異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第10章 国立学校 (後期)

『ブレイズ』へのダンジョン遠征 17

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翌朝、俺達はさっさと朝食を済ませ、セーフティフロアを出る。

相変わらずあまり魔物がでないフロアだ……と思っていたのだが、18階層に上がってきて分かった。

なるほど、魔物が少ないわけだよ。


18階層へ上がって少しすると、俺の索敵魔法にいくつもの青い点が現れ始めた。

その青い点は階層のあちこちに4、5人ずつで固まって移動しているようだ。

現在冒険者はおらず、ネシア軍が訓練にやって来ていると聞いていたので、多分十中八九はそのネシア軍の兵士達だと思う。

「なぁリッキー、お前のところにも『印』出てきたか?」

俺はリッキーにも確認を取ると、やはりそちらにも出てきているようで、リッキーも同じ考えだったようだ。

「近いところだと……おいっ、スコット!この先の右手に行く道の少し先に5人ほど誰かいるぞ!」

リッキーはそう大声でスコットさんに声をかける。

この事によって、この場にいるみんなに情報共有ができたので、みんな身構え……はしないのね?

そこはダンジョンで実際に他の冒険者と出くわすことがないから、それで危機感が薄いのかもしれない。

現に一緒にいる獣人兵達と会った時も全く警戒してなかったし。

これは……少しリーシェさんと相談かな?


そして俺達が青印の出たところへ向かっていると、向こうの方からも近寄ってくる気配があった。

もしかして先ほどの大声が聞こえたのかもしれない。


ほどなくして、リッキーが言っていた通路に曲がるとすぐの場所で獣人兵5人と出会った。

向こうはこちらの大集団に驚いて警戒していたが、俺と同じく後方のところにいる獣人兵達を見て少しホッとした表情になった。

「我々はネシア軍の兵士なのだが……君たちはどこの者達だ?見たところ騎士や魔法師の他にも、まだ子供だと思われる人族がかなりの数いるようだが……。」

出会った兵士の中で1人だけ兵士長さんと同じように制服の色が違う人がいて、その人が代表してスコットさんに話しかけてきた。

「我々はクレイン国の学校に通う1年生と引率者です。今、学校の行事でこのダンジョンへ遠征に来ているのですが……あなたたちは何も聞いてなかったんですか?」

スコットさんは訝しそうにそう聞くと、相手も眉を寄せて「聞いてないな」と答えた。

「ところでその後ろにいるうちの兵士達は一体どうしたんだ?何故に一緒に行動を……」

その兵士さんはそこまで言うと、近くにいたアンドリューの顔を見てハッ!とした顔になり、慌てて片膝をついて頭を垂れた。

「なるほど、王子殿下がおられた為に同行をしていたのですね。……ところで、何故に王子殿下はこの学生達と行動を共になされているのでしょうか?」

その兵士さんははっきりとした声でそう言うと、アンドリューに向かって顔を向ける。

その目線を受け止めたアンドリューは、今同行している兵士さん達に話したのと同じように、俺達の学校に通っているのだと説明した。

「……なるほど、事情は分かりました。そういうことであれば我々も今後は同行いたします。」

その兵士さんはそう言って一つ頷く。

それを見たアンドリューは一瞬面倒くさそうな顔をした後、「お前たちはお前たちの役目があるのではないのか?」と言った。

「いえ、我々このフロアにいる者たちは、この階層で鍛錬を行っているだけですのでご安心ください。次の階層へは同行いたしませんので、そこから先は次の階層で鍛錬を行っている者たちにお任せします。」

その兵士さんはそう言うと仲間の兵士に声をかけ、一礼して最後尾に付く。

アンドリューは彼らに見えない位置で「うんざりだ」といった顔をしたが、目をしばらく瞑ってから次に目を開けた時にはまた元の表情に戻っていた。


それから俺たちは新しく獣人兵達を5人加えて先に進む。

途中他のグループにも会い、その彼らはアンドリューに挨拶だけするとすぐにまた魔物を討伐し始めた。


そして19階層の階段が見えると、この階層で一緒に行動していた5人の兵士さん達は「それではお気をつけて!」とにこやかに俺たちを送り出すと、また魔物討伐に戻ったようだ。

……良かった、このままどんどん獣人兵達が増えていくのかと思っちゃった。


そして19階層でも同じ様に兵士さん達が魔物討伐をしていたのだが、もう時間的にも夕方になるらしくて一緒にセーフティフロアへとついてきたので思った以上に大所帯になってしまった。

セーフティフロアに到着すると、みんなそれぞれにテントを張り、ネシア兵と俺たちクレイン国側で明らかな境界線をかなり開け、そこに食卓と椅子を俺が土魔法で作り出した。

……さすがに総勢100名以上が一堂に座れる机って、さすがに持ってないんだよね。

そうやって次々と作っている内に、どんどんセーフティフロアに入ってくる兵士達。

困った、これ以上来られると境界線のスペースが足りなくなってしまう。

俺は少し焦ってしまったが、どうやら追加で入ってきたのはそこまで大人数ではなかったので、少しホッとした。

とりあえず俺は机の準備が終わったら、クレイン国の生徒とスコットさんとリッキーに手早く豚肉やキャベツなどの材料をカットしてもらい、俺はそれをどんどん炒めていく。

味付けは鶏ガラやネギ油、焦がしにんにく油の効いた金色チューブペーストなので、失敗はないのだ。


そして今日は時間があまりないので肉野菜炒めを丼にすることにして、スープは手持ちであっさり目のものを提供することにした。

そうやってどんどん作っては腕輪にしまい……を繰り返し、準備ができたら配給用の机を取り出してその上に野菜炒めとご飯の入った大きなお櫃やスープの入った寸胴鍋などを置くと、俺は各自にご飯を取りに来てもらうようお願いした。

バイキング形式でどんどん取りに来ては席について食べるみんなを横目に、俺は配給用の机で1人、ご飯を食べている。

ご飯や野菜炒めがなくなり次第すぐに提供できるようにだ。


そんな俺のもとにクロードが苦笑いをしながら近づいてきた。

「……なかなか冒険者も大変なんだな。」

「そうだよ?こうやって食事を作ったり、たくさん現れる魔物を討伐したり。あと……大きな声では言えないけど、こういう安全な場所では冒険者同士でも警戒をしないといけないんだってさ。」

「……えっ?冒険者はみんな仲間意識が強いんじゃないのか?」

俺の返答に目を丸くしているクロード。


そう、俺も最初はそう思っていた。

だけどね、前回このダンジョンに来た時に、その考えは薄まってしまった。

でもよく考えれば、俺がこの世界に来たばかりの時にも知り合ったばかりの冒険者に襲われたこともあったよね。


俺はその時のことを思い出し、ため息をつく。

するとクロードは俺の方をポンと叩き、「まぁ、しばらくは学生生活を楽しめよ」と苦笑いをして元の席に戻って行った。


そうだよね……俺はみんなと違い、卒業まではいない予定だ。

今だけは皆と学校生活を楽しく過ごしたいよね!
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