異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
423 / 529
第9章 ネシアのダンジョン編

リーシェさんとのお茶会

しおりを挟む

みんなとそんな話をしていると、ドアをノックする音が。多分リッキーかな。

後で迎えに行くって言ってたからね。

ドアを開けると案の定リッキーがいたが、その他にもリーシェさんとルーシェさんもいた。

そっか、もう帰るんだね。

「ごめん、3人とも。もう帰る時間らしい。次に会うのは新学期、かな?」

「そっか、もう帰るのか。残念だなぁ。……そうだ、お前ならいつでも転移で来れるだろ?また遊びに来いよ!」

「そうよぉ。だってセインが宿題をしっかりしなかったせいでどこにも行けないんだもの。つまらないわ~。」

「……それは悪かったよ、マジで。もう少しで終わるから!」

俺が帰る話を切り出すと、セインもローラも残念がった。

そっか、やっぱりどこも行けてなかったんだね?

まだ半分ほどあるから、頑張ればどこかに行けるんじゃない?


俺は3人にお別れを言って部屋を出る。

そしてリーシェさんに連れられて歩いているんだけど……一体どこへ向かってるの?

そうやって連れてこられたのは、少し大きめのドアのある部屋の前だった。

「さあ、中には入って。いろいろあって疲れただろう?」

リーシェさんはそう言ってドアを開けた。

中は少し広めの部屋で、なんかルーシェさんのギルマス部屋を大きくしたような感じだ。

「父さん、僕たちそんなにゆっくりしてられないんだけど?」

「ん?彼らは大丈夫なんじゃないのか?別に次の仕事とか入ってないだろうし。お前だけだろ?もう国王とかと会うこともないから、先に帰ってもいいぞ?」

ルーシェさんの言葉にそう返したリーシェさん。

……確かに俺たちは夕方まで暇っていえば暇だね。

そんな俺達の方を見たルーシェさんはどうなのかの確認をし、忙しいのは自分だけだと悟ると悲壮そうな顔をして「じゃあ、気をつけて帰るんだよ?」と言った。


ルーシェさんが転移して帰っていくと、リーシェさんはやれやれと言いたげな顔でため息をつく。

「あいつもお茶くらい飲んでいけばいいのに。本当に忙しいんだな。」

「ええ、ここに来る時も副ギルマスに『仕事をしていけ』と言われて頑張ってましたしね。帰ってからもまた仕事があるんでしょ

う。」

「……本当に忙しいんだな。」

俺の言葉にリーシェさんは苦笑いの表情から真面目な顔になってしまった。

いつも忙しそうだもんね、ルーシェさん。


リーシェさんは俺たちにソファーに腰掛けるよう促すと、どこから出したのか急に熱々のお茶が入ったティーポットと人数分のティーカップをテーブルに置いた。

……本当にどこから出したの!?

俺がとても驚いた顔をしていたからなのか、リーシェさんは唇に指を当てて「内緒だよ?」と言って、『何もない空間』に手を突っ込んだ。

傍目からは空中で手が消えているように見える。

俺たちが驚いていると、そこから手を出した時にはお茶菓子らしきものが乗ったお皿を手にしていた。

「それは一体何の魔法ですか?」

俺は興味津々に聞いてみると、リーシェさんからは「時空間魔法の一種だよ」と言われた。

「君は創造神様からもらったその収納魔道具があるから必要ないだろうけど、簡単に言うとその魔道具の劣化版……ってところかな。君の魔道具には『生きた生物』が入れられるけど、こちらに入れられない。入れてしまうと、その瞬間に死んでしまうから要注意なんだ。その代わりに時間停止機能はついてるけどね。」

「そっ……それは怖いですね!もしかして一般にも出回っている『時間停止機能付き魔道具』も同じく中に入れると死んでしまいますか?」

リーシェさんの返答に、俺は先ほどのお土産を入れた魔道具を思い出した。

まさかあれにもそんな事が!?と思ったのだが、一般的に出回っている『時間停止機能付き魔道具』というものは、そもそもが『生きた生物』を入れることができないらしい。

良かったぁ~、それなら『間違って入れてしまった!』なんてことが起きないね!

