異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第11章 冬休み編

ベビーダンジョン攻略 11

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「カウンターに『名前を書いてください』とメモがあるから、とりあえず言われた通りに書いてみるか?」

戸惑った表情でスコットさんが皆を見る。

今のところこのダンジョンには俺たちしかいないので、ここに名前を書いても良いのだが……何故に書くのか?

そんな疑問が湧いてくる。

とりあえず俺達はそれぞれ名前を書き込んで様子を見ていると、台帳の横に鍵らしきものが3個現れた。

……無人だけど、本当に宿屋なのか?

俺たちは戸惑いながらも鍵の番号の部屋へと向かう。

それぞれ男性、女性、子供に分かれて部屋に入ることにした。

部屋の内装は本当に普通の宿屋みたいな感じで、ベッド2つと机しか無い。

それでもここがダンジョンなのを考えると、テントに寝袋よりは遥かに快適に過ごせるのは間違いないだろう。

そして俺は戸惑いながらも、この『宿屋』の中を探検してみることにした。

そんな俺にユーリもついてくることにしたらしい。

とりあえず部屋がある2階からフロントまで降りてきて、あちこち覗いてみる。

1階にあるのはフロントの他に食堂、キッチン、そしてお風呂まである。

キッチンや食堂には全く人気はないのだが、食堂の入り口に『ご自由にどうぞ』と書かれた紙が貼ってあった。

多分宿泊客が自由に各自で調理をしで食べろという事なのかもしれない。

俺はどんな物があるのか確認のためにあちこちの引き出しや扉を開けてみたが、食材は調味料しか無さそうだ。食器や調理器具はあるけどね。

そこで俺はその器具や調味料を使って手持ちの食材でご飯を作ることにした。

備え付けのまな板を綺麗に洗い、その隣に鶏肉と人参、長ネギ、キャベツ、そして鶏白湯味の鍋スープを用意する。

細かくした人参、斜め切りにした長ねぎ、ざく切りにしたキャベツを鍋に入れ、その上に鶏肉を一口大に切って置く。

それに鶏白湯鍋スープを入れて火にかける。

その具材が煮えれば、簡単鶏白湯鍋の完成だ。

それが煮えるまでの間にご飯を炊き、他にも煮込んている間に手早く野菜炒めや鶏肉のスパイス炒めを作っていたので、たくさん食べるスコットさん達も満足できるだろう。

ちょうどみんな出来上がった時、料理の匂いに誘われて皆も部屋から食堂へと降りてきた。

「その料理、シエルが作ったのか?」

食堂に並べた料理を見て、スコットさんがそう聞いてきた。

「うん、そう。俺が作ったんだよ。調理器具や食器なんかは備え付けの物を利用させてもらったけど、食材は自前だよ。」

俺がそう答えると、スコットさんは戸惑い気味に辺りを見渡し、「ここは一体何の為の施設なんだろうな?」と言った。

「それはですね、冒険者の方が野宿みたいな事をせずに快適に過ごせるようにと思ったからです!」

そう言って、急にユヴェールが何もない空間から転移してきた。

「その気持ちは冒険者からすればありがたいとは思うよ?でも、何故に『宿屋』なのかな?」

俺も戸惑いながらユヴェールに聞くと、彼は少ししょんぼりして「駄目でしたか?」と聞いてきた。

「駄目……というか、こんな建物があると冒険者は戸惑ってしまうと思うんだ。俺たちがそうであるように。せめて泊まるのは各自のテントで、お風呂やトイレのような衛生環境を整えるものがあれば喜ばれるんじゃないかな?あとは調理場もあると喜ばれるだろうね。せいぜい作ってやるとしたらその3つで良いと思うよ?でも今日は俺たちはあの宿に泊まってみてもいいかな?」

俺はすっかりしょんぼりとして下を向いてしまったユヴェールに、そう言ってアドバイスをしてみた。

「なるほど……『宿』までは創っておかないとしても、調理場、トイレ、お風呂場があれば冒険者は喜ぶのですね?」

「ああ、間違いなく喜ばれるだろう。俺が違うダンジョンでお風呂を作ってみたり、食事を作ってあげたりした時には皆はかなり喜んでいたからね。ダンジョンに入ると外に出るまでは風呂も入れないし、食事は特に悲惨だ。俺がこの世界に来たばかりの時に皆から貰った物は、栄養価は高くても固くて味気なくて美味しくない固形物でな。冒険者はそんな食べ物を水で流し込むのが普通の『食事』なんだよ。だから安全に調理ができる場所があれば美味しい食事も作れるし、そのための道具も用意してあげれば持ってくる必要もなし。身軽に冒険できるから喜ばれると思うんだ。」

俺はユヴェールにそう説得する。

だってあんな無人の宿屋よりも、そういう設備があるだけで十分だ。違和感ないしね。

結局その夜はユヴェールも加えて楽しく食事をし、俺たちがボスを倒してダンジョンを離れたら、この10階層の休憩所を変更するよう頼んでおいた。

素直なユヴェールだから、俺の『提案』はちゃんと考えてくれることだろう。

さあ、明日はこのフロアのボス部屋へ向かう。

今夜はしっかりと休まないとね!
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