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5.最後のデート
しおりを挟むここから街へは馬車で15分ほど。地方にしては栄えている我が領地の自慢の街だ。年々人口が増えているそうで、積極的に誘致して街を大きくしたマルクは本当に立派だ。
「更ににぎやかになったな」
「ええ。働く人も増えてきたから、託児所を充実させて数も増やすんですって」
「成程」
馬車の中から人の往来を見ていた彼の顔が変わった。根っからの仕事人間だから仕方がない。
リディア領は広大な敷地と豊かな土地のおかげで一次産業を主としている。品質の良い物が採れる為、物によっては高値で取引される。ネクタリンが最たる例だ。
リディア産というブランド力を付けたのは紛れもなく彼だ。何年か前には、そのリディア産の食材を使ったお菓子やレストランの事業も始めて、今の所順調である。
(こんなに食に囲まれた人が料理下手だなんて…トップシークレットね)
「何で笑っているんだ?」
驚いて前を向くと、彼と目が合った。仕事の事となると周りが見えなくなる人なのに、いつの間にこっちを見ていたんだろう。
「私が?」
「ああ。窓の外を見て微笑んでいた」
「別に…何でもないわ」
「何でもないのか?本当に君は、よく分からない所で笑う」
そう言って彼が微笑んだ。“私”を見ながら。
「ティアナ様。到着しました」
「…ありがとう」
丁度馬車が止まって御者が声を掛ける。すぐに彼から目を離して出る支度をした。
(壁紙は買うだけにしてやっぱり業者にお願いしよう。この買い物が終わったらはっきりさせて、もう帰ってもらおう)
私は決意しながら先に馬車から降りる。彼のエスコートは待たなかった。
「ティアナ!」
「……」
「ティアナ!待ってくれ!」
彼を無視して人混みの中を歩いて行く。このまま彼から離れようと思ったのに、腕を掴まれてしまった。
「急にどうした?何か気に障る様な事を言ったか?」
(正に今のあなたの行動と言動よ)
分かっていない彼に苛立ちが募る。つい先程まで今までの私だったのに、急に何もかも許せなくなって我慢出来なくなった。
気にかけていたのは妊娠期だけで、そのあとは私の事を避けてた癖に。後継を産む存在としか認識してなかった癖に。
「…さっさと買い物を済ませましょう。
帰ったら話したい事があるの。勿論、これからの私達の事よ」
出来る限り冷たく言い放つも、彼は特に返事もせず、私の腕も離さない。
「資材屋には私1人で行くわ。あなたは好きに過ごしてて。1時間後にまた馬車で落ち合いましょう」
「いや、俺も行く」
「だから…」
「もう君と出かけられなくなるから」
彼は覚悟と、悲しみが混じった表情で私を見つめる。
「…なんてずるい人」
心の中で呟いたつもりだったのに、声に出てしまっていた。それはもう、行く事を肯定したのと一緒。案の定、彼は自身の腕に私の手を置かせた。
「どこに向かえばいい?」
「…この通り沿いにあるわ」
やがてゆっくりと歩き始める。何歩か進んだ時に彼が口を開いた。
「君の気持ちも考えずに浮かれてしまった。すまない」
「……」
まさかここで謝罪されるとは思わなかった。俯いたまま、彼の言葉を待つ。
「俺は君と向き合う事を恐れて逃げ続けた馬鹿な男だ。そんな奴に何十年も連れ添ってくれて、本当に感謝しかない。勿論義母上の容体が心配だったのもあるが、それを伝えたくてきたんだ。だけど君の知らなかった一面や笑顔を見ていたら、もっと見ていたくなった。君がどんな想いで俺から離れたのかも忘れて」
こんなに饒舌になった彼は初めてだった。私もこの数日で彼の知らなかった一面をどんどん知っていく。でも私の場合はそれを感じる度に、もっと早く彼が私と向き合ってくれていたら、未来は変わっていたんじゃないかと虚しくなるのだけど。
「本当に自分勝手ね」
「返す言葉もない」
「…もういいわ。話の続きは帰ってからにしましょう。私もあなたとの最後の思い出を作る事にする」
彼の足がぴたりと止まった。そして私を見ながら
「本当にありがとう」
そう言った。私は微笑みで返した。
「最後に一緒に出かけたのはいつだったかしら」
