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番外編 もしも壺に落ちて居なかったら。
7 妖精さんの名前が知りたいです
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「だからさっちゃんにも弟とか必要だって!!」
「いらねぇっつってんだろ!!第一お前と子供作るなんてゴメンだ!」
今日も私の家は賑やかです。
司パパ達が喧嘩するのはいつもの事だし、なんだかんだ仲良しさんなので私は放置してます。
「出来たっ……!司パパ!千歳パパ!幸お出かけしてくるね!」
「ちゃんとネックレスつけてくんだぞ」
「さっちゃん、風邪引かないようにマフラーしっかりつけてね?」
「はーい」
ネックレスがあるのを確認してコートを着てマフラーをつける。
「いってきまーす!」
「「行ってらっしゃい」」
私を見る目や私に向ける声は優しいのに、扉が閉まってからまた怒声が聞こえてくる。
でも多分帰ってくる頃には仲良しさんに戻ってる。
描いた絵を持って待ち合わせ場所へと走りながら、喜んでくれるかな、なんて考えていた。
実は、あれから少しして司パパの職場で迷子になっていたらまたあの妖精さんと出会った。
彼にこの前のお礼を言うと嬉しそうに笑って、私をまた司パパの元へと連れて行ってくれた。
司パパに抱きついて振り返ると、またあの妖精さんは消えてしまっていて名前を聞いてないことに気づいた時には、もう遅かった。
だけど、私が困ってると妖精さんは何処からともなく現れて助けてくれる。
そんな妖精さんと会う方法は、ある場所で名前を呼ぶだけ。
キョロキョロと辺りを見渡して人がいない事を確認する。
「妖精さん」
壁に向かってコッソリ語りかけて後ろを振り向けば、笑顔の妖精さんが手を広げていた。
「妖精さん!あのね幸、妖精さんの絵描いたのっ!妖精さんにあげる!」
妖精さんに抱きついて持ってきた絵を見せれば、妖精さんは嬉しそうに頬を緩ませ私の頭を撫でる
「ありがとう、とても嬉しいよ。この横にいるのは幸?」
「幸だよ!」
「ふふ、可愛い。大事にするね」
「大事にしてくれるの?」
私のパパ達は私が描いた絵や手紙は家宝にするって言って魔法をかけてしまっている。じぃじにもたまに会いに行った時にお手紙や絵を渡すと、とても喜んでくれてお菓子をくれる。
「幸がくれた物を大事にしない訳ないじゃん」
「へへ、嬉しいっ!」
パパ達とはまた違う安心感がある妖精さんとの時間が私は好きだった
「ねぇ、今日も妖精さんのお名前教えてくれないの?」
私の言葉に妖精さんは少し困った様に笑う。
名前を聞くたびに、彼は私の口に指を置いてごめんねと悲しげに微笑む。そしてこう言うんだ…名前を知ったら私が不幸になるからと
「幸ー!おい、本当に此処なのかよ」
「此処らへんって出てるんだけどなぁ」
遠くで私を探すパパ達の声が聞こえる。
「そろそろバイバイの時間だね。
幸、忘れないで。僕は君が世界で一番大好きだよ」
どうして妖精さんはそんなに悲しそうに微笑むんだろう
何が彼を傷つけてるのか、私には分からなかった。
ただ……そんな顔をして欲しくないと…そう思った。
「じゃあね、幸。」
「妖精さん、またっ、またっ会いに来てもいいっ!?」
まるでこれが最後みたいで、慌てて私は言葉を紡ぐ。
「……うん。また、僕を呼んで?そしたらきっと会える」
そう言って妖精さんは消えてしまった。
妖精さんがいた所には雪の様な結晶がキラキラと舞っていて、手のひらに落ちた結晶はすぐに溶けて消えてしまった。
「あっ!居た!幸、お前こんな所でなにやってんだ、探したぞ」
「さっちゃん!怪我してない!?どうしたの?こんな所で!迷子になった!?」
「猫追いかけてたの!心配かけてごめんなさいっ!」
司パパに抱き上げられ、心配そうに眉を下げる千歳パパの頬擦りを受けながら、私の頭の中は妖精さんの事でいっぱいだった。
