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第11章 冬休み編
ベビーダンジョン攻略 10
しおりを挟む5階層のフロアボスを無事倒して帰還しようとしていた俺たちの前に、ダンジョンマスターのユヴェールが現れて「10階層まで作ったから体験してくれ」といってきた。
俺たちはそれを承諾し、もう少しだけ攻略することにした。
階段を降りて6階層へと来ると、予定通りに今度は白いタイルみたいな壁で囲まれた四角い通路があった。
これも俺たちが出した案で、フィールドフロアの後からはそれまでの通常の階層とはガラリと変えてみるといいとアドバイスしていたのだ。
「お~、なかなか良い感じじゃん?このタイルも小さいのではなく結構大きめだから蛇の鱗みたいに見えなくて良いよな!」
「そうよね、これが小さいと、なんか白ヘビの中を通っているような気がして気持ちが悪いもの。」
リッキーの感心したような声に続いて話したのはリリーさんだ。
なるほど、確かに想像してみるとそうかもしれない。
白いタイルはまるでレンガのように配置されているので、なおさらそう見えるのだろう。
それから俺達は頭の中に自分達で作成したマップを思い浮かべながら攻略していく。
途中の魔物も、ようやく階層改造を終えたらしいユヴェールによってちゃんと配置されたようだ。
俺たちはその魔物を難なく討伐しながらどんどんと先へ進む。
途中宝箱も律儀においてあったが、それらには罠はないことは知っているので、無理には取らずに先へと進んだ。
だってこれを取るとユヴェールはまた用意しなければならないのだから、別にお金に困っていない俺たちは取る必要がない。
そうやって5階層以降を攻略し始めた俺たちは、その2日後には10階層のフィールドフロアへと辿り着いた。
そこは俺たちも未知の場所で、マップなんて頭にはない。完全にユヴェールの作品なのだ。
そこはまるで白い岩山のような場所で、とてもゴツゴツした白い石があちらこちらに積み重なって配置されている。
おかげであまり先を見渡すことは簡単ではない。
もちろん石のてっぺんに登れば見渡しは良いかもしれないが、そこまで登るのが一苦労だ。
「なんか見通しの悪いフロアだな?」
スコットさんがそう零すと、隣を歩いていたリッキーが「まぁ、それもありなんじゃね?」と言ってニヤリと笑った。
すると突然目の前の石の山が動き出し、俺たちはバッと飛び退いて距離を開ける。
その直後にその石の山が立ち上がり、巨大なゴーレムとなって襲いかかってきた。
そのゴーレムには思考能力があるのか、的確に俺達に向かってパンチを繰り出しながら別の石山の近くへと追いやってきた。
別の石山の近くへとやってきたら、その石山が同じ様にゴーレムに変化した。
「なるほど、挟み撃ちか。こいつら普通のゴーレムじゃなさそうだぜ、シエル?」
武器を取り出したリッキーは、俺にそう声をかけた。
もちろん俺も油断はしていない。
即座にみんなに結界をかけておいた。
これは前回結界をかけ忘れてリッキーに怪我を負わせてしまったことの反省の表れである。
俺は相手の攻撃を避けながら、自分の武器に魔力コーティングを施して斬りかかる。
するとまるでバターを熱くなったナイフで切るかのように、すんなりと切り刻むことができた。
それを見たリッキーも試してみたのだが、俺ほどの切り口にはならなかったようで首を傾げている。
全てが片付くとみんな武器をしまい、歩き出す。
「……なんか俺とお前ではその魔力コーティングの能力に差があるよな?やっぱ付与する魔力量の違いか?」
リッキーは少し拗ねた雰囲気で俺にそう言った。
「どうだろうな?確かに付与する魔力の量で切れ味が変わるようだけど、俺、そんなにたくさんの魔力は付与してないぞ?」
「……。お前には『大したことない』が、俺には『大したことある』と思う。」
リッキーはそう言って唇を尖らせたが、こればっかりはしょうがない。総魔力量の違いだ。
俺は苦笑いをして肩をすくめ、また前を向いて歩き出す。
リッキーもそれ以上は何も言わず、俺の隣を歩いていた。
夕暮れ近くになって辺りが暗くなってきた頃、案の定というか、上空まで光り輝く場所が近くに見えた。
「……あそこだな。すっげえ分かりやすくて便利は便利だ。」
リッキーが苦笑いをしながらそんな事を言う。
そうだね、あれならどんなに暗くても簡単に見つかる。いや、逆に暗ければ暗いほど見つけやすい。
俺たちは迷うことなくその光のある方向へと進む。
ほどなくしてきちんと整備された休憩所が見えてきた。
「……なぁ、俺の目がおかしいのか?」
リッキーはパチパチと瞬きをした後に目を擦る。
多分『あれ』のせいなのだろう。
「いや、見間違いじゃないぞ。俺も見える。」
「じゃあ……あれはユヴェールがやった事なのか?」
「……だろうね?」
そう言う俺たちの目の前にあるのは、休憩所の中にある3階建ての建物だ。
これは……一体何なんだろうな?
俺達は全員なんとも言えない気持ちのまま、その建物に足を踏み入れる。
その建物は無人のホテルの様な佇まいで、フロントの位置には台帳みたいな物があり、宿泊するには名前を書けという内容のメモもあった。
ここは、本当に宿泊施設、なのだろうか?
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