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第10章 国立学校 (後期)
あっという間に時間が過ぎたね。
しおりを挟むあれから数日が過ぎ、テスト最終日。
今日は実技のみのテストがある。
テストの順番は採点が大変なものから入れられているので、こうやって実技が一番最後の日になったのだ。
そして今、俺たち1年生は修練場へとやってきている。
俺たちの後には2年生が、そしてその後へと続いて行くのだが、それぞれの学年は前の学年がここに来てから1時間くらいしたら来ることになっている。
そうそう、テストはこの広い場所を2つに区切り、剣術と魔法を同時にやる。
それが終わり次第、生徒は帰って良いことになっているのだ。
流れ作業みたいだが、その方が先生にも負担が少ないのだろう。
ちなみに俺は、朝早くに来て結界の準備をしたりと裏方作業に徹している。
帰りもみんなとは違い、最終学年が終わるまで待って、撤収作業まで手伝ったらお帰りになる。
「え~、ではまずは剣術の方から行くぞ~。1人ずつ俺たちと対戦するからな。本気でかかってきなさい。」
リッキーとスコットさんがそれぞれ対戦して、それを見ながらマール先生が採点をするらしい。
「よしっ!なら俺がまず行くぞっ!」
そう言ってスコットさんの方へと走って行ったのはセインだ。
ダンジョンから帰って来てから「スコットさんと手合わせをしたい!」と俺に言ってきていたから、まさに願ったり叶ったりといったところなのだろう。
……だが、さすがスコットさん。
スコットさんの剣技にも、力にも、セインは全く刃が立たなかったようで、簡単にいなされてしまう。
そんな状態だからなおさらセインも躍起になるのだが、それが逆に冷静さを欠くことになり……結果は見るまでもない。
しょぼくれたセインに、スコットさんは「1年生にしてはなかなか力も剣技も悪くない。あとは冷静さを失わないことだ。」とアドバイスを送る。
すると、それを聞いたセインははにかんで頷いた。
こっちに戻ってくると「負けちまったなぁ」と言って笑っていたので、気持ち的にもあまり落ち込んではなかったようだね。
それからしばらく2人の試合を見ていたが、どうやらリッキーには女子、スコットさんには男子が行く傾向があるようだ。
やはりいかにも『肉体派』のスコットさんより、細マッチョタイプのリッキーの方が女子も戦いやすいと思うのだろう。
でも俺は思うんだ。
絶対スコットさんよりリッキーの方が素早さは高いだろうって。
ああいう靭やかな動きを取るほうが、本当は相手しにくいのだ。
それでもやはり威圧感っていうものは無いので、女子は対戦相手に選ぶのだろう。
その中にはローラもいるのだが……おや?なんだか少し顔が赤くないか?
……そういえば、何だろう……リッキーが勝つと女子から黄色い悲鳴が上がっている。
「……ねぇ、シエル。私、あの中に魔法を放り込んでも良いかしらぁ?」
「……えっ?」
俺がリッキーを見ていると、突然背後から笑顔のリリーさんに声をかけられた。……低い声が怖いよ、姉さん?
「いや、駄目なんじゃない?それにリリーさんは魔法担当でしょ?そろそろ生徒が来るんじゃない?」
なんだか少しイライラしている感じのリリーさんだったが、俺のその言葉に肩をすくめて苦笑いをする。
「私よりもエミリーの方にみんな行くのよ。そりゃそうよね、私はどちらかというと回復担当だもの。あまり攻撃魔法は得意じゃないし。だからリーシェさんには攻撃魔法を使う生徒が来たらエミリー、回復魔法を使う生徒が来たら私が担当しなさいって言われているのよ。だから少し暇なわけ。……それにしても何でリッキーには女子が多いのかしらぁ?」
「ん?多分リッキーが威圧感ないから対戦しやすいんじゃない?」
「……そういえばしーちゃんは昔からそうだったわよね。」
リリーさんは苦笑いをすると俺の頭をなでなでと優しく撫でてくれた。
……流石に他人の目が多い場所では抱きついてきたりはしなくなったね?
そんなこんなで1年生はみんなテストを終了し、どんどん下校していく。
人によってはまだ早い時間ということもあり、友人同士でどこかに遊びに行こうと話しているのもちらほらと聞こえている。……良いなぁ、早く帰れて。
俺が帰って行くクラスメイトを見ていると、セインたち王族が俺の近くにやってきた。
「なぁシエル~。テストはまだまだ時間かかるだろ?少し俺たちと遊びに出かけないか?」
「ずっとここに立ったまま見ているだけっていうのもつまらないだろ?」
「先生達に聞いてみてはどうだ?」
「そうよぉ~。少し街まで遊びに行きましょうよぉ~。」
4人は笑顔で俺にそう提案してくる。
……そうだよね、あと4時間もここに突っ立ったままぼ~っとするなら、その頃までに戻るってことでみんなと遊びに出かけても良いかな?
俺は少し期待をしつつ、マール先生の所へと向かった。
「マール先生!ちょっと良いですか?」
「……ん?どうした?」
「実はセイン達から街に遊びに行こうと誘われたんですが、行っていいですか?」
マール先生は俺の提案に少しだけ考えたようだが、すぐに頷いた。
「そうだね、まだまだ長時間かかるから、君には退屈させることになるよね。分かった、行っておいで。大体終わる時間になったらリーシェ先生から魔法連絡が行くと思うから、そしたら帰っておいで。リーシェ先生には私の方から伝えておくよ。」
マール先生は笑顔でそう言って俺を送り出してくれる。
やったね、みんなと街に遊びに行ける!
考えてみればこの4人と街に遊びに行くのは初めてかもしれない。楽しみだなぁ!
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