スキル買います

モモん

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第十二章

第212話 里では適法

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「呪い師様、教えていただきたい事があります。」

 レイミは里長に呪い師の元へ案内してもらい、自己紹介のうえ二人だけで話をしている。
 呪い師には”暗示”のスキルがあり、それはシルフィにより奪取済みだ。

「ふん、こんな年寄りに何の話しかな?」

「アナタには、ヒトを意のままに操る能力がありますよね。」

「何を言うかと思ったら、突拍子もないことをいうもんじゃ。そんなチカラがあったら、ワシはこの里の長になっておる。」

「ああ、少し違いましたね。ヒトに思い込ませるチカラですか。」

「何がいいたい?」

「ジョディの父親か母親から相談されて、ジョディにそのチカラを使いましたよね。」

「バカバカしい、何を言っているのか分からん、とっとと帰れ……なにぃ!」

「残念でした。私、最近神様になっちゃったので、そういう不浄なチカラは効かないんです。それに、もうアナタにはそのチカラはありませんから。」

「バ、バカな……くっ、なぜ発動しない……」

「ですから、先ほど申し上げたように、そのチカラは消してしまったので、使えないんですよ。」

「そんなバカな事が!」

「バカじゃないんですよ。私は神ですから。さて、ジョディに何をしたのか正直に話してください。そうすればチカラを返してあげましょう。」

「ぐっ……」

「このチカラがなければ、あなたはただの年寄り。どうやら身寄りもないようですので、暗示を使わなければ身の回りの世話もさせられない。家にいる使用人はみんな暗示で操っているんでしょ。」

