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9章 帰城
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ガタゴトと馬車を走らせて、あたりはすっかり暗くなっていて、やっと馬車が城下町に入ると、私たちは少し気が抜けた。
アーサーはライを早く下ろしたかったようで、城下町に入ると早々にライの家はどこか聞いていた。
ぐったりとしているライは、本通りから1本裏に入ったところにある、昼は食堂、夜は酒屋となる店に連れて行って欲しいと言った。
「でも、そこがライの家ではないんだろう?」
アーサーは胡散臭気な目でライを見る。
「オレの家ではないが、友人がやっている店だ。家に帰るより、そこの方が休める」
まあ、一人暮らしであれば、友人宅に身を寄せるのもありだと思うけど…。
そこでマリーが声をかけた。
「本人がこう言ってるんだ。まあいいじゃないの。でもライ、ちゃんとお店の人にあなたを預けるまで私たちは見ているからね」
「…はい。マリーさん」
まだ少し熱のあるライは、だるそうだったけどきちんと返事をした。
ライに言われた場所まで来ると、ライの言った通りのお店があった。
アーサーはライに肩を貸しているので、私が先に降りてお店の中に入ろうと走って行った。
「ひっ、ロッテ!」
それを見ていたジュディが、私を追って慌てて中に入ってくる。
中に入ると、髭を生やしたおじさんがたくさん居て、みんなお酒を飲んでいた。
「すみません。お店の方はいらっしゃいますか?」
ワイワイと賑わっているお店の中で、私が大声を出してもカウンターの中の人には声は届かなかったようだ。
「姫様、こんなガラの悪いところ、兄さんに任せて私たちは馬車に戻りましょう」
「ジュディ、あなたは帰ってていいわよ。私はカウンターの近くまで行って、お店の人にライのことを伝えてくるわ」
私は一人でカウンターまで行こうとしたけれど、ジュディは私の腕をギッチリ掴んでいたので、結果、ふたりでカウンターまで行くことになった。
「あのー、ここのお店の方ですよね?」
私が声をかけると、カウンターの中の男の人はこちらに目を向けた。
「当然だよ。オレの店じゃなかったら、オレは働いてないよ。お嬢ちゃん、ここは夜は酒屋さんだ。お酒の飲めないお嬢ちゃんは、昼間に来てもらえるかな?美味しいランチをご馳走するぜ」
がっしりとした男の人は、おどけてウインクをして見せた。
すると、ホールに出ていた女の人がカウンターの中に入り、男の人の耳をつねる。
「いてててててクリスごめん。悪かった」
「ちょっと、目を離すとすぐこれだ。若い子にいいとこ見せようとしないでちゃんとキリキリ働いてちょうだい」
クリスと呼ばれた女の人は、耳をつねり上げたまま、いい笑顔でこちらを向いた。
「お嬢ちゃん、まだお酒は飲めないでしょ?食事に来たの?」
ふたりのやり取りを口を開けて見ていた私は、クリスさんの言葉で我に返った。
「あの、こちらライのお友達の店でしょうか?ライが大怪我をして、あまり動けないんです。一人でおうちに帰るのが嫌だと言っているので、こちらに連れてきてもいいでしょうか?」
ライの名前を出した途端、カウンターの二人の表情が真顔になる。
「ライが、どこにいるって?」
素早くカウンターから出てくると、男の人は一直線に出入口まで走った。
その人が出入口に到着する頃、アーサーがライに肩を貸して、お店に入ってくるところだった。
「でんっ、、一体、どうしたって言うんです!」
男の人は抱き抱えるように、アーサーからライを受け取った。
アーサーは簡単に説明をする。
「どうやら、襲われて腕を強打して右足を剣できられたようだ」
ライはまだ傷に響くのか、歩くのは辛そうだったけれど、なんとか男の人に捕まって立っている。
「ロジャー、悪いがすこしここで休ませてくれ」
ライがそう言うと、ロジャーと呼ばれた男の人はライを抱えたまま店の奥に連れて行こうとした。
「ライ、じゃあ、お大事にね」
私は声をかけて立ち去ろうとした。
「まって、ロッテ」
ライに呼び止められる。
「お礼、お礼がしたいんだ。どこに住んでいるのか教えてほしい」
「お礼なんていいわ。当然のことをしただけだし」
笑ってライに手を振って、今度こそお店を出ようとすると、ライは必死の形相で私を止める。
