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第11章 冬休み編
ネシアに里帰り
しおりを挟む翌日の朝、俺とユーリは皆からもらったクリスマスプレゼントを開ける。
そこには去年と違って実用的な物が入っていて、しかもかぶってないところを考えるに、みんなで相談して購入したのだろう。
俺へのプレゼントは大きな魔石やマジックバッグに入った巨大な鍋のセット、同じくマジックバッグに入ったかなり大きな机と椅子のセットだった。
これは多分ダンジョンで土魔法製の机だったりしたから、俺たち以外に人がいた場合の為に……ということなんだろうな。
そしてユーリには皆から衣類をたくさん貰っていたようだ。
今は自分の魔力で変身した時に一緒に作り出しているが、俺と同じ様に着てみたいと話したことがあったので、それを覚えていたんだと思う。
皆が『かっこいい系』を選んでいるのに対し、リリーさんだけ『可愛い系』を選んだのは、ユーリが俺に似ているからだろう……。
それから俺達2人は朝食を食べた後、屋敷に残るというスコットさん達に行き先を告げて王宮へと転移する。
入り口では待ってましたとばかりに王族4人が待ち構えていた。
「……なんで外に出て出迎えてるの?」
俺が目をぱちくりさせて4人を見ると、セインが代表して口を開いた。
「だってこの方が早いだろ?どうせ部屋で待っていたら、こうやってやってきたお前たちが徒歩で部屋まで来るじゃないか?その間の時間がもったいないと思わないか?」
確かにセインの言い分も分かるよね。
俺が「じゃあ次回は直接部屋に転移しようか?」と言ったら、それを聞いていた門番さんに「それは禁止されています」と怒られてしまった。
どうやら許可のない者がそれをするとすぐに分かる何かがあるらしい。
「まぁ、そういう事で俺達はここで待っていたんだよ。さあ、ネシアに行こう。」
クロードが嬉しそうな顔で俺にそう促したが、ここみたいに一気にネシアの王宮に転移しても大丈夫なのかなぁ……?
「大丈夫だぞ。お主はもう直接転移してきても良いことになっている。それに前もって我がお主の転移で帰郷すると父上に報告してあるので、遠慮はいらん。特に今回は我の『成人の儀式』の為の帰郷だからな。さすがの我もかなり緊張をしているから、一瞬で帰れる転移魔法は覚悟が鈍らなくて良いのだ。」
アンドリューは真剣な顔でそんな事を言ったけど……覚悟って、何するの?
「獣人の成人の儀式は大抵は『度胸試し』のようなものをするのだが、王族の者は他の者と違い、『巫女』から力を分け与えられるのだ。それに耐えられるようになるのが16歳なのだと言われている。要は『巫女』の力に耐えられる『器』が丈夫になるのがその年齢なのだろう。」
俺が気になったので聞いてみたところ、アンドリューからはそんな事を言われた。
なるほど、王族は成人するとあの『巫女』から何らかの力を与えられるんだね。
そんな話をしていたら、ローラから「ほら、さっさと行きましょうよ!」と催促された。
俺はすぐに「俺に捕まっていてね?」と聞いたら、みんな腕輪の中に入ると言い出す。
俺はリクエスト通りに4人を腕輪にしまい、ユーリと2人でネシアの国王のもとへと一気に転移した。
外の景色がネシアの城内の部屋へと変わったので、少しホッとした。
人を思い浮かべて転移することはあまりないので少し緊張したが、無事に転移できたようだ。
俺が周りを見渡すと、どうやらそこは謁見の間のように広い場所のようで、部屋の中には国王の他に儀式を執り行ってくれる『巫女』ももう既にいた。
俺とユーリの姿を見て国王は首を傾げ、「アンドリューはどうしたのだ?」と聞かれてしまった。
なので俺はすぐさま腕輪から4人を出す。
4人はキョロキョロと見渡してその場が全く違う場所になっていることを確認し、俺が見ている先に顔を向ける。
そして慌ててセイン達は国王の方を向いた。
「おや、アンドリューは1人で帰郷したのではないのだね?」
国王はそう言って、セインたちの方を見てニッコリ笑った。
「我がそこにいるアンドリューの父であるネシアの国王アジュゴールという。そなた達は息子の友人たちかな?」
「はい。我々はクレイン国の国王ロイの息子と娘で、左から第1王子のセイン、第2王子のクロード、第1王女のローラです。アンドリュー君とは同じ学校のクラスメイトとして仲良くさせてもらっています。」
ネシアの国王の挨拶に対して、クロードが代表して皆を自己紹介する。
それを聞いた国王は「これからも息子をよろしく頼む」と言って軽く頭を下げた。
「国王はそのように軽々しく頭を下げてはいけないのではないですか?」
クロードが慌ててそう言ったが、当の国王は「気にするでない。今は国王というより1人の父親であるぞ?」と大きな声で笑い出した。
「……父上、そろそろ『成人の儀式』を始めませぬか?」
痺れを切らしたアンドリューが、大きな声でそう切り出す。
「おぉ、そうであったな。『巫女』殿、早速であるが、息子のアンドリューの『成人の儀式』を頼みたい。」
「良いわよ。さっさと始めましょうか。その方が私も早く部屋に帰れるもの。」
『巫女』はそう言うと、アンドリューの側へと転移してきた。
光もなく転移してきたので、みんなは驚いて後ろに下がってしまった。
「あらぁ~、驚かせちゃったかしら?大丈夫よ、あなた達に何かするつもりはないから。……さあ、貴方は試練を受ける覚悟はできていて?」
『巫女』は真剣な顔でアンドリューに問う。
問われたアンドリューは無言で頷いた。
「じゃあ、始めるわね。貴方、そこに跪いて頂戴?」
『巫女』はアンドリューにそう言うと、彼は素直に跪く。
それを見て『巫女』は驚き、「あらぁ~、いつの間にこんなに素直になったのかしら?」と小首を傾げた。
「まぁ良いわ。じゃあ始めるわね。」
彼女はそう言うとアンドリューの頭に手を乗せ、目を瞑る。
するとアンドリューの頭に乗せている手から温かな光が出て、アンドリューの全身を照らし出す。
それと同時にアンドリューの体がビクッと跳ね、強張ったのを感じた。
多分、今受けている光で力を与えられているのだろうけど、結構きついのだろう。歯を食いしばっている。
それがしばらく続いた後、『巫女』は光を出すのを止めた。
「はい、終わり!どうかしら?身体に不具合は無さそう?」
「……。」
『女神』の質問に、痛みを堪えているアンドリューは答えられそうにない。
「……まぁ良いわ。暫くして痛みが取れなかったら、今回の『成人の儀式』は失敗ということで、また来年やるわよ。良いわね?」
『巫女』はそう言うと、国王の隣にある席に腰掛けてアンドリューを観察し続けている。
もし危険だと判断したら、即座に対処するつもりなのだろう。
彼はこのままちゃんと無事に『成人の儀式』を終えられるのだろうか……?
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