「ち、違う、あ奴らは自らワシに奉仕しておるのじゃ!」

「ならば、皆の暗示を解いて私は帰るとしましょう。」

 レイミはそう言って椅子から立ち上がった。

「ば、バカな、ワシの術を解くなど……」

「感嘆ですよ。”解呪”っていう呪いを解くレアスキルがあればね。」

「そんなものは聞いたこともない……」

「でしょうね。私もこのスキルを持っていたヒトを5人しか知りません。まあ、私の仲間はみんな持っていますけど。さあ、最後のチャンスです。正直に話してくれますか?」

「本当に……チカラを返してくれるんじゃな……」

「いいですよ。」

「ジョディの母親は……血筋が絶えるのを危惧しておった……」

「ああ、自分は子供を産んでないんでしたね。」

「どうしたらよいか聞きに来たから、ジョディに子を産ませれば良いだろうと提案したのじゃ。母親はそれを承諾した。それだけの事じゃ。」

「それだけなら、ジョディに暗示をかける必要はなかったでしょ?」

「ジョディは決心が出来ないといい、母親がここにジョディを連れてきて説得してほしいというからワシが説得した。」

「説得ではなく、暗示をかけて言う事を聞かせた。お前は母親と一心同体なのだから、父親に抱かれるのは当然だと。」

「くっ……」

「それで、対価は何ですか?」

「報酬なんぞ受け取っておらん!それに、子供が親のいいつけに従うのは当然じゃろう!」

「それ、真実ですか?あなたのような方が、無報酬でそんな事をするとは思えないんですけど。」

「真実じゃ。もういいだろ、チカラを返してくれ!」

「本当にそれが事実なんですね。」

「そうじゃ!」

 レイミは指をパチンと鳴らして占い師を催眠状態にす。

「里長さん、入ってきてください。」

 里長がドアを開け入ってきた。

「どう思いました?」

「うーん、まあ、子供を父親が抱くというのは、掟には触れておらん。子供が親の言う事を聞くのは当然だから問題はなかろう。」

「今、このお婆さんは催眠状態にあります。長からもう一度ジョディに何をしたか聞いてみてください。」

「……気は進まんが……、おい婆さん、お前はジョディに何をした?」

「……母親からの要請で、父親に抱かれるようチカラを使った。拒絶する意思が強かったので5回じゃ。」

「っ……ジョディは嫌がったのか?」

「最初は、嫌だイヤだと泣き叫んでおった。その度に、母親はジョディの頬を叩きおった。」

「この里では、子供の人権はまったく無視なんですかねぇ。」

「いやはや、正気の沙汰とは思えんな。」

「それで、そこまで手をかけた報酬は?」

「ジョディじゃ。」

「えっ?」

「ジョディが男の子を産んだら、ワシがジョディを貰う約束だ。」

「……何の為に?」

「一生、ワシの世話をさせるためじゃ。毎日チカラを使って刷り込めば、心のそこからワシに尽くすようになる。」

 レイミは指をパチンと鳴らして催眠を解いた。

「ち、違う!今のはウソじゃ!ワシは何も受け取っていない……」

「まあ、この里がどう判断するのか分かりませんが、ジョディの暗示を解いて私たちは里を出ます。」

「わ、ワシのチカラはどうなる!」

「正直に話していただけなかったので、ダメですね。というか、私基準でアナタはこのような能力を持つのに相応しくないと判断いたしましたの。私の関係する国であれば、極刑に値する行為ですが、能力を取り上げる事で済ませました。」

「お、お前に何の権利があって!」

「イヤですわ。私は単にジョディのフォローをしただけ。子供を産むかどうするか、ちゃんと本人の意向を確認しないといけませんから。あっ、これは里長からの依頼ですから。」

「お、俺は……まあ、そういう事だな。だが、呪い師がいなくなるのはまずいな……」

「ああ、だったら、ジョディに”暗示”のスキルを与えましょう。」

「なにぃ!」

「そうすれば子供たちのフォローもできるし、長の補佐官にして、長が必要だと思ったらスキルを使えばいい。」

「ババカな!ワシはどうなる?」

「ミサキ!」

「はいここに。」

「家のスタッフの暗示は解いた?」

「はい。完了して、皆自分の意思で家に帰りました。」

「そ、そんな事をされたら、ワシはどうやって……」

「そこは長と相談してくださいよ。」

「ぐっ……ま、まあ3役と相談して決めるか……」

 暗示を解かれたジョディはレイミと十分に話し合って堕胎を選択した。
 父親がどちらであっても、ジョディには悲劇でしかない。
 幸いなことに、レイミであれば卵子の処置など簡単に行える。

 そのうえで、ジョディに”暗示”のスキルを与えて使い方を教えていく。

 そのうえで墓地に行き、スキルをごっそりと持ち出していく。

「へえ、”飛行”は50kmしか速度が出ないんだ。重力制御の劣化版といったところね。でも”反射”は面白そうね。」

「飛行はあんな子供まで使っておるのじゃ。大人でも遊べそうじゃな。」

 レイミはすぐにレーミリアンに戻り、車輪なしの魔道具キックボードを開発した。

 ハンドル部分に魔法陣が張ってあり、魔道具をセットすればハンドルの向いている方向に移動を開始する。
 傾ければ下降し、上に向ければ上昇する。
 安全機能をどうするか迷ったが、予備の魔石を収納しておけば十分だろう。

 以前作ったエアーボードは少し機能をつけすぎて高額になってしまったが、このキックボードはアルミ製で銀貨5枚。
 木製なら銀貨2枚で販売できる。

 出願してからの反響は凄かった。
 まず、軍が3輪車タイプの椅子付きのものを求めてきた。

 対戦だけでなく、領内の巡視にも便利だ。
 それにヘッドライトと簡単な収納庫をつける。
 そこには軽食や飲み物、更にクモ糸を発射させる捕縛器まで備えれば画期的なツールになる。

 いきなり数万個のオーダーが入ってしまったため、一般に出回るのは遅くなってしまう。

「悪いわね、総支配人。」

「いえいえ、レーミン商会としても久々のヒット商品ですから大歓迎ですよ。」

「一般に出す頃には、後ろに荷台が必要になりそうね。」

「おお、簡単な荷物運搬用ですね。早速手配しましょう。」


【あとがき】
 しまった、吸血鬼が……
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