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18章 王位剥奪
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モーリス殿は諦めたような顔で、ディリオンに告げる。
「無理です。国王が退位をしても、国を任せられる政治家がおりません。国王は、国民のことは考えていませんでしたが、大変頭の良い方です。ほとんど全てのことに目を通し、指示をしてきたのです」
ディリオンはイラつきを隠しもせずにモーリス殿に言う。
「貴殿がそのような態度だからこの国はこうなったのだ。責任を取って、あるべき姿に返すのが宰相としての役目ではないのか」
「しかし、」
オレはモーリス殿にこれ以上反対させない。
「いきなり全部やれとはいわない。ランバラルドの頭脳を貸す。その間に自分たちで国を回せるように立て直せ。とにかく、国王には退位をしていただく。その後は、セリーヌ王女ではなく、シャーロット王女に継いでいただく」
「シャーロット殿下に?」
「そうだ。オレの妃であるシャーロット王女ならば、ランバラルドがボナールの援助をしても、諸外国から文句は出まい」
モーリスは戸惑いの表情を浮かべる。
「いや、しかし、それではランバラルドの国力が増大なものになる。世界の勢力分布図が変わってしまい、世界を巻き込んだ戦争が起きるぞ」
「そんなの、一時のことだ。なんとしてでも押さえて見せる」
話を進めるうちに、身を固くしてきたモーリス殿は、いきなり力を抜いて椅子にもたれた。
「はは……。若僧が生意気を……」
「なにっ!」
ディリオンが青筋を立てる。
「いや、失礼。いいでしょう。ライリー殿下。わたしはあなたの若さと情熱にかけましょう。話し合いはあなたが望むような形になるよう、助力いたします」
その後、打ち合わせをして、急ぎ国王の元へ向かった。
国王の目の前に、ボナールから乗った奴隷の売買リストと、それにボナール国が噛んでいたという証拠の契約書を出す。
税関のチェック機能も、王室の印一つでノーチェックで通るように画策されていた。
「ボナール国王、何か言いたいことはあるか?」
国王は玉座に座り、オレの方をチラッと見た。
「セリーヌが言う通りだったな。そなたが王太子だったか。わしの見る目もまだまだだのう」
オレが影武者を使っていたことは、セリーヌ王女から聞いていたようだ。
「そんなことはどうでもいい。ランバラルド国民が犠牲になっている。この責任をどう取るつもりだ」
この席には、ボナールから国王とモーリス宰相、ランバラルドからはオレたち3人がついている。
「ランバラルドは、ボナール国王に、王位返還を要求する。更に、奴隷として売られた者たちの賠償金を請求する」
ボナール国王はため息をひとつ付くと、頬杖をついた。
「わしが奴隷の売買に関わっていたという証拠は?」
「国王個人が関わっていたという証拠はない」
「では、わしに責任はないのでは?」
「だが、王室として関わっていたという証拠はここにある」
「……ライリー王太子よ、知っておろう。我がボナールにはもう金はない。賠償金が払える訳がない。またセリーヌでも攫っていくか?」
冗談じゃない。セリーヌ王女なんかいるもんか。
「ふざけないでいただきたい。セリーヌ王女が賠償金の代わりになるとでも?」
「はは。なかなか可愛い顔して殿下は酷いことを平気で言う」
「では、今すぐ退位をしていただきたい」
オレは国王の目を見て要求した。
「わしが退位をして、賠償金を払えるとでも言うのかね」
ディリオンが国王の目の前に資料を出す。
「ざっと、資産をしたがこの国の課税システムと国民の納税能力をはかると、今は赤字だが5年もしないうちに黒字に転じるはずだ。これがシュミレーションしたものだ」
国王は頬杖を付いたまま、資料を見る。
「なるほど……。よく勉強されているな」
「国王は早急に退位をし、所持している宝石などは、全て置いて行ってもらおう」
持っている宝石類が、すごい額なのはわかっている。
さあ。
国王の出方は。
「………よかろう。すぐにでも退位をしよう」
えっ………?
すぐにでも、退位に同意すると……?
