異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第10章 国立学校 (後期)

『ブレイズ』へのダンジョン遠征 11

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そんな事を考えながら進むこと10数分。

みんなでボス部屋に到着した。

その場所はあちこちに蓮が浮かんだ綺麗な池が点在していて、その中でもひときわ大きい池の中心にボス部屋がある。

ボス部屋のある場所までは、人が横に5人並んで歩くと狭いなと感じる程度の横幅がある一本道しか行く方法はない。



「はい、俺を注目っ!ここで命を無駄に落としたくないのなら、これから俺の言うことはしっかりと守ってくれ!」

リッキーは大きく手をパンパンと打ち鳴らして注目を集めると、大きい声でそう叫んだ。

「いいか、この池には凶悪な魔物が住んでいるらしい。だから絶対に覗き込んではいけないから、それだけは注意しろ!俺の友人が言うには、覗き込んだ途端に『あまりに一瞬の出来事で、夢かと思った』と思うくらいの時間で池に引きずり込まれるらしいからな。」


リッキーのその言葉に、ほとんどの生徒は顔を青褪めさせている。

だが一部の生徒が「そんなのでたらめだろ?」なんて言いながら笑っているので、ああいう奴が一番危険なんだよな。

俺は深いため息をつくと、この場でクラスメイトにだけさらに強固な結界を張る。

さすがに騎士や魔法師は大人だから、言われたことぐらいちゃんと理解して自制するくらいできるだろう。

とりあえず普通なら、あの一本道を通る時にその魔物に遭遇するはずがないらしいのだが、あまりに端を歩いていると何かの拍子にパクッ!といかれる事もあるらしいと聞いているんだが……なんか危ないことしている奴がいるなぁ、おい!?

そいつらは先ほどリッキーの話を聞いて疑っていた奴らだった。

あれほど言われているのにもかかわらず、列を外れて一本道の端付近で何やらふざけあっている。

ちょうど俺の5メートルほど先を歩いているので、気になってしょうがない。

俺の少し前を歩いているリッキーが、危ないと思ったのか声をかけようとした時にそれは起こった。


ふざけあっている生徒のうちの1人が端まで行った時に、その仲間内の1人が笑ってドンッ!とその子を押したのだ。

おかげでその子はバランスを崩して体が一本道から少し飛び出た途端、巨大なワニのようなものがその子にパクリと噛みつき、そして池へと消えていった。

それを見ていた子や騎士達が一瞬何があったのか分からなくてフリーズしていたが、事態を理解した途端、悲鳴や怒号なんかで、この場は混乱の渦に巻き込まれた。

俺はとても驚きはしたが、俺の張った結界を信じていたのでまだ冷静でいられた。

そのおかげで、すぐに対処しようと道の端に近寄る。

「おいっ!お前までやられちまうぞっ!」

リッキーが焦った声で俺に掴みかかったが、俺は「大丈夫、見ていてくれ」と言って両腕を天に向ける。

俺が腕を振り下ろした瞬間、辺り一面が真っ白に染まるほどの巨大な稲妻が池の中へと落ちていった。

光やものすごい轟音、振動が落ち着いた後、池の表面には埋め尽くすほどの魔物のドロップ品が浮かんでいる。

そしてその中に、先ほど魔物に食べられてしまった生徒が結界に守られながらプカプカと池に浮かんでいた。

その生徒はあまりの出来事に意識がついていけていないようで、呆然とした顔で放心している。

その生徒を泣きながら謝りつつ池から引き上げているのは、先ほどふざけあっていた仲間たちだ。

……そりゃあ謝るだろう。

通常なら池に落ちた彼は、この世にはいない。

俺が危ないなと思って結界を張っていたから、今回は大丈夫だったのだ。

それに気づいたリッキーが、そのふざけあっていた生徒たちに拳骨を落とす。

それを食らったメンバーは苦い顔をしている。

「……お前らなぁ。俺が言ったことを守らないから、こんなことになるんだ。いいか、今回はシエルの結界があったからこそ、こいつは死なずに済んだんだ。もしこの場にシエルがいなかったら……もっと言うと、シエルが結界を張っていなかったら、こいつは二度とここには戻ってこれなかっただろうし、まして戻ってこれても生きてはいなかっただろう。それをちゃんと頭に叩き込んで、これからは人が注意喚起をした場合はちゃんとそれを守れ。それが自分の命を守るための方法なんだからな。」

リッキーの真面目な説教は、彼らの心に響いたらしく、とてもしょんぼりとした顔をしていた。

でも、今回のこの行動はしっかりと反省をしてもらい、次回は今回のようなことがないようにしっかりと話を聞いて行動してもらいたいものだ。


そんな事があったが、みんな揃って一本道を進んで、やボス部屋の目の前までやって来た。

「このボス部屋にはかなりの数のアンデッドがいるから、お前らの中で火魔法が得意なやつはいるか?いたらユーリとシェルの扱う神聖魔法に被せて、一気に倒してしまいたいんだが。火魔法を使えるやつ、手を挙げてくれ。」

リッキーがそう言ってみんなに聞くと、約3分の1ほどの生徒が手を挙げた。おぉ、思っていたより多いね!

そして生徒に混じって魔法師の方からも「神聖魔法が使えます」とか「火魔法は高位のものも扱えます」といった声が上がった。

これだけいれば相当楽にこなせるはず。

それから俺たちの中でボスにチャレンジする者はボス部屋の中へと入る。

すると5階層と同じ様に中央に光が生じ、その光は徐々に広がり、やがて消えていった。

そして光が消えた後に現れたのは骨だけやゾンビなんかの無数のアンデッドだった。

それを見た女生徒は悲鳴をあげてどんどん火魔法を使いまくる。

俺とユーリも慌てて神聖魔法の浄化魔法を使ってどんどん処理をしていくのだが……おかしい、こんなに数いたっけ?

よくよく見てみると、まだ小さな光が残っているようでそこから次々と補充されているようだ。

……まずいなぁ、このままではこちらの火魔法を使っている生徒が魔力枯渇を起こしてしまうかもしれない。

俺は一旦ユーリに浄化を任せ、強めの浄化魔法を圧縮したものを作り出す。

そしてそれをいまだにアンデッドを生み出している光へとぶつけた。

するとその光は俺の作った浄化の光とぶつかって互いに霧散する。

……よし、これで先は見えたな!


それからは無数にいたアンデッドをどんどんと倒してはドロップ品へと変えていく。

全てのアンデッドを倒し終わると、ものすごい数のドロップ品になっていた。

このフロアボスのドロップ品としてはやはり巨大な魔石が目玉なんだろうが、それがなんと10個以上も手に入ったようで、リーシェさんもホクホク顔だ。


それから俺たちはみんな揃ってさらに下の階層へと向かう。

次の階層は確か蔓が壁になったようなフロアが続く『昆虫系』の魔物が出るフロアだったはず。

あの『黒い悪魔』は出るんだったかなぁ……?
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