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リヒト
結婚式について
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「二人で住む家にしては、食堂も広いんだけど。この家、誰が設計したの?」
『ああ、大まかな指示を出したのはアンリだよ。来客もあるだろうからって余裕を持たせたんだってさ。ちょっと広くしすぎたね。アンリも王族だから、感覚がずれてるんだよね。でも、救世主の家としては地味だよ?』
アンリだったんだ……。
もっと地味で良かったのに。
「……まさか、寝室も?」
『寝室? それは僕だよ。我ながら素敵な寝室になったと思うけど。気に入ってくれた?』
ご機嫌な声で言われてしまった。
『ああ、とても気に入った』
ジャンは力強く頷いた。
あの内装、気に入ってたんだ……。
そうなんだ……。
†‡†‡†
『そうそう、占いの結果、ロイ達に報告してきたよ。ドニが退院したら、お祝いにパーティを開くんだって?』
メイベルが嬉しそうに教えてくれたという。
「うん。退院するまではまだ安心できないというか……。あ、占いの結果を信じてないわけじゃないからね?」
我ながら、慎重すぎるとは思うけど。
用心するに越したことはないと思うので。
『もちろんわかってるよ。君のそういった行動も含めての結果だろうし。油断せずに経過をみよう』
デュランは頷いた。
不思議そうな顔をしているルイとベルナールに。
デュランの占いは良く当たるけど、占いの結果というのはその後に取った行動などによって変わる、ということを説明した。
100%当たる占いだと、あらかじめ危機がわかっていても回避不可能になっちゃうからなあ。
ファイナルデスティネーションみたいなのは困る。
『じゃあ僕は城に戻るけど。この家に関して何か不満があったら遠慮なく言ってよ。アンリに文句言っとくから』
足りない設備とかあったら、追加してくれるそうだ。
とんでもない。
今のままでも充分贅沢すぎるっていうのに。
「立派過ぎるけど。文句はないよ」
寝室が妙にエロいのはデュランの仕業だったし。
アンリに会ったら、お礼を言わなくちゃ。
デュランが城に帰って。
ルイとベルナールも、各自部屋に戻った。
朝から国から国へ大移動して。
城から城へお使いしたり。午後からは診察で。
それにここのところ、ただでさえ緊張の連続だったからか。
一安心したせいか、どっと疲れが出てきた気がする。
†‡†‡†
「今日も色々あって疲れたね」
自分でトントンと首を叩いていたら、ジャンが僕の背に手を当てた。
触れた場所からじんわりとあたたかい感じが広がっていく。回復魔法だ。
「ありがと。楽になったよ」
『いや、下心あってのことだ。礼はいい』
下心って。
そんな、正直に言わなくてもいいことを……。
エッチなことをしようと迫っても、疲れてるから嫌だって断られないように疲労回復したとか?
でも、精神的疲労は治らないんだけどね。
などと考えている間に。
ジャンの広い胸板に引き寄せられて。
キスをされた。
「……ん、」
めちゃくちゃ勃ってるの当たってるし!
ギラギラした目が。
もう欲情してるって、見てわかる。
本当、ケダモノだな!
いろんな意味で!
『約束の時までは挿入するのを待つが。先に結婚式は挙げておきたい』
とりあえず、ドニが全快するまで。
伝染病騒ぎがひと段落つくまではしないって約束だった。
もうほぼやってるのと変わりがないような気がするし。
気持ち的に、もう受け入れてもいいんじゃないかなって思ってはいるんだけど。
決して身体だけが目的ではない、と証明するために我慢すると決めたっていうし。
最後までする前に、結婚式を先に済ませたいのか。
獣人の国に、初夜とかいう概念はあるのかな?
好きになったら即噛んでツガイ、ってイメージあるけど。
それはジャンが特殊なケースだっただけかな?
