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リヒト
王女様は美少年
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『俺はクロエを愛している。何があっても俺が守るし、生涯大切にすると誓う。お前が望むことは何でもしてやりたいが。離れるのは駄目だ』
青灰色の瞳でまっすぐに見つめられて。
不覚にも、ときめいてしまった。
こんな風に、情熱的に求愛されるのは生まれて初めてのことだからかもしれない。
面と向かって愛してる、なんて言われたのも。
うう。
せめてヒゲモジャのままなら、クマが何か言ってるな、で流せたのに。
こんな、どこからどう見ても男! って男くさい風貌なのに。
端正な顔した男前で。
声まで良いとか卑怯すぎる。
何で、ときめいちゃってるかな!?
乙女じゃあるまいし!
†‡†‡†
『わあ、J・Jがこんなに喋るの、初めて見たよ』
のんきな声に、気が抜ける。
パーシヴァル、面白がって見てないで、この人止めて。
どうしたものかと困惑していたら。
ノックの音がして。
『はぁ~い』
パーシヴァルが返事をして、応対した。
『王女メイベル様が救世主様とお話ししたいとのことだけど。どうする?』
王女様!?
「どうするも何も。王女様のご所望とあらば!」
この部屋でも大丈夫だというので。
使用人が王女様に椅子を持ってきて。僕はその正面に座った。
パーシヴァルとジャンは立ってる。
身分の問題だろうか?
笑顔で登場したメイベル王女は、派手すぎないドレスが似合う、かわいい女の子だった。
プラチナブロンドを結い上げて。緑の瞳をきらきらさせている。
15歳だという話だ。若さが眩しい。
『初めまして。僕が第三王女のメイベルだよ』
スカートの裾を持ち上げてみせた。
声も話し方も可愛いな。
ちょっとハスキーだけど。
……ん?
僕?
今、この子、僕って言った? 僕っ娘なのかな?
†‡†‡†
オトコノコだった。
王族で第二子以降、三人目の子供が生まれた場合は”王女”として扱われるのだという。
16歳になったら他の国に嫁がせるという決まりなんだそうだ。
過去に王族の間で骨肉相食む相続争いでもあったのだろうか。
二番目……次男までは、もしもの時のバックアップってことか。
何という世知辛い世界だろう。
じゃあ僕の家なら、僕も女の子扱いされて嫁に行かされるな。
末っ子だし。
そういうの関係なく、ツガイにされちゃったけど。
メイベル、こんなにかわいいのに。
女の子じゃなかったのか……。
女の子にしては、声がハスキーだな、と思ったんだ。
『お城には歳の近い子がいなくて寂しかったんだ。みんな成人しちゃってる人ばっかりで。よかったら、話し相手になってくれないかな?』
可愛らしく小首を傾げた。
この世界は、16歳で成人だという。
つまり。
僕はそれ以下だと思われてるのか。さすがにショックだけど。
……まあいいか。
男の身で来年お嫁に行かされてしまうメイベルちゃんの話し相手くらい、いくらでもなろう。
いいよ、って言ったら。
嬉しそうに笑った。
男の子でも、若いうちは女装が似合う子もいるんだなあ。
外国人の子供とか、天使みたいだし。
大人になると大抵はごつくなっちゃうけど。
でもルロイ王は綺麗な顔立ちだったし。メイベルも、このまま美人に育ちそう。
はっ。
もしかして。
ジャンは僕が16歳になったら手を出そうとか思ってるんじゃないか?
とっくに過ぎてるけど。
大人になるまで育てるつもりで拾った、って言ってたし。
ってことは。
本来の年齢が知られたら、襲われるんじゃないだろうな!?
それはまずい。
絶対、バレないようにしなくちゃ!
