異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第10章 国立学校 (後期)

総当たり戦の闘技大会 1

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あれから数日経ち、闘技大会当日になった。


やはりみんな大会直前ということもあり、かなり浮足立っていたようで、授業をやる先生方も苦笑いをしていた。

なにせ先生方が授業で話をしているのに、あちこちで大会の話をコソコソと話しているのだから、先生に分からないわけがない。


闘技大会当日、まずはみんな各自の教室へ集まり、そこから学年ごとに移動を開始する。

移動の順番も1年生から順番に移動するので階段や廊下が混雑することもない。

俺達1年生は、1番最初に会場となる修練場へと向かう。

会場に着く選手では1番最初になるのだ。

だが俺には1番最初に着いたらすぐやらなければならないことがある。

そう、2試合する為に結界を張って、観客席を作らなければならないのだ。

以前使った結界はトーナメント戦を終了するとすぐに解除して元に戻してあるので、新しく張らなければならない。

今回は前回までのと違い、戦う場所と観客席がきちんと決まっている。

俺はそれ通りに作るだけだ。

あ、もちろん結界の仕様も決められているので、俺が変えられるとしたら強度くらいなものだ。


とりあえず1年生が中に入る前にまずは俺が中には入って整備をする。

1年生が見守る中、俺は壁に沿って土魔法で観客席を作り上げた。

それを見たクラスメイトからはどよめきの声が上がるが、この後どんどん上級生がやってくるので俺はさっさと次の作業に取り掛かる。

お次は観客席の目の前に結界を張らなければならない。

それも『武術攻撃も魔法攻撃も一切通さない結界』を張るのだ。

俺は自分の攻撃が当たるかもしれないと想定をして、それさえも通さない結界を張る。

これでとりあえずは観客席は守られた……かな?

その後に今度は試合場の方になる。

試合場は2試合をするので、その2つの試合場の間にも観客席と試合場を区切った結界と同じものを張る。

とりあえずこれで、予定していた準備は終了だ。

あとは何かしら問題が起きた時にまた対処するということになっている。


俺が「ふぅ……」と大きく息を吐いて手で額を拭うと、後ろを振り向いて「準備できたよ!」と声をかけた。

するとクラスメイト達は「そんなに魔力使って大丈夫なのか?」と声をかけてきたが、この程度ならまだ全然自然回復できる程度の消費量だ。試合に出るまで休んでいれば大丈夫。

「……お前、そんなにいろいろ大魔法を使って魔力大丈夫なのか?」

アンドリューが訝しげに俺を見ながらそう言った。

……これでも全然大丈夫なんだよ、心配するな。

俺がそう言おうとすると、セインが俺の代わりに「大丈夫!こいつ以前にもこんな事やって、その直後に試合していたけど何も問題なかったからな!」と言う。

そっか、君は全然心配してなかったんだね?

……まぁ、本当になんともないからこそ、そんな風に言えるんだろうけどね?



それから俺たちだけじゃなく、上の学年の人たちもゾロゾロと修練場へやってきては観客席へと座る。

その際、チラリと俺の方を見るのは、以前のことがあるからだろう。

もちろん観客席の一番前には先生たちが見るための『特等席』として少し椅子を変えておいたので、何も言わなくてもそこには生徒は座らなかった。


修練場の観客席がほぼ埋まった頃、マール先生からアナウンスが入った。

「え~、これから恒例の、全学年による闘技大会を始めたいと思います。各学年の選手に選ばれている生徒は修練場の中央付近へと集まってください。」

それを聞いてセインが「おっ、俺たちの出番だな?ほら、行こうぜっ!」と良い笑顔で俺達選手に声をかける。

俺たちもそれを合図に立ち上がり、セインを先頭に集合場所へと向かう。


集合場所へと集まったら、それぞれ学年ごとに整列をする。

その際に他の学年を見たのだが、やはり体格の良い男子の割合が高いようだ。

特に低い学年にその傾向があるようで、最高学年の5年生には5人中2人も女子が入っている。

……それも、『魔法師』という感じではなく、どちらかというと服装的に『騎士団』向きの出で立ちをしているようだ。

そういえば王都の近くにあるダンジョン『ロック』に行った時も、『変換期』の対処にあたった騎士団の中には確かに女性もいたからね。

俺がそうやって見るように、他の学年も俺たち1年生を値踏みするような目で見てきている。

他の学年に目をやらないところを見ると、もしかするとこの行事の常連だから知っているのかもしれないね。


それからマール先生に前を向くよう言われ、校長先生の前で5年生の代表2人による宣誓式みたいなものをした。

これはまぁ……日本でいう「正々堂々と戦うことを誓います」的な決まり文句を言うものらしい。

ただ日本と違うのは、それを正式な文章契約みたいなものにする事だ。

代表の2人がそう言って何かにサインをした瞬間、選手一同が淡く光りだし、すぐに消えた。

俺は驚いたが、クロードによるとこれは一種の契約みたいなもので、正々堂々と持てる力だけで戦わなかった場合に何らかのサインが現れるんだそうな。

それによってその選手はいわゆる「反則負け」になり、相手選手の勝ちになる……という仕組みらしい。

なるほど、それなら判定だけに審判がいれば良いので、他の先生は安心してゆったりと観戦できるってわけだ。


「それでは第1試合と第2試合に出場する選手はそこに残り、他の選手は一旦観客席へと戻ってください。それと第1試合はAチーム、第2試合はBチームの試合場へと移動してくださいね。」

そうマール先生が言うと、それぞれ移動を開始する。

俺達1年生は第1試合に出場なので、Aチームの試合場へと向かう。

「いよいよだな!俺、なんかワクワクが止まらないぜっ!」

セインがいかにも楽しいという表情で俺たちに話しかけてくる。

……そうだね、俺もちょっとドキドキしているよ。


相手はどんな試合をしてくるのか、それに俺の所まで回ってくるのかも気になるが……とにかく、みんな怪我をしないように頑張ろうね!
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