「俺が事業を始めるために一緒に首都へ行った時だったかな」
そうだ、初出店のお披露目パーティの準備の為にお店を回ったんだった。彼は意外にも買い物付き合いが良くて、何も言わないが文句も言わない。黙って何件も着いてきてくれる。数えるくらいしか一緒に出かけた事はないけれど。
「あの頃は特に忙しかったわね」
「そうだな。でもあれだけスムーズに進める事が出来たのは君の人脈のおかげだ。俺に代わって色んなパーティに顔を出してくれていたから」
「そうね、あなたは全然ついて来てくれなかったわ」
「…すまない」
「この手の話をしたら、あなた私に謝り続ける事になるけれどどうする?」
「…構わない。君の気が済むまで」
降参とばかりに小さく両手を上げた彼に私は思わず吹き出す。
「やだ、また笑っちゃったわ。誰かさんにもっと見せてくれって言われちゃう」
「よろしく頼むよ」
「嫌よ。調子に乗らないで」
「君が乗らせるのが上手なんだ」
先程まで険悪な空気になっていたのが嘘みたいだった。思い出作りのためにすぐに切り替えるつもりではいたけれど、そんなに意識する事なくこうやってまた軽口を言い合っている。どうやら他人となった今、夫として求めない彼と接するのはとても楽らしい。
(私達にとってこのくらいが1番良かったんだわ)
他人くらいが丁度良い。なんて皮肉なものだが、しょうがない。
「ティアナ様!ご無沙汰しております。ベラ様のご様子はいかがでしょう」
ここはうちが贔屓にしている資材屋だ。母も自身の屋敷のために頻繁にここを利用していた為、ずっと気にかけてくれていた様だ。
「正直…日に日に体力は落ちています」
「そうですか…」
自分の家族の事の様に心配してくれる事に感謝すると同時に、母の人柄を尊敬した。
「今日は壁紙をお探しと伺いました。ご自身でされるとか。やはり親子ですね」
「え?」
「ベラ様もご自分で貼り替えをなさっていたのですよ。ご存知なかったですか?」
「…ええ、知らなかったわ」
あの家を出たのは17歳の時。そんな記憶は無いため、私が嫁いでからする様になったのだろう。私も携わる様になった事で、帰ってくる度に壁紙が変わっていた事に気付いていたが、特に何も言及して来なかったし、母も何も言ってこなかった。先程私が貼った寝室の壁紙に気付かなかった彼を責めたけど、私も人の事を言えないようだ。
「俺もやっぱり親子だと感じたな」
「あなたまでそんな事を言うの?」
「君に髭を剃れと言われただろう。俺もあの時、言い方といい、指摘そのものといい、義母上にそっくりだと思った」
「…私は母ほど口うるさくはないわ」
「いいじゃないか。羨ましいよ」
彼の一言にハッとする。
先述の通り、私が来た頃のリディア家は崩壊寸前だった。経営状態ではなく、家族の問題で。
私が彼からあんな扱いを受けても離れられなかったのは彼の生い立ち故だ。両親の不仲は彼の心を深く傷付けた。彼はきっと愛というものが分からない、もしくは怯えている節がある。だから彼が私の愛を素直に受け入れる事が出来ないのも分かる気がした。一緒にいたのは半分愛、もう半分は同情だった。
だからライアンが家族を作るまで待った。彼が1人にならない様に。そして私が出て行ってもライアンが彼を恨む事の無い様に気をつけた。それは望み通り、ちゃんと父を尊敬し、母を尊重してくれる良い子に育った。あの子は私の自慢の息子だ。
(この人はずっと歪な愛の中で生きてきて、自慢の息子とも言われず両親はいなくなってしまった。こんなにもリディア領を懸命に守ってきたというのに)
また彼への同情心で揺らぎそうになる。ここでぶれてはいけない。それが1番いけない。
「…そうね。誇りに思わなきゃ。ねえ、これにしようかしら」
「俺に聞くのか?こういうのに疎い事はよく分かっているだろう」
「分かってる。聞いただけよ」
「何だよ」
彼が薄く笑ったのが分かる。良かった。最後のデートは、楽しい気持ちのまま終われそうだ。
「これにするわ」
「畏まりました。持ち帰られますか?それかリディア領までお送りすることも出来ますが」
「あ…ええと、私達」
「持ち帰ります」
彼が遮る様に答える。そして私が口を挟む隙もないまま商品を受け取って、店から出ていた。そして着いてきてくれている御者に荷物を馬車に運んでもらう様頼む。
「どうやら俺たちが離縁した事はまだ浸透してない様だな」
「まだこっちに帰ってきて2ヶ月程だもの。あまり大々的に発表するものでもないし、どうせ知れ渡るでしょうぐらいに思っていたから…なんか騙したみたいで悪いわ」
「別に騙してなんかないだろう。それに、離縁した2人が一緒に壁紙を買いに来るなんておかしい話だからな。ただややこしくなるだけだ」
「…私は元々1人で買いに来るつもりだったのよ。それをあなたが勝手に」
「でも了承したのは君だ」
即答されてムッとする。
「あなた…」
「…申し訳ございません」
「そうよ、ちゃんと弁えなさい」
「畏まりました」
仰々しく胸に手を当てて礼をされ、まるで姫扱いだ。
「そうね、喉が渇いたわ。冷たい飲み物を飲みに行きましょう」
「仰せのままに」
再び彼の腕に手を置く。歩き始めと同時に私達はクスクスと笑い合った。しばらく歩いていると、小さな花屋が目につく。
「そういえば持ってきた花はどこで買っていたの?」
「近くの集落だよ」
「ああ、そういえば生花を育てている家があったわね。でもあそこは生産しているだけのはずよ?」
「そこは相応の金額で話をつけた」
「さすが領主様ね。不思議に思われなかった?リディア領にいるはずの婿が毎日花を買いに来るなんて」
「そこは正直に言ったさ。妻に苦労ばかりかけてきたから感謝の気持ちをしるしたいとね」
「…正直?別れた事は?」
「正直、ではないな…そこは….言えなかった」
また吹き出してしまう。
「でもあまりにも安直すぎね。女性に花束だなんて」
「それ以外思いつかなかった。勿論それで許されようとは思っていない」
「当たり前よ」
「それに…虚しかった」
彼の声が低くなる。表情を見ると、悲しげに色とりどりの花を見つめていた。
「奥様の好きな花をいれますよ、と言われた時に、君の好みなんて一つも知らない事に気付かされた。そしてまともに花すら送った事がなかった事にも」
さっきまでの楽しげな雰囲気が一気に静まる。私は花屋に陳列されているある花を一輪取った。
「…そうよ。ちなみに私は知っているわ。あなたの好きな物、苦手な物」
「そんな話をしただろうか」
「いいえ。あなたの口からは聞いていないわ。でもずっと見てきたから分かるの」
彼の体がぴくりと反応する。でも何も言わなかった。私は何でもないように続ける。
「私の好きな花はこれよ。白百合。大輪でいい香りがして、とても優雅だから」
「…頭に叩き込んでおくよ」
「忘れないでね」
私は小さな呪いをかけた。これから彼はこの白百合を見たら私を思い出すだろう。そして花の一つも送らなかった事に後悔するだろう。
(それくらい…許されてもいいでしょう?)
やはり最後のデートは、少し湿っぽく終わった。
帰りの馬車の中は静かだった。意図的にそうした事だったけど、もう少し軽口を言い合っても良かったかなと思う。でも屋敷が近付くに連れて彼がどんどん寂しげな表情になっていくのを見ていると、何も言えなくなった。そして気付いたら到着していた。
もうこれで本当にお終いだ。彼と最後の話をしなければ。私が動こうとすると、彼に手で静止させられた。彼が先に降りるのを待って、立ち上がる。馬車から出ると彼の手が待っていた。それを掴んでゆっくりと降りる。
「ありがとう」
「ああ」
そして彼の腕に手を置いて屋敷に入ろうとした時だった。
「ティアナ様!」
血相を変えたメイドが慌てた様子で屋敷から出てくる。
「どうしたの!?」
「ああ良かった…!つい先程伝令の者がここに来まして…」
心臓が大きく震える。
「ベラ様の容態が悪くなったと」
メイドの言葉にヒュッと息を吸い込む音がなった。
「行こう」
固まってしまった私の肩を抱いて、彼は馬車へと誘導してくれた。そして馬車の中でもそのまま隣にいて、手を握ってくれていた。到着すると、ジルが心許ない表情で屋敷の前に立っていた。
「ティアナ様!」
「離れていてごめんなさい。母の様子は」
「大丈夫です。落ち着きました」
「ティアナ!」
ジルの言葉を聞いて全身の力が抜ける。後ろにいた彼が咄嗟に支えてくれた。
「歩けそうか?」
「ええ…ありがとう」
