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第11章 冬休み編
ベビーダンジョン攻略 12
しおりを挟む10階層の休憩所へ到着した翌日、俺はまだ薄暗い時刻に目が覚めた。
目覚めてすぐには、視線の先に天井があったので一瞬自分が今、何処にいるのか分からなくなってしまった。
でもよくよく考えると昨日ユヴェールが『宿屋』を再現した建物に泊まった事を思い出し、ホッと息をつく。
それからユーリを起こさないようにそっとベッドから降りて窓辺へと向かった。
この建物は3階建ての建物で、今俺達がいる階は3階だ。そこからだと朝の景色が良く見えるだろうとの事で選んだそうだ。
そして今、まだ薄暗いが朝日が昇ろうとしている。
ちょうど俺の部屋から昇ってくるのが見えるのだ。
皆の部屋もこの並びにあるので、同じ景色が見えるだろうが、多分俺以外はまだ寝てるんだろうな。
それからしばらく眺めていた俺は朝食を作りに1階へと向かう。
そしてメインは持ってきたもので食べることにし、汁物として具沢山の味噌汁を作ることにした。
俺が具沢山の味噌汁を作り終わって腕輪に収納した頃、上の階から皆が降りてきた。
そこで俺は朝食の為に色々なおにぎりと先程作った具沢山の味噌汁を取り出す。
それをテーブルに人数分だけよそって置くと、食堂に入ってきた皆からおはようと声をかけられた。
「シエルはいつも起きるの早いな!ちゃんと寝れてるのか?」
リッキーが心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「大丈夫だよ。ほらさっさと席について?せっかくの熱々の味噌汁が冷めちゃうよ?」
俺がそう言うと、皆いそいそと席につく。
それから皆でいただきますをして食べ始める。
食後のお茶を飲みながら、皆と一緒に今日戦う10階層のフロアボスの話をしていた時、急にユヴェールが現れた。
「どうしたの、ユヴェール?」
「いえ、この階層のフロアボスの話をしていましたので、ボス部屋の位置を教えようかと。」
「それはありがたいな。そこに行くまでの時間短縮になる。」
ユヴェールはそう言ってテーブルに地図らしき物を広げると、スコットさんは喜んで身を乗り出してその地図を見た。
その地図にはこの休憩所とボス部屋に丸印がしてあるようで、案外ここから近いことが分かる。
「なるほど……ここから出て、西方向に1キロほど進んだ所にあるんだな。ちなみにボス部屋はどんな見た目をしている?」
スコットさんがチラッとユヴェールを見ると、ユヴェールは「ちょうど森の中の開けた場所に闘技場のような物があります」と言った。
「なるほど、その建物がボス部屋だと。そう言いたいんだな?」
「はい!そこは天井が無いので、いろんな魔法が使えるので戦いやすいんじゃないですかね?」
「……それは『魔法で戦え』と言ってるのか?」
スコットさんにそう言われて、ユヴェールは苦笑いをしている。
……ユヴェール、その反応は「当たり」と言ってるようなものだよ?
するとスコットさんは深い溜息をついて天を仰ぐ
「なんだよ……また俺はまともに戦えないのか?」
「…いっ、いえっ!そういう意味ではっ!戦えない事はないんですが、不利なだけで……。」
「……それを『戦力外』って言うんだ。」
スコットさんは苦笑いをしてユヴェールにそう言うと、俺の方を向いて「何か戦える方法を考えてくれないか?」と頼んできた。
そうだよね、前回も魔法を使えるものだけで戦い、今回もそうだとなるとさすがの兄さんも面白くないだろう。
俺は「ボスと対峙してから弱点探すよ」と言うと、早速出発する準備をする事にした。
「じゃあ私は元の部屋に戻りますね!また何かあったら呼んでください。」
ユヴェールはそう言ってダンジョンマスターの部屋へ帰っていった。
……でも、ずっと俺達を見てそうだよね?
それって、一緒についてきても同じな気がするんだけど。
少し腑に落ちないが、まずはフロアボスを倒す事が先だ。
休憩所を出発して、ユヴェールの地図通りに西方向に進む。
そちらの方角はどんどん森の中へと入っていく方向で、さっきユヴェールが言っていた「森の中の開けた場所に闘技場のような物がある」のだろう。
どんどんと森の中を進んで行くのだが、どうやらこの森には普通の動物しかいないのか、先ほどから兎や鹿にはよく出会っている。
だが、魔物にはまだ1度も出会ってはいない。
それはもしかするとフロアボスの部屋がすぐ近くにあるから、強者の気配に魔物は寄り付かないのかもしれない。
しばらく進むと、木々のせいで建物があるのかは確認できないが、ユヴェールの言った通りに薄暗い森の先がとても明るい事に気がつく。
間違いなくこの先にフロアボスの部屋があるのだろう。
そしてさらに進むと、やはり森が開け、その中央にかなり巨大な闘技場が聳え立っていた。
「……めっちゃデカいな、これ。」
リッキーが唖然とした顔でそれを見上げている。
それは確かに大きくて、まるでネシアの闘技場みたいな見た目をしている。大きさも同じかも?
それは今まで見たフロアボスの部屋の中では一番大きいかもしれない。
そして、その入り口はもう開いていて、中にはフロアボスらしき巨大な魔物が姿を現して目を瞑って膝を折って座っている。
「ねぇ、あの魔物って見たことある?」
俺は皆の顔を見ながら尋ねてみたが、みんな首を横に振った。
なるほど、皆も見たことのない魔物なんだね。
こいつは一体、何者なんだろう……?
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