悪役令嬢の居場所。

葉叶

文字の大きさ
48 / 73
いつから歪んだのか。

5

しおりを挟む
「…っ私は正直今も何が正解なのかわからない。
あの日にまた戻れたとしても私はきっと…いや絶対また妹を助けると思う。
それで真斗が傷つくとわかっていても私は同じことをする。」

別に真斗なら傷つけていいと思ってる訳じゃない。
だけど、助けられるとわかっているのに妹を殺す選択を出来る程私は残酷になれないというだけ。
それに、きっと何処かで私は思ってた。
真斗なら私が居なくなっても大丈夫だって
顔も良く少し粘着質でストーカー気質な所を治せば彼ならすぐに彼女が出来るだろう、と
真斗の今までの言葉を疑っていたわけじゃない。
小さな頃から彼は私に言い続けた。

『瑠璃が居なきゃ生きていけない』
『瑠璃が死ぬ時は僕が死ぬ時だよ』
『瑠璃、愛してる。
お願いだから、僕を置いていかないで』

自分の要求ばかりを突きつけ
クラスメイトと話してれば引き剥がされ
携帯は監視され部屋には盗聴器や隠しカメラ
プライベートなんてあった試しがない

何故そこまで私に執着するのか
彼は私を好きなのではなく、誰かに執着し支配したいだけなのではないか
そう思った事は一度ではない。
それは、真斗の側にいれば居るほど疑問に思う事だった

真斗を一言で表すなら、完璧な人だ。
容姿端麗で成績優秀、スポーツ万能。
学校でも優等生として先生方から気に入られ生徒達からの人気も高かった。
一方私は、容姿も成績も平凡そのもの。
クラスメイト達からは、あの真斗君の生まれた時から一緒の幼馴染。そう認識されていた。

小さな頃はそれだけで済んでいたが
中学生になり少しずつ皆大人になり始め、恋をする。
大抵の女子が真斗に惚れ真斗の側に居た私に敵意を向ける。
いつからか、嫌がらせは無くなったけど
この行程を何度も何度も繰り返してきた。

私としては、真斗から何度も何度も離れようとした。
それは真斗が嫌いだからではなく自分の身を守る為であり、平穏を求めたからだ。
真斗の側に居る事でイジメられ幾ら番号を変えても嫌がらせの電話が来るし
しまいには、妹にまで被害が及ぶ事があったからだ。
私は普通に生きていたかった。
別に王子様なんて来なくていい
燃えるような恋を求めてる訳でもない。

普通に生き普通に死にたかった。
それが私の望みだった。

けど、真斗は私が離れようと決心する度に
自殺をしようとするし、全生徒に嫌がらせをしているのは誰かと問い詰める。
真斗が問題を起こす度に私は呼び出され真斗を宥めてくれと頼まれる。
ごめんなさいと謝りながらも僕を置いていかないでと真斗は何度も何度も言った
その度に私は、彼を突き放した。

私に依存するのはやめろ、と
私が居なくても世界は終わらない、と

何度も何度も告げた。

結局、彼から逃げ出し普通の人生を送りたい私と私を手放したくない彼との話し合いはいつも平行線。
どちらも折れないし妥協もしないからいつまでたっても変わらない。

「真斗、何で私なの
どうして私だったの。」

「瑠璃が瑠璃だったから。
ねぇ、瑠璃。
俺はね、瑠璃が俺から何度も何度も何度も逃げようと藻掻いてたの知ってる。
でもね、瑠璃は俺から逃げられないんだよ。
だって瑠璃は俺を見捨てられないんだから…」

「瑠璃は優しいからね」

ヘラっと笑い真斗が空中に手を翳すと空中に大きな穴があいた

そこから出てきた人物を見て驚きで声も出なかった
何でこの人がこの空間にいるのかわからなかった

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?

魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。 彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。 国外追放の系に処された。 そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。 新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。 しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。 夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。 ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。 そして学校を卒業したら大陸中を巡る! そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、 鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……? 「君を愛している」 一体なにがどうなってるの!?

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

処理中です...