異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
425 / 529
第9章 ネシアのダンジョン編

久しぶりのエルフの隠れ里

しおりを挟む

翌朝、朝食をとるとみんなで一緒にエルフの隠れ里へと向かった。

ただ、人数が多すぎるのでユーリとセバス、悠馬、4属性竜の長達は腕輪の中に入ってもらうことになった。

流石に総勢11人が俺につかまって転移するのは無理があると思う。

久々すぎたので、転移先はラーシェさんの屋敷の前にした。

やはりそこが1番印象深くて覚えやすかったからね。


ラーシェさんの屋敷前に着いて他のメンバーを腕輪から出している間に、ラーシェさんが転移してきたようだ。

「誰かと思えば、久しぶりじゃのう、シエルくん達。ルーシェから君達の話はたまに聞いていたから元気していることは知っていたが……ん?シエルくんや、君は2人に分裂でもしたのかね?」

ラーシェさんは俺と悠馬を見比べてそんな事を言った。……毎回言われるけど、そんな似てるの?

「こいつら似てますが、兄弟ではなく親戚なんですよ。」

「なるほどのぉ。それなら似ていてもおかしくないわい。」

リッキーの説明に素直に納得したラーシェさんは、「ところでここには何用で来たのじゃ?」と言った。

「昨日リーシェさんからゼフィアの事を聞いたので、久々に顔を見に来たんですよ。」

「なるほど、なるほど。確かにあの子は今、親のところで一緒に過ごしてしっかりと修行していると聞いておるのぉ。見に行ってやると嬉しがるはずじゃ。どこにいるのかは門番をやっているライトに聞くと良いぞ。」

俺がゼフィアに会いに来たことを告げると、ラーシェさんは『ゼフィアの居場所はライトに聞け』と教えてくれた。ありがとう、ラーシェさん!


俺たちは街を眺めながら里の入り口へと向かう。

一緒に歩いている悠馬は今までとは全く違う街並みに、「ほぇ~……」と言ってしきりにキョロキョロ周りを見回している。

「悠馬、そんなに周りを見てるから注目浴びてるぞ?」

苦笑いをしたスコットさんはそう言って悠馬の頭にぽんと手を置く。

……うちの男2人はこれ、よくやるよね?

途中で悠馬がどうしても気になった品を購入しながら、里の入り口へと到着した。

そこでは今回もライトさんとマッシさんがコンビを組んで門番をしていた。

「よぉ~、お揃いでどうした?……って、決まってるか。あのフェンリルの子供を迎えに来たんだろ?」

ライトさんはそう言って俺たちを見たが、俺と悠馬を見ると目を丸くする。

「……シエル、お前分裂した?」

「……いや、してないから。」

ここしばらくはよくしている会話をして、悠馬は親戚だと伝えておく。

やはりここまでにているとすぐに納得してくれるから楽だよね。

「で、あの子を迎えに来たんだろ?ちょっと待ってろよ、今呼ぶから。」

ライトさんはそう言うと首から下げている笛のようなものを口に咥えると思い切り吹いた……はずなんだが、音は全くしなかった。

だがしばらくすると遠くの方で遠吠えが聞こえ、こちらに走ってくる気配がだんだん近づいてくる。

ある程度近くまで来ると木々の間から白いものがチラチラ見えるようになり、それはすぐにフェンリルの群れだとわかった。

群れは少し離れたところで立ち止まり、こちらをうかがっている。

「久しいのぉ、シエル殿。此度は我が子ゼフィアを迎えに来たのか?」

フェンリルの長のブリーズさんはそう言って、自分の足元にいる子供を鼻面でこちらに押した。

多分その子がゼフィアなんだろう。

……つけた首輪が全く見えないけど。


「シエル様~!僕のこと迎えに来てくれたんですか?」

ゼフィアは嬉しそうに俺の方へと駆けてきたのだが……長と比べると結構小さいと思っていたゼフィアだが、近づいてくると徐々にその大きさが分かる。

めちゃめちゃ大きくなってない、お前!?

目の前で喜びに尻尾をブンブン振っているゼフィアは、前もって聞いていた「俺を乗せて運べる」なんてものじゃなく、4人は無理でも2人は乗れそうな大きさだった。

「お前……かなりデカくなったな!?」

「はいっ!ここで狩りや特訓をしっかりとしていたら、いつの間にかこんなに大きくなっていました!」

ゼフィアはそう言って俺の顔をべろべろと舐め始める。……いや、ほどほどにね?

すると、やはりというか、ユーリが対抗して俺に子竜姿で貼り付く。

『にぃには僕のものなの!お前はあっちのお姉さんの所へ行きなよ!』

ユーリにそう言われて少ししょんぼりしつつも、いつも自分を守ってくれたり可愛がってくれたリリーさんの所へ行き、再会が嬉しかったのか尻尾もブンブン振っている。

リリーさんもそんなゼフィアが可愛いのか、頬を真っ赤にさせながら抱きついてスリスリしている。

『ほらね?あっちはあっちでいい組み合わせなんだよ。にぃには僕だけね!』

ユーリはそう言うと俺を見上げてニッコリと笑った。

……まぁね、それでも良いかな。

それを見ていたブリーズさんはハハハと声を上げて笑い、「なるほど、あの子はあの娘と仲が良いのだな。」と言った。

「ええ、ゼフィアは俺と契約したはずなんですが、彼女がずっとゼフィアを肌見放さず守っていたんですよ。だからゼフィアさえ良ければ従魔契約を彼女に切り替えようかと思っているんです。」

俺がここに来る前の話し合いで決まったことをブリーズさんに告げると、彼も頷き「ユーリ様が嫉妬をなさるのなら、それも良かろうと思うよ。」と言ってくれた。


「ねぇゼフィア、さっき聞こえたかもしれないけど、改めて聞くわ。あなたシエルの従魔をやめて私の従魔になる気はない?」

リリーさんはニッコリ笑ってゼフィアにそう提案する。

「でも……貴方は従魔契約をすることができないのでは?」

ゼフィアは首を傾げてリリーさんにそう問うと、リリーさんはこちらをチラッと見て「それはね、シエルから譲ってもらえば可能なようなのよ。」と答えた。


そう、どうやらユーリに言わせると、1度従魔契約をした魔物や神獣は契約ごと譲渡できるらしい。

だからこそ、街中で魔獣使いは魔物を出さないのだ。

魔獣使いなら勝手に契約を乗っ取ることも可能らしいのだ。

俺が今までそんなことにならなかったのは、ひとえに従魔が『人化』していたからにすぎない。

もしこれが魔物の姿のままなら、もしかしたら……なんてことがあったと思うと怖いよねぇ。

しばらく考え込んでいたゼフィアは一度俺を見て頷き、「僕は正式にリリーさんの従魔になります」と答えた。

それを聞いたリリーさんが飛び跳ねて大喜びしたのは言うまでもない。


それから俺とリリーさん、ゼフィアは、みんなの見守る前で契約の譲渡を行う。

それはみんなが証人になるからだ。

「じゃあ、ゼフィア。君はリリーさんと契約をして、彼女を一生守っていけますか?」

「はいっ!」

「ではリリーさん。リリーさんはゼフィアの事を一生大切にしてくれると約束できますか?」

「うん、約束するわっ!」

「では、2人とも跪いて、こちらに頭を下げてください。」

「……なんか結婚式の言葉みたいだな。」

俺がみんなの前で2人にそう聞くと、2人ともとても良い返事をした。

……ボソリと呟いた奴が約1名いるけどね?

跪いた2人の頭に俺は掌を乗せ、俺の持っているゼフィアとの契約を移すイメージで2人に魔力を流す。

すると2人は同時に光りだし、数秒でその光は消えだ。

その後に俺が確認のために2人を鑑定すると、ちゃんとゼフィアはリリーさんの従魔になったようだ。

「先ほどゼフィアがリリーさんの従魔になったことを確認取れました。これで2人は従魔契約完了です!2人とも、これからも末永く仲良くしてね!」

俺の宣言により、2人が正式に従魔契約を結んだ事をみんなにお知らせすると、みんなもその事を喜んでくれた。


2人共、これからも今までと同じく仲良くしてね!
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...