†‡†‡†
お茶とお菓子を食べながらメイベルと雑談して。
この世界の話を少し聞いた。
かなり驚愕の事実だった。
現在、この世界には本物の女性がいないという。
でも、男でも妊娠できる魔法を研究して。何とか子孫を残せるようになったんだそうだ。
メイベルのように嫁に行くことが決まっている子は、10歳の頃から、魔法で少しずつ子供ができる身体にしていくそうだ。
大人の身体では、変えるには負担が大きくなってしまうとか。
デリケートな問題なので、詳しくは聞けなかったけど。
魔法で子宮ができたとして、だ。男には、膣が無いわけで。
もう一つ、穴が出来るとか?
まさか、排泄口で性交するんだろうか。
確か、男には子宮の名残だった臓器があったはず。それを魔法で機能するようにさせるのかな?
すごく気になるけど。まだ、未成年だし。興味本位で聞いちゃいけないだろう。
でも気になる……。
後で誰かに聞くとするか。
それと、王様が狼の獣人で、自分たちは狼犬の獣人だと言った。
後妻なので、血が繋がった兄弟じゃないとか。
耳だけでも出せるんだよ、と僕に犬耳を見せて。
はしたない、とパーシヴァルに叱られていた。
そんな個人情報を、うっかり話しちゃっていいのかね?
まあ、いつか異世界に帰る人間だと思えばこそ、気楽に話せるのかも。
そろそろ就寝の時間だと言われて。
メイベルとパーシヴァル、使用人たちは帰っていった。
メイベルのおかげで、ここの情報がだいぶわかってきて助かった。
そうか。
女の人がいない世界だったのか。
それでジャンは、子供だと思った僕をツガイにしようと思ったんだな。
†‡†‡†
幸い、お風呂は存在していたので、お湯を使わせてもらった。
石鹸もあった。
塊を紐とかで切って使うやつ。
地下にボイラー室があって。
夜遅くから朝方まではボイラーが止まってるのでその時間帯はお湯が使えないそうだ。気をつけよう。
用意されていたバスローブを羽織る。
なんだかセレブになったようだ。
国の賓客だから、間違いなくセレブリティなんだろうけど。
ジャンはお風呂はいい、という。
来る時に、パーシヴァルに入らされたからだそうだ。
シャワーぐらい、浴びればいいのに。
青灰色の瞳でまっすぐに見つめられて。
不覚にも、ときめいてしまった。
こんな風に、情熱的に求愛されるのは生まれて初めてのことだからかもしれない。
面と向かって愛してる、なんて言われたのも。
うう。
せめてヒゲモジャのままなら、クマが何か言ってるな、で流せたのに。
こんな、どこからどう見ても男! って男くさい風貌なのに。
端正な顔した男前で。
声まで良いとか卑怯すぎる。
何で、ときめいちゃってるかな!?
乙女じゃあるまいし!
†‡†‡†
『わあ、J・Jがこんなに喋るの、初めて見たよ』
のんきな声に、気が抜ける。
パーシヴァル、面白がって見てないで、この人止めて。
どうしたものかと困惑していたら。
ノックの音がして。
『はぁ~い』
パーシヴァルが返事をして、応対した。
『王女メイベル様が救世主様とお話ししたいとのことだけど。どうする?』
王女様!?
「どうするも何も。王女様のご所望とあらば!」
この部屋でも大丈夫だというので。
使用人が王女様に椅子を持ってきて。僕はその正面に座った。
パーシヴァルとジャンは立ってる。
身分の問題だろうか?
笑顔で登場したメイベル王女は、派手すぎないドレスが似合う、かわいい女の子だった。
プラチナブロンドを結い上げて。緑の瞳をきらきらさせている。
15歳だという話だ。若さが眩しい。
『初めまして。僕が第三王女のメイベルだよ』
スカートの裾を持ち上げてみせた。
声も話し方も可愛いな。
ちょっとハスキーだけど。
……ん?
僕?
今、この子、僕って言った? 僕っ娘なのかな?
