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12章 告白への道のり
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フレッド様はあまり浮かない表情で返事をする。
「うーん。まだ、あんまり立ち直っていないかな。そうだ。シャーロットちゃんがランバラルドに来た時の護衛の彼に会ったよ。ルドルフって名乗ってたけど、覚えてる?」
「はい。私がこの国に来るのを、とても心配してくれました。彼は元気でしたか?」
「うん。彼もシャーロットちゃんのこと気にしてるみたいだった。元気かって聞かれて、王子が元気だから心配するなって、伝えてた」
フレッド様は面白くなさそうな顔でそう言った。
「あら、王太子様が私の様子をご存知だったなんて知りませんでしたわ」
「知るわけないじゃん。多分そうだろうって事でそう言ったんだよ」
「まあ、そんないい加減な…。でも、仕方ありませんわね。王太子様にとっても、私は余計なお荷物ですもの」
しんとした応接室に、サクッとフレッド様がクッキーをかじる音がする。
「そのことなんだけどさー。ボナールは、もしかしたら共和制を取ることになるかもしれない」
えっ、私は目を丸くした。
「まあ!国王の身に何かあったのですか?」
「いや。こう言ったらシャーロットちゃんの父親なのに申し訳ないけど、もう政治ができないからあとは好きにやってくれって感じだったよ。だから、お体は元気だ」
本当の父親ではないにしても、ボナールは私の祖国であり、私はその王女である。
祖国の醜聞に居心地が悪くなる。
「私の祖国が、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「いや、シャーロットちゃんが謝ることじゃないけど…。それでね、もしもの話なんだけど、もしも、シャーロットちゃんがここにいる必要がなくなったら、ボナールへ帰りたい?」
…ボナールへ?
思い出すのは冷たい塔の上で過ごした日々。
マリーとジュディだけが私に許された暖かな存在で、あとは窓の外を羨ましく見つめる日々。
きゅっと、胸が締め付けられるように軋んだ。
落ち着こうと紅茶に手を伸ばすも、カップを持ち上げる手も震え、カップとソーサーがカタカタと細かい音を鳴らす。
「フレッド様…できるなら、私はこの国に置いていただきたいです…。冷たい季節の水仕事でもできます。一生懸命働きます。…ですが、もし敵国の元王女がこの国にいることができないのでしたら…私をボナールに返す時は、平民として目立たないように送り返して欲しいのです。お願い、できませんか…?」
カップを置き、フレッド様を見つめる。
フレッド様は立ち上がり、私の隣までやってきて腰を下ろした。
カタカタと、まだ音をさせるカップから私の手を離し、そのまま暖かい手で包んでくれる。
「シャーロットちゃん、怯えないで。もしもの話だよ。まだ何も決まっていないから。例え、シャーロットちゃんがこの国に居る必要がなくなっても、オレがなんとかするよ?この国に居られるように」
私はフレッド様の目を見つめた。
「ほんとう…ですか?」
「うん。約束するよ。その時は、シャーロットちゃんさえ良ければ、うちに来る?」
「フレッド様のうちに?よろしいのですか?」
前に行ったことのある、フレッド様の邸を思い出す。
とても大きな広い邸だった。
あそこなら、メイドが1人くらい増えても大丈夫なのだろう。
パルフェで働きたいけれど、ジュディはお城勤めを辞めたら、きっとパルフェで働く。
あの小さいお店に店員は4人もいらないだろう。
私も、フレッド様の邸で働かせてもらって、お金を貯めたら小さなお店を買おう。
「ありがとうございます。私、一生懸命フレッド様の邸で働きます」
フレッド様に詰め寄ると、フレッド様は少し、後ろに身を引いた。
「近いって。2人きりでいる部屋の中で、オレにあんまり近付かないで。危ないから」
危ないなんて失礼な。
私は噛み付いたりしないのに。
未来の雇用主になるかもしれないフレッド様に、そんな憎まれ口をきくことは出来ず、大人しく身を引く。
「そんな潤んだ目で見つめられたら、今すぐどうにかしたくなっちゃうけど、それはやめておくよ。あと、うちに来るって意味、少し違うからね。多分、うちに来たら、あんまり働けないと思う」
あんまり働かないメイド。
フレッド様のお邸では、やっぱり人が多いから、ジュディが言っていたようにそれぞれの職種に専門メイドがいるのかしら?
一つの仕事だけを全うするなら、確かに仕事量は少なそうだけど、技術が望まれるのではないかしら?
