異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第9章 ネシアのダンジョン編

壁の中の小部屋

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6階層へと降りると光もない暗闇の世界だったので、すぐにライトニングに光の球を作り出してもらう。

するとそこは4階層までのフロアとは違い、まるで洞窟の中を進んでいるような感じだった。

ただ、4階層までと違い天井はやたらと高い。

壁から水は染み出ていないので足元はぐちゃぐちゃしてはいないが、それでも所々鍾乳石みたいなものがあって地面は平らではなくゴツゴツしているので気をつけないと足元が危ない。ツルッ!っていくからね。

そんな所を進んでいると、魔物なのか区別がつかないがコウモリが天井にびっしりといるのが見えた。

今のところ襲ってくる様子はないが……真っ黒い生き物が天井にいるのが見えると怖く感じるのは何故だろうね?


しばらく進んでいるとこのフロアでの初の魔物とエンカウントした。

その魔物は全く足音がしなかったので、こうやって索敵魔法を使っていなければ気付けなかった。

……そう、このフロアの敵はアンデッド系だったのだ。

「へへ~ん!アンデッド系なら俺に任せなっ!俺の光魔法でバッタバッタ倒してやるぜい!」

ライトニングはそう言うと、みんなの先頭で光魔法を使ってレーザーを撃つのように敵を攻撃していく。

敵はライトニングが言うように、そのレーザーに触れるとまるで土塊のようになって崩れていった。


そうやってどんどん階層も進んで行くと、今度はただのアンデッドだけではなく、幽霊系の実体のない魔物も出てくるようになった。

それなら俺やユーリの神聖魔法が効果的だということで使っているのだが……威力が強すぎるらしくて1度使うとかなり遠くまで浄化してしまうらしい。

しばらく敵が出てこなくなるから、楽っていえば楽だけどね。



そんな感じで6階層だけじゃなく7階層、8階層と進んでいると、俺の索敵魔法におかしな現象が現れるようになった。

俺の索敵魔法はフロア全部を見ることはできなくて、せいぜい半径百メートルくらいしかマップ上で見ることができない。

これがダンジョンじゃなければもっと広く見れるのだが、ダンジョンは特殊な環境なので小さい範囲でしか見れないのだ。

その索敵魔法に、通路じゃない場所にひょっこりと小部屋が出現したのだ。

この小部屋、どの通路ともつながっておらず、まるで何かを閉じ込めているかのような作りをしている。

大抵の小部屋は何も中には無い。索敵魔法的には、だが。

この現象は俺だけじゃなくてリッキーにも出ているのかな?

「……なぁ、リッキー!」

俺が思い切って先を歩いているリッキーに声をかける。

するとリッキーが振り向いて俺の方を見ると、「どうした?」と声をかけてきた。

そこで俺はリッキーに追いつき、先ほど見ていた自分の索敵魔法での現象を伝えてみた。

するとリッキーはとても驚いたようで、唖然としている。

「なんだ、それ?自分の魔法でも見たこともないし、聞いたこともないぞ!?」

「やっぱりそうなんだ?俺もこのフロアに来てから急にそんなのが出るようになったから、一体どうなってるのか気になって。そっか、普通はそんな現象はないんだね?」

リッキーの言葉に俺がそう答えると、俺たちの話を聞いていた皆も驚いている。

「でも中には誰か閉じ込められているような反応は無いんだろう?」

スコットさんが俺にそう聞いてきたので、「今のところは」と答えておいた。

それにしてもこの小部屋、一体何なんだろう?

「……なぁ、もしかしてグリーさん達ってそんな所に囚われていたりしないのか?」

しばらく黙って俺たちの話を聞いていたヒューザが、急にそんな事を言い出す。

なるほど、それなら帰ってこれない可能性もあるかもしれない。

「とりあえずその小部屋、1つ壁を壊して見てみないか?」

アースさんもなんとなく心配になってきたのか、そんな事を言っている。

う~ん……壊すのはいいけど、ダンジョンの壁って相当丈夫だって聞いたよ?繋げられるほど壊せるの?

俺がそう思っていると、アースさんが俺に「大体どの辺にあるのだ?」と聞いてきた。えっ、試すの?


俺は1番近い所にある小部屋の目の前まで来て、アースさんに伝えた。

するとアースさんは右の片腕のみ竜化させ、その拳に自分の魔力を纏わせる。

そして後ろへと振り上げると、思いっきり壁に拳を叩きつけた。

すると「ドゴォォォォン!!」と、もの凄い音をたてて壁に大穴を開けた。す…凄いね、アースさん。

アクアさん以外のメンバーはほぼ俺と同じく、唖然として壁とアースさんを見ている。

すると大穴が開いていた壁が、目の前でみるみる間に塞がっていくではないか。

俺は慌ててそばに寄ろうとしたが、それをアースさんに止められた。

「まぁ待て。今のは試し打ちだから気にするな。……なるほど、こうやってすぐに塞がっていくんだな。ならばシエルに穴が塞がる前に結界を張ってもらえば『道』は確保できるだろうか?」

アースさんはどうやら『試し打ち』をしたらしく、次が本番?らしい。

なるほど、確かに結界なら穴が塞がらないようにできる可能性があるよね。

アースさんは改めて拳を振り上げ、拳に魔力を纏う。

そして先程と同じように壁へと叩きつけた。

俺は改めて開いた穴に、周りの土埃が消えないうちに結界を張る。もちろん人は通れる結界だ。

すると穴は見事に結界に阻まれて穴が開いたままになった。

「おぉ~、成功したね!どれどれ中はどうなって……うわぁっ!!」

中を覗いた悠馬は大きな声を出して飛び上がった。ん?どうした?

