523 / 529
第11章 冬休み編
ベビーダンジョン攻略 11
しおりを挟む
「カウンターに『名前を書いてください』とメモがあるから、とりあえず言われた通りに書いてみるか?」
戸惑った表情でスコットさんが皆を見る。
今のところこのダンジョンには俺たちしかいないので、ここに名前を書いても良いのだが……何故に書くのか?
そんな疑問が湧いてくる。
とりあえず俺達はそれぞれ名前を書き込んで様子を見ていると、台帳の横に鍵らしきものが3個現れた。
……無人だけど、本当に宿屋なのか?
俺たちは戸惑いながらも鍵の番号の部屋へと向かう。
それぞれ男性、女性、子供に分かれて部屋に入ることにした。
部屋の内装は本当に普通の宿屋みたいな感じで、ベッド2つと机しか無い。
それでもここがダンジョンなのを考えると、テントに寝袋よりは遥かに快適に過ごせるのは間違いないだろう。
そして俺は戸惑いながらも、この『宿屋』の中を探検してみることにした。
そんな俺にユーリもついてくることにしたらしい。
とりあえず部屋がある2階からフロントまで降りてきて、あちこち覗いてみる。
1階にあるのはフロントの他に食堂、キッチン、そしてお風呂まである。
キッチンや食堂には全く人気はないのだが、食堂の入り口に『ご自由にどうぞ』と書かれた紙が貼ってあった。
多分宿泊客が自由に各自で調理をしで食べろという事なのかもしれない。
俺はどんな物があるのか確認のためにあちこちの引き出しや扉を開けてみたが、食材は調味料しか無さそうだ。食器や調理器具はあるけどね。
そこで俺はその器具や調味料を使って手持ちの食材でご飯を作ることにした。
備え付けのまな板を綺麗に洗い、その隣に鶏肉と人参、長ネギ、キャベツ、そして鶏白湯味の鍋スープを用意する。
細かくした人参、斜め切りにした長ねぎ、ざく切りにしたキャベツを鍋に入れ、その上に鶏肉を一口大に切って置く。
それに鶏白湯鍋スープを入れて火にかける。
その具材が煮えれば、簡単鶏白湯鍋の完成だ。
それが煮えるまでの間にご飯を炊き、他にも煮込んている間に手早く野菜炒めや鶏肉のスパイス炒めを作っていたので、たくさん食べるスコットさん達も満足できるだろう。
ちょうどみんな出来上がった時、料理の匂いに誘われて皆も部屋から食堂へと降りてきた。
「その料理、シエルが作ったのか?」
食堂に並べた料理を見て、スコットさんがそう聞いてきた。
「うん、そう。俺が作ったんだよ。調理器具や食器なんかは備え付けの物を利用させてもらったけど、食材は自前だよ。」
俺がそう答えると、スコットさんは戸惑い気味に辺りを見渡し、「ここは一体何の為の施設なんだろうな?」と言った。
「それはですね、冒険者の方が野宿みたいな事をせずに快適に過ごせるようにと思ったからです!」
そう言って、急にユヴェールが何もない空間から転移してきた。
「その気持ちは冒険者からすればありがたいとは思うよ?でも、何故に『宿屋』なのかな?」
俺も戸惑いながらユヴェールに聞くと、彼は少ししょんぼりして「駄目でしたか?」と聞いてきた。
「駄目……というか、こんな建物があると冒険者は戸惑ってしまうと思うんだ。俺たちがそうであるように。せめて泊まるのは各自のテントで、お風呂やトイレのような衛生環境を整えるものがあれば喜ばれるんじゃないかな?あとは調理場もあると喜ばれるだろうね。せいぜい作ってやるとしたらその3つで良いと思うよ?でも今日は俺たちはあの宿に泊まってみてもいいかな?」
俺はすっかりしょんぼりとして下を向いてしまったユヴェールに、そう言ってアドバイスをしてみた。
「なるほど……『宿』までは創っておかないとしても、調理場、トイレ、お風呂場があれば冒険者は喜ぶのですね?」
「ああ、間違いなく喜ばれるだろう。俺が違うダンジョンでお風呂を作ってみたり、食事を作ってあげたりした時には皆はかなり喜んでいたからね。ダンジョンに入ると外に出るまでは風呂も入れないし、食事は特に悲惨だ。俺がこの世界に来たばかりの時に皆から貰った物は、栄養価は高くても固くて味気なくて美味しくない固形物でな。冒険者はそんな食べ物を水で流し込むのが普通の『食事』なんだよ。だから安全に調理ができる場所があれば美味しい食事も作れるし、そのための道具も用意してあげれば持ってくる必要もなし。身軽に冒険できるから喜ばれると思うんだ。」
俺はユヴェールにそう説得する。
だってあんな無人の宿屋よりも、そういう設備があるだけで十分だ。違和感ないしね。
結局その夜はユヴェールも加えて楽しく食事をし、俺たちがボスを倒してダンジョンを離れたら、この10階層の休憩所を変更するよう頼んでおいた。
素直なユヴェールだから、俺の『提案』はちゃんと考えてくれることだろう。
さあ、明日はこのフロアのボス部屋へ向かう。
今夜はしっかりと休まないとね!
戸惑った表情でスコットさんが皆を見る。
今のところこのダンジョンには俺たちしかいないので、ここに名前を書いても良いのだが……何故に書くのか?
そんな疑問が湧いてくる。
とりあえず俺達はそれぞれ名前を書き込んで様子を見ていると、台帳の横に鍵らしきものが3個現れた。
……無人だけど、本当に宿屋なのか?
