異世界に奏でる狂騒曲(ロックンロール)~ランク0だけどロックの力で最強パーティに~

伊太利 千重治

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1章

5サビ-誘惑

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 ――演奏が終わると、獣人達が奏太達にこぞって握手を求めてきた。


「いや~こんなに楽しい音楽は初めてメェ~!また是非とも聴かせてくださいメェ~!」

「最高だったウキ! こんなに踊ったのは久し振りウキ!」

「まだまだ踊り足りないモ~!もっとやってくれモ~!」

 押し寄せる獣人達に、奏太達は圧倒されつつも満足げな表情を浮かべる。


「あ、ありがとう……! でもちょっと息苦しいっ……!」

「猫耳娘に囲まれて至福でござる~!」

「ふええ~!皆さん落ち着いてくださ~い!」

 あまりの反響に奏太達がパニックに陥っていると、隆司が獣人達に向かって口を開く。


「え~、皆様に朗報です。先程の曲を記録したこちらの蓄音箱を、皆様に販売したいと思います! これさえあれば、毎日踊り狂えますよ!
 今回はなんと! こちらの中型蓄音箱を、特別価格の金貨5枚でお売り致します! 数に限りがございますが、買いそびれた方にも後日商品をお渡し致しますので、皆さん振るってお買い求めください!」

「ウオオー!!」

 ビジネスモードに切り替わった隆司のセールストークに、その場にいた全ての獣人が食い付いた。

 す、凄い商売根性だな……。

 自分達の周りにいた獣人達が一斉に隆司の元へ押し寄せ、奏太がホッとしながら隆司の方を見ると、隆司がこちらに向かってウィンクを投げた。
 どうやら初めからビジネスを目論んで奏太達に協力していたらしい。
 何ともしたたかな男だ、と奏太が呆れながらも感心する。

 観衆達の相手は隆司に任せる事にして、そろそろ退散しようと考えていると、数名の獣人が奏太に近付いてきた。


「ちょっと良いピョ~ン? お兄さ~ん。」

 奏太が声の方に目を向けると、2人の女性獣人が、何やら艶かしい雰囲気を醸し出しながら寄ってくる。
 2人とも耳は犬やウサギの形をしているが、見た目はほぼ人間と変わりない。
 そして2人とも超セクシーなスタイルと服装を纏っている。


「え、えと、なななんでしょうか。」

 奏太が目を泳がせながらも、2人の露出した谷間を目に焼き付ける。

 ス、スゲェー!響子さんも素晴らしいスタイルだったけど、獣人の美女達はこれまた暴力的な魅力だ~!


「お兄さん達さっきのスッゴいヨかったワ~ン!。良かったらこの後私達と遊ばないワン?」
 女性達が奏太の腕を両側から掴み、谷間で挟んでくる。

 う、嬉しいけど、流されちゃダメだ~!俺には響子さんという心に決めた人が~!

 奏太が鼻の下を伸ばしながらもなんとか理性を保ち、響子の方を見ると、響子は全くこちらに気付く様子もなく、金重と2人で先程の演奏について振り返っている。

 ま、まぁ昨日は金重も獣人の女性達とエンジョイしたみたいだし? 響子さんもシド・ヴ◯シャス一筋だし? 今日くらいは羽を伸ばしてもいいかなぁ~?
 奏太の理性が脆くも崩れ去り、女性達に引かれるまま夜の街にしけこもうとするとーー


