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11章 ボナールへ再び
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次の日、オレとフレッド、ジェイミーはボナール城に登城した。
昨日と同じ応接間に通され、昨日と同じように宰相と向き合っている。国王はまだ席に付いていない。
宰相の顔色は良くない。
おそらく、話に進展はなかったのだろう。
「宰相殿。国王は考えを変えていないのでしょうか?」
オレは宰相に話しかける。
煌びやかな応接間に似合わないくらいに青い顔をした宰相。
事態の深刻さが伝わる。
「そうですね。このまま、国王は退位なさるでしょう。あとは形ばかりの議会が引き継ぐか、セリーヌ様が王位を継ぐかですが…。こう言ってはなんですが、セリーヌ様に政治はできません」
だろうな。
あの自分のことしか考えられないような王女では、無理だ。
オレたちを見て、宰相は身を乗り出す。
「フレッド殿、ここで一つ提案なのですが、国王の言うように、ボナールを属国にする気はありませんか?」
「なにっ!?」
「我が国は今すぐ共和制にするのは無理です。議会に判断力や権力を持たせるには時間がかかります。ひとまず、ランバラルドの従属国として権力を削いだセリーヌ様を即位させ、政治はランバラルドで行っていただきます。中枢がうまく機能すれば、税収は戻ると思っています。その後、ランバラルドでボナールが不要という判断を下すのであれば、共和国としてランバラルドから排出すればいい」
ボナールが元に戻らねば、ランバラルドの国土が広がろうとも帝国にとって脅威ではない。
広がるだけで旨味がないからだ。
ボナールが自分で政治を行えるようになったところで切り離すのは、いい案かもしれない。
オレが腕を組み、考えているとフレッドが口を開く。
「もし、ボナールが潰れてしまうようになった時、属国だとしてもランバラルドは手を貸しませんよ?わたしたちにとって大切なのは自国民です。支援のない従属国で、国民は納得しますか?税収が戻るというのは、確実ではないはずです。現に、作物の収穫高はここ数ヶ月、減少の一途を辿ってますよね?」
フレッドがディリオンから渡された資料には、ボナールの厳しい現実が記載されていた。
そこまで話したところで、王の従者が来訪を告げる。
後からゆっくりと国王が入室し、ゆっくりとオレたちの正面に座った。
相変わらず、ジャラジャラと宝石をつけ、嫌な感じだ。
その贅沢な品は、血税で買われているのだろう。
「遅れてすまない。昨日の話の続きだが、国境の盗賊については、すぐにボナールの騎士団を派遣し、討伐にあたらせよう。身柄はボナールで取り押さえ、裁判もこちらでかけさせる」
フレッドは立ち上がる。
「いや、それは困る。ランバラルドの国民も被害に合っている」
今頃ディリオンが森に討伐部隊を送っているはずだ。
捕まえた罪人を引き渡しをするつもりはない。ランバラルドで奴らを裁く。
国王はひくりと眉を動かしたが、すぐに同意した。
「いいでしょう。ランバラルドで確保された者は当然ランバラルドで裁く権利がある。お任せしましょう。退位については、時期を再考しよう。しかし、そう遠くない将来、退位をするつもりだ。その時は、ボナールの外れをわしの領地としてもらい受け、余生はそこで過ごすこととしたい」
あんまりあっさりこちらの言い分を呑んだ国王に、何か含みがある気はしたが、オレたちは一旦引いた。
賠償金の支払いは後回しにし、向こう1年間支払い停止ということで、今回は決着させた。
その間に、ボナールを復興させるのが目的だ。
その旨と、森での討伐の件を盛り込んだ書類にお互い署名捺印をし、オレたちは王城を後にした。
「フレッド、今日、ボナールを立つか?」
馬車の中でフレッドに問いかける。
ジェイミーにも聞きたいが、あいつは馬車の外で、騎馬で並走している。
「うーん。疲れたけど、ランバラルドに帰りたいなぁ。ね、王子、あのクッキー残ってないの?あれ、なんとなく本当に疲れが良く取れるんだよねぇ。甘いもの最強説!ディリオンの意見に一票だね」
「あー、悪い。昨日全部食っちまった。」
「そっかぁ。ざーんねん!じゃ、早く帰ろう。早く帰って、彼女にクッキー焼いてもらおうっと」
嬉しそうにそう言うフレッドに、オレは小言を言わねばならん。
「フレッド、来月の夜会にはお前も出席だからな。そろそろ、他の女の子との手は切れ」
そう言うと、フレッドはブスッとした顔でオレから目をそらし、窓の外を眺めた。
「…もう全部他の女の子とは連絡を取ってないよ」
なんとなく、空気が重くなり、オレはそれ以上のことをフレッドに言えなくなってしまった。
「早くランバラルドへ帰りたいところ悪いが、少し、寄り道をしてもいいだろうか?」
フレッドの視線が窓の外からオレに移る。
「へ?どこ?あんまり危ない所はやだよ?」
「最近ランバラルドへ移住してきた者が前にボナールで住んでた家に行ってみたい」
転居された後の家を見たところで、情報があるとも思えないが、一応、せっかくボナールへ来たのだから、繋がりのあるところは見ておきたい、
