506 / 529
第11章 冬休み編
アンドリューが……?
しおりを挟む翌日の朝、俺たち2人はセバスに揺り起こされた。
俺は眠い目を擦りながら体を起こし、う~んと伸びをする。
そんな俺とは違って、ユーリは起き出してすぐにベッドから降りて人化した。
俺もいつまでもそんな事をしていられないので、あくびを1つするとベッドから降りて服を着替え始める。
その時、廊下からローラの声と慌てているセインたちの声が聞こえた。
俺は慌てて服を着替えると、廊下へと出る。
するとそこにはローラの手を取るアンドリューと、それを抑えようとする2人がいた。
……一体、どうした!?
「何があったんだ!?」
俺は4人に駆け寄ると、困惑した顔の3人と、ローラしか見ていないアンドリューがいた。
「何があったって……それは俺たちが聞きたいぞ!」
「廊下に出て、アンドリューの部屋をノックしたんだ。そして出てきたと思ったら、ローラと目を合わせた途端に急に手を取って抱き寄せようとしたんだよ。それは俺たち2人が止めていたから未遂に終わったけど……いったいどうしたんだ?」
セインとクロードの言葉を聞いた後にアンドリューを見ると、どうも彼は普通の状態じゃ無さそうだった。
む~……これは……もしかして……?
「とりあえずその状態のアンドリューを連れて、朝食を食べに行こう。そこには国王もいるはずだから、今のこの状態を見て判断してもらおうよ。」
俺は3人にそう提案する。
3人とも頷いたので、ローラには意識があるのか無いのか分からないアンドリューの手を引いて連れて行ってもらうことに。
行き先はアンドリューしか分からないので、途中で会ったメイドさんに案内してもらった。
食堂に着くと、国王がこちらを見て「おはよう、よく眠れただろうか?」と聞いてきた。
「俺たちはよく眠れたのですが……どうもアンドリューの様子が変なんです。様子を見てもらえますか?」
俺が国王にそう言うと、座っていた国王がこちらへとやってきてくれた。
そしてアンドリューの手がローラの手をしっかりと握っているのを見て、そして彼の顔を見て何かを理解したらしい。
深いため息をつくと、「とりあえず朝食を食べようではないか」と言った。
いや、俺たちはちゃんと食べられるけど、アンドリューはどうするの……?
とりあえずその提案に乗ることにし、みんなで席に着く。
アンドリューはローラの手を握りつつ、その隣に座った。……どうやら意識はあるようだ。
「……その症状には見覚えがあるのだが、その現象は案外稀でな。まさかあのアンドリューがなるとは思わなんだ。」
国王は少し驚いた様子でそんな事を言う。
……やはりこの症状はあれだね?
でもそれならなんでローラは普通なんだろう?
俺がそんな風に思った時、国王は「今のうちに『巫女』に連絡をとるか」と言ってその場で魔法連絡をする。
それからは運ばれてきた朝食をみんなで取ったのだが……アンドリューはローラを見つめた状態で器用に食べている。……でも、そのうち零すよ?
ちょうど食べ終わった頃、どこからか『巫女』がやってきた。
「ねぇ、あなたの息子が番を見つけたかもしれないって本当?」
『巫女』は開口一番にそんな事を言った。
やっぱりそうだったんだね!
「どうやら昨日の夜にはまだ『獣人の本能』は目覚めきってはおらぬゆえ気づかなかったのだが、今はあの状態なのだ。どう思いますかな?」
国王の言葉に、『巫女』はよくよくアンドリューを観察し始めた。
……が、すぐに苦笑いになり、「確かに間違いなさそうね」と答える。
「だけどまだ『獣人の本能』が目覚めきっていないから、相手に対する効果が薄いようね。」
『巫女』はそう言うと肩をすくめる。
そっか、だからローラは戸惑った表情をしていたんだね。
「ではアンドリューの能力が定着したら、ということで良いから2人の婚約話を進めたいと思うのだが、どう思いますかな?」
「そうねぇ……2人の寿命差を考えるとお薦め出来ないのだけど。」
「ですが、獣人にとって『番』というものは特別で、離れて暮らすことは身を引き裂かれるような痛みを感じると聞いております。それを考えると……。」
「でもねぇ……獣人と番になった相手が他種族であった場合、通常ならそんなに寿命に差がないから問題は起こらないのだけど、この場合あの子の『残りの寿命がかなりある』事が問題なの。確実に相手の子の方が先に亡くなるわ。それも何百年も先に。そうなった時に残されたあの子は気が狂うようになるはず。そして最終的に自らの命を絶つ可能性も出てくるわけ。貴方はどちらをあの子に選ばせるつもり?」
「……。それを何とかしてもらうことはできませぬか?」
『巫女』は目を瞑り、国王の婚約話を難しい顔をして考え始める。
そうなんだ……獣人って番がかなり先に亡くなるとそんな事になる可能性があるんだね。
でも、『巫女』と呼ばれる『女神』なら、神なのだからもしかしてなんとかできたりするのかな?
「ねぇ……それ、君なら何とかできるでしょ?」
話を聞いていたらしいユーリが、『巫女』に向かってそう言った。
それを聞いた『巫女』は1つため息をついて「……できるわよ」と答える。
「仕方がないわねぇ……これはあまりしたくはなかったのだけど、貴方がそう言うって事はあの方が許可を出したのよね?」
「そう。物分かりがいいね。」
『巫女』はまたため息をつくと、俺を見ながら「そりゃあ、あの子はあの方の『お気に入り』だもの。見ていると思っていたわ」と言った。
「それじゃあご希望通りに致しますが、それをするのは、アンドリューがしっかりと能力に馴染んでからということで。それが条件です。」
「まぁ僕としては、タイミングはいつでも良いと思うけど、何年も伸びないようにね?」
「はいはい、わかりましたよ。」
『巫女』はそう言って、「じゃああの子の状態が落ち着いたら呼んでちょうだい」と国王に言い残してどこかへ転移した。
何をするのかは分からなかったけど、アンドリュー達が幸せになれるのならそれで良いよね!
160
あなたにおすすめの小説
オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい
広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」
「え?」
「は?」
「いせかい……?」
異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。
ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。
そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!?
異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。
時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。
目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』
半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。
そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。
伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。
信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。
少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。
====
※お気に入り、感想がありましたら励みになります
※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。
※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります
※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる