異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第10章 国立学校 (後期)

『ブレイズ』へのダンジョン遠征 27

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俺は少し暗くなっているテントの中で、とても煙の匂いがするのは何でかな?と考えながら目が覚めた。

けむり……煙っ!?


俺は慌てて飛び起きると、辺りを見回す。

良かった、テントは燃えてない。

テントの外が真っ赤に染まっているってわけでもなさそうだ。

じゃあ……何で煙の匂いが?

俺が倒れた後に何があったんだ?

俺は倒れる直前のことを何となく覚えているので、自分が魔力切れで倒れた事も理解している。

……倒れるくらいなら、ユーリのいうように少し休んてから夕飯作れば良かったなぁ。


俺がそんな風に考えていた時、テントの入口のカーテンが開いて、ユーリが顔を出した。

「にぃに、起きていたんだね!今ね、さっき採ってきた魚や野菜、お肉を網焼きで焼いてるんだよ!バーベキュー……とか言ってたかな。みんな焼けたものから食べ始めているから、にぃにも起きたなら食べにおいでよ!」

なるほど、あの後リッキーはバーベキューをする為に色々用意をしてくれていたようだ。

腕輪に入っていた食材はユーリが取り出して渡してくれたのだろう。


俺はユーリと共に外へ出ると、辺り一面で幾つかのバーベキュー台をそれぞれ囲んで食材を焼いて食べていた。

おぉ~、これなら焼き終わるのを待つ人が少なくて良いね!

俺はスコットさん達がいる台へと向かい、声をかけた。

「……おっ、復活してきたな?やっぱりあの薬は効くだろう?」

いち早く俺に気づいたリッキーがニヤリと笑いながらそう言った。

「……まぁな。っていうか、ホント、なんであの薬あんなにまずいんだ……?それさえなければとっても良い薬なんだけどさぁ~。」

「まぁ、そういうなって。ほら……なっ?」

俺の言葉にリッキーは「しまった!」といった顔をして俺にウインクをよこす。……なんだよ?

「……悪かったわねぇ?」

とても低い声で後ろからこめかみをグリグリしてきたのは、どうやら激おこリリーさんのようだ。

「うあっ!痛いよぉ、リリーさん!痛いってばっ!」

「酷いこと言ったのはそっちの方でしょ!?何よっ!姉さんの作った回復薬、そんな不味かったの!?そんな言い方、酷いわよっ!」

リリーさんはそう言って、さらにグリグリする。

俺は堪らずに全力でリリーさんから逃げた。


逃げた先は隣のバーベキュー台で焼いているセインたちの所だ。

そこではセインたち王族4人とリーシェさん、セバスが焼いて食べている。

「お前、起きたばかりなのに元気だな。急に倒れたからすっげー心配したけど、すぐに良くなってホッとしたよ。」

「そうだな。我もお前が倒れた時には驚いたぞ?あんなに魔力のあるお前が魔力切れだなどと……最初は嘘かと思ったほどだ。」

セインとアンドリューが2人してそんな事を言う。

そうだよね、俺もまさか魔力切れを起こすとは思ってなかった。

やっぱりあの変な触手の時に相当魔力を使ったのがまずかったのだろう。

「まぁ、元気になったのなら良かったよねぇ。ほら、これをお食べよ。」

リーシェさんは穏やかな微笑みで俺に焼けた魚の塩焼きを皿に乗せて渡してきた。美味そうだな!

「おぉ~、焼きたてっていうのは美味いね!……ん?あれ?牡蠣は焼かないの?」

「牡蠣って……ああ、あの石みたいなのか。俺は焼き方がわからなかったから、あっちのスノーホワイトたちのいる台でしか焼いてないぞ。食べたいならそっちで食べてこいよ。」