「うん、まあいいけど…」
フレッドの了承も得られたので、御者にマリーとアーサーが住んでいたと思われる住所を告げた。
昨日と同じ応接間に通され、昨日と同じように宰相と向き合っている。国王はまだ席に付いていない。
宰相の顔色は良くない。
おそらく、話に進展はなかったのだろう。
「宰相殿。国王は考えを変えていないのでしょうか?」
オレは宰相に話しかける。
煌びやかな応接間に似合わないくらいに青い顔をした宰相。
事態の深刻さが伝わる。
「そうですね。このまま、国王は退位なさるでしょう。あとは形ばかりの議会が引き継ぐか、セリーヌ様が王位を継ぐかですが…。こう言ってはなんですが、セリーヌ様に政治はできません」
だろうな。
あの自分のことしか考えられないような王女では、無理だ。
オレたちを見て、宰相は身を乗り出す。
「フレッド殿、ここで一つ提案なのですが、国王の言うように、ボナールを属国にする気はありませんか?」
「なにっ!?」
「我が国は今すぐ共和制にするのは無理です。議会に判断力や権力を持たせるには時間がかかります。ひとまず、ランバラルドの従属国として権力を削いだセリーヌ様を即位させ、政治はランバラルドで行っていただきます。中枢がうまく機能すれば、税収は戻ると思っています。その後、ランバラルドでボナールが不要という判断を下すのであれば、共和国としてランバラルドから排出すればいい」
ボナールが元に戻らねば、ランバラルドの国土が広がろうとも帝国にとって脅威ではない。
広がるだけで旨味がないからだ。
ボナールが自分で政治を行えるようになったところで切り離すのは、いい案かもしれない。
オレが腕を組み、考えているとフレッドが口を開く。
「もし、ボナールが潰れてしまうようになった時、属国だとしてもランバラルドは手を貸しませんよ?わたしたちにとって大切なのは自国民です。支援のない従属国で、国民は納得しますか?税収が戻るというのは、確実ではないはずです。現に、作物の収穫高はここ数ヶ月、減少の一途を辿ってますよね?」
フレッドがディリオンから渡された資料には、ボナールの厳しい現実が記載されていた。
そこまで話したところで、王の従者が来訪を告げる。
後からゆっくりと国王が入室し、ゆっくりとオレたちの正面に座った。
相変わらず、ジャラジャラと宝石をつけ、嫌な感じだ。
その贅沢な品は、血税で買われているのだろう。
「遅れてすまない。昨日の話の続きだが、国境の盗賊については、すぐにボナールの騎士団を派遣し、討伐にあたらせよう。身柄はボナールで取り押さえ、裁判もこちらでかけさせる」
フレッドは立ち上がる。
「いや、それは困る。ランバラルドの国民も被害に合っている」
今頃ディリオンが森に討伐部隊を送っているはずだ。
捕まえた罪人を引き渡しをするつもりはない。ランバラルドで奴らを裁く。
国王はひくりと眉を動かしたが、すぐに同意した。
「いいでしょう。ランバラルドで確保された者は当然ランバラルドで裁く権利がある。お任せしましょう。退位については、時期を再考しよう。しかし、そう遠くない将来、退位をするつもりだ。その時は、ボナールの外れをわしの領地としてもらい受け、余生はそこで過ごすこととしたい」
あんまりあっさりこちらの言い分を呑んだ国王に、何か含みがある気はしたが、オレたちは一旦引いた。
賠償金の支払いは後回しにし、向こう1年間支払い停止ということで、今回は決着させた。
その間に、ボナールを復興させるのが目的だ。
その旨と、森での討伐の件を盛り込んだ書類にお互い署名捺印をし、オレたちは王城を後にした。
「フレッド、今日、ボナールを立つか?」
馬車の中でフレッドに問いかける。
ジェイミーにも聞きたいが、あいつは馬車の外で、騎馬で並走している。
「うーん。疲れたけど、ランバラルドに帰りたいなぁ。ね、王子、あのクッキー残ってないの?あれ、なんとなく本当に疲れが良く取れるんだよねぇ。甘いもの最強説!ディリオンの意見に一票だね」
「あー、悪い。昨日全部食っちまった。」
「そっかぁ。ざーんねん!じゃ、早く帰ろう。早く帰って、彼女にクッキー焼いてもらおうっと」
嬉しそうにそう言うフレッドに、オレは小言を言わねばならん。
「フレッド、来月の夜会にはお前も出席だからな。そろそろ、他の女の子との手は切れ」
そう言うと、フレッドはブスッとした顔でオレから目をそらし、窓の外を眺めた。
「…もう全部他の女の子とは連絡を取ってないよ」
なんとなく、空気が重くなり、オレはそれ以上のことをフレッドに言えなくなってしまった。
「早くランバラルドへ帰りたいところ悪いが、少し、寄り道をしてもいいだろうか?」
フレッドの視線が窓の外からオレに移る。
「へ?どこ?あんまり危ない所はやだよ?」
「最近ランバラルドへ移住してきた者が前にボナールで住んでた家に行ってみたい」
転居された後の家を見たところで、情報があるとも思えないが、一応、せっかくボナールへ来たのだから、繋がりのあるところは見ておきたい、
「うん、まあいいけど…」
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