああ……いいです……」

 ため息をつく一乗寺君。
 すごい色っぽいぞ。
 え、やばいぞ。

 俺のアレはますます硬くなっていく。
 え、マジにやばいのではないか。

 相手は男の娘だぞ。
 俺は本当にそっちの世界に行ってしまうのか。

 確かにかわいいけど、一乗寺君。
 それに久々にアレが大きくなるのは嬉しいという感覚もあるんだなあ。
 まだ、男として終わってないぞって感じでさあ。

 と思っていたら、萎えていく俺のアレ。
 やれやれ。

 期待させやがって、俺の息子はどうしようもないな。
 男でも女でも抱き着かれたのは久しぶりだもんなあ。

 刺激を受けたからかなあ。
 生理現象かね。

 だから、一時的なもんか。
 そんなことを考えていたら、寝た。

……………………………………………………

 朝、起きると一乗寺君が食事を作って待っていた。

「おはようございます。山本さん……昨夜はすみませんでした」
「あ、いや、別に……でも、こんな若白髪だらけのしょぼくれた男は頼りにならないんじゃないの」

「でも、山本さん、白髪全然ないじゃないですか」
「え、ホント!」

 俺は思わず、洗面台に行って、自分の頭を鏡でしげしげと見る。
 あれ、白髪が全然なくなってるぞ。

 仕事に忙しくて、ちゃんと鏡を見ていなかった。不思議だ。
 うーん、なぜだろう。

 最近、コンビニ弁当はやめて、一乗寺君が作る美味しい栄養のある食事を食べているからだろうか。

 一乗寺君は先にコンビニへ出勤。
 俺は玄関の横の壁に設置してある大型の鏡を見る。

 何となく、あの暗いオーラが消えているなあ。なぜだろう。
 気のせいかね。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

野球部のマネージャーの僕

守 秀斗
BL
僕は高校の野球部のマネージャーをしている。そして、お目当ては島谷先輩。でも、告白しようか迷っていたところ、ある日、他の部員の石川先輩に押し倒されてしまったんだけど……。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

若旦那からの甘い誘惑

すいかちゃん
BL
使用人として、大きな屋敷で長年奉公してきた忠志。ある日、若旦那が1人で淫らな事をしているのを見てしまう。おまけに、その口からは自身の名が・・・。やがて、若旦那の縁談がまとまる。婚礼前夜。雨宿りをした納屋で、忠志は若旦那から1度だけでいいと甘く誘惑される。いけないとわかっていながら、忠志はその柔肌に指を・・・。 身分差で、誘い受けの話です。 第二話「雨宿りの秘密」 新婚の誠一郎は、妻に隠れて使用人の忠志と関係を続ける。 雨の夜だけの関係。だが、忠志は次第に独占欲に駆られ・・・。 冒頭は、誠一郎の妻の視点から始まります。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

先輩、可愛がってください

ゆもたに
BL
棒アイスを頬張ってる先輩を見て、「あー……ち◯ぽぶち込みてぇ」とつい言ってしまった天然な後輩の話

大好きな兄ちゃんにアナニーをみせる弟!

ミクリ21
BL
お兄ちゃんにアナニーをみせる弟の話。

処理中です...