セインがそう教えてくれたのでそちらへ戻ると、ちょうど牡蠣殻をひっくり返すところだった。

焼き牡蠣って蓋の方から焼いて、それからひっくり返すんだって、スコットさんに教えてもらったんだよなぁ。

そのスコットさんはちゃんと中まで火を通すために蓋として鍋を活用していたようだ。

こうやって牡蠣を焼く時、蓋があるときちんと中まで火が通りやすいんだよね。

「牡蠣って、他の人達は食べてないの?」

俺がスコットさんの隣に行ってそう聞くと、「そうだな」と言って苦笑いをする。

「なんかな、この見た目で食べ物だと認識してないようなんだ。まぁ、その分俺達が美味しい牡蠣を独占できるから良いんだが。もう少ししたら焼けるから、待っていろよ?」

「分かった!……ところで炊き込みご飯はどうなったの?」

俺はキョロキョロしてテーブルのところを見たが、そこには乗っていないようだ。

そんな俺を見てスコットさんは申し訳なさそうな顔で「すまない」と言った。

「あれは好評すぎてもう残ってないんだ。お前も食べたかったんだろうが、1回しか炊いてないからみんなに行き渡らなくてな。残りは白米で我慢してもらっているんだ。」

そりゃそうか……あれ1つじゃ80人近くの胃袋は満たせないよね。

俺はちょっと残念に思いながらも、後でまた炊いておこうと誓う。

「牡蠣はまだまだあるの?」

「まぁ……もう1回炊く分くらいはあるぜ?」

俺の心を読んだリッキーがニヤリとしてそう言った。

もしや先を読んで残しておいてくれたのか?ありがとう!


そうやっている間に牡蠣が焼けたようで、スコットさんは手早くからの蓋を開けてくれた。

「おぉ~、大きいね!あまり縮んでなさそうだ。」

「そうなんだよ。案外このダンジョンの牡蠣は加熱してもそこまで縮まらなくてな。すごい食べ応えがあるんだ。」

スコットさんはそう言うと、自分で開けた牡蠣の1つを手に取り、ツルッと食べる。

そのままでも美味しかったのだろう。いい笑顔だ。

俺も続いて1つ手に取り、食べてみる。

うん、海の塩味が効いているからなのか、何もかけなくても良い塩加減だ。

俺やスコットさんの顔を見て、他のメンバーも我先にと牡蠣に手を伸ばして食べていく。

スコットさんはすぐに牡蠣を補充し、どんどん焼いていく。



そうやって皆で美味しくバーベキューをしてお腹いっぱいになると、各自グループ毎のテントへと戻っていった。

俺がスノーホワイトのメンバーと最後の後片付けをしていると、またブレイズから話しかけられた。

『マスター、大丈夫でしたか?』

『ああ、単なる魔力切れだよ。そんなに心配するな。』

『それなら良いんですが……ただ、魔力切れだからと高を括っていると後で大変なことになったらどうするんですか?無理はしないようにしてください。』

俺のことを心配しているブレイズに、俺は申し訳ないと思いながら『分かった、無理はしない』と約束する。

『……でも、そんな事言っている私がマスターに頼ってしまうのも悪いのでしょうね。今回連絡した事も、あの海にいる魔物のことなのですから。』

『……何か分かったのか?』

『ええ。あれはあの海の底にある割れ目の中で隠れるように潜んでいるようです。外へ出てくる様子はないのですが……ただ、冒険者がやってくるようになるとまた動きがあるかもしれませんので、できればマスターがいる間に討伐していただけると助かるのですが……。』

なるほど、ブレイズはあの魔物を討伐してほしいから連絡してきたんだな。

俺はとりあえず了承したが、まだ魔力は完全ではない。

『明日の朝早くでも良いか?』

『ええ、それでも構いません。万全な状態で挑んでもらったほうが安全でしょうから。』

『じゃあ明日の朝早くに起きたら行ってくるよ。その時に詳しい場所を教えてくれるか?』

『分かりました、明日また連絡しますね!』

俺とブレイズは明日の早朝に約束をすると連絡を切る。……獣魔だと意思疎通が楽だな。


それから俺は皆と一緒にテントへと戻る。

今夜もリリーさんとエミリーさんはセインたちのテントへ泊まってもらうので、途中で別れた。

テントに帰ってくると自分のベッドにバタンと倒れると、意識がスーっと遠のいていく。

あまりに疲れていたからか、もう指一本も動かせないようだ。

「布団かけないと風邪引くぞ?」

そう言ってリッキーは俺をごろんと仰向けにしてきちんと寝させると布団をかけてくる。

そして「お休み、シエル」と2人は言ったが、俺はもう夢うつつ状態なのではっきりとは返事できなかったようだ。

2人はそんな俺を見て笑うと、電気を消す。

俺はその途端に一気に夢の国へと旅立ったのだった。
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