†‡†‡†
オトコノコだった。
王族で第二子以降、三人目の子供が生まれた場合は”王女”として扱われるのだという。
16歳になったら他の国に嫁がせるという決まりなんだそうだ。
過去に王族の間で骨肉相食む相続争いでもあったのだろうか。
二番目……次男までは、もしもの時のバックアップってことか。
何という世知辛い世界だろう。
じゃあ僕の家なら、僕も女の子扱いされて嫁に行かされるな。
末っ子だし。
そういうの関係なく、ツガイにされちゃったけど。
メイベル、こんなにかわいいのに。
女の子じゃなかったのか……。
女の子にしては、声がハスキーだな、と思ったんだ。
『お城には歳の近い子がいなくて寂しかったんだ。みんな成人しちゃってる人ばっかりで。よかったら、話し相手になってくれないかな?』
可愛らしく小首を傾げた。
この世界は、16歳で成人だという。
つまり。
僕はそれ以下だと思われてるのか。さすがにショックだけど。
……まあいいか。
男の身で来年お嫁に行かされてしまうメイベルちゃんの話し相手くらい、いくらでもなろう。
いいよ、って言ったら。
嬉しそうに笑った。
男の子でも、若いうちは女装が似合う子もいるんだなあ。
外国人の子供とか、天使みたいだし。
大人になると大抵はごつくなっちゃうけど。
でもルロイ王は綺麗な顔立ちだったし。メイベルも、このまま美人に育ちそう。
はっ。
もしかして。
ジャンは僕が16歳になったら手を出そうとか思ってるんじゃないか?
とっくに過ぎてるけど。
大人になるまで育てるつもりで拾った、って言ってたし。
ってことは。
本来の年齢が知られたら、襲われるんじゃないだろうな!?
それはまずい。
絶対、バレないようにしなくちゃ!
†‡†‡†
お茶とお菓子を食べながらメイベルと雑談して。
この世界の話を少し聞いた。
かなり驚愕の事実だった。
現在、この世界には本物の女性がいないという。
でも、男でも妊娠できる魔法を研究して。何とか子孫を残せるようになったんだそうだ。
メイベルのように嫁に行くことが決まっている子は、10歳の頃から、魔法で少しずつ子供ができる身体にしていくそうだ。
大人の身体では、変えるには負担が大きくなってしまうとか。
デリケートな問題なので、詳しくは聞けなかったけど。
魔法で子宮ができたとして、だ。男には、膣が無いわけで。
もう一つ、穴が出来るとか?
まさか、排泄口で性交するんだろうか。
確か、男には子宮の名残だった臓器があったはず。それを魔法で機能するようにさせるのかな?
すごく気になるけど。まだ、未成年だし。興味本位で聞いちゃいけないだろう。
でも気になる……。
後で誰かに聞くとするか。
それと、王様が狼の獣人で、自分たちは狼犬の獣人だと言った。
後妻なので、血が繋がった兄弟じゃないとか。
耳だけでも出せるんだよ、と僕に犬耳を見せて。
はしたない、とパーシヴァルに叱られていた。
そんな個人情報を、うっかり話しちゃっていいのかね?
まあ、いつか異世界に帰る人間だと思えばこそ、気楽に話せるのかも。
そろそろ就寝の時間だと言われて。
メイベルとパーシヴァル、使用人たちは帰っていった。
メイベルのおかげで、ここの情報がだいぶわかってきて助かった。
そうか。
女の人がいない世界だったのか。
それでジャンは、子供だと思った僕をツガイにしようと思ったんだな。
†‡†‡†
幸い、お風呂は存在していたので、お湯を使わせてもらった。
石鹸もあった。
塊を紐とかで切って使うやつ。
地下にボイラー室があって。
夜遅くから朝方まではボイラーが止まってるのでその時間帯はお湯が使えないそうだ。気をつけよう。
用意されていたバスローブを羽織る。
なんだかセレブになったようだ。
国の賓客だから、間違いなくセレブリティなんだろうけど。
ジャンはお風呂はいい、という。
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