†‡†‡†
「こっちの結婚式って、具体的に何をするの?」
『国王の前で生涯を共にするツガイになると宣言し、結婚証明書に記名し、互いを縛る物を贈り合う』
王様の前で愛を誓うんだ。
国王に報告はもうしちゃったけど。
ここには神様的な存在はいないのかな? プリマット国の方には教会っぽい建物があったような気がするけど。
ウエディングドレスやタキシードみたいな結婚専用の衣装とかはあるのかな。
ドレスは絶対に着ないぞ。
「お互いを縛るものって?」
『手鎖や首輪、指輪など誰が見てもわかるような印になるものだ』
首輪って。
ペットじゃないんだから。
手綱を握るってことかな?
誰が見てもわかるもの、ね。
ツガイのしるしは、首筋を覗き込まないと見れないもんな。
あまり他人に見せるものでもないそうだし。
ジャンは変身すると、今より巨大化するから。
指輪や首輪より、首飾りのほうがありがたいという。
基本、肌身離さずつけていられるものが好ましい、って。
難しいな。
「僕は手をよく消毒する必要性があるから、指輪じゃないほうがいいなあ」
指と指輪の間に雑菌が残ったりするし。
『では、揃いの首飾りにするか』
「そういうの、どこで手に入れればいいの? あ、そうだ。食材とかも。いつまでもお城から差し入れいただくわけにもいかないだろ?」
救世主だというのに遠慮し過ぎだ、と苦笑された。
†‡†‡†
諸々の材料は、ジャンが仕入れてくれるというので。
その辺はジャンにお任せすることにした。
その流れで、通いで料理人でも雇うかと聞かれて。
自分で作るって言ったら、すごく驚かれた。
一応、料理くらいは作れるんだけど。
キャンプで自炊とかするし。
あれ? ここは薪から火を起こして焚くような台所なのかな? 後でチェックしとかないと。
シャワーもあるし、水回りは大丈夫そうだ。
ボイラーもあるんだっけ。
燃料は薪かな?
どこまで進んでるか、いまいちよくわかんないな。
『だが、食事作りはあいつらが帰ってからにしてほしい』
あいつらって。
ルイとベルナールのこと?
『ツガイの作った食事を、他人に食わせたくない』
だから。
それまでは、食事を城から差し入れさせるって?
独占欲強すぎだよ!
『ああ、大まかな指示を出したのはアンリだよ。来客もあるだろうからって余裕を持たせたんだってさ。ちょっと広くしすぎたね。アンリも王族だから、感覚がずれてるんだよね。でも、救世主の家としては地味だよ?』
アンリだったんだ……。
もっと地味で良かったのに。
「……まさか、寝室も?」
『寝室? それは僕だよ。我ながら素敵な寝室になったと思うけど。気に入ってくれた?』
ご機嫌な声で言われてしまった。
『ああ、とても気に入った』
ジャンは力強く頷いた。
あの内装、気に入ってたんだ……。
そうなんだ……。
†‡†‡†
『そうそう、占いの結果、ロイ達に報告してきたよ。ドニが退院したら、お祝いにパーティを開くんだって?』
メイベルが嬉しそうに教えてくれたという。
「うん。退院するまではまだ安心できないというか……。あ、占いの結果を信じてないわけじゃないからね?」
我ながら、慎重すぎるとは思うけど。
用心するに越したことはないと思うので。
『もちろんわかってるよ。君のそういった行動も含めての結果だろうし。油断せずに経過をみよう』
デュランは頷いた。
不思議そうな顔をしているルイとベルナールに。
デュランの占いは良く当たるけど、占いの結果というのはその後に取った行動などによって変わる、ということを説明した。
100%当たる占いだと、あらかじめ危機がわかっていても回避不可能になっちゃうからなあ。
ファイナルデスティネーションみたいなのは困る。
『じゃあ僕は城に戻るけど。この家に関して何か不満があったら遠慮なく言ってよ。アンリに文句言っとくから』
足りない設備とかあったら、追加してくれるそうだ。
とんでもない。
今のままでも充分贅沢すぎるっていうのに。
「立派過ぎるけど。文句はないよ」
寝室が妙にエロいのはデュランの仕業だったし。
アンリに会ったら、お礼を言わなくちゃ。
デュランが城に帰って。
ルイとベルナールも、各自部屋に戻った。
朝から国から国へ大移動して。
城から城へお使いしたり。午後からは診察で。
それにここのところ、ただでさえ緊張の連続だったからか。
一安心したせいか、どっと疲れが出てきた気がする。
†‡†‡†
「今日も色々あって疲れたね」
自分でトントンと首を叩いていたら、ジャンが僕の背に手を当てた。
触れた場所からじんわりとあたたかい感じが広がっていく。回復魔法だ。
「ありがと。楽になったよ」
『いや、下心あってのことだ。礼はいい』
下心って。
そんな、正直に言わなくてもいいことを……。
エッチなことをしようと迫っても、疲れてるから嫌だって断られないように疲労回復したとか?
