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第4章 ネシア国〜
俺の身体って?
しおりを挟む「……?お前……なんか身体、おかしくないか?魔力の通りが悪いな。何でだ???」
パニアさんはそう言うと、首を傾げて考え込んだ。
……あれ?魔力がかなり弱かったんじゃなく、俺の身体がおかしかった?
するとそれに対する答えはドラゴンチームのグリーさんが教えてくれた。
「それはやな、シエルさんの身体の組織は他の人の組織とは違うて『密度』っちゅうもんが高いんや。例えば他の人が中身スカスカのパンだとして、シエルさんは隙間の無い石みたいっちゅう事なんよ。その技は身体の中にある『隙間』に魔力を流してズタズタにするんやで?せやからそういうもんが通る隙間がないなら、効き目が悪いっちゅう事や。」
……なるほど、何故かは分からないが、俺の身体は『特別製』なんだね?やっぱり異世界人だからか?
リッキー達は『中身』は異世界人だけど、『外側』はこっちの世界のものだもんね。
そこら辺に違いがあるのかもしれない。
俺は1人で納得をしてうんうんと頷いていると、リッキーが苦笑いをしてこちらを見ていた。
どうやら傍目にはおかしな仕草に見えてるって言いたいんだろう。
とりあえず俺はそれを気づかなかったことにして、例の技のやり方を何となく予想した。
確かに身体の『中身』には魔力が入ってこなかったが、当てた瞬間に何かが勢いよく入ってきたのは気づいた。
何となくできるような気はする。
でもやっぱり俺も試してみなければ正解なのかどうかわからないわけだが……俺の魔力はもしかして身体と同じく『特別製』だったりしないか?
だとしたら危険だし、試しに誰かにやるわけにもいかないよね。
俺がそう考えて少ししょんぼりしていると、アースさんが何となく俺の考えている事に気付いたんだろう。
こちらを見て「俺が相手をやろうか?」と言ってくれた。
「でも……万が一があると……。」
「大丈夫だ。俺達は人外の竜だぞ?通常の姿でも人族達とは違って『密度』は高い。その上、今は人化しているからさらに『密度』が高くなっているから気にするな。お前と同じく、あまり怪我をすることはないと思うぞ?」
そこまで言われると、さすがにお願いするしかないだろう。
俺はアースさんの隣に座って、先ほどと同じく拳を当てるようにする。
その時に拳に自分の魔力を少しだけ溜めて、当てた瞬間に相手の体の中に溜めておいた魔力を勢いよく流し込むようなイメージでやってみた。
するとアースさんは一瞬だけ痛そうな顔をしたが、身体には何ともなさそうだった。
「どうですか?これで合ってます?」
「ああ、それで良いはずだ。あとは相手の魔力に合わせて流し入れる量を調整すると良い。」
良かった、それで合っていたんだね!
俺は一安心して、ホッと息を吐き出す。
どうやら自覚はなかったが、相当体に力が入っていたんだろう。
だってこんなことで相手の体を傷つけるのは嫌だからね。
……でも、クーガーには加減はするけど容赦はしないぞ?
「凄いね、こんなにすぐにできるようになるなんて。お前……シエルだっけか?すごく才能あるよな。」
俺とアースさんのやり取りを見ていたバニアさんがそんな事を言う。
そしてリオンさんも「そうだよな、俺が使った剣技もあっさりと見切って自分なりにアレンジしただろ?あの時、俺、会場にいたんだよ。」なんて言ってきた。
えっ、あの時会場にいて気づかれてたの!?
かなり小さい魔力で打ち出したはずだったんだけど、やっぱり光はあったから気づいたのかもね。
とりあえず俺はクーガー対策の策は習得できたし、クーガーが何であんなに人族嫌いなのかも理由が分かった。
だからこれでいいかと思って帰ろうと言いかけた時、リッキーがバニアさんに話しかけた。
「……一つ聞かせてもらって良いか?ラブさん…だったっけ?彼女は今どこに住んでいるのか分かるか?」
「そうだなぁ……あれから住んでいる場所を変えて無ければ、クレイン国の王都に住んでいるはずだ。旦那は『ゼネラル商会』っていう結構大手の商会の代表だ。たまたま俺たちの護衛していた商会がネシアで仕入れたものをそのゼネラル商会に卸すのに付き合ったことがあってな。その時に『運命の出会い』をしたんだ。これは獣人の中でもなかなか出会えないもので、本能で分かるんだ。一生のうちに出会えれば幸運だと言われている。この国では万が一に結婚した後で『運命の出会い』をした場合のみ、重婚を認められている。もちろん双方にその相手が現れたら、その時は離婚をして互いの『運命の出会い』の相手と再度結婚ができるんだ。それ以外の離婚は認められていない。だから獣人は慎重に相手を見極めるやつが多くて、晩婚になりがちなんだよ。」
なるほど、知られざる獣人の本能と国の制度だね!
「でもそのラブさんの場合みたいに、相手が獣人じゃなかった場合はとうなんです?こちらが『運命の出会い』と思っていても、相手はそんなの感じないんじゃないですか?」
「そう思うだろ?ところがどっこい、実は相手が人族だろうが亜人だろうが、獣人であるこちらが『運命の出会い』だと認識した時点で相手もそう感じるようになる香り?が出るらしく、相手以外はその香りに気づかないらしい。これはラブと番相手に聞いたから間違いないと思う。」
えっ、そんな事あるの!?驚きだね!
これもまた、新しい獣人の事実だ!
あれ……?
でももし人族の夫婦のどちらかが獣人の『運命の出会い』の相手だった場合、どうなるのかな!?
兄さんたち、大丈夫!?
俺はふとそう思いはしたが、心の中の不安感を気づかなかったことにした。
だって2組ともラブラブ?夫婦だった頃がある熟年?カップルだから、大丈夫だよね!
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