俺が胸をホッと撫で下ろしていると、リッキーが呆れた顔でこちらをみていた。

……なんだよぉ、こっちの世界のことあまり知らないんだからしょうがないじゃん!

俺が頬をぷくっと膨らませてムッとしていると、リッキーは肩をすくめて頭を撫でてきた。


「ところでシエルくん、君があの3人組とお茶してる間にリッキーくんから聞いたんだけど、新学期から来る王子様の素行調査をするって?大変だねぇ、君も。」

リーシェさんのその言葉に、俺は思わずお茶を吹き出しそうになった。

バッ!と隣を見ると、リッキーが素知らぬ顔でお茶を飲んでいる。……俺、引き受けてないよ!?

俺がその事をリーシェさんに告げると、「なんだ、そうなのかい?」と首を傾げられた。

「まぁ……グリー様なら何とかしそうな気もするけどもね。あの人、よく分からない人だからねぇ。」

リーシェさんは苦笑いをしながらそう言った。

……なるほど、グリーさんはリーシェさんからみてもそういう風に見えるんだね。

「ところでリーシェさん。さっきクロードから聞いたんですが、後期授業にもダンジョン遠征があるって本当ですか?」

「ああ、あるよ。いつもなら『ロック』に行くのが通例なんだけど、ただ今回はねぇ……前期であんな事があったし、ちょうどネシアからの例の打診もあったしで、もしかすると『ブレイズ』の方に転移して向かうかもしれないな。」

俺はリーシェさんのその言葉に驚く。

だっていくらダンジョンマスターが変わったといえど、ついこの前まであんな事があったダンジョンだ。

だけどよく考えたらあのダンジョンのダンジョンマスターは言い方悪いけど、俺の息がかかった者がなったので無理なことはさせないように頼むことはできる。

前もって変なことが起こらないように監視してもらえないか打診してみようかな。


「そうそうルーシェから聞いたけど、君から預かった『あの子達』、隠れ里の方でしっかりと修行しているそうだよ?」

「あの子達?」

「そう、君が名前をつけたフェンリルの子供のゼフィアと、『ロック』の中でドロップしたフォレストアントの卵から孵った純白の子達の事だよ。」

俺はそこまで聞いてやっと思い出した。ごめんよ!

そう、彼らは俺たちが学園の夏休みに入る時にリーシェさんに預け、エルフの隠れ里で修行を兼ねてゼフィアの里帰りをしてもらったのだ。

あの子もまだまだ小さかったので、たまには親元に行って甘えてくるのもいいのでは?と思っての行動だったんだが……ちゃんと修行をしていたらしい。

それにしても驚いたのが、あの5階層のフロアボスのフォレストアントクィーンのお腹にあった卵だ。

その卵のまま俺の収納の中で大量の俺の魔力を浴び続けた結果、真っ白な純白のアリが産まれてきたのだ。

その白アリたちは元のフォレストアントの気性の荒い性質は受け継いでおらず、逆に俺の魔力を浴び続けた為か神聖な生き物へと変化したようだ。

あまりにも大量にいたので半分以上を結構危険な状態にあった隠れ里の森の中で危険な魔物を減らす役目を与え、あの森のエルフが安全に暮らせるように『守り神』になってもらったのだ。

「そっか、みんな頑張っているんだね!」

「そうだね。特にゼフィアはもう君を乗せて走れるほど大きくなったようだよ?」

「……えっ!?」

俺がうんうんと頷きながらそういった言葉に返したリーシェさんの返答には、俺の声が裏返るほど驚いた。


えっ!?

まだ離れる前は小さめの中型犬くらいしかなかったよね!?

俺を乗せれるって、どのくらいなのさ!


……っていうか、一番ショック受けるの姉さんだと思うんだけど?どうするかなぁ……。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...