妖精さんはどうしたら笑ってくれるんだろう
妖精さんの笑顔が……見てみたいなぁ
「いらねぇっつってんだろ!!第一お前と子供作るなんてゴメンだ!」
今日も私の家は賑やかです。
司パパ達が喧嘩するのはいつもの事だし、なんだかんだ仲良しさんなので私は放置してます。
「出来たっ……!司パパ!千歳パパ!幸お出かけしてくるね!」
「ちゃんとネックレスつけてくんだぞ」
「さっちゃん、風邪引かないようにマフラーしっかりつけてね?」
「はーい」
ネックレスがあるのを確認してコートを着てマフラーをつける。
「いってきまーす!」
「「行ってらっしゃい」」
私を見る目や私に向ける声は優しいのに、扉が閉まってからまた怒声が聞こえてくる。
でも多分帰ってくる頃には仲良しさんに戻ってる。
描いた絵を持って待ち合わせ場所へと走りながら、喜んでくれるかな、なんて考えていた。
実は、あれから少しして司パパの職場で迷子になっていたらまたあの妖精さんと出会った。
彼にこの前のお礼を言うと嬉しそうに笑って、私をまた司パパの元へと連れて行ってくれた。
司パパに抱きついて振り返ると、またあの妖精さんは消えてしまっていて名前を聞いてないことに気づいた時には、もう遅かった。
だけど、私が困ってると妖精さんは何処からともなく現れて助けてくれる。
そんな妖精さんと会う方法は、ある場所で名前を呼ぶだけ。
キョロキョロと辺りを見渡して人がいない事を確認する。
「妖精さん」
壁に向かってコッソリ語りかけて後ろを振り向けば、笑顔の妖精さんが手を広げていた。
「妖精さん!あのね幸、妖精さんの絵描いたのっ!妖精さんにあげる!」
妖精さんに抱きついて持ってきた絵を見せれば、妖精さんは嬉しそうに頬を緩ませ私の頭を撫でる
「ありがとう、とても嬉しいよ。この横にいるのは幸?」
「幸だよ!」
「ふふ、可愛い。大事にするね」
「大事にしてくれるの?」
私のパパ達は私が描いた絵や手紙は家宝にするって言って魔法をかけてしまっている。じぃじにもたまに会いに行った時にお手紙や絵を渡すと、とても喜んでくれてお菓子をくれる。
「幸がくれた物を大事にしない訳ないじゃん」
「へへ、嬉しいっ!」
パパ達とはまた違う安心感がある妖精さんとの時間が私は好きだった
「ねぇ、今日も妖精さんのお名前教えてくれないの?」
私の言葉に妖精さんは少し困った様に笑う。
名前を聞くたびに、彼は私の口に指を置いてごめんねと悲しげに微笑む。そしてこう言うんだ…名前を知ったら私が不幸になるからと
「幸ー!おい、本当に此処なのかよ」
「此処らへんって出てるんだけどなぁ」
遠くで私を探すパパ達の声が聞こえる。
「そろそろバイバイの時間だね。
幸、忘れないで。僕は君が世界で一番大好きだよ」
どうして妖精さんはそんなに悲しそうに微笑むんだろう
何が彼を傷つけてるのか、私には分からなかった。
ただ……そんな顔をして欲しくないと…そう思った。
「じゃあね、幸。」
「妖精さん、またっ、またっ会いに来てもいいっ!?」
まるでこれが最後みたいで、慌てて私は言葉を紡ぐ。
「……うん。また、僕を呼んで?そしたらきっと会える」
そう言って妖精さんは消えてしまった。
妖精さんがいた所には雪の様な結晶がキラキラと舞っていて、手のひらに落ちた結晶はすぐに溶けて消えてしまった。
「あっ!居た!幸、お前こんな所でなにやってんだ、探したぞ」
「さっちゃん!怪我してない!?どうしたの?こんな所で!迷子になった!?」
「猫追いかけてたの!心配かけてごめんなさいっ!」
司パパに抱き上げられ、心配そうに眉を下げる千歳パパの頬擦りを受けながら、私の頭の中は妖精さんの事でいっぱいだった。
妖精さんはどうしたら笑ってくれるんだろう
妖精さんの笑顔が……見てみたいなぁ
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