異世界転職 重機を操るインフラクイーン ‐婚約破棄元婚約者 重機で押しつぶします みなさんやっておしまいなさい‐

しおしお

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第7章:ざまぁですわ、悪徳貴族!

第27話 やっておしまいなさい♡

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 やっておしまいなさい♡

サルヴァン侯爵家の屋敷前は、もはや戦場の気配すら漂っていた。

だが――実際に展開しているのは、戦争ではない。
すべて正規の“公共工事”である。

ユンボは老朽化した塀を撤去し、
ロードローラーは亀裂の入った道路を均し、
ブルドーザーは倒壊寸前の倉庫を安全のため押し出している。

すべて“合法的作業”である。

そして、その中心に立つのは――
ドレスに安全ベスト姿の公爵令嬢、アルピーヌ・ルノー。


---

■ 悪徳侯爵、ついに姿を現す

「貴様らッ! 我が屋敷の前で何をしている!!」

怒鳴りながら飛び出してきたのは、
この騒動の黒幕――サルヴァン侯爵その人だ。

顔は怒りで真っ赤。
片手にはなぜか剣を握っているが、
目の前に並ぶ重機を見て、明らかにビビっていた。

「な、なぜこのような暴挙を!?
 貴族の家に手をかけるなど許されんぞ!!」

アルピーヌは涼しい笑顔で書類を差し出した。

「すべて王家より認可済みの工事ですわ。
 老朽化による危険性が指摘され、即日着工となりましたの」

「う、嘘だ! そんな通達など――」

「昨日の夕刻に通達済みですわ。
 確認を怠られたのは、そちらの落ち度ですのよ?」

侯爵の顔がみるみる青ざめる。

騎士団も通達を確認済みであり、止める権限はない。

王家の黙認――
つまり、アルピーヌの“正式勝利”である。


---

■ そして運命の号令

アルピーヌはゆっくりと振り返り、
重機班のリーダーたちを見渡した。

優雅に、まるで舞踏会で合図するように右手を掲げ――

「皆さん……やっておしまいなさい♡」

直後、重機部隊が一斉にエンジンを吹かした。

ヴォォオオオオオオオッ!!

ユンボが屋敷前の古い倉庫をつまみ上げ、
ブルドーザーが老朽化した裏門を押し出し、
ロードローラーが路面を均しながら、侯爵家を完全に外界から“封鎖”する。

作業音と共に、サルヴァン侯爵の悲鳴が響き渡った。

「やめろおおおおお! 我が屋敷が! 我が財産が!!」

「倒壊の危険がございますので、安全確保のためですわ♡」

アルピーヌが楽しそうに答えた。


---

■ 住民たちの喝采

一方、周辺の住民たちはというと――

「よくやったぞルノー家!!」 「侯爵家の搾取に苦しんでいたんだ! 工事名目でもスカッとする!」 「さすが“令嬢の通ったあと更地”だ!」

喝采の声が上がり始めた。

そう、サルヴァン侯爵は地元で評判が悪かったのだ。
アルピーヌは、それを救う“英雄”になりつつあった。


---

■ そして――終わりの始まり

屋敷はまだ完全には更地になっていない。
だが、主要な出入口は工事で封鎖され、
物流は断たれ、住民からも見放され、
侯爵家は完全に孤立した。

アルピーヌはその光景を見つめながら、静かに言う。

「罪は裁かれなければなりません。
 これは、ただの前哨戦ですわ……」

悪徳侯爵にとっては絶望の一手。
アルピーヌにとっては――正義の第一段階にすぎない。


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