「その代わり、その後の生活のために、幾ばくかの領地をもらいたい」
めずらしく、フレッドが不機嫌を隠さず言う。
「領地? これだけ無駄に税金を使っておきながら、領地が必要だっていうのか?」
「王室から追い出して、所持していた宝石も取り上げて、その後はどのように生活しろというのだ。広大な土地を求めてはおらん。細々と暮らしていけるだけあればいい。モーリス、地図を持て」
モーリス殿が席を立つ。
机に地図を広げて、国王が指をさす。
「そうじゃな。中心地から遠く外れた方がいいだろう。この、火山の横ではどうだろう」
地図を見る限りでは、不審なところはない。と思う。
火山は火山なだけで、鉱山ではない。
港があるわけでもないから関税で儲けることもできない。
ただ、田畑が結構あるから、真面目に穀物を育てていれば、税収は期待できそうだ。
だが、それだけだ。
モーリス殿の顔を見る。
国王にわからないように首を傾げる。
モーリス殿もここにした理由はわからないようだ。
「どうだ? 望みとあらば、今すぐにでも王位返還のサインをするぞ」
ディリオンの顔を見る。
ディリオンにも特別な理由は見当たらないようだ。
「わかった。書類を用意しよう」
こうして、オレたちは書類を作るために別室を用意してもらった。
「ディリオン、どう思う?」
「いや、場所的には何も問題がないように思う。真面目に働けば食うには困らないような土地だと思う」
「では、持ってきた王位返還の書類の他に、領地を譲渡する書類を作ろう。もう王位に絡まないように、セリーヌ王女が継承しないことも盛り込んでおけ」
オレとディリオンが書類作成に入るが、フレッドはまだ考えていた。
「なんかあっさりし過ぎてるんだよなあ。宝石類をどこかに隠し持ってるんじゃない? その隠し場所がそのあたりにあるとかさ」
ディリオンは言う。
「では、領地に何か財産を隠し持っていた場合、それも国庫に返却する旨も盛り込んで書類を作ろう」
オレたちがああでもないこうでもないと、内容について話し合っていると、部屋の外がざわざとし始めた。
気になってフレッドがドアを開けると、モーリス殿がこちらに走り込んできた。
「ああ、ライリー王太子殿下、今、港から連絡が入り、王太子殿下の使者が港の警備隊に拘束されていると伝言がありました!」
モーリス殿が息を切らしてオレに言う。
……奴隷の救助に行ったコンラッドに、何かあったようだ。
「無理です。国王が退位をしても、国を任せられる政治家がおりません。国王は、国民のことは考えていませんでしたが、大変頭の良い方です。ほとんど全てのことに目を通し、指示をしてきたのです」
ディリオンはイラつきを隠しもせずにモーリス殿に言う。
「貴殿がそのような態度だからこの国はこうなったのだ。責任を取って、あるべき姿に返すのが宰相としての役目ではないのか」
「しかし、」
オレはモーリス殿にこれ以上反対させない。
「いきなり全部やれとはいわない。ランバラルドの頭脳を貸す。その間に自分たちで国を回せるように立て直せ。とにかく、国王には退位をしていただく。その後は、セリーヌ王女ではなく、シャーロット王女に継いでいただく」
「シャーロット殿下に?」
「そうだ。オレの妃であるシャーロット王女ならば、ランバラルドがボナールの援助をしても、諸外国から文句は出まい」
モーリスは戸惑いの表情を浮かべる。
「いや、しかし、それではランバラルドの国力が増大なものになる。世界の勢力分布図が変わってしまい、世界を巻き込んだ戦争が起きるぞ」
「そんなの、一時のことだ。なんとしてでも押さえて見せる」
話を進めるうちに、身を固くしてきたモーリス殿は、いきなり力を抜いて椅子にもたれた。
「はは……。若僧が生意気を……」
「なにっ!」
ディリオンが青筋を立てる。
「いや、失礼。いいでしょう。ライリー殿下。わたしはあなたの若さと情熱にかけましょう。話し合いはあなたが望むような形になるよう、助力いたします」
その後、打ち合わせをして、急ぎ国王の元へ向かった。
国王の目の前に、ボナールから乗った奴隷の売買リストと、それにボナール国が噛んでいたという証拠の契約書を出す。
税関のチェック機能も、王室の印一つでノーチェックで通るように画策されていた。
「ボナール国王、何か言いたいことはあるか?」
国王は玉座に座り、オレの方をチラッと見た。