俺たちは戸惑いながらも鍵の番号の部屋へと向かう。
それぞれ男性、女性、子供に分かれて部屋に入ることにした。
部屋の内装は本当に普通の宿屋みたいな感じで、ベッド2つと机しか無い。
それでもここがダンジョンなのを考えると、テントに寝袋よりは遥かに快適に過ごせるのは間違いないだろう。
そして俺は戸惑いながらも、この『宿屋』の中を探検してみることにした。
そんな俺にユーリもついてくることにしたらしい。
とりあえず部屋がある2階からフロントまで降りてきて、あちこち覗いてみる。
1階にあるのはフロントの他に食堂、キッチン、そしてお風呂まである。
キッチンや食堂には全く人気はないのだが、食堂の入り口に『ご自由にどうぞ』と書かれた紙が貼ってあった。
多分宿泊客が自由に各自で調理をしで食べろという事なのかもしれない。
俺はどんな物があるのか確認のためにあちこちの引き出しや扉を開けてみたが、食材は調味料しか無さそうだ。食器や調理器具はあるけどね。
そこで俺はその器具や調味料を使って手持ちの食材でご飯を作ることにした。
備え付けのまな板を綺麗に洗い、その隣に鶏肉と人参、長ネギ、キャベツ、そして鶏白湯味の鍋スープを用意する。
細かくした人参、斜め切りにした長ねぎ、ざく切りにしたキャベツを鍋に入れ、その上に鶏肉を一口大に切って置く。
それに鶏白湯鍋スープを入れて火にかける。
その具材が煮えれば、簡単鶏白湯鍋の完成だ。
それが煮えるまでの間にご飯を炊き、他にも煮込んている間に手早く野菜炒めや鶏肉のスパイス炒めを作っていたので、たくさん食べるスコットさん達も満足できるだろう。
ちょうどみんな出来上がった時、料理の匂いに誘われて皆も部屋から食堂へと降りてきた。
「その料理、シエルが作ったのか?」
食堂に並べた料理を見て、スコットさんがそう聞いてきた。
「うん、そう。俺が作ったんだよ。調理器具や食器なんかは備え付けの物を利用させてもらったけど、食材は自前だよ。」
俺がそう答えると、スコットさんは戸惑い気味に辺りを見渡し、「ここは一体何の為の施設なんだろうな?」と言った。
「それはですね、冒険者の方が野宿みたいな事をせずに快適に過ごせるようにと思ったからです!」
そう言って、急にユヴェールが何もない空間から転移してきた。
「その気持ちは冒険者からすればありがたいとは思うよ?でも、何故に『宿屋』なのかな?」
俺も戸惑いながらユヴェールに聞くと、彼は少ししょんぼりして「駄目でしたか?」と聞いてきた。
「駄目……というか、こんな建物があると冒険者は戸惑ってしまうと思うんだ。俺たちがそうであるように。せめて泊まるのは各自のテントで、お風呂やトイレのような衛生環境を整えるものがあれば喜ばれるんじゃないかな?あとは調理場もあると喜ばれるだろうね。せいぜい作ってやるとしたらその3つで良いと思うよ?でも今日は俺たちはあの宿に泊まってみてもいいかな?」
俺はすっかりしょんぼりとして下を向いてしまったユヴェールに、そう言ってアドバイスをしてみた。
「なるほど……『宿』までは創っておかないとしても、調理場、トイレ、お風呂場があれば冒険者は喜ぶのですね?」
「ああ、間違いなく喜ばれるだろう。俺が違うダンジョンでお風呂を作ってみたり、食事を作ってあげたりした時には皆はかなり喜んでいたからね。ダンジョンに入ると外に出るまでは風呂も入れないし、食事は特に悲惨だ。俺がこの世界に来たばかりの時に皆から貰った物は、栄養価は高くても固くて味気なくて美味しくない固形物でな。冒険者はそんな食べ物を水で流し込むのが普通の『食事』なんだよ。だから安全に調理ができる場所があれば美味しい食事も作れるし、そのための道具も用意してあげれば持ってくる必要もなし。身軽に冒険できるから喜ばれると思うんだ。」
俺はユヴェールにそう説得する。
だってあんな無人の宿屋よりも、そういう設備があるだけで十分だ。違和感ないしね。
結局その夜はユヴェールも加えて楽しく食事をし、俺たちがボスを倒してダンジョンを離れたら、この10階層の休憩所を変更するよう頼んでおいた。
素直なユヴェールだから、俺の『提案』はちゃんと考えてくれることだろう。
さあ、明日はこのフロアのボス部屋へ向かう。
今夜はしっかりと休まないとね!
146
あなたにおすすめの小説
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ
かむら
ファンタジー
旧題:生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! 〜物作りチートで楽々異世界生活〜
剣持匠真は生来の不幸体質により、地球で命を落としてしまった。
その後、その不幸体質が神様によるミスだったことを告げられ、それの詫びも含めて匠真は異世界へと転生することとなった。
思ったよりも有能な能力ももらい、様々な人と出会い、匠真は今度こそ幸せになるために異世界での暮らしを始めるのであった。
☆ゆるゆると話が進んでいきます。
主人公サイドの登場人物が死んだりなどの大きなシリアス展開はないのでご安心を。
※感想などの応援はいつでもウェルカムです!
いいねやエール機能での応援もめちゃくちゃ助かります!
逆に否定的な意見などはわざわざ送ったりするのは控えてください。
誤字報告もなるべくやさしーく教えてくださると助かります!
#80くらいまでは執筆済みなので、その辺りまでは毎日投稿。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~
島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!!
神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!?
これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる