魔王の娘に転生した私は、恐れられるどころか世界一の美貌で恋愛ルート確定でした

月影みるく

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第20話 十歳の誕生日

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魔界の空に、
人間界の花火が咲いた。

――それが、当たり前になった。

* * *

「……すごい」

セラフィナは、バルコニーから空を見上げていた。

十歳。

もう、あの頃みたいに
転んですぐ泣いたりはしない。

けれど。

胸が高鳴るのは、変わらない。

「姫君。本日の主役が
そんなところで静かにしていては」

クロウ・フェルゼンが、少し困ったように言う。

背は伸び、声も低くなったが、
目は相変わらず真剣だった。

「……だって」

セラフィナは、振り返る。

「ちょっと、うるさいんだもん……」

城の大広間からは、
笑い声と音楽。

人間界と魔界、
入り混じった人々。

もう、誰も剣を持っていない。

「……それも、成長ですね」

クロウは、穏やかに微笑んだ。

* * *

大広間。

長いテーブルには、
人間界の料理と魔界の料理が並ぶ。

甘いものも、辛いものも。

「姫君、お誕生日おめでとうございます」

ノエル・クラークは、すっかり青年の顔になっていた。

「これを」

差し出されたのは、
人間界の職人が作った小さなペンダント。

「……綺麗」

「守護の意味があります」

アルト・ヴォイドも続く。

「こっちは、魔族鍛冶と人間鍛冶の合作だ」

小さな腕輪。

「……みんな、ありがとう」

少し照れたように、セラフィナは笑った。

その瞬間。
周囲が、静かになる。

(……)

(やっぱり)

(可愛い)

誰もが、同じことを思った。

* * *

玉座。

魔王は、ゆっくりと立ち上がる。

「――我が娘、セラフィナ・ノワール」

場が、静まる。

「今日で、十歳だ」

「人間界と魔界が、
ここまで来られたのは――」

一瞬、視線が娘に落ちる。

「この子が、泣き、笑い、
信じてきたからだ」

セラフィナは、少し驚いた顔をした。

「……パパ?」

魔王は、ほんのわずかに微笑んだ。

「誕生日おめでとう」

その瞬間。

拍手が、割れんばかりに響いた。

魔族も、人間も。

身分も、種族も関係なく。

* * *

夜。

ケーキの前。

「……ふー……」

十本のろうそく。

一息で、すべて消える。

「おめでとう!」

歓声。

セラフィナは、手を胸に当てる。

(……10歳)

(もう、子供じゃない)

でも。

ふと、思う。

(……でも)

視線を上げると。

父がいて。
クロウがいて。
ノエルとアルトがいて。
リリアが、泣きそうな顔で立っている。

(……やっぱり)

「……まだ」

小さく、つぶやく。

「大丈夫……」

「みんないるから」

その言葉に。

大人たちは、誰も笑わなかった。

ただ、深く、頷いた。

――守ると誓った世界が、
今、ここにある。

そして。

この姫は、
もう「守られるだけ」の存在ではない。

人間界と魔界をつなぐ、
小さな光になっていた。

十歳の誕生日。

それは、
新しい物語の、はじまりだった。
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