俺達も悠馬の肩越しに中を覗くと、そこには誰のものかわからない人骨が複数あった。

「なるほど……部屋の中に生体反応がなかったのはこういうことか。この場所は一体何なんだろうな?」

スコットさんが震える悠馬を抱きしめながら、顔を顰める。

「他にもいくつかあるんだろう?とりあえずみんな確かめてみないか?」

アースさんがそう提案したので、とりあえずこのフロアの『小部屋』を次々と開けて中を見ていくことになった。

「とりあえず聞くが、7階層はあの小部屋は無かったんだな?」

「そうですね。『小部屋』が出てくるようになったのはこの階層に来てからです。」

俺の返答に頷くアースさん。

とりあえず7階層から来た階段から一番近い『小部屋』から見ていくことになり、一旦引き返す。


このフロアで一番最初に見つけた『小部屋』でも同じ事をすると、やはり中にはいくつかの人骨が発見された。

最初に見た部屋もそうだが、人骨はきっちりと頭蓋骨から足先の骨まで、体勢は様々だがそのままの服を着た形で発見されている。

とりあえずこれだけではよく分からないので、次々と開けていくことに。


そうやって敵を倒しては『小部屋』を開けて行きながら、この『小部屋』が一体何なのかを考える。

開けたどの部屋も人骨が綺麗に残っていて、服の状態からは別に魔物に襲われた形跡もない。

本当に綺麗なまま残っているのだ。



そうやっていくつも開けていった頃、とうとうその『小部屋』の中に生体反応が4つあった。

中にいる人の光は今にも消えかかっている。

俺は急いでアースさんに伝えると、すぐさま道を作ってくれた。ありがとう!

俺も道ができた瞬間に結界を張り、中へと走り込む。

中ではまだ若い冒険者らしき人が4人とも倒れていた。

俺はすぐさま4人に神聖魔法で体力回復を行う。

すると虚ろな目をしていた4人は、徐々に生気を取り戻していった。良かった、間に合ったね!


彼ら4人を倒れている状態から座らせてやり、4人に浄化魔法をかけてやる。不衛生だと体に良くないからね!

「あ……りがと…う。」

その4人の中で1番回復していそうな人が、代表してそんな事を言った。

「いや、礼には及ばん。それよりもお前達は一体何でこんな所に閉じ込められていたのだ?」

アースさんは4人に向かってそう聞いた。

だが4人は答えられるほど体力は回復していないようで、まだ俯いて目を瞑っている。


ん……?なんかおかしい?

俺は自分の体から少しずつ力が……正確には魔力が抜けていっている気がした。

俺にとっては少しずつでも、他のメンバーにとっては案外多かったようで、皆は何が起こっているのか困惑している表情だ。

その時、4人を見ていたリッキーが突然「シエルっ!その4人をお前の腕輪にしまって、すぐさまこの部屋を出るんだっ!」と叫んだ。

その必死さからすぐに行動を起こし、4人を腕輪に入れて『小部屋』からみんな外へと出て、結界を解き『小部屋』の穴を塞ぐ。

塞ぎ終わるとリッキーが深いため息を1つついた。

……一体どうしたんだ?

「危なかったな。でも今回長く居たことで白骨化の原因が分かったぞ。……あの部屋、魔力を急激に吸い込み魔力欠乏を起こさせた後に、倒れた奴の生気も吸い取って吸収していたようだ。」

そのリッキーの言葉に、みんなは戸惑う。


そりゃそうだろう。

まさかダンジョンが積極的に中に入ってきた冒険者を直接襲い、自分の『栄養』へと変えていたのだから。

今まで……といっても俺は『ロック』しか知らないけど、彼の話では『ダンジョンは人がいっぱい来てくれるように人に優しい仕様になっている』という話だった。

だがこのダンジョンはまさにその逆をいっている。

俺はそこまで思い出した時、ロックさんにもう1つ言われたことを思い出した。

『最古のダンジョンは俺と違って色々出来て危険だ』と。

それに『冒険者を嫌っている』とも言っていた。

でも……だからって、冒険者から無理矢理魔力を吸い出して命まで奪うとは想像していなかった。

ロックさんは俺に『お手柔らかに頼むよ!と伝えておくから』と言っていたが、もしかすると拒絶されたのかもしれない。


そこまで考えて、いまだに帰ってこないグリーさんとレッカさんが引っかかった。

まさか……2人とも、先ほどの冒険者と同じく囚われていたりしないよね!?
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