「私、何の仕事を割り振られても、道を極めます」
もう一度、フレッド様に詰め寄り、熱意を伝える。
「ぐ…。もういいから。ジュディのいない離宮でこれ以上長居したら、イケナイことになりそうなんで、もう帰るね。また何かあったら連絡するよ」
立ち上がるフレッド様に、まだ待っててもらうように言って、私は慌ててクッキーを包み、フレッド様に持たせた。
玄関ドアの所で、フレッド様をお見送りし、お姿が見えなくなってドアを閉めようとすると、ガッとドアを押さえられた。
「シャーロット、なんだ、あのやり取りは?」
ドアを押さえたのは、ギルバート様だった。
「うーん。まだ、あんまり立ち直っていないかな。そうだ。シャーロットちゃんがランバラルドに来た時の護衛の彼に会ったよ。ルドルフって名乗ってたけど、覚えてる?」
「はい。私がこの国に来るのを、とても心配してくれました。彼は元気でしたか?」
「うん。彼もシャーロットちゃんのこと気にしてるみたいだった。元気かって聞かれて、王子が元気だから心配するなって、伝えてた」
フレッド様は面白くなさそうな顔でそう言った。
「あら、王太子様が私の様子をご存知だったなんて知りませんでしたわ」
「知るわけないじゃん。多分そうだろうって事でそう言ったんだよ」
「まあ、そんないい加減な…。でも、仕方ありませんわね。王太子様にとっても、私は余計なお荷物ですもの」
しんとした応接室に、サクッとフレッド様がクッキーをかじる音がする。
「そのことなんだけどさー。ボナールは、もしかしたら共和制を取ることになるかもしれない」
えっ、私は目を丸くした。
「まあ!国王の身に何かあったのですか?」
「いや。こう言ったらシャーロットちゃんの父親なのに申し訳ないけど、もう政治ができないからあとは好きにやってくれって感じだったよ。だから、お体は元気だ」
本当の父親ではないにしても、ボナールは私の祖国であり、私はその王女である。
祖国の醜聞に居心地が悪くなる。
「私の祖国が、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「いや、シャーロットちゃんが謝ることじゃないけど…。それでね、もしもの話なんだけど、もしも、シャーロットちゃんがここにいる必要がなくなったら、ボナールへ帰りたい?」
…ボナールへ?
思い出すのは冷たい塔の上で過ごした日々。
マリーとジュディだけが私に許された暖かな存在で、あとは窓の外を羨ましく見つめる日々。
きゅっと、胸が締め付けられるように軋んだ。
落ち着こうと紅茶に手を伸ばすも、カップを持ち上げる手も震え、カップとソーサーがカタカタと細かい音を鳴らす。
「フレッド様…できるなら、私はこの国に置いていただきたいです…。冷たい季節の水仕事でもできます。一生懸命働きます。…ですが、もし敵国の元王女がこの国にいることができないのでしたら…私をボナールに返す時は、平民として目立たないように送り返して欲しいのです。お願い、できませんか…?」
カップを置き、フレッド様を見つめる。
フレッド様は立ち上がり、私の隣までやってきて腰を下ろした。
カタカタと、まだ音をさせるカップから私の手を離し、そのまま暖かい手で包んでくれる。
「シャーロットちゃん、怯えないで。もしもの話だよ。まだ何も決まっていないから。例え、シャーロットちゃんがこの国に居る必要がなくなっても、オレがなんとかするよ?この国に居られるように」
私はフレッド様の目を見つめた。
「ほんとう…ですか?」
「うん。約束するよ。その時は、シャーロットちゃんさえ良ければ、うちに来る?」
「フレッド様のうちに?よろしいのですか?」
前に行ったことのある、フレッド様の邸を思い出す。
とても大きな広い邸だった。
あそこなら、メイドが1人くらい増えても大丈夫なのだろう。
パルフェで働きたいけれど、ジュディはお城勤めを辞めたら、きっとパルフェで働く。
あの小さいお店に店員は4人もいらないだろう。
私も、フレッド様の邸で働かせてもらって、お金を貯めたら小さなお店を買おう。
「ありがとうございます。私、一生懸命フレッド様の邸で働きます」
フレッド様に詰め寄ると、フレッド様は少し、後ろに身を引いた。
「近いって。2人きりでいる部屋の中で、オレにあんまり近付かないで。危ないから」
危ないなんて失礼な。
私は噛み付いたりしないのに。
未来の雇用主になるかもしれないフレッド様に、そんな憎まれ口をきくことは出来ず、大人しく身を引く。
「そんな潤んだ目で見つめられたら、今すぐどうにかしたくなっちゃうけど、それはやめておくよ。あと、うちに来るって意味、少し違うからね。多分、うちに来たら、あんまり働けないと思う」
あんまり働かないメイド。
フレッド様のお邸では、やっぱり人が多いから、ジュディが言っていたようにそれぞれの職種に専門メイドがいるのかしら?
一つの仕事だけを全うするなら、確かに仕事量は少なそうだけど、技術が望まれるのではないかしら?
「私、何の仕事を割り振られても、道を極めます」
もう一度、フレッド様に詰め寄り、熱意を伝える。
「ぐ…。もういいから。ジュディのいない離宮でこれ以上長居したら、イケナイことになりそうなんで、もう帰るね。また何かあったら連絡するよ」
立ち上がるフレッド様に、まだ待っててもらうように言って、私は慌ててクッキーを包み、フレッド様に持たせた。
玄関ドアの所で、フレッド様をお見送りし、お姿が見えなくなってドアを閉めようとすると、ガッとドアを押さえられた。
「シャーロット、なんだ、あのやり取りは?」
ドアを押さえたのは、ギルバート様だった。
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