「セリーヌが言う通りだったな。そなたが王太子だったか。わしの見る目もまだまだだのう」
オレが影武者を使っていたことは、セリーヌ王女から聞いていたようだ。
「そんなことはどうでもいい。ランバラルド国民が犠牲になっている。この責任をどう取るつもりだ」
この席には、ボナールから国王とモーリス宰相、ランバラルドからはオレたち3人がついている。
「ランバラルドは、ボナール国王に、王位返還を要求する。更に、奴隷として売られた者たちの賠償金を請求する」
ボナール国王はため息をひとつ付くと、頬杖をついた。
「わしが奴隷の売買に関わっていたという証拠は?」
「国王個人が関わっていたという証拠はない」
「では、わしに責任はないのでは?」
「だが、王室として関わっていたという証拠はここにある」
「……ライリー王太子よ、知っておろう。我がボナールにはもう金はない。賠償金が払える訳がない。またセリーヌでも攫っていくか?」
冗談じゃない。セリーヌ王女なんかいるもんか。
「ふざけないでいただきたい。セリーヌ王女が賠償金の代わりになるとでも?」
「はは。なかなか可愛い顔して殿下は酷いことを平気で言う」
「では、今すぐ退位をしていただきたい」
オレは国王の目を見て要求した。
「わしが退位をして、賠償金を払えるとでも言うのかね」
ディリオンが国王の目の前に資料を出す。
「ざっと、資産をしたがこの国の課税システムと国民の納税能力をはかると、今は赤字だが5年もしないうちに黒字に転じるはずだ。これがシュミレーションしたものだ」
国王は頬杖を付いたまま、資料を見る。
「なるほど……。よく勉強されているな」
「国王は早急に退位をし、所持している宝石などは、全て置いて行ってもらおう」
持っている宝石類が、すごい額なのはわかっている。
さあ。
国王の出方は。
「………よかろう。すぐにでも退位をしよう」
えっ………?
すぐにでも、退位に同意すると……?
「その代わり、その後の生活のために、幾ばくかの領地をもらいたい」
めずらしく、フレッドが不機嫌を隠さず言う。
「領地? これだけ無駄に税金を使っておきながら、領地が必要だっていうのか?」
「王室から追い出して、所持していた宝石も取り上げて、その後はどのように生活しろというのだ。広大な土地を求めてはおらん。細々と暮らしていけるだけあればいい。モーリス、地図を持て」
モーリス殿が席を立つ。
机に地図を広げて、国王が指をさす。
「そうじゃな。中心地から遠く外れた方がいいだろう。この、火山の横ではどうだろう」
地図を見る限りでは、不審なところはない。と思う。
火山は火山なだけで、鉱山ではない。
港があるわけでもないから関税で儲けることもできない。
ただ、田畑が結構あるから、真面目に穀物を育てていれば、税収は期待できそうだ。
だが、それだけだ。
モーリス殿の顔を見る。
国王にわからないように首を傾げる。
モーリス殿もここにした理由はわからないようだ。
「どうだ? 望みとあらば、今すぐにでも王位返還のサインをするぞ」
ディリオンの顔を見る。
ディリオンにも特別な理由は見当たらないようだ。
「わかった。書類を用意しよう」
こうして、オレたちは書類を作るために別室を用意してもらった。
「ディリオン、どう思う?」
「いや、場所的には何も問題がないように思う。真面目に働けば食うには困らないような土地だと思う」
「では、持ってきた王位返還の書類の他に、領地を譲渡する書類を作ろう。もう王位に絡まないように、セリーヌ王女が継承しないことも盛り込んでおけ」
オレとディリオンが書類作成に入るが、フレッドはまだ考えていた。
「なんかあっさりし過ぎてるんだよなあ。宝石類をどこかに隠し持ってるんじゃない? その隠し場所がそのあたりにあるとかさ」
ディリオンは言う。
「では、領地に何か財産を隠し持っていた場合、それも国庫に返却する旨も盛り込んで書類を作ろう」
オレたちがああでもないこうでもないと、内容について話し合っていると、部屋の外がざわざとし始めた。
気になってフレッドがドアを開けると、モーリス殿がこちらに走り込んできた。
「ああ、ライリー王太子殿下、今、港から連絡が入り、王太子殿下の使者が港の警備隊に拘束されていると伝言がありました!」
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