でも、精神的疲労は治らないんだけどね。
などと考えている間に。
ジャンの広い胸板に引き寄せられて。
キスをされた。
「……ん、」
めちゃくちゃ勃ってるの当たってるし!
ギラギラした目が。
もう欲情してるって、見てわかる。
本当、ケダモノだな!
いろんな意味で!
『約束の時までは挿入するのを待つが。先に結婚式は挙げておきたい』
とりあえず、ドニが全快するまで。
伝染病騒ぎがひと段落つくまではしないって約束だった。
もうほぼやってるのと変わりがないような気がするし。
気持ち的に、もう受け入れてもいいんじゃないかなって思ってはいるんだけど。
決して身体だけが目的ではない、と証明するために我慢すると決めたっていうし。
最後までする前に、結婚式を先に済ませたいのか。
獣人の国に、初夜とかいう概念はあるのかな?
好きになったら即噛んでツガイ、ってイメージあるけど。
それはジャンが特殊なケースだっただけかな?
†‡†‡†
「こっちの結婚式って、具体的に何をするの?」
『国王の前で生涯を共にするツガイになると宣言し、結婚証明書に記名し、互いを縛る物を贈り合う』
王様の前で愛を誓うんだ。
国王に報告はもうしちゃったけど。
ここには神様的な存在はいないのかな? プリマット国の方には教会っぽい建物があったような気がするけど。
ウエディングドレスやタキシードみたいな結婚専用の衣装とかはあるのかな。
ドレスは絶対に着ないぞ。
「お互いを縛るものって?」
『手鎖や首輪、指輪など誰が見てもわかるような印になるものだ』
首輪って。
ペットじゃないんだから。
手綱を握るってことかな?
誰が見てもわかるもの、ね。
ツガイのしるしは、首筋を覗き込まないと見れないもんな。
あまり他人に見せるものでもないそうだし。
ジャンは変身すると、今より巨大化するから。
指輪や首輪より、首飾りのほうがありがたいという。
基本、肌身離さずつけていられるものが好ましい、って。
難しいな。
「僕は手をよく消毒する必要性があるから、指輪じゃないほうがいいなあ」
指と指輪の間に雑菌が残ったりするし。
『では、揃いの首飾りにするか』
「そういうの、どこで手に入れればいいの? あ、そうだ。食材とかも。いつまでもお城から差し入れいただくわけにもいかないだろ?」
救世主だというのに遠慮し過ぎだ、と苦笑された。
†‡†‡†
諸々の材料は、ジャンが仕入れてくれるというので。
その辺はジャンにお任せすることにした。
その流れで、通いで料理人でも雇うかと聞かれて。
自分で作るって言ったら、すごく驚かれた。
一応、料理くらいは作れるんだけど。
キャンプで自炊とかするし。
あれ? ここは薪から火を起こして焚くような台所なのかな? 後でチェックしとかないと。
シャワーもあるし、水回りは大丈夫そうだ。
ボイラーもあるんだっけ。
燃料は薪かな?
どこまで進んでるか、いまいちよくわかんないな。
『だが、食事作りはあいつらが帰ってからにしてほしい』
あいつらって。
ルイとベルナールのこと?
『ツガイの作った食事を、他人に食わせたくない』
だから。
それまでは、食事を城から差し入れさせるって?
独占欲強すぎだよ!
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