彼の手を握って何とか立ち上がると、すぐに母の元へ向かった。
「お義姉様…」
「カーラ…ごめんなさい1人にさせて」
母の部屋に入ると、顔色が悪いカーラが私を出迎えた。彼女をそっと抱きしめる。
「お義姉様が出て行かれた後中々起きられなくて…嫌な予感がしてお声がけした所目を覚まさず慌てて先生をお呼びしました。やはり血圧が下がっていて、点滴を施して頂いて今は落ち着いたところです」
「…本当にありがとう、カーラ」
油断していた。ここ最近はむしろ安定していた。食事も私が来てからは少し量が増えたし、今朝だって普通に会話をした。彼の所へ行ってくると言ったら嫌味を言われる程に。
(だから安心して彼の所に行ったのに…もう母には絶対に大丈夫と言える時間なんてないんだわ)
「…ティアナ?」
「お母様…!」
母の弱々しい声が聞こえて慌ててベッドに近付く。
「具合はどうですか!?どこか気分の悪い所などは」
「何ですか騒々しい…。もっと落ち着いて喋られないの…?」
こんな時でも母らしい言葉に思わず力が抜ける。はしたないと言われる気がしたけど、その場にしゃがみ込んで母のベッドに手を置いて顔を埋めた。
「…どうやら心配させたみたいですね。ごめんなさい…どうしようもなく眠くて…」
けれど母はいつもの様に注意はせずに、そう言いながら優しく私の頭を撫でた。私は気付かれないように、でもきっと気付かれているだろうけど、静かに泣いた。
母はそれから一層弱っていった。ほぼ食事をせず、ベットで横になったまま入室を許可する様になった。
すっかり痩せ細ってしまった背中を拭きながら涙ぐむ毎日。いつ儚くなってしまうのではないかと気が気でないが、母は相変わらず気丈だった。意気消沈する私とカーラに受け入れなさいと叱咤する。
私も親になったから分かる。子どもに心配をかけさせたくないのだ。分かるけれど、悲しいものは悲しい。
その時ふと、母がネクタリンを食べたい、と言っていた事を思い出した。ただの私への当てつけだったのかもしれないが、本心からという可能性もある。それくらいネクタリンは母の好物だったから、最後にもう一度食べる事が出来たら、喜んでくれるのではないか?
(“最後”、だなんて)
じわりと溢れてきそうな涙をぐっと堪える。私はここから動く事は出来ないので、伝令係を使って彼を呼んだ。
「ありがとう、来てくれて」
「ああ。どうしたんだ?」
「母にネクタリンを食べさせてあげたいの。まだもう少し元気だった頃に、何を食べたいか聞いたらそう答えたから…」
「…そう、か」
そう言って、考え込む様な仕草を見せるクリス。
「やはり難しい?」
「もうシーズンは終わってしまったからな…」
ネクタリンが出回るのは秋の始め。今はもう冬に入ろうかとしているので、出回っていないのは当たり前だった。
「そうよね…ごめんなさい急にこんな事」
「マルクはいるか?」
「ええ。母があんな状態だから毎日ここで仕事をしているわ」
「ちょっと行ってくる」
そう言いながら彼はマルクの元へ行き、何やら身支度をして帰ってきた。私は首を傾げる。そして防寒着に身を包むと、またこちらにやって来た。
「シーズンは終わってしまったが、一つ心当たりがある。マルクに馬を借りられたから行ってくる」
「行ってくるって…今から!?もう夕方よ。リディア領まで行って帰ってくるのに、丸一日はかかるのよ?」
「義母上のご容態がかなり悪いんだろう?手紙や馬車なんかで頼んでいたらいつになるか分からない。俺が直接行った方が話も早いし、もしあれば快く譲ってくれるだろう」
そして彼は私の話なんか一切聞く耳を持たずすぐに出て行ってしまった。別にないならないで諦めようと思っていたのに、何だか大事になってしまったと一人おろつく。
夜道の早馬は危険だ。獣だって出てくるかもしれない。しかも行った所であるかどうかも分からないのだ。そんな不確定要素の多い事には手を出さないイメージがあった。だから彼に相談したのに。
外に出ると馬で駆けていく彼の背中を見つけた。私はその姿が見えなくなるまで1人静かに見送る事しかできなかった。
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