「待って、本当に待って。ごめん、家を教えてなんて、図々しかった。でも本当にお礼がしたいんだ。どうしたら会える?」
ライの必死に勝つことができなくて、私は今度、昼間にこの店に来ることを約束してしまったのだ
アーサーはライを早く下ろしたかったようで、城下町に入ると早々にライの家はどこか聞いていた。
ぐったりとしているライは、本通りから1本裏に入ったところにある、昼は食堂、夜は酒屋となる店に連れて行って欲しいと言った。
「でも、そこがライの家ではないんだろう?」
アーサーは胡散臭気な目でライを見る。
「オレの家ではないが、友人がやっている店だ。家に帰るより、そこの方が休める」
まあ、一人暮らしであれば、友人宅に身を寄せるのもありだと思うけど…。
そこでマリーが声をかけた。
「本人がこう言ってるんだ。まあいいじゃないの。でもライ、ちゃんとお店の人にあなたを預けるまで私たちは見ているからね」
「…はい。マリーさん」
まだ少し熱のあるライは、だるそうだったけどきちんと返事をした。
ライに言われた場所まで来ると、ライの言った通りのお店があった。
アーサーはライに肩を貸しているので、私が先に降りてお店の中に入ろうと走って行った。
「ひっ、ロッテ!」
それを見ていたジュディが、私を追って慌てて中に入ってくる。
中に入ると、髭を生やしたおじさんがたくさん居て、みんなお酒を飲んでいた。
「すみません。お店の方はいらっしゃいますか?」
ワイワイと賑わっているお店の中で、私が大声を出してもカウンターの中の人には声は届かなかったようだ。
「姫様、こんなガラの悪いところ、兄さんに任せて私たちは馬車に戻りましょう」
「ジュディ、あなたは帰ってていいわよ。私はカウンターの近くまで行って、お店の人にライのことを伝えてくるわ」
私は一人でカウンターまで行こうとしたけれど、ジュディは私の腕をギッチリ掴んでいたので、結果、ふたりでカウンターまで行くことになった。
「あのー、ここのお店の方ですよね?」
私が声をかけると、カウンターの中の男の人はこちらに目を向けた。
「当然だよ。オレの店じゃなかったら、オレは働いてないよ。お嬢ちゃん、ここは夜は酒屋さんだ。お酒の飲めないお嬢ちゃんは、昼間に来てもらえるかな?美味しいランチをご馳走するぜ」
がっしりとした男の人は、おどけてウインクをして見せた。
すると、ホールに出ていた女の人がカウンターの中に入り、男の人の耳をつねる。
「いてててててクリスごめん。悪かった」
「ちょっと、目を離すとすぐこれだ。若い子にいいとこ見せようとしないでちゃんとキリキリ働いてちょうだい」
クリスと呼ばれた女の人は、耳をつねり上げたまま、いい笑顔でこちらを向いた。
「お嬢ちゃん、まだお酒は飲めないでしょ?食事に来たの?」
ふたりのやり取りを口を開けて見ていた私は、クリスさんの言葉で我に返った。
「あの、こちらライのお友達の店でしょうか?ライが大怪我をして、あまり動けないんです。一人でおうちに帰るのが嫌だと言っているので、こちらに連れてきてもいいでしょうか?」
ライの名前を出した途端、カウンターの二人の表情が真顔になる。
「ライが、どこにいるって?」
素早くカウンターから出てくると、男の人は一直線に出入口まで走った。
その人が出入口に到着する頃、アーサーがライに肩を貸して、お店に入ってくるところだった。
「でんっ、、一体、どうしたって言うんです!」
男の人は抱き抱えるように、アーサーからライを受け取った。
アーサーは簡単に説明をする。
「どうやら、襲われて腕を強打して右足を剣できられたようだ」
ライはまだ傷に響くのか、歩くのは辛そうだったけれど、なんとか男の人に捕まって立っている。
「ロジャー、悪いがすこしここで休ませてくれ」
ライがそう言うと、ロジャーと呼ばれた男の人はライを抱えたまま店の奥に連れて行こうとした。
「ライ、じゃあ、お大事にね」
私は声をかけて立ち去ろうとした。
「まって、ロッテ」
ライに呼び止められる。
「お礼、お礼がしたいんだ。どこに住んでいるのか教えてほしい」
「お礼なんていいわ。当然のことをしただけだし」
笑ってライに手を振って、今度こそお店を出ようとすると、ライは必死の形相で私を止める。
「待って、本当に待って。ごめん、家を教えてなんて、図々しかった。でも本当にお礼がしたいんだ。どうしたら会える?」
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