「ーー奏太様~!」

 何やら自分の名前を呼ぶ声がする。
 俺の童貞卒業式の邪魔をする奴は一体誰だ?
 奏太が声の方に目を向けると、何故かそこにはアイバニーゼの姿があった。


「奏太様! こんな所で奇遇ですね! 実は私道に迷ってしまいまして、城まで護衛してくださいませんか?」

 何故こんな所に突然現れて、この少女は俺にそんな面倒臭い事を頼むんだ。
 貧乳娘には興味ないから、金重辺りに任せてさっさとお姉さん達と楽しい夜を過ごそう。


「あー、えーっと……お姫様、実は俺今忙しくて、護衛の任務は代わりに金重がーー」

「ほら奏太様! 行きましょう!」

 なんとかやんわり断ろうとする奏太の腕を、アイバニーゼが強引に掴んで引っ張る。


「ち、ちょっとあんた何なのピョン! お兄さんは今から私たちとイイコトして遊ぶピョン!」

「そうだワン! 子供にはまだ早いんだから、邪魔しないでさっさとおうちに帰りなさいワン!」

 ウ、ウホー! やっぱりお姉さん達は俺とイイコトするつもりなのかー!グッバイ童貞!そして悪いがグッバイお姫様!

 女性達の言葉に、奏太が思わず鼻血を噴き出す。


「何か仰いましたか……? 。その不潔な体で奏太様のお体を汚さないでください。 この……!」

 アイバニーゼがカタギとは思えない目で女性達を睨み付けると、その可愛らしい見た目からは想像も付かないような、ドスの効いた声で脅しにかかった。


「こ、この子一体なんなのワン……。」

「この子の目、絶対ヤバイピョン……。もう行きましょうピョン!」

 セクシーな獣人の女性達は、アイバニーゼの威嚇にただならぬ雰囲気を感じ、慌てて奏太の腕から離れると、何処かへ去っていった。


「ああ~そんなぁ~~!」

 折角のチャンスを逃し、奏太は悲痛な声を上げながら2人の背中に虚しく手を伸ばした。


「あんな女達、奏太様には不釣り合いです! さあ行きましょう!」

 まだ女性達を追おうとする奏太の腕を、アイバニーゼが強引に引っ張って連れ去る。


「あれ? そちらにいらっしゃるのはアイバニーゼさん……? 奏太さんと何処に行くんですか?」

 アイバニーゼの存在に気付き、響子が2人を呼び止める。


「奏太様は今からお城に用事がございますので、お2人はそのまま宿にお戻り下さい!
 奏太様は後でお送り致しますので! ではごきげんよう!」

 アイバニーゼが挨拶を済ませると、失意に暮れる奏太を引き連れ、そそくさとその場を立ち去ったーー


「姫君はいつからいたのでござるかね?」

「さぁ……何だったのでしょうか……。」

 金重と響子が、去り行く2人の姿を呆然と見つめたーー



「ーーあの、お姫様。そろそろ腕を離して貰えませんか?」

 しばらく経っても腕を掴み続けるアイバニーゼに、奏太が迷惑そうに話しかけた。
 非番の日に出動を命じられる警察官や、休日に一人で子供の面倒を見るお父さんってこんな気持ちなのだろうかと考えながら、奏太は渋々アイバニーゼの護衛任務を行う。

「アイバニーゼで結構ですわ奏太様。ですがそれはダメです。離したら私また迷ってしまいますので……。」

 どれだけ箱入り娘なんだよ……。これがさっきのお姉さん達なら、今頃両腕を柔らかい感触が包み込んでいただろうに……。
 アイバニーゼの育ちきっていない体からは全く弾力を感じず、奏太が深く溜め息をついた。

 かたやアイバニーゼは実に満足そうな笑みを浮かべている。

(奏太様をあのふしだらな女達からお守りすることが出来ました! これからも奏太様には悪い虫が寄ってこないように、私が見張らなくてはなりませんね!)

 何やらアイバニーゼから不穏な空気を感じるが、気のせいだろうか……。
 まあ今回で音楽の評判が良ければ女性にモテる事が分かったから、これからチャンスはいくらでもあるだろう。
 早ければ今年中に童貞卒業ーーいや、ハーレム実現も夢じゃない!
 うひひ……。

 アイバニーゼの決心を知る由もなく、奏太